………………  
 
…………  
 
……  
 
「ふう……」  
 
 精を出しきったキョンは深い息を吐きながら、椅子の背もたれに背を預けるように身を投げ出した。軽い虚脱感が体中に駆け回っている。しかしどこか充実したものを確かに感じていた。  
   
「はぁ〜……っく」  
 
 不意に下半身に痺れが疾る。  
 視線を下げてみると、  
   
「…………出したら終わりなの?」  
 
 少しばかり不満顔のハルヒが右手で持て余すようにペニスを弄っていた。  
 男は一回出せば強い満足感を得られるため、事が終わった後パートナーを蔑ろにしがちである。一生懸命奉仕した分その態度はないんじゃないか、という不満がハルヒの中にあるのだろう。  
 
「……悪い」  
 
 無神経だったな、とキョンは謝るように手をハルヒの頬へと差し出す。  
 ハルヒは少しまだ不満を残していたものの、素直にその差し出される手に顔を摺り寄せていった。  
   
「はむっ」  
「ぅあ……っ」  
 
 頬を撫でていた手にハルヒが唇を当てくわえ込む。チロチロと甘噛みするように指先を愛撫していく。  
 
「ハルヒ……?」  
   
 その行為の意味するところが分からなくてキョンはハルヒの表情を覗く。甘えているようにも思えるが、普段ハルヒはなかなかキョンには甘えてこないためキョンは本当にその意味が分からなかった。  
 とりあえず空いたもう一方の手で髪に手串を通すように流す。  
 
「……ぷぁっ。……ねえキョン」  
 
 指から口を離し、上目にキョンを覗くハルヒ。  
 その瞳には燻っている体の熱を持て余すような怪しい何かが宿っていた。  
 
「ハルヒ……」  
 
 求められるままに椅子から立ち上がり、ハルヒの手を引き立ち上がらせる。  
 その手に引かれるままハルヒは立ち上がり、温もりを移すようにキョンの胸へと顔を寄せる。  
 キョンは何も言わずに腕をハルヒの背中に回して強く抱きしめた。  
   
「ん、はぁ……っ」  
 
――”ふるふる……っ!”  
         
 ハルヒはその感触と暖かさに体を軽く痙攣させ、数度こわばった後ぐったりと力が抜けていった。  
   
「お、おいハルヒ……?」  
「は、はぁ……ん、ん……っ」  
 
 ハルヒは少し呼吸を乱しながら身をよじる。キョンはそのハルヒの仕草を見て、情事の際昂ぶったハルヒが見せる仕草と似たものを感じ、まさかと思い問いかける。  
 
「もしかしてハルヒ……」  
「はぁ……はぁ……」  
「……イった、のか?」  
「…………ばかっ」  
 
 図星だったのだろう、恥かしがるように顔を胸へと押し付ける。  
   
――”ずくん……!”  
   
 キョンは体中に痺れが走ったように感じた。  
 そしてその痺れはキョンのペニスにも伝わり、先ほど同じように、それ以上のいきりを見せていく。  
 ハルヒは下腹部に押し付けられたそれを敏感に感じ取ったのか、  
   
「…………」  
 
 上目遣いにキョンの顔を覗き込む。  
「ハルヒ……」  
 
 キョンは更に抱きしめる力を込めていく。  
   
「……いいか?」  
「………………」  
 
 ハルヒは返事をせずに、ただキョンの胸にしがみつく力を強めた。  
      
   
………………  
 
…………  
 
……  
 
「ん……! あ、あぁぁ――っ!」  
「くっ」  
        
 ハルヒを机へと横たえ、軽く陰部へと手を伸ばし準備が整っている事を確かめたキョンは、ペニスを数度擦るようにした後、一気に体内へと突き入れた。  
 
「うぁ……あ、あ……」  
 
――”びくっ……びくっ……”  
 
 それだけで軽く絶頂を迎えたのか、性器を盛んに収縮させながら、口を半開きに舌を虚空へとさまよわせる。  
 その舌に誘われるようにキョンは自分の唇をよせ、吸い付くように合わせた後舌を絡ませていく。ハルヒは絶頂の余韻を残しつつも夢中になってその行為を受け入れ、お返しとばかりに積極的に唇を擦り合わせる。  
          
「ん、ちゅ……あむっ……はぁ……」  
「ん、んん……」  
            
 お互いくぐもった声を出しながらも夢中になってキスを続けていく。  
 その間にハルヒから波が少し落ち着いたのを感じたキョンは、腰を軽く動かし始める。  
   
「あっあっ……」  
 
 揺さぶられるのと同時に、ハルヒは鼻にかかった声を上げ始める。  
   
「ハルヒ……気持ち、いいぞ……っ」  
「キョン……キョン……っ!」  
 
 一度精を吐いているため余裕のあるキョンは、快楽に身を任せているハルヒを見下ろすように腰の速度を上げる。突き入れるたびにくねらせる腰の動きに合わせる様に力強くハルヒの膣内を擦る。  
 
「す、ごい……っ! 気持ち、いいっ……キョン……キョン……っ!」  
 
 我を忘れたようにあえぎ声を上げるハルヒ。  
 無意識のうちにだろうが、あえぎ声にしきりに混じるのはキョンという単語。それは快楽を与えてくれている相手の名前だからよんでいるのか。それとも――  
 
「ハルヒ……っ、ハルヒ……っ」  
 
 腰を振るキョンも次第に余裕がなくなったように息を切らせ、相手の名前を呼びながら強くむさぼっていく。  
 その声に反応したのか、ハルヒが虚ろになっていた瞳を、今も自分を揺さぶっている相手へと合わせる。力なく横たえていた体を持ち上げ、投げ出されていた両手をキョンの背中へと回していく。そして汗で背に張り付いていた制服を強く握り締めた。  
 
――”ずちゅっ……ぐちゅ……っ”  
    
 先ほどよりを大きく響き渡る水音。  
 熱く粘つくハルヒの粘液が、掻きだされるように机へ零れ落ちる。気がつけば腰の辺りまで水たまりのような跡が出来ており、ハルヒのめくれ上がった制服のスカートを乱し汚していく。  
 
「あ……あぅ……あっ……!」  
 
 ハルヒは腰にまわした手を後頭部へと持って行き、顎をそらせるように胸を張る。  
 揺さぶられる体にあわせて、扇情的に円を描くように胸が上下に揺れている。キョンはその胸の頂きに唇を寄せて、  
   
――”かりっ……”    
      
「んはぁあぁぁっ――!」  
 
 歯を軽く立てるとハルヒはびくり、と体を痙攣させた。  
   
――”びくっ……びくっ……!”  
   
 何度目かになる絶頂。  
 挿入されたときとは違い、深く体に響き渡る甘い痺れ。ひくひくと痙攣する膣の感触にキョンは腰の動きを緩めていった。  
   
「……イった、か?」  
「は、はぁっ、はぁ…………っ!」  
    
 過呼吸のように喉を揺らし息も絶え絶えなハルヒは、その問いに答えることは出来ず、顔を首筋へと寄せ擦り付ける様に髪を振り乱す。  
 その首筋にかかる髪の感触を楽しみながら、キョンはゆっくりと右手をハルヒの背中へと回し擦る。強い絶頂の後にこうされると嬉しい、と伝え聞いた知識だ。   
 ハルヒは背中を撫でられていることを敏感に察したのか、  
   
「キョ、ン……っ」  
       
 潤む瞳でキョンの顔を見上げている。   
 キョンは唇を寄せ、軽くキスをした。  
   
「ん、あふ……」  
「ん、ちゅ……」  
 
 最初のような情熱的なキスではなく、唇を舐めるようなバードキス。  
 
「……ハルヒ」  
「…………」  
 
 続きを求められている事を察したのか、ハルヒは唇を離し小さく頷くと体の力を抜いた。  
 
―――”ずちゅ……ずちゅ……”   
            
 ゆっくりと腰の動きを再開する。  
 
「ん……あ、ぁあ……」  
 
 その感触に喉を反らし、揺らされるままに身を任せていく。    
   
――”ずちゅっ、ぐちゅっ、ずちゅっ……”   
                 
「ハルヒ……っ!」                  
                   
 先ほどまでの行為の間に絶頂が近づいていたのか、キョンは速度をどんどんと上げていく。  
   
「出、そうだ……!」         
「膣内、膣内に……っ!」  
 
 そういってハルヒは縋るように背中に回した両手の力を込める。  
   
「ハ、ハルヒ……」  
 
 避妊具をしていないことに気付いたのか、キョンは戸惑うように声を上げる。  
 突き上げる腰の動きもそれにあわせて、浅くなっていく。  
 そのことに気付いたハルヒは、  
   
「だ、め……! 膣内に……!」  
 
 首筋へ顔を摺り寄せ、強請るように体も寄せる。  
   
「ハルヒ……まずい……って!」  
「だめっ……だめっ……! 膣内に……膣内に出さなきゃ、許さ……ないっ!」  
 
 戸惑うように腰の動きが緩くなって来たキョン。  
 だが、ハルヒはそれを許さず、自ら腰を大胆に揺らし射精の後押しする。  
   
「く……出る……っ!」  
「あ、あぁぁぁ―――っ!」  
 
 キョンがペニスを抜こうとしたのを察したハルヒは、先回りして両足を腰に回し、逃がさないとばかりに強く締め付けた。  
   
――”ドクッ、ドク―――ッ!”  
 
 深く突き入れられたペニスから精が疾る。  
 子宮口に直接浴びせられる熱いキョンの精を感じ、ハルヒも絶頂を迎えた。  
   
「〜〜〜〜〜〜っ!!」  
 
――”ひくっ……ひくっ……!”  
 
 快楽に身を震わせたハルヒから力が抜けると同時に、腰を固定していた両足もほどけていく。  
 キョンはゆっくりと身を離し、ハルヒからペニスを抜き取っていく。  
   
――”ごぽ……っ”  
 
 抜き取ると同時に、膣口がひくひくと震え、膣内から大量の精液が吐き出される。  
 すぐに愛液と混じったそれは、太もも近くに伝い水溜りのように溜まった。  
   
「はぁ……はぁ……」  
 
 余韻に身を任せているハルヒ。  
 キョンはそれらの見ながらやられた、と思いながらも脱力するハルヒの髪に手を伸ばし撫でるように梳いた後、軽くキスを交わしハルヒに体を預けていった。  
 
 
………………  
 
…………  
 
……  
 
「馬鹿みたいに出したわね……これ」  
 
 体から熱が抜けて幾分か冷静になったハルヒは、スカートに常備されているティッシュを二、三枚とり、精液やら愛液やらが混じる股間を拭きながらそう言った。  
 
「あのな……」  
 
 呆れたような声を出すキョン。  
 開口一番にその言葉か、何て思いながら、自身も乱れた服装を整えていく。  
   
「大丈夫、なのか?」  
「……なにが?」  
 
 キョン言っていることの意味が分からないのだろう、怪訝そうな目でキョンを横目で見る。  
   
「だから……まあ、その」  
「……ああ」  
 
 言いにくそうにしているキョンから察したのか、軽く笑みを浮かべて、  
   
「もちろんよ」  
「そうか……」  
「ばっちり危険日だから」  
「って、おい!?」  
 
 その言葉に慌てるキョン。  
 しかしハルヒはそんなキョンを見つめながら、悪戯めいた瞳を見せる。  
   
「……冗談よ。まあ、出来ちゃったとしても責任は取ってもらうから、別に構わないんだけどね」  
 
 そういってハルヒは肩を竦めて笑った。  
 からかわれたことを知ったキョンは、眉を一瞬顰めるが、その後諦めたようにため息をついたのだった。  
   
 

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