モテ男の小型化  
 
 
「まってよぅ、おねぇちゃ〜ん」  
 
さて、このかわいらしくも情けない発言。  
これだけを聞くと朝比奈さんが持ち前の愛らしさを存分に発揮してすがってくるように感じるだろう。  
しかし、その愛らしい天使さんに姉がいるとも聞いてないし、  
誰かをそう呼んでいるのも見たことがない。  
ではこれは誰かと言うと、  
 
「はやくはやく、キョン君!ほら、手つないであげるから!」  
 
…そう、俺なのである。  
 
「うん。でもなんで、きたこう?てとこにいくの?」  
「だってキョン君いないとハルにゃん達寂しがるもん!」  
「???」  
 
あぁ…妹よ。お前は昨日言われたこともう忘れたのか?  
そして、俺をこんな姿にしたハルヒは間違いなく寂しがってないぞ。  
それにそこの俺、なんにもわかってないぞ。  
「それにねー、わたしも北高行ったことないのー!ぼーけんだよ!ぼーけん!!」  
「!?ぼーけん?」  
…俺の目がキラキラしてる。そういえばこの頃の俺、ハルヒ的な思想を持ってたな。  
「そーだよー。じゃあ行くよー!レッツゴー!オー!!」  
「オー!!」  
 
はじめてのおつかいみたいだな。  
まぁ今回俺にできることはないから古泉達にまかせるしかないんだが…  
不安だ…とてつもなく嫌な予感がする。  
ここの二人がなにを言い出すかもちろん心配だが、  
俺がこの姿になったとき、ハルヒを除く団員のテンションがやや変な感じになってたからな。  
いや、その前からおかしかったか…  
 
今実態のない俺は感覚だけで口唇に触れながら昨日のことを思い返していた。  
 
 
 
―――――  
 
 
見上げれば、雲もそこそこに心が洗われるような青い空。  
朝特有の澄んだ空気。ちょっと冷たい心地よい風。  
そんな日曜日。  
にも関わらず、俺は休日だと思って惰眠をむさぶろうと心に決めてたときに、  
強制的に予定をいれられて鬱々まっさかりな人のような表情で、いつもの駅前にチャリで向かっていた。  
 
普段、日曜は探索もなく俺にとって本当の意味で休日なのだが、  
昨日の探索終了間際、  
「あたし、明日午後から用事があるんだけど、午前中暇なのよね。」  
我らの団長様が言ってきた。  
「そうかそうか、それじゃ俺はこれで」  
半ば結果はわかっていたのだが、右手をシュタっと挙げ立ち去ろうと踵を返した時、  
「待ちなさいキョン!団長の言うことを最後まで聞かないとはいい度胸ね。  
まあいいわ。みんな明日9時に駅前ね!遅れたらキョンだから!」  
 
 
と、いつもの我侭っぷりを発揮して、午前中のみの探索に駆り出せれている。  
て言うか、遅れたらキョンって…  
罰金=俺というイメージを払拭したいんだが、無理なんだろうね。  
 
さっき考えてた例え,つまり俺のことじゃねーか  
、と一人でつっこみながらだらだらチャリチャリと走らせていたら  
いつのまにか駅前に着いていた。  
いかん、まだ完全に脳が覚醒してないな。  
 
言うまでもなく最後は俺だね。うん、わかってた。  
仕方ない、自腹でモーニングコーヒーでもキメこんで渋さを演出しつつ眠気をとばそう。  
もしかしたら朝比奈さんが、  
「キョン君いつもと違って大人っぽいです。なんだか見とれちゃいますぅ。」  
などと言ってくれるかもしれん。  
そんなことを妄想しつつ、いつもの喫茶店でコーヒーを飲んでると、  
 
「何格好つけてんの?なんかバカみたいよ。」  
 
人の淡い期待を一撃で粉々にしてくれやがった。  
あーわかってるよ。どーせ俺はさえない一般人ですよ。  
 
「そー言えばあんたよくコーヒー飲んでるわね。なに?俺は大人なんだぞーってアピール?イタイわよあんた。」  
いや、さすがにそれはない。単に好きなだけだ。  
さすがにこの年でそんなこと思う奴いないだろう。  
「いるじゃない、ここに。イタイわよあんた。」  
だから好きなだけだって!  
「何必死になってんのよ。イタイわよあんた。」  
こ、こいつ…  
「ふふ…キョン君かわいい。」  
くっ…トドメ…  
 
ただいつもと違った飲み方しただけで、なんでこんなダメージをくらわなきゃいかんのだ。  
畜生、理不尽だ。しかも妄想とまったく逆のことを言われてるし…  
 
「ホント、キョンもガキよね。そうだ!今日は午前中だけだしキョンの家に行きましょう!」  
 
いろいろツッコミたいとこだが勘弁してやろう。それよりも  
「なんで俺んちなんだ?俺としては他の奴らの家のほうが興味あるぞ。」  
長門はいつも世話になってるからいいとして、  
古泉や朝比奈さんがどんな暮らしをしてるか気になるしな。  
おまけでハルヒもだ。  
 
「別にいいじゃない。それとも何?見られて困るようなものでもあるの?  
 思春期男子特有のブツとか、…あたしの写真が飾られてるとか。」  
「そんなものはない。それにな今日び好きな奴の写真を飾る奴なんてめったにいないと思うぞ。」  
「!?な…」  
ん?なんかハルヒが顔をあかくして俯いてしまった。  
自分の昭和的な考えが恥ずかしかったのか?  
 
「おや?やはりあなたの想い人は涼宮さんだったんですね。それに好きな人の写真を飾るのは別に時代遅れと思いませんよ。」  
そーなのか?…ってちょっとまて。  
なんで俺の想い人がハルヒになってんだよ!  
 
「だ、だって好きな奴って…」  
 
ああ、朝比奈さんあれはただの物の例え、言葉の綾です。  
だからそんな悲しそうな瞳で見つめないで下さい。なぜか罪悪感がでてきます。  
長門も人を射殺す様な視線はやめなさい。  
 
「…っの、馬鹿キョン!!くだらないこと言ってないで早くいくわよ!」  
「おまえから言い出したんだろうが。それに今日親がいるぞ?」  
「望むとこよ!!」  
「望むって…ハァ、俺ここまで来た意味あんのか?」  
「みんなに奢る為よ!!!」  
ウワ、こいつ言い切りやがった。悪魔かおまえは…  
「うるさいわね!とっとと行くわよ!!」  
そう言うとハルヒは店を出て行った。  
 
 
妙にプリプリしてるハルヒを見送りつつ勘定をしながら考える。  
俺の存在意義って、何?  
 
「何もたもたしてんのよー!のろまーー!!」  
 
ヒドイな…  
 
 
 
―――――  
 
 
 
「ここがキョンの家なの?へ〜、ふ〜ん…」  
ハルヒは家に着くなりにやにやとしている。  
何企んでいるんだ?見た通り平凡な家だぞ?  
「べつに〜、この先お世話になるからね〜」  
…こいつは俺の家までSOS色に染める気か?  
「わ、わたしもお世話になります!」  
どうしました?朝比奈さん。そんなに焦らなくても…  
「それは違う。」  
ん?長門?  
「私がお世話になる。」  
 
なんだ?ハルヒはなにかしら俺んちを利用しようとしてるのだろう。  
それが覆らないのはわかってる。  
みんな仲間なんだから誰かをハブにする訳ないんだが…  
 
「なあ、古泉。」  
 
三人娘は無言で見つめあってる。  
 
「なんでしょう。」  
「なんだこの空気。」  
「さあ?」  
 
古泉は苦笑しながら肩を竦めた。  
なんなんだろうね、いったい。  
おい、ハルヒそんなとこに突っ立ってないで中入れ。  
 
「!?わかってるわよ!バカキョン♪でも、あたしを先に家に上がらせようとしたのは評価するわ!」  
 
何言ってんだ?別に誰からでもいいんだが、楽しそうなんでまあいい。  
そして、ハルヒの後をふくれた感じで二人がつづいてきたので、  
俺なにかしたか?と思いつつおふくろに帰宅を告げた。  
 
「早かったわね。あら、お友達?」  
「ああ、こいつらは…」  
「急におしかけて来てすいません。初めまして、キョン君と団活してる者達です。」  
ハルヒは、にこやかにそう言いながら頭を下げた。  
こいつ、ここでも猫被るのか…  
「まあ、これはご丁寧に。それで、あんた」  
「なんだ?」  
「どの娘が彼女なの?」  
あーもう!お約束だな、おい!  
団活のメンバーって言われたばかりじゃねーか!  
 
「長門有希。よろしく、お義母さん。」  
 
つっこむ間に、長門が一歩前に出てきた。  
長門よ、間違っちゃいないが‘おかあさん’じゃなくてこの人には‘おばさん’で充分だぞ?  
「!?有希!」  
「長門さん!ずるい!」  
と言いつつ二人がおふくろに詰め寄ってきた。  
「涼宮ハルヒです!お義母さん!!」  
「朝比奈みくるちゃんです!お義母様!!」  
おふくろは、「あらあら、まあまあ。」などと笑っているが、  
ちょっと若人達の勢いに困惑してるな。  
しかし、どーしたんだ?今日みんな変だぞ?  
朝比奈さんにいたっては軽くパニックになってるし。  
どうしたもんかと思っていると、  
「初めまして。古泉一樹です。」  
絶妙の間で古泉が入ってきた。  
正直助かった。恩にきるぜ。口には出さんが。  
「あら?かわいい子ね。年上のお姉さんは好きかしら?」  
おふくろが世間的にかなりきびしいことを言いやがった。  
あんたも変になったか?  
 
「ハァ…先部屋に行ってるぞ!」  
 
ここにいたら疲れるだけだ。  
俺は、はしゃいでる奴らをこころなしか勝ち誇りながら黙ってみている長門を  
ついでとばかりに、いつかの図書館のように肩を押しながら部屋に向かった。  
 
「あんたー!有希になにしてんのよ!!」  
ハルヒよ、もう地が出てるぞ。それにそんな勢いで迫ってくるな。  
すごく逃げたくなる。  
「長門さん!さっきからずるいですー!!」  
な!?あ、朝比奈さんまで…は、速い!!?  
俺は恐怖を感じ、気付いたときには逃げていた。  
 
「逃げんなぁ!エロキョーン!!」  
 
肩を押しながら全力で階段をのぼるという、トリッキーなことにも長門は余裕で対応してくれてる。   
一瞬足が鳴門のように見えたが気にしない。  
それよりも逃げたとこで行き着くとこは俺の部屋な訳で…  
つまりは行き止まりな訳で…  
「うりゃー」と、かわい気のあるかけ声ではなく  
「うぉりゃああぁぁぁ」と地の底から出てくるような声でドロップキックをかまされた。  
どーやったらここでドロップキックなんかできるんだよ…  
痛む背中を押さえながら、運よく倒れこんだベッドの上で振り返ると  
 
「わたしだって…えーい!」  
 
天使様が降ってこられた。俗に言うフライングボディアタック。  
「ぐはぁ」とはいうが、ベッドのクッションと天使様のクッションでバインバイン。  
もういろんなとこがバインバイン。  
あれ?ここヴァルハラ?  
と満ち足りた顔をしてると、‘ガッ’と顔をつかまれ長門に引きずり下ろされた。  
俗に言うアイアンクロー。オーケー長門、落ち着こうか…  
その握力だと顔がねクシャってなっちゃうんだ。  
 
とてつもない圧迫から開放され心底安堵してると、  
長門が自分と朝比奈さんの胸を交互に何回も見て「あなたは動かないで」と言った。  
この体勢と長門の言葉に、あれ?前にもこんなことがあったな。などと思い、  
あーそうかあれ、朝倉の時に…  
と思い出したときには長門の膝が俺の頬を振りぬいた後だった。  
 
その後もまたベッドまで吹っ飛ばされた俺に  
「エロキョンがぁ!」とハルヒが降ってきたり  
「ダメですよ!涼宮さん!」と朝比奈さんがハルヒを止めようとしてつまずき、そのまま折り重なる様になったり  
「………」無言で長門が飛んできたり  
「あ!はるにゃんたちだ!なにしてんの?わたしもやる〜」と妹までも降ってきたりした。  
つまり古典的なイジメだ。  
その際目の前にあったハルヒの顔が真っ赤になっていたので、苦しそうだなと思い  
「おい、みんな。さすがにちと辛いぞ。」と言ってもどけないし、  
ハルヒも重いのか、さらに赤くなって接近してくるので  
「ハルヒが重さに負けて潰れそうだ。このままだとキス的なものになっちまいそ…」  
言い切るまえにどけてくれた。妹は笑いながら転げ落ちただけだが。  
「……バカキョン…黙ってなさいよ…」  
ハルヒがなんかぶつぶつ言ってたが、これでみんなようやく落ち着いてくれた。  
 
今は、ハルヒが部屋をあさったり朝比奈さんと妹がじゃれたり長門が文庫本読んだり  
まあ普段通りすごしてる。  
しかし疲れたな…  
「ちょっと、キョン!あんたアルバムとかないの?」  
「そこにCDラックあるだろ。」  
「アホ!写真のよ!あんたの小さい頃のマヌケ顔見せなさいって言ってんの!」  
あぁ、この部屋にはないな。下の居間だろう。しかしあんなもの見てもおもしろくないぞ?  
「いいから!早く取って来なさい!」  
「わかったわかった。あんま部屋荒らすなよ。」  
言っても無駄なのはわかってるが一応注意して居間へと下りた。  
 
「……って、おまえ何やってんだ?」  
 
一瞬絶句して中年のおばさんに、にこにこ見つめられている野郎に一応聞いてみる。  
なかなか近寄りがたいぞ。  
「いや…おかあさんに、あなたの学校生活を聞きたいとここに拉致…ぅん…案内されまして…」  
などと顔を引きつらせながら言いながらも、幾分か安堵してる感じだな。  
そーいえば古泉がいなかったことに今気付いた。  
すまん。悪気はなかった。おふくろよ、あんまり変なことしてくれるな。  
「一樹くん、ほんとにいい子ね〜。食べちゃいたい。」  
のわ!潤んだ瞳できついこと述べやがった!全身に鳥肌が立つのがわかる。  
おい!古泉!この人本格的に変だ!さっさと上に行くぞ!  
「え、ええ…それでは。」  
俺はアルバムを引っ掴むと固まっている古泉を連れて部屋に戻った。  
「もう少し早く気付いて欲しかったのですが…」  
知るか。こっちはこっちでいろいろ大変だったんだよ!  
「二人で何ぶつぶつ言ってんの?それより、それさっさと見せ…」  
遮るように、ハルヒの携帯が鳴った。  
「もしもし?え!?もうそんな時間?わかったわよ…帰るわよ。」  
あー気がつけばもう昼前だな。  
で、どーすんだ?みんなも帰るか?  
「それに興味がある。まだ居る。」  
「わ、わたしもそれ見たいです!」  
「な!?ダ、ダメよ!あたしのいない間に秘められたキョンを見るなんて!」  
いったいなんだそれは。俺に不思議属性はないぞ。  
「あなたは今、親を待たせている。早く帰るべき。」  
「待たせたらかわいそうですよ?」  
「ぬぅ…。古泉君!キョンが二人に変なことしないか見張っといて!それからキョン明日それ学校に持ってきなさいよ!」  
わかったよ。それより親御さん待ってるんだろ?早く行ったほうがいいんじゃないか?  
「わかってるわよ!絶対持ってきなさいよ!」  
「はいはい。」  
「はい、は一回!絶対持ってくるのよ!」  
やけに念をおしながらハルヒは家を飛び出した。  
なんでこんなおもしろみのないもの見たいかねぇ。  
 
「ぜったいよ〜〜〜〜!」  
 
…あいつに羞恥心というものはないのか?  
一言いってやろうと窓を開けるとハルヒはもういなかった。  
足速すぎるぞ。  
 
―――――  
 
「キョン君かわいいですぅ。今と違ってすごい素直そうです。」  
「あのね〜キョン君この頃すごい純粋だったんだって!なんでこんなひねくれ者になったのかなっておかーさんが言ってた!」  
 
朝比奈さんと妹がキャッキャッ言いながらアルバムを見ている。  
微笑ましい光景ではあるのだが、‘今と違って’とはどーゆー意味だろう…  
長門も写真と俺を交互にみて不思議そうな顔してるのはなぜかな?  
「写真を見る限り、この頃のあなたとのギャップがすごいですからね。」  
「変わらない奴のほうがおかしいだろ。それに、俺は今でも充分素直だ!」  
その時、妹を除くみんなが驚いた顔をして見つめてきた。  
長門は俺にわかる程度だが…  
そんな変なこと言ったか?  
「いえ、それもあるんですが、その…涼宮さんです。」  
あるのかよ!ってそんな状況じゃなさそうだな。  
 
「おい、下に行ってみんなにジュース持ってきてくれないか?」  
「えー?キョン君行ってきてよー。」  
「冷蔵庫に俺のぶんのケーキあったろ?それやるから。」  
「!?わかった!行ってくる!」  
ちょろいな。あ、ジュースはケーキ食ってからでいいぞ!  
「うん!」と言い部屋を出た妹を確認して、  
「で?あいつがまた何かやらかしたのか?」  
「ええ。閉鎖空間ではないのですが…」  
「世界が改変されようとしている。」  
長門が被せるように言って来た。  
おいおい、閉鎖空間だと思っていたら世界改変かよ。あれはもうこりごりなんだが…  
「大丈夫。今回はあんなことにはならない。」  
少し悲しそうに言ってきた。  
あぁ、すまん。少し無神経だった。  
 
「涼宮ハルヒは局所的に改変しようとしている。」  
「涼宮さんはよほどあなたの小さな頃を見たかったようですね。」  
どーいうことだ?局所的?俺の小さな頃?わからんぞ。  
朝比奈さんもわかってない顔してるじゃないか。  
あれ?とゆーことはこのお方、純粋に俺の発言にびっくりしたのか?  
…まあいい。で結局どーなるんだ?  
「おそらく今から30分52秒、51、50……」  
「わかったわかった。約30分後、でいいか?」  
「いい。あなたは5歳児になる。」  
シャ、写真が見られなかったってだけで俺を5歳児にするってか?!  
「かわいらしい方ですね。」  
アホか!明日持って行くというのに!  
これはシャレにならんぞ!なんとかならんのか長門?  
「ならない。涼宮ハルヒの力は未知なとこが多い。思念体の許可もおりない。」  
 
クソッ!いきなり5歳児って…あのバカ!  
 
「まあまあ、落ち着いて下さい。涼宮さんもずっとあなたを子供にしているとは思えません。  
それよりも、元に戻るまでの期間が問題です。」  
…確かにそうだな。すまんな取り乱しちまった。  
「それで長門さん。このまま子供になると彼は生活が難しいくなるでしょう。  
ご家族やご近所、学校などの情報を改竄する訳にはいかないでしょうか?」  
 
ハルヒがそこんとこを上手く改変してくれれば早いのだが。  
古泉の話を聞くかぎり期待できないのだろう。  
 
「それもできない。涼宮ハルヒが改変した世界で情報を改竄するのはなにが起こるかわからない。最悪、彼はずっと5歳児のまま。」  
「それは危険ですね。では、機関のほうでいろいろやってみましょう。」  
すまんな、手間かける。  
「問題が一つある。その対処を施したい。許可を。」   
問題は山ずみなんだが…どーした長門?急に許可を求められても困るぞ?  
何か重要なことか?  
「このまま5歳児になると今のあなたの意識はなくなってしまう。元に戻ったとき、その間の記憶がないのは不都合と考えられる。」  
え!?そーなのか?11,2年前の俺そのものになるのか?  
「そう。だから今のあなたの意識を保存して、見守ることができる様にしたいと思う。」  
ん?どーゆーことだ?  
「つまり、守護霊みたいなものでしょう。」  
………まあしょうがないか。確かに子供になった間のことは、知っておきたいしな。  
じゃあ頼む長門。噛むんだろ?  
 
「そう。」  
 
やれやれと腕を出したとき、朝比奈さんが「あ!ダメ!」と言った時には噛みつかれてた。  
口唇に。  
長門曰く「脳の近くのほうが確実。」らしかった。おもいっきり目を逸らしていたが。  
「今日の長門さんはズルイというより卑怯です…」  
朝比奈さんが何かつぶやいてたが、俺は突然のことに我を失って口唇をなぞっていた。  
 
いかん、ボーとしていた。一番の懸案事項だ。  
「古泉。家族に対してだがこれはさすがに機関もどうしようもないんじゃないか?」  
「そうですね…」  
古泉は顎に手を当て、いつもとは違う真面目な顔で考えてる。  
あんまり家族はまきこみたくないんだが、さて…  
 
「あ、あの〜キョン君が家出したというのはどーですか?子供になったキョン君はわたしが面倒みますから。」  
恥ずかしそうに朝比奈さんが提案した。  
それは大変魅力的な案ですが、さすがに…  
「それはダメ。」  
お?長門?  
「彼の面倒はわたしが見る。」  
いや、そういうことじゃなくてだな。  
日曜の昼間、それも友人を家に招いてる奴がいきなり家出なんてかなり無理があるんだ。  
しかもあと20分もない。  
「この際、涼宮さんのことも含め全部説明しましょう。」  
「それしかないか。しかし、こんなことすぐには信じないぞ?」  
「あなたのご家族です。大丈夫でしょう。それに目の前で小さくなれば信じざるを得ないでしょう。」  
「一部納得できないとこがあるが、まあそうだな。にしても時間がない急ごう。」  
俺達は、見つめ合って動かない長門と朝比奈さんをおいて一階に下りた。  
 
「一樹君が言うなら本当なんでしょう」  
「キョン君子供になっちゃうの?じゃあ、わたしおねーちゃんだね!」  
…3分もかからなかった。器がでかいのか、どっか抜けてるのかわからんな。  
「おい、妹よ。そんな訳だからあんまり目立つような…連れまわしたりするなよ。あとハルヒには絶対言うな!」  
「え〜?ん〜わかった。あんまりね!」  
本当にわかってんだろうか。  
「そろそろ。」  
おわ!長門いつの間に!  
驚いていると急に体が浮遊感に包まれた。どーやら小型化が始まったみたいだな。  
浮遊感が治まったので下を見てみると完全に5歳児の俺がいた。  
さすがに、おふくろも妹も実際目の当たりにすると驚いているな。少し安心した。  
少しキョロキョロしていた俺(小)だが、  
 
「あ!おかーさん!この人達だれ〜?」  
 
と言いながらパタパタとおふくろの下に行こうとするが、いかんせん着ている服が大きすぎる。  
ポテッと転ぶと「うぅ〜」と泣くのを堪えて「泣かなかったよおかーさん!」と。  
…これ本当に俺なのか?いや、5歳だから別に普通なんだろうが…きついな。  
なぜかみんな沈黙して、俺(小)を見ていたのだが、  
 
「やっぱりキョン君はわたしが持って帰ります!」  
ちょ…朝比奈さん?持って帰るて!  
「いえいえ、ここは機関のほうで。いや僕の家でも…」  
どーした、古泉!おまえまで!  
「………」  
長門が無言で俺(小)の手を引いてる!?  
「ダメですよ!長門さん!いつもおいしい思いしてるんだから今回ぐらい!」  
「朝比奈さん、そんな大岡なことをしてはいけません。ここは中立な機関に…」  
「………」  
あぁみんなの様子がおかしい。  
俺(小)も訳がわからずおふくろに救いの目で見ているが、おふくろはあっけにとられて固まっている。  
いよいよ泣くと思われた時  
 
「キョン君はわたしのだからダメーーー!」  
 
妹の叫びにおふくろが我をとり戻して、「はいはいみんな大丈夫だから。」と、俺(小)を抱き上げた。  
ふぅ、今回は妹に助けられたな。しかし人を所有物扱いしてはいけないぞ?  
 
 
 
―――――  
 
 
 
「では、明日の放課後にまたお伺いさせてもらいます。」  
 
と、昨日古泉が言ってたんだが、この端から見ると愛らしい姉弟はすでに北高前である。  
昨日の話では、我が一族の家訓で、  
‘第一子は一定期間、同じ血筋の第一子と変わって生活する’  
と訳のわからないかなり無茶な設定を作って急遽それが行われることとなり、今俺は俺(小)の実家にいることになっている。  
これを機関が工作するために一日あけて今日の放課後、俺(小)とハルヒを対面させるだんどりを決めるはずだったんだが、  
妹の「キョン君北高にいくよ〜!」の一言でだんどりもなにもなくなった。  
まあ校内で子供二人がウロウロしてたら教師なりなんなりに家に帰らされるだろう。  
 
ちなみに昨日、妹とのやりとりで  
「おねーちゃんだれ〜?キョンって僕のこと?」  
この頃キョンと呼ばれてない上に姉などいないので当然の質問を  
「おねーちゃんはおねーちゃんだよ!キョン君はキョン君だよ!」  
ハルヒも真っ青のゴリ押しをして「そーなんだ。」と俺(小)を納得させた。  
 
今更ながら、5才の俺は素直、純粋というよりもただのアホなんじゃないのか?  
軽く落ち込みながら気付くと二人は文芸部室前にいた。  
教師にエンカウントしない上に最短ルートでここまでくるとは…妹の行く末が恐ろしい。  
 
「キョン君すごいね!なんでここってわかったの?」  
「ん〜、なんとなく!」  
あっ、俺だった。  
 
「あのアホキョン!一族の家訓ってなによ!つまんないじゃない…アルバム持ってくるって言ったのに…」  
ハルヒの怒ってるのかイジケてるのかわからない声が聞こえる。  
お前のせいだよ!と声にならない声で言ってると  
 
「はるにゃ〜ん!遊びに来たよ!」  
 
勢いよく妹がドアを開けた。  
「へ?妹ちゃん!?どーしたの、こんなとこまで!」  
「はるにゃん寂しがってると思ってキョン君連れてきた!」  
「え!キョン!?」  
ハルヒはもちろんのこと、他の団員も驚いてるな。まあ当然か。  
古泉に至っては口の端をピクピクさせている。  
すまんな、後はまかせたぞ。  
 
「え?キョン?」  
ハルヒは俺(小)を見るなり不思議そうに見つめている。  
「か、彼のかわりに来た子です!こ、この子もキョン君と呼ばれてるそうです!」  
おい、古泉。焦りすぎだ。  
「そーなの?でもなんで古泉君が知ってるの?」  
「え、えぇ…昨日帰るときにちょうどいらっしゃいまして。長門さんも朝比奈さんも会っていますよ。」  
「むっ…団長であるあたしだけ知らないなんて、キョンのせいだわ!」  
なんでだよ!そもそもお前が原因だ!  
ん?俺(小)がそわそわしてるな。  
 
「おねーちゃん、あの人だれ?ほかの人は昨日あったけどなまえわかんない。」  
「そーだったね!この人は、はるにゃん!」  
「妹ちゃん。そろそろお義姉ちゃんって呼んでいいわよ。」  
「うん。わかった、はるにゃん!」  
「………」  
 
「でね、この人がみくるちゃん!」  
「あ、あのわたしもお義姉…」  
「うん。わかった、みくるちゃん!」  
「………」  
 
「それで、この人が有希!」  
「わた…」  
「うん。わかった、有希!」  
「………」  
 
「ありがとう!おねーちゃん!」  
「うん!おねーちゃんだよ!」  
 
…そんなにおねーちゃんがうれしいのだろう。そうだろう。別に黒い意図はないはずだ。  
 
「ほんとキョンの血縁者とは思えないくらい素直でいい子ね。」  
妹による紹介のあと、軽くしょげている古泉を尻目にハルヒは俺(小)と戯れている。  
すまんな古泉。妹は紹介終わり!ってな満足気な顔してる。あきらめろ。  
「はるおねーちゃん、ここは何するとこなの?」  
「よく聞いてくれたわね!ここは世の中のありとあらゆる不思議を見つけ楽しんじゃおうってとこよ!」  
「ふしぎ?たのしむ?」  
「そーね…宇宙人、未来人、超能力者とかと遊ぼう!ってことよ。キョン君も興味ある?」  
ハルヒがキョン君って…、なんだろうね?このむず痒さは。  
「!?うん!宇宙人とかっているの?ぼくも遊びたい!仲間にいれて、はるおねーちゃん。」  
俺(小)が瞳をキラキラさせながらハルヒを見上げていた。  
うむ、立派な上目遣いだ。自分がやってると思うと頭を抱えたくなる。  
「か、かわいい…気に入ったわ!SOS団の入団を許可するわ!」  
ハルヒは俺(小)をなぜか抱きしめながら言うと  
「ありがとう、はるおねーちゃん。」  
俺(小)も抱きしめながらハルヒに埋まっている。  
なんだよこれ。妙にこっ恥ずかしいぞ。  
 
「宇宙人の…」  
ハルヒと俺(小)を呆然と見ていると長門がいつのまにかそばに寄っていた。  
「なに?ゆきおねーちゃん。」  
「女の宇宙人がいたらどうする?」  
唐突になにを言い出すんだ?  
「え?ん〜と、結婚する!」  
唐突になにを言い出すんだ!俺(小)は!意味わかってんのか!?  
「わかった。」  
うお!なぜか長門と目があったぞ。やはり長門には俺が見えてんのか?  
 
「じゃ、じゃあ!」  
「なに?みくるちゃん。」  
朝比奈さんが慌てながら聞いてきた。  
俺(小)はなぜか朝比奈さんにはおねーちゃんをつけていない。なぜだろう。  
「未来人の女の子はどうですか?」  
「ん〜とね〜、およめさんにする!」  
つまりなんでもいいんだな俺(小)は…  
朝比奈さんは「ウフフ…」と身をくねらせている。朝比奈さん?子供の言うことですよ?  
 
「それでは超能力者の男の子はどうでしょう。」  
古泉までが聞いてきた。  
「ん〜親友になる!」  
古泉は、「おやおや」と言いながら虚空に向かってウインクをしていた。  
残念ながらそこに俺はいないがな。にしても気持ち悪いからやめろ。  
 
「それじゃあいろんな不思議を探す元気いっぱいな女の子はどうかしら?」  
やはりハルヒも聞いてきた。  
「友達になっていっしょにぼーけんする!」  
即答したね。俺(小)は。ハルヒを見る他の団員がなんともいえない目で見ている。  
「な、なに?この敗北感は…キョ、キョン君あたしのことは好き?」  
なにをテンパってるんだこいつは。俺(小)も「うん、すきー」とか言うんじゃありません。  
 
ハルヒが子供の言うことに顔を赤くしていると  
「こんちはー!差し入れにきたっさ!」  
いつもハイテンションな鶴屋さんが入ってきた。  
「なんだい?キョン君はいないのかい?つまんないな〜。ん?このちっこいのはだれっかな〜?」  
なんだかうれしいことを言ってくれるね。  
ん?俺(小)が若干震えてるような…  
 
「は、はるおねーちゃん…」  
「ん?どうしたの?この人は鶴屋さんといって…」  
「お、おばけだー!」  
「にょろ!?」  
 
…みんなあっけにとられてるな。かくいう俺もだ。  
何を言い出すんだ俺(小)は!  
 
「だ、大丈夫よ。ほらちゃんと足あるでしょ?」  
いち早く立ち直ったハルヒが言うと  
「で、でも!にょろって鳴いた!にょろって!」  
言っちゃいけないことを言い放ちやがった。  
周りをみるとみんな固まっているが、朝比奈さんは顔を真っ赤にして口を押さえている。  
鶴屋さんは冬のときみたいに某お菓子屋のマスコットのような顔で考えこんでいる。  
「それにさっき、キバがあるのをぼく見たよ!」  
八重歯のことだろう。  
「おばけじゃないなら、ようかいだ!はるおねーちゃん!」  
「い、いや…」  
めずらしい。ハルヒが困っている。  
「ぺこーん!」  
「また鳴いたー!」  
ここで朝比奈さんが吹き出した。  
「閃いた効果音にょろ!みくる!なに笑ってるんだい!?」  
まるで笑うのは私の役目だといわんばかりに朝比奈さんに言うと  
「ふふ…君にはキョン君の匂いがするね…」  
と、映画の時みたいに俺(小)に迫ってきた。  
「うわー!おでこにょーんが、おでこにょーんがせまってくるよ!」  
「わたしゃドレミファかい!?」  
もう訳がわからない。朝比奈さんは腹を押さえて床を転げまくってるし。  
「はるおねーちゃん、たすけて!」  
「だ、だいじょうぶだから…」  
「うわーん。はるおねーちゃんなんかだいきらいだー」  
「えぇ!?」  
ハルヒが固まった。  
「観念するにょろよ…」  
「うわー!」  
俺(小)を捕まえようとした瞬間、パシッと鶴屋さんの手が払われた。  
「ほほう…有希っこ。邪魔する気かい?」  
「ゆ、ゆきおねーちゃん!」  
俺(小)が長門に抱きついた。しかし情けないな…  
「大丈夫。あなたはわたしが守る。」  
「うん!」  
 
俺(小)が離れたのを合図に、俺(小)を捕まえようとする鶴屋さんとそうはさせまいとその手を払う長門の戦いが始まった。  
すげぇ。まるでカンフー映画だなこれ。  
「う〜ん、髪が邪魔だね。有希っこ、ちょっと待つっさ。」  
鶴屋さんはポケットからゴムをだすと髪を後ろに纏めて縛った。  
非のうちようがないポニーテールだ。うむすばらしい。  
「さー、有希っこ!いく…にょろ?」  
…俺(小)が鶴屋さんの手を握ってる。  
「ごめんなさい。こんなきれいな人がようかいなわけないや。」  
おいおいマジか?単純すぎるぞ。  
「ん〜いいっさ。キョン君におしおきするからさ。」  
「やっぱりおこってるの?ぼくおしおきされるの?」  
うるんだ瞳で鶴屋さんを見ている俺(小)を  
「君もキョン君っていうのかい?違うキョン君だから安心するにょろ!」  
俺が全然安心できないこというと鶴屋さんは俺(小)を抱きしめた。  
「ほら、大丈夫だったでしょ?」  
いつのまにか復活したハルヒをみると、無理矢理なポニーテールになっていた。  
なに対抗してんだ。  
「うん…ごめんね?はるおねーちゃん。」  
「キョン君かわいい♪」  
あれ?朝比奈さん今まで転げまわってませんでした?  
いつのまにポニーテールを?しかもリボンで。  
朝比奈さんのすばやさについていろいろ考えていると、  
「あなたには、おしおきが必要。」  
長門がばっちり俺を見てつぶやいた。  
 
その後そろそろ下校する時間になったとき  
「キョン君今日あたしの家に泊まらない?」  
とハルヒが言い出したのをきっかけに  
「ここはやっぱり肉体的に包容力あるわたしが…」  
「……私」  
「待つっさ!部屋がいっぱいあるこの鶴屋さんが…」  
「男同士のぼくが…」  
と昨日の再現+αで揉めていたとき  
「キョン君はわたしのなのーーー!!!」  
今まで完全に空気になっていた妹の叫びにより帰宅することになった。  
 
ふぅ…予定外だったがハルヒとの対面も上手くいったんじゃなかろうか。  
たぶん満足してくれただろう。得に問題もなかったしな。明日には戻れるだろう。  
しかし見てるだけで疲れたな…  
 
 
―――――  
 
 
朝起きるとちゃんと元に戻っていた。いささか不安だったがちゃんと戻れてなによりだ。  
おふくろに「また可愛げのないあんたに戻ったのね。」と微妙に傷つくことを言われたのだが  
「やっぱりキョン君はこっちのほうがいい!」と妹に抱きつかれたので良しとしよう。  
妹よ、今度パフェ食わしてやる。  
「キョン君だいすきー♪」  
ふむ、キスまでされた。っとこんなことしてる場合じゃないな。このままだと遅刻してしまう。  
 
いつものように早朝ハイキングをして  
教室に入るとハルヒはもう席についていた。  
「よう、ハルヒ。」  
「あら、もう家訓とやらは終わったの?」  
「あぁ。まだ小さい子だったからな。昨日の夜には帰ってたよ。そういえばおまえも見たらしいな。」  
一応話をあわせておかないとな。  
「あんたと違ってすんごい可愛かった!」  
「ほほぅ。あいつは俺とそっくりと評判なんだ。しかし可愛いと言われてもうれしくないぞ。」  
「あんたには言ってない!確かに似てたけど全然違う生き物だわ!」  
残念ながら同一人物だけどな。と心の中で笑ってると  
「あ!いたいたキョン君!」  
鶴屋さんが教室に入ってきた。  
「あら?どうしたの鶴屋さん?」  
「キョン君をおしおきに来たっさ!」  
言うと同時に抱きつかれた。朝の教室で!クラスメートの前で!!ハルヒの前で!!!  
「ちょっ…つ、鶴屋さん、なにを…」  
「だから、おしおきっさ!」  
なんとか逃れようともがいてると、ガッと右手が掴まれた。  
ハルヒはまだ呆然としている。誰だ?  
「おしおき。」  
長門がそのまま自分の胸におしつけてきた。  
「長門いつのまに!?それにこれおしおき??」  
胸をさわるのがおしおきってのもおかしいが、なんていうか自虐?  
「………」  
すいませんでした。その握力は大変危険です。ポキッといっちゃいます。  
「あ、あんた…」  
ハルヒが再起動した。よし落ち着け、冷静になろうか。  
「な に し て ん の よ!」  
一文字づつグーで殴られた。  
確かにこれはおしおきだなぁ。でも俺なにもしてないよね。  
薄れる意識のなかこいつ本当に女か?と思われるフックをくらいブラックアウトした。  
 
 
さて、放課後の話である。  
「おまえ普通気を失わせるほど殴るか?」  
「あんたが悪いんでしょ!」  
ハルヒはまだプリプリしている。  
「ったく…もうちょっと女らしくできないもんかね。」  
「女らしくってなによ!どーせみくるちゃんみたいなのがタイプなんでしょ!」  
「なんでタイプの話になってんだよ!別にタイプとかじゃねーよ!」  
「そ、そんなぁ…」  
「ち、違いますよ。朝比奈さんが嫌いな訳じゃないですよ!」  
「じゃあどんな女がタイプなのよ!そうだ、あんた今から女装しなさい!」  
「おい、意味がわからんぞ!なんでいきなり女装なんだよ!」  
「あんたのタイプの女になりきりなさいってことよ!」  
「アホか!断る!」  
こんなアホなやりとりを帰り道でも続けていた。  
ハルヒがいつもみんなと別れるとこで  
「絶対女になりきらすからね!」  
と捨て台詞をはきながら走って帰っていった。  
「なあ…長門。」  
「何?」  
一応ダメもとで聞いてみよう。  
「あとどのくらいだ?」  
「約30分。」  
やっぱりか…  
「また機関のほうにおまかせ下さい。」  
すまんな、頼むよ。  
「え?え?」  
朝比奈さん。いろいろアドバイスを聞くかもしれません。  
「は、はあ…??」  
 
そして30分後俺は女になった。  
 
 
 
おわり  
 
 

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