子供は風の子と言うが、高校生にもなれば公園で鬼ごっこ、もしくはかくれんぼ等々キャッキャ言いながら遊ぶことは  
めったにないことである。  
しかしこんなにも天気のいい土曜日。外に出てぶらぶらと景色を眺めたり、若者らしく繁華街で羽目をはずしたりするのもいい。  
ああ、いつもの探索なんてもってこいの日じゃないか。なのになんでみんな俺の部屋に集まってるんだろう。  
「あんた探索の時いつもぶつぶつ言ってるくせに、なんか文句ある訳?」  
ぶつぶつ言ってるのは毎回のおごりについてだ。  
「まあいいわ。今日は映画の製作についての打ち合わせよ!気合入れなさい!」  
朝っぱらからテンション高いな。打ち合わせなら俺の部屋でなくてもいいだろうに。  
「朝比奈ミクルの冒険の続編は今更とやかく言うまでもないわね。もうあたしのなかで出来上がってるから」  
「おまえは打ち合わせの意味わかってるのか?今回は朝比奈さんにあまり無茶させるなよ」  
「キョンくん…」  
朝比奈さんに潤んだ瞳で見つめられた。なんでこの御方はこんなにも愛らしいのかね。  
「そんなことはどうでもいいのよ!他に聞くことがあるでしょ!」  
何怒ってんだこいつは。  
「朝比奈ミクルの冒険の続編でなければ、また別の映画を製作するということですか?」  
「そうよ!さすが古泉君ね。キョン、あたしの好感度を上げたければもっとあたしのことをわかりなさい!」  
「もう十分おまえのことはわかってるつもりだ。それが好感度につながるならMAXになるほどにな。それでどんな映画を撮るんだ?」  
「そ、そう…」  
なににやけてんだ?おい、ハルヒ?  
「…え?そ、そう!映画を撮るのよ!」  
「それは分かったから。どんなのだ?あまり無茶なのはやめてくれよ」  
「無茶じゃないわ。朝比奈ミクルの冒険のサイドストーリーだから」  
あ、無茶だ。  
「ミクル、ユキ、イツキこの三人があれやこれやとしてる間に起こったアメリカでの男女の恋愛ストーリーよ!」  
ぶっとんでやがる。  
「アメリカって…それサイドストーリーになり得るのか?」  
「どうだっていいわそんなこと!この映画はベタな恋愛映画にするの。そりゃもうハリウッド並に!」  
どうでもよくないとか、ハリウッドの恋愛映画はベタなのかという疑問はあるが、  
「それで誰と誰の物語なんだ?」  
「あたしとキョンよ!」  
 
完全に別物の映画だな。…って、おい!  
「なんで俺なんだよ!俺はそんなこっ恥ずかしいことやらないぞ!演技なんかできるか!」  
「あたしはリアルを追及するからね。キ、キスシーンも今回は止めさせないわよ!」  
「人の話を聞け!!」  
ハルヒの奴目が本気だ。このままじゃ本当にやらされてしまう。どうにかあきらめ…  
「異議あり」  
長門!俺はおまえを信じてた!  
「あなたの話を聞く限り朝比奈ミクルの冒険とは関係ない物語になると推測される。よって私がヒロインになってもさほど問題ないはず」  
あぁ…長門…  
「そ、それじゃわたしだって!」  
朝比奈さんまで…やっぱり俺がなんとかしないといけないのか…  
「あら、有希、みくるちゃんそれは無理よ。あくまで『ミクル、ユキ、イツキこの三人があれやこれやとしてる間に起こった』物語なの。  
 不本意だけどあたしがキョンの相手役をしてあげないとダメなの」  
ハルヒは勝ち誇った笑みを浮かべている。しかしこいつが今言ったことを利用させてもらおう。  
「おい、ハルヒ。不本意なら無理して撮ることないんじゃないか?俺だって演技なんて柄じゃないし。  
 それに朝比奈ミクルの冒険だけでも大変なんだ。ここは朝比奈ミクルの冒険一本に集中しないか?」  
「ダ、ダメよ!それに別に本気で不本意ってわけじゃ…」  
「なんだって?」  
「あーもう!とにかく脚本だってもう出来てるんだから!絶対やるわよ!」  
「しかしな…」  
「ちゃんとあんたの役名も考えてあげてるんだから!」  
いや、役名なんておまえの映画の場合あってないようなものじゃないか。…ん?ちょっと待てよ。こいつはなんて言ってた?  
アメリカがどうのこうの…  
「あんたの役名はね、ジョ…」  
まずい!その名前をハルヒから聞く訳にはいかない!  
「キョンだ!!!」  
「え!?な、何!?」  
…だからって叫ぶことはなかった。  
「いや…みんな本名で出てる訳だし。だから俺だけ違うってのもな。でも本名は恥ずかしいからキョンで…」  
くあ!何言ってんだ俺は。これじゃやる気満々みたいじゃないか。  
「そ、そうね!キョンとハルヒでいきましょう!そっちのほうがあたしもうれしいし…」  
「…って、やっぱり撮るのか?」  
「あたりまえよ。あんたも実はやる気満々じゃない」  
あぁ…俺の馬鹿野郎。  
 
 
―――――  
 
 
「しかしあぶなかったですね。切り札がこんなことでなくなってしまうとこでした」  
うるさい。そのおかげで俺は将来消したい記憶No,1候補を映像として残されるんだぞ。  
「我々としては涼宮さんの機嫌も良くなって万々歳の結果にしてくれたあなたに感謝です。さすがですね」  
くそ。楽しみやがって。何が感謝だ。  
ふと、さっきから長門と朝比奈さんがハルヒになにやら抗議しているのを見るとハルヒと目が合った。  
「キョン!あんたアメリカ人の役なんだから英語喋れるようにしときなさいよ!」  
はぁ…いきなりの無理難題だ。  
「無理だ。だいたいアメリカである必要があるのか?俺もおまえもおもいっきり日本人だ。もう日本でいいじゃないか」  
「却下」  
即答かよ。何をこだわってんだ。  
「あたしは日本人留学生の役なの。ちなみにその娘はまだ留学してきたばっかりなの。慣れない土地で言葉もおぼつかなくて友達  
 もなかなかできずにいつも一人でシクシクと泣いてるのよ。そこであんたが出てきて、それはもうやさしく…でも時にはきびしく  
 してくれる訳。そんな二人が恋に落ちるのは時間の問題で…」  
「わかったわかった。もういい」  
たしかにベタな展開だな。しかし朝比奈さんが涙目になってる。  
「す、すじゅみやさん!そ、そんなお話ならなおの事わたしにやらしてください!わ、わた、わたひにぴったりですぅ」  
「ちょ、みくるちゃんなに泣いてるの?駄目よ、あなたはあくまでミクルなのよ。だから…」  
「そう。この役は私にこそぴったり」  
「いやいや違うわ!有希まで何言ってるの?あなたはユキなの!二人ともどこがぴったりというのよ〜」  
また、やいのやいのと三人娘が騒ぎ始めた。それより心配なことがある。  
「なあ、ハルヒ」  
「な、なに?…助かったわ」  
「俺はアメリカ人なんだよな。まさか金髪にしろとか言わないよな。…いや、よもや白人になれとか言わないよな。…思ってたり  
 しないよな?」  
「あたりまえでしょ!何馬鹿なこと言ってんのよ。アメリカは人種のサラダボールよ。でもそうね目の色くらい変えたいわね」  
「そうか、それならいいんだ」  
カラコンでなんとか出来るからな。しかし不安で古泉を見ると苦笑して肩を竦めたので長門を見ると睨まれた。  
いや、すまん。どうぞさっきの続きをしてくれ。  
「ちょ、キョン!裏切り者!」  
ハルヒに詰め寄る朝比奈さんと長門を見てると、  
「どーん!キョンくんミヨキチが来たよ!」  
妹が文字通りにドアを開け乱入してきた。おまえはもうちょっとおしとやかにしなさい。  
「え〜?わかった〜」  
と俺に飛び込んできた妹を抱きとめるとミヨキチが入ってきた。  
「おひさしぶりです。お兄さん」  
「ああ、久しぶり。また大人っぽくなったな」  
「へ?ぁ…その、ありがとうございます」  
 
やけに辺りが静かになった気がするが、それより妹に一言だな。  
「おまえはミヨキチを見習え。ほんとに同じ学年か?もう少し大人になりなさい」  
「わかってるよ〜」  
そう言いながら抱きついたまま俺の胸に顔をコスコスしている。駄目だこりゃ。  
「あなたがミヨキチちゃん?」  
「え?え?は、はい…」  
いつのまにか三人娘がミヨキチを囲んでいた。  
「えらい可愛い娘ね。とても小学生に見えないわ」  
「なんだかこのままだとわたしの立ち位置が危ないような気がするんですが」  
「……すでに私より大きい。不条理」  
「あ、あの…その……ぅぅ」  
ああ、ミヨキチが完全に萎縮してしまっている。助けなければ。  
「ハ、ハルヒ?」  
「何よ」  
「その…なんだ、そ、そう!映画で着る服がないんだ。外人がするような格好…って日本人でもあまり変わらないか。  
 とりあえず服がない。明日適当に見繕ってくれないか?俺じゃどうしても適当になってしまう」  
苦し紛れに言ってみたものの結構本気だ。最近服買ってなかったからな。  
「ふ〜ん?どうしようかな。あたし明日用事があるのよね」  
「そうか…」  
なにやらニヤケているが仕方ないな。  
「でも、あんたがどうし…」  
「あ、あの!お兄さん!よろしければ私がご一緒してもよろしいですか?」  
ミヨキチにしては大きな声で言ってきた。ふむ、ミヨキチはなかなかのオシャレ泥棒だからな。  
「それじゃお願いしようかな。でもいいのか?」  
「はい!そのかわりあの喫茶店にまた連れてってくださいね」  
おぉ、朝比奈さんに匹敵する笑顔だ。  
「ちょ、ちょっと!キョン!あたしが…」  
「ああ、急に頼んで悪かった。聞いての通りミヨキチにお願いするよ」  
「だから、あたしが…!」  
「ん?明日用事があるんだろ?」  
「う〜…」  
どうしたんだ?しかしハルヒの様子になんか嫌な予感がするんだが…  
 
「ツンデレさんはデレるタイミングを間違えると悲惨ですね」  
「……ツンデレの悲しい性」  
朝比奈さんと長門が同情の目で見ていたと思ったらやけに落ち着いた瞳で俺を見てきた。なんだろう?  
「キョン君明日お茶っ葉を買いに行こうと思っていたんです。わたしもご一緒してもよろしいですか?」  
「ええ、いいんですが…」  
ミヨキチが一瞬険しい顔したのが気にかかるがそれよりも、  
「う〜〜」  
ハルヒが涙を浮かべて見ているのが、この前の朝の様な…  
「私も欲しい本がある。一緒に行ってもいい?」  
「あ、ああ…」  
「う〜〜キョン〜」  
ああ、やばいやばい。  
「え〜みんなずるい〜わたしもいく〜」  
「わかったから、おまえは早く俺から降りろ」  
妹を降ろして恐る恐るハルヒを見ると、  
「う〜う〜〜キョン〜キョン〜」  
もう、故障一歩手前だった。  
古泉を見ると「今回はあなたの責任ですよ」といわんばかりの目で訴えてやがる。  
「え、え〜と…ハルヒ?」  
「う〜キョ、キョン…キョ…あ、あた…あたしも……ぅわ〜ん」  
おおぅ、故障した!  
「キョ…ヒッ…あた…も…あたしも〜ゥ…ヒゥ…ぁ〜ん」  
「わかったわかった!一緒に行こう、な?」  
「ぅわ〜キョン〜キョン〜キョン〜」  
妹を降ろしたばっかりなのにハルヒに飛び込まれて抱きつかれた。  
「用事はいいんだな?」  
「…ぅん、ぅん。キョン〜」  
顔を胸にコスコスと頷いた。やれやれ、妹と変わらんじゃないか。  
「なんか涼宮さんズルくないですか?」  
「同意する」  
「わたしもそうおもいます」  
「はるにゃんずるい〜」  
何がズルイんだ?それよりもハルヒをどうにかしてほしいんだが。涙と鼻水で服がえらいことになってる。  
「しかし、あなたは女性の扱いが上手いのか下手なのかわからないですね」  
「なんだそれは。それよりも明日おまえも来いよ。こうなったら道ずれだ」  
「おおせのままに」  
 
 
―――――  
 
 
まだ昼前なのにハルヒは泣きつかれて眠ってしまったので解散したのだが、今部屋には長門、古泉、朝比奈さんがいる。  
ちなみにハルヒは長門が人攫いのように肩に担いで帰した。  
さて、なぜまた三人が俺の部屋にいるのかというと、  
「この程度の変身で良かったですね」  
そうまた俺は変身したのだ。ハルヒの奴なにが目ぐらいはだ。  
「この程度っていうが変身には変わらないぞ」  
「まあ、そうですが日本人と言われれば納得できるレベルですから」  
今俺の容姿は簡単にいえば外人とのハーフ、もしくはクウォーターてなとこか。  
目の色は青そして二重、肌は健康的な白…とりあえず白人!って感じではないんだが、  
「で、どうする?また家訓か?」  
「いえ、そのままで大丈夫でしょう。さすがにその理由も厳しいでしょうから。それに映画を撮り終えない限り戻れそうにないですしね」  
「まあそれはそうだが、大丈夫か?ハルヒだけじゃなく学校の奴らはどうするんだ?」  
「そうですね、目はカラコンということで。肌のことは一時的なすぐ治る病気でどうでしょう」  
「一時的なすぐ治る病気?無理がないか?」  
「人間そうだと言われれば案外信じてしまうものですよ。それにこちらでそれらしい診断書も用意しましょう」  
「まあいいか。また手間かけるな」  
「いえいえ、なんども言うようにこれも我々の仕事ですから」  
それにしても今回戻る方法が映画を撮り終えるってことなんだろうが、気が進まんな。演技なんてできないぞ。  
「大丈夫。あなたが戻るにはヒロインの座はあきらめないといけないが、演技指導ならできる。まかせて」  
「ああそうだな。頼むよ長門。何もしないよりはマシだよな」  
ありがとな、と長門の頭を撫でる。うむ相変わらず癖になる撫で心地だ。  
「そう。ではさっそく私の家で泊り込みで…」  
 
「長門さん!キョン君の為と思って黙ってましたが、それはいただけません!それにわたしだって演技指導…はできませんが  
 キョン君の相手役はできるんです。だから二人っきりにはさせませんよ!」  
「私が相手役も兼ねるからあなたは必要ない」  
「必要です!…よくよく考えたら長門さんだって演技できないじゃないですかぁ!」  
「やる気の問題。私がやる気をだせばオスカーもアカデミーもラズベリーも総なめ」  
「なんですかそれ!嘘はよくないです!でもラズベリーは信じます!」  
「嘘ではない。でもラズベリーは嘘」  
「なんなんですか!とにかくわたしだってキョン君の為なら体を張ってでも…」  
「それこそ必要ない」  
最近よく見る朝比奈さんと長門のジャレあいが始まった。仲良いな。この間にちょっと便所に行ってこよう。  
 
 
 
「欧米か!」  
しまった、ついツッコンでしまった。なんだよこれアナコンダか?  
しかしハルヒよ…股間まで欧米型にしなくてもいいと思うぞ。  
 
 
―――――  
   
   
「キョンく〜ん、あっさだよ!おっきろ〜」  
「ぐほぉ!」  
せめてボディアタックにしてくれ。尻から降ってこられるとダメージが大きすぎる。  
「おっでかけ!おっでかけ!今日はキョン君とおっでかけ〜」  
「わかったから朝から大きな声で歌うな」  
「ふふぅ。キョン君おめめパッチリでかっこいいね〜キョン君外人さ〜ん」  
兄の言うことを聞かない奴だな。そんな妹にはおしおきだ。  
「きゃ〜キョン君くすぐったい〜」  
ひとしきり妹をくすぐって頭を覚醒させた。あぁそういえば俺昨日変身したんだな。  
…てこれじゃ俺が変態みたいだな、変身させられたんだ。うん、これ重要。  
「キョンく〜ん、もうおわり〜?もっと〜」  
「なに言ってんだ。早くメシ食って行くぞ」  
おしおきになんで続きを求めてんだ。  
そんな馬鹿のことをやりつつ朝食をとって着替えをしたりしてると、ギリギリの時間になってしまった。  
多少あたふたしつつ妹を自転車のケツに乗せていざ出発!と5メートルくらい走ったところでパンダな車に止められた。  
くそぅ、なんでこんなとこにいるんだよ。もっとやることあるだろ。未解決事件がいっぱいあるはずなのに。  
 
 
「なんでもうみんないるんだよ」  
結構余裕で着いたのに。  
「…待ってキョン。それよりもあたしがあんたにつっこみたいんだけど」  
まあ、そりゃそうだよな。なんせ待ち合わせ場所にパトカーで現れた上に俺の見た目が変わってるからな。  
「まずは、なんでパトカー?なんかしたの?」  
「ああ、家を出て妹と二ケツした瞬間止められてな。あれやこれやとおしかりをうけてるとき…」  
「わたしが間に合わないから乗せてっていったの〜」  
おそるべし幼女パワー。いや幼女ではないんだが。しかしこれでいいのか日本の警察。  
「そう。さすが妹ちゃんね。それよりもこっちの方が重要ね。あんたどうしたの?」  
おまえが望んだ結果だ…と言えれば楽なんだがそうもいかない。  
「おまえが眠ったあと、なんか急に肌が白くなってな。古泉の知り合いの病院に行ったらなんたらかんたらって病気らしい」  
「ちょっと!病気!?なんたらかんたらってなによ!大丈夫なの!?」  
「ああ病名は呪文みたいでよく覚えてない。ただ肌が白くなるだけで別に心配ないそうだ。すぐ元に戻るんだと」  
言ってから思うが、やっぱり強引すぎないか?古泉は余裕の笑みを浮かべてるが…  
 
「そ、そう。良かった…」  
信じてくれたか。しかし罪悪感がでるな。  
「でも…その目は?」  
「これか?これはカラコンだ。映画のためになれとこうと思ってな。異物感からか二重になっちまった」  
「……うん!安心したわ!でも考えてみると好都合ね。今のキョン外人みたいだしさっそく撮影しましょ!」  
いつものハルヒに戻ったか。ふぅ、おれも安心したよ。  
「あ…あの、今日は…その…」  
「ん?ミヨキチちゃんよね。何?そういえばなんでここに?」  
「おまえ昨日のこと覚えてないのか?」  
「覚えてるわよ。昨日はキョンの部屋で映画の打ち合わせをして、ミヨキチちゃんが来てそれから…えっと…なんだっけ。  
 とりあえずキョンがあたしに頼みごとをしたのよ。あれ?なんであたし寝たんだろう?」  
ずいぶんと都合のいい頭だな。  
「今日はミヨキチに俺の服を見立ててもらおうってなことになったんだよ。それで朝比奈さんも長門も買いたいものがあるから  
 いっしょにってな。でどうせならみんなでって話だ」  
「そうなの?ってちょっと!なんでミヨキチちゃんがあんたの服を見立てるのよ!あんた、あたしに頼んだじゃないのよ!」  
「いや、おまえに断られたんだが…まあいい。おまえも見立ててくれ」  
「お願いしますでしょ!」  
「はいはい。お願いしますよハルヒ様」  
「ふふん。わかればいいのよ」  
あぁ昨日の縋ってきたハルヒがなつかしい…  
 
 
―――――  
 
 
歩きながら女性陣は前のほうでミヨキチにいろいろ質問している。というより詰め寄ってるように見えるのは気のせいか。  
妹はキャッキャとその周りではしゃいでる。あぁ、あいつの将来が心配だ。  
「キョン。確かに男に戻ってくれとは言ったが、外人になってくれとは僕は言ってないよ」  
肩に手を置かれ声をかけられた。  
「おまえはいつも背後から現れるな。なんだ?なにを狙ってる」  
「そんなのキョンに決まってるじゃないか」  
佐々木がくつくつと笑いながら肩を竦めた。刺さないでくれよ?そんなのはもうたくさんだ。  
 
「そう言う意味じゃないんだけどね。鈍感もいきすぎると人間関係ややこしくなるよ?いやもうなってるか。  
 いいかい、キョン。君は…」  
まずい、説教モードになってる。『おい、古泉なんとかしてくれ。俺は佐々木の話を最後まで聞く習性がある。』と  
目で合図をすると古泉は頷いた。何気にすごいな。  
「そういえば、佐々木さん。お一人ですか?めずらしいですね」  
「…だから君は、え?ああ一人じゃ…」  
「裏SOS団こと佐々木団の参上なのです!」  
「それにしても笑うだろ?俺が目の色青くしておめめパッチリだ」  
「いや男前だよ。まあ確かにキョンらしくないな。僕はいつものキョンのほうがいいよ。今以上に悪い虫がつきそうだし」  
「なんだそりゃ」  
「た、橘京子ことキョコタンもいるよ!」  
「確かに今のあなたは女性から様づけで呼ばれそうな容姿してますからね。明日学校に行くといっぱい寄ってくると思いますよ」  
「だからなんだよそれ」  
「イ、イメージカラーはなんとなく黄色!」  
「―――――あなたのその―――瞳も……綺麗ね―――――」  
「また急に現れるな爆烈昆布娘」  
「たまに僕もびっくりするよ」  
「全然気付きませんでしたね」  
「……ひどいです。ひどいのです。…泣きますよ?いいのですか?泣きに泣きますよ?」  
仕方ない。いいかげんうるさいしな。  
「よう、橘。相変わらずそのツインテール似あってるな」  
「うぅ…へ?そんな…こんなタイミングでやさしくされると、私…私……キョンさ〜ん」  
いきなり俺に飛び掛ってきた橘を佐々木がラリアットで刈った。  
「ぐぇ…けほけほ。さ、佐々木さ〜ん」  
「キョン、悪い虫はこんなとこにいたようだ。ちょっと橘さんに話があるから僕はこれで失礼するよ」  
「あ、ああ」  
橘、健闘を祈る。佐々木の説教は長いぞ。  
「そ、そんな!キョンさ〜〜〜ん」  
橘は首に腕を巻きつけられたまま引きずられていった。さらば、橘。永遠なれ。  
「バカキョ〜ン!何してんの早くきなさ〜い!」  
おっと、我らの団長様が呼んでおられる。俺も刈られないよう急ぎますかね。  
 
 
―――――  
   
 
まず俺が買い物する時には寄ることはないだろう店―――セレクトショップっていうのか?―――  
でハルヒとミヨキチのマネキン状態になり、散々試着させられた後それぞれがチョイスした服を購入し、  
「どっちの服が気に入った?」と二人に詰問されあわあわとしてる内に昼食時になっていた。  
ふむ、ちょうどいいな。  
「古泉ちょっといいか?」  
「なんでしょう。昼食ならおいしい所がありますよ。もちろん僕の知り合いのお店で格安です」  
機関は手回しが良すぎないか?まあ、好都合だ。  
「それなら話が早い。そこでしばらくハルヒ達を頼めないか?」  
「…ほう。それはまたなぜ?」  
「いやな、昨日ミヨキチに喫茶店に連れてくと約束しただろ?あの店に大勢で行くのはどうもな」  
「そうですか。我々としてはあまり涼宮さん以外の女性と二人きりにはなって欲しくはないのですが、仕方ないですね。  
 他ならぬあなたの頼みですから。出来る限り不機嫌にならないよう尽くしましょう」  
「すまんな。頼むよ」  
そう言って古泉がハルヒ達を店に案内してる隙をついて、ミヨキチを連れていつかの喫茶店に来た。  
今の姿からか、はたまたミヨキチの成長ぶりからか前より抵抗なく店に入れた。  
「びっくりしました。お兄さんたら急に手を引いて走りだすんですもの」  
「いや悪かった。みんなに見つかりたくなかったからな」  
「…ぁぅ。ありがとうございます…」  
「どうした?俯いて。それにしても腹減ったな。ミヨキチ何食べる?」  
「…え?あ、はい。わたしはケーキセットを」  
それで足りるのか?と前のような過ちは犯さないぞ。一瞬危なかったが。  
「いらっしゃいませ」  
いいタイミングでウエイトレスが来てくれた。…あれ?このワカメのような髪は…  
「ふふ、今失礼なこと考えました?まあいいです。それよりもご注文は決まりましたか?」  
まさかの喜緑さんである。  
「え、ええ…。えっと…」  
「わたしコーラ!」  
そしてまさかの妹である。どっから出てきたんだ?  
「ずっとキョンくんの後ろにいたよ〜」  
何怪談みたいなことしてんだ。  
 
注文の品が届き俺のナポリタンを妹に強奪され、凝視してくる喜緑さんに耐え、なんとか落ち着いた。  
「すまんな、ミヨキチ。こんなのが憑いて来ちまって」  
「む〜こんなのじゃないよ〜」  
ミヨキチはナポリタンでべとべとにしている妹の口の周りを拭きながら微笑んでいた。  
「いいんですよ。この子は妹のように思ってるんですから」  
確かに端から見たら姉と妹だ。なかなか微笑ましい。  
「はは、それじゃこれからも良き姉でいてやってくれな」  
「は、はい!…将来ほんとの姉になる予定ですから…」  
「お?親御さん御懐妊したのか?」  
「あ、ぃ…ぃぇ…」  
ミヨキチが俯いたと同時に携帯が鳴った。古泉か…まあもったほうだろう。  
「すいません。手は尽くしたのですが限界です。そろそろ戻って来れないでしょうか」  
「そうか、すまん。すぐ戻る」  
「ありがとうございます。できれば急いで……バカキョ〜ン三秒以内に戻って来なさい!浮気者〜〜!」  
ハルヒのばかでかい声が店内に響き渡った。  
「耳がおかしくなるだろうが!そして誤解を招くようなこと言うな!」  
「いいから早く!…う〜」  
あ!やばい!  
「わかった!すぐ戻るから落ち着け!」  
 
自分の払いをしようとするミヨキチだったが、今回はうむを言わさず全額俺が払って店を出た。  
みんなのところに戻ると同時に  
「次はわたしの番ですね」と朝比奈さんに手を引っ張られ「違う。私」と逆の手を長門に引っ張られ、大岡裁きな時に  
「この節操なし〜!」とハルヒにドロップキックをくらった。なんの公開処刑だよ。  
そのあともいろいろぎゃあぎゃあ言われたが、結局三人別々の日に一日付き合うことで落ち着いた。大丈夫か?俺の貯金。  
 
 
―――――  
 
 
「で、なんでまた俺の部屋なんだ?」  
「映画のイメージに合うかしら。まああたしが選んだから間違いはないわね」  
買い物を終えてミヨキチを送ったあと、解散だと思ったらハルヒ達はそのまま俺の部屋まで上がりこんだ。  
しかし相変わらず人の話を聞かない奴だな。  
「キョン!さっき買った服着なさい!」  
「なんでだよ、散々試着しただろ」  
「いいから!リハよリハ!あんたの肌が戻る前に撮り終えなきゃいけないんだから!」  
いきなりか。まだ心の準備が…  
「リハだって言ってるでしょ。早く着替えなさい!」  
「わかったから早く部屋からでてけ」  
「なによ男のくせに。パンツぐらいどうってことないでしょ!もう脱がすわよ!」  
マジで脱がせにかかりやがった!馬鹿やめろ!おまえ指がトランクスにも…  
「うりゃー!………」  
空気が死んだ。俺のアナコンダ君が脱がされた余韻でふるふるしてる。  
「オゥ…ジャパニーズ・ウタマロ」  
って!おまえ何言ってんだ!どっちかというと今は外人だ!いや違う!ズボンを離せ馬鹿!  
「駄目です、駄目です!そんな…無理ですぅ…でも……キョン君のなら…」  
朝比奈さん!両手で顔を隠して指の間から見るとか漫画みたいなことしてないでハルヒをなんとかして下さい!  
「……ご立派!」  
長門!大きな声出せたんだな!じゃなくて助けてくれ!  
「キョン…なんか伯爵って感じね。高貴なオーラがあるわ。それに俺の辞書に不可能の文字はないって語りかけてくるようだわ」  
何言ってんだ!いい加減正気に戻れ!あとそれは皇帝だ!  
「言うわねキョン…確かに皇帝だわ。高貴な中にも凛々しさがにじみ出てるもの」  
くそっ!古泉は!?…爆笑してやがる!おまえそんな風に笑えたんだな!にしてもこいつなんて馬鹿力なんだ!ズボンが上がらん!  
「キョン!皇帝が踊ってるわ!楽しそうね!なにかあったのかしら?」  
おまえが抵抗してるからだよ!仕方ない、妹で鍛えたおしおきだ!  
 
「ちょ!キョン…そんな急に…ぁ…はぅ……」  
くすぐったにしては若干反応が違う気がするがやっと離してくれた。  
「ハルヒ。一応言っておくがこれは病気の…そう、薬の副作用だからな。普段はこんな化け物じみてないからな」  
って寝てやがる。なんだよいったい。  
「キョン君…」  
いつのまにか朝比奈さんが俺の前にいた。  
「…えーい!」  
「ちょーーーーーー!なにしてんですか!?」  
再び俺のズボンが下げられた。なにがどうなってやがる!  
「涼宮さんと同じことされるまでは離しませんから!」  
おおぅ。意味がわからない。しかし朝比奈さんなら余裕で…何!?つ、強い!  
「乙女の底力を侮ってはいけませ〜ん!」  
…こうなったら仕方ない。  
「きゃぅ〜そ、そんな…ぁう…キョンく〜ん」  
朝比奈さんまで寝てしまった。しかしなぜ笑わない。  
「………」  
「オーケーだ長門。お前もくすぐって欲しいでいいんだよな?そのかわりズボンを下げるのは勘弁してくれ」  
「了解した」  
「じゃあ、いくぞ」  
「………ん……ふぅ…ぅ………ぁ」  
長門もか。まあいいとりあえず危機は去ってくれたな。…晒しまくったけど。  
「いや〜大変でしたね」  
「うるさい。それよりこの三人を機関のほうで送ってやってくれ。俺はもう疲れた。ゆっくりさせてくれ」  
「了解しました」  
はぁ…マジで疲れた。  
「キョン〜もっと〜」  
はぁ…  
 
 
―――――  
 
 
それからの日々は朝学校に行き「キョン様〜」―――なんで日本人は外人に様をつけたがるかね―――と呼ばれ  
ハルヒに殴られたり、放課後は撮影をして、夜には長門と朝比奈さんによる演技の指導を受け、それがばれて  
ハルヒが故障して、結局夜も撮影になったりのなかなかの多忙な日々を送っていた。  
そしていよいよラストシーンである。  
このシーンはハルヒ演じる留学生の娘が日本に帰る日だ。つまり元ジョン=スミス、現キョンとの別れのシーンだな。  
この場面で俺はハルヒにキスをしなければいけなかったのだが、俺、朝比奈さん、長門による一時間以上に渡る説得により  
しぶしぶハグで許してくれた。  
しかしハグだけでも充分俺を追い詰めていた。設定ではキョン宅の近所らしいがここは日本丸出しの北高の中庭だ。  
ギャラリーがアホみたいに居やがる。よりによって昼休みに撮るか?罰ゲームもいいところだ。  
「さあ、キョン!始めるわよ!」  
…仕方ない。腹をくくるか。  
 
古泉のキューにより撮影がスタートした。  
俺の棒読みに対しハルヒは感情豊かに、それこそ留学生の娘が憑依したかのように演じていた。俺浮きまくり。  
羞恥心に台詞が飛びそうになるが、なんとか堪えてやっとのことでクライマックスまできた。さてここが正念場だ。  
 
   
   
「今までありがとう…あなたが居なかったら、あたしとてもやっていけなかった」  
「俺は何もしてないよ」  
「ううん…あなたはいつもあたしを助けてくれた。ふふ…自分では気付かないのかな?」  
「気付くもなにも特別何かした覚えはないよ」  
「そこがあなたのいいとこかもね。…ね!覚えてる?あたしがここに来たときのこと」  
「ああ、最初ずっと教室の隅で本を読んでたな。どこか寂しそうにしてたのをよく覚えてるよ」  
「そうね…あの時日本に帰りたくていつも泣きそうだったわ。…でもあなたが部活に誘ってくれてからは毎日がおもしろくて!  
 部長さんはすこし怖かったけどね」  
「いつも弄られてたもんな。でも楽しかったろ?」  
「うん!みんなで海に行ったりスキーに行ったり、ほんと楽しかったことがありすぎて全部思い出せないや…でももう終わりだね」  
「…そうだな」  
ここでハルヒが涙を流した。おいおい聞いてないぞ。それにしてもこいつ女優の才能もあったのか。  
…いかん。ボーとしてた。ここで俺が抱きついてハルヒが「あなたが好きよ」と言って「俺もだ。また会おうな」で終わりだ。  
恥ずかしさに耐えハルヒに抱きついた。するとギャラリー共から  
「うお〜」やら「キャ〜キョンさま〜」やら「キョンてめ〜」やら「キョン君!次は私にやっとくれよ!」やら…  
音声大丈夫か?まあいい最後だ。さっさと終わらせよう。  
「…やっぱりいや!あなたと離れたくない!仕方ないのはわかってる。帰らなくちゃいけないのもわかってる。でもいやなの!」  
げ!こいつアドリブ入れやがった!どうしよう、止めていいのかこれ?  
ちらっと撮影してる奴らを見ると止める雰囲気ではなかった。朝比奈さんに至っては号泣してる。長門もなにやら悲しげなオーラ  
を出している。ギャラリーどもはやけに静かだ。くそ!やるしかないのか。  
「わ、我侭を言うな。俺だっておまえと離れたくない。でも仕方ないだろ?おまえには帰る家があるんだ」  
「そうだけど…そうだけど!う〜…」  
危険な香りがする!な、なんとかしないと!  
「そ、そうだ!今度また会うとき結婚しよう!それならずっといっしょだ!」  
言うことに欠いてプロポーズかよ!すげーな、俺!  
「ほんと?絶対?」  
「あ、ああ」  
なんとかなった…か?  
「じゃあキスして」  
なってねぇ!!どうする、どうしよう、どうすれば!?するのか?しないといけないのか!?  
「…お願い。キョン……」  
うぉ!そんな顔されたら…  
「ダ、ダメ〜!」  
朝比奈さんが叫ぶと同時にハルヒにキスされた。  
「約束よ…。キョン」  
 
 
―――――  
 
 
「これはあたしが編集するから今日は解散!」  
放課後ハルヒは俺達を文芸部室から追い出して閉じこもった。  
てっきり俺がやらされると思っていたからなんか拍子抜けだな。  
まあいい。今回はいつもより疲れた。今日は家でゆっくりしていよう。  
   
   
次の日、ちゃんと元の俺の姿に戻っていた。やれやれ、一安心だ。  
「あんた、今回のは本当にもったいないわね。あのままだと自慢の息子だったのに」  
今は自慢の息子じゃないのかよ!  
おふくろに平気で傷つくことをいわれたが、「キョンくんはこの姿が一番だよ!」と妹が抱きついてきたので良しとしよう。  
妹よ、今度クリスタルパフェ食わしてやる。  
「キョンくん、あいしてる〜!」  
ふむ。キスして舌を入れてくるのはもういいだろう。しかし股間を弄るな。  
「あれ?皇帝じゃなくなってる」  
な!?こいつ覗いてたのか!?何考えてんだ!クリスタルパフェは無しだ!  
「や〜ん。キョンくんのいじわる〜」  
これからは妹の動向に気をつけなければいかんな。  
 
 
えっちらおっちらと早朝ハイキングをして教室に入るとハルヒが机に突っ伏していた。  
「よう。どうした?お疲れじゃないか」  
「徹夜で編集してたからね。おかげで完成したわよ」  
「な!?おまえ学校に泊まりこんでやってたのか?」  
「朝方一回帰ったけどね。それよりキョン大事な話があるわ」  
「なんだ?追加撮影とか言うなよ?この通り肌も戻ったんだ」  
「あら、本当ね。良かったじゃない。それより安心しなさい追加撮影じゃないわ」  
一応病気が治ったってことなのに、えらい淡白だな。  
「じゃあなんだ?」  
「あの映画、公開するのはやめましょう」  
それは願ったりなんだが…  
「なにかまずかったのか?」  
「まずいってもんじゃないわ。編集が終わって家で冷静に見たのよ。こんなのとても見せられないわ」  
「だから、なんでだ?」  
「恥ずかしいじゃない!あんたは恥ずかしくないの!?自分があんないちゃいちゃしてるとこ…見せられる訳ないじゃない!」  
俺は最初から恥ずかしいと言ってたのだが…まあいい結果オーライだ。  
しかしやっぱりこいつにも羞恥心はあったんだな。  
「あるわよ!…それよりこれ、コピーしたから。二人の愛のメモリーよ!一生大切にしなさい!」  
映画のなかのハルヒとキョンのな。しかし見るのが怖いな。  
「ふ〜ん。キョンと涼宮の愛のメモリーねぇ。俺には見せてくれよ」  
谷口がニヤニヤしながら近寄ってきた。て言うかクラス中の奴らが俺とハルヒを見ている。なぜだ?  
「あんなでかい声で恥ずかしいやらなんやら言ってたら嫌でも耳に入るっつーの」  
「キョン、僕にも見せてよ。キョンのラブラブっぷりなんかめったに見られないだろうし」  
国木田までなに言ってやがる。そんなこと言われたら余計見せたくないぞ。  
「キョン!絶対見せたら駄目だからね!」  
わかってるよ。これは封印されるべきものだ。  
「私も見たいのね。…そのDVDに濃縮されたキョン君が…」  
阪中…目が怖いぞ。なんと言われても見せんものは見せんのだ。  
 
「私も興味あるな」  
「だから!……」  
振り返った格好で俺は固まった。…なぜこいつがここにいる。  
「あ、あんた!カナダに行ったんじゃないの!?」  
「出戻って来ちゃった。またよろしくね、涼宮さん」  
ハルヒが朝倉に詰め寄ってわーわー言っている。なぜだ、どうなってやがる。  
「心配いらないですよ」  
「喜緑さん?なんでここに?それよりも長門は知ってるんですか?」  
「さっき気付いたと思いますよ…早いですね」  
いつの間にか横に長門がいた。  
「なぜ…再構成したの?」  
「だっておもしろそうじゃないですか」  
 
このワカメさん何言ってるんだ!おもしろそうで再構成だと!?  
「また失礼なこと考えましたね?リーチです。今度海藻類を連想したら問答無用で保健室に連れ込みますから」  
すいませんでした。しかし朝倉は…  
「先ほど言ったように心配ないですよ。あなたに危害加えることはないです。私が再構成しましたから急進派とは無関係です」  
「だからと言って…」  
「ひどいな。私がそんなに嫌い?私はキョン君に興味津々なのにな」  
「おわ!急に話しかけるな!正直怖いんだよ!」  
「怯えないでよ。もう刺したりしないわ。…むしろキョン君に刺されたいのに。ふふ、ちょっと下品だったかしら?」」  
色っぽい瞳で見つめながら俺の肩を指でぐりぐりしてきた。  
「バカキョン!何デレデレしてんのよ!」  
怯えてるのがわからんのか!それよりも長門、大丈夫なのか?  
「危害を加えることはないと思われるが、私が気に食わない」  
そ、そうか…  
「何有希とゴソゴソしてんのよ!」  
いかがわしく聞こえるだろうが!  
「これから楽しくなりそうね。よろしくね、キョン君!」  
「あ、ああ…」  
おまえは楽しいかもしれんが、俺が楽しくなるとは思えんぞ。  
「またデレデレして!あんたはあたしだけを見てなさい!」  
団長さんは団長さんで無茶をおっしゃる。  
 
俺は現実逃避するようにどこまでも青い空を見つめ呟く。  
こんな時俺が言えることは一つだけだ。  
 
 
やれやれ  
 
 
 
 
おわり  
 
 
 

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