「あたしだって、体をもてあますことくらいはあるわよ」  
 
 
あの時、俺は思った。こいつは何を急に口走っているのかと。  
 
少なくともそれは健全な少年・少女の集う昼間の教室で呟くような言葉ではない。  
 
話の流れからしても、そんなことまで奴に聞いていないのだ。そんなものは全くの蛇足でしかない。  
 
彼女、涼宮ハルヒは一体何を考えてそんな言葉を発したのか、答えは謎のまま、俺はその疑問を表に出さずにその場をやり過ごした。  
 
 
そして、「今」の俺はこう考えている。ああ、そういう伏線の張り方か、と。  
 
 
 
「ちょっと、聞いてるの?キョン!」  
 
一体ここはどこなのだろうか。少なくともいつもの見慣れた教室や自宅とは遠くかけ離れているということだけは確かだろう。  
 
耳を劈くようなハルヒの罵声は、ただでさえうるさいのに、周りの壁という壁に反響しつくして、前衛的なオーケストラを奏でている。まったく、こんな狭いところで音量を考えずに怒鳴るのは勘弁願いたいものだ。  
 
俺は軽い眩暈を覚えながら、何故こんなことになったのか、それについて記憶を探っていた。  
 
 
俺は間違いなく自分の家で、自分の部屋で、自分の布団で寝ていたはずだ。  
 
 
そして、俺は今なぜか薄暗く狭い洞窟の中にいる。更に、その唯一の出入り口は、落石で派手にふさがってしまっている訳だが。  
 
岩と岩のかすかな隙間から、空気が通り抜けていることで窒息死だけは免れているのが唯一つの救いだろう。  
 
しかし何より俺が頭を抱えたくなるのは、俺とこの場に居合わせるのが涼宮ハルヒ、彼女ただ一人だけということなのだ。  
 
「あぁ」  
 
俺は深いため息とともにその場に腰を下ろした。  
 
「ただの夢で済んでくれればどれだけ楽なことか」  
 
横目で隣をちらりと見れば、そこには機嫌の悪そうな創造主がいる。あっちも何故こんなことになったのかわからない、といった具合だろう。そのしかめっ面の中には不安と疑念が見え隠れしていた。  
 
 
「…………どうなってんのよ、コレ」  
 
 
「そんなこと俺に説明できるわけないだろう」  
 
 
いや、説明はできるんだが。でも、お前は信じないだろうし、そもそも話すことはいわゆる禁則事項ってやつだ。  
 
しかしまぁ、経験則というのは非常に心強いもので、何かしらもう動揺するのさえめんどくさくなってしまった自分がいる。この状況の指し示す事実、そしてその解決方法をおそらく俺は知っているのだ。  
 
――――だからといって、ホイホイと事務作業的にできることでもないんだがな。俺にだって一応葛藤とかは色々ある。  
 
 
とにかく、今はハルヒの奴にいらないストレスを与えないようにしてやろう。随意不随意に関わらず、自分で作り上げた世界のクセに、ハルヒはどうもこの状況に若干怯えているようなのだ。  
 
 
「どうすんのよ、こんなの………!」  
 
「まぁ、落ち着け。といっても無理かも知れんが」  
 
「当たり前でしょ!むしろあんたがそんなにのほほんとしてるのが怖いくらいよ!!」  
 
「けど、今俺たちにはこの状況を打開する術を持たないのもまた事実な訳だ」  
 
「………それは、そうだけど」  
 
 
力なく、ぺたんとその場に座り込んでしまったハルヒを見て、俺は少し安心した。こんなところでパニックでも起こされたら鼓膜が何枚あっても足りない。  
 
その後、俺たちはどちらも特に喋ることのないまま、時間だけが過ぎていった。  
 
 
どれくらい経った頃だろうか。不思議と腹も減らなければ、便意も催さない。この狭い閉鎖空間の中、最たる心配事はその二つだった俺としてはありがたい限りだ。きっとそういう世界の仕組みなのだろう。  
 
 
そんな時、ハルヒがおもむろに口を開いた。  
 
「ねぇ、なんかちょっと……寒くない?」  
 
言われてみれば、そうかもしれない。しかし、気にならないといえば気にならない程度のものだ。と言っても、それは生物学上雄である俺の立場からの意見であって、体感温度は基本的に女性の方が低い。  
 
「そうかも知れんな」  
 
俺は上着を脱いでハルヒの肩に掛けてやった。  
 
「ほれ、これで少しはマシになるだろ」  
 
 
「あ………」  
 
ハルヒは一瞬戸惑いながら口を開いた。  
 
「でもこんなことしたらあんたが冷えるでしょうが!」  
 
「俺は別にそうでもないから大丈夫だ。というよりむしろ、お前が寒そうにしているのを見ているとこっちまで寒くなる」  
 
「何よ、キョンのクセに偉そうに………」  
 
ハルヒが俺の上着に包まるようにして、顔を背けたその時だった。鼻で笑おうとした俺は、何とタイミングの悪いことに寒くもないのにくしゃみをしてしまったのだ。ああ、メンツ丸つぶれだ。  
 
「何よ、やっぱり寒いんじゃない」  
 
「違う!今のはだな……」  
 
「仕方ないわね……あ、あんたももっと、こっち来なさいよ」  
 
 
何を言っとるんだお前は。とりあえず、俺の上着の裾をピラピラさせて一緒に入れというサインをするのをやめてくれ。  
 
「俺なら本当になんともないから、ほっとけ!」  
 
「馬鹿キョン!団員の体調管理も団長の大事な仕事の一つなのよ!いいから黙ってこっち来なさい!!」  
 
その時俺は考えた。今不必要にハルヒに反抗するのは得策ではない。俺としても一刻も早くこの訳のわからん状況から脱却し、平凡な朝を迎えたいのだ。  
 
「わかった、わかったからあまり怒鳴るな。頭に響いてかなわん」  
 
俺は横に体をずらすように移動して、ハルヒと密着するように肩を並べた。上着を精一杯伸ばして、ようやく二人が収まるか収まらないかというところだ。  
 
「なぁ、ハルヒ。やっぱりコレは無理があるぞ。なにせもともと俺が一人で着る為の服なんだからな」  
 
「いいから黙ってなさいよ!…………このままでいいの」  
 
むう。  
 
俺は今、不覚にもこいつのセリフと表情にドキリとしてしまった。しかも体が密着しているもんだからやたらと恥ずかしいものがある。  
 
そんなこんなで目も合わせられないが、時々隣の顔を盗み見ると、向こうも似たような顔をしていた。  
 
 
そう、ここから先は言わずもがなだ。  
 
どちらともなく、手を重ねていて、気づいたら向かい合ってお互いの顔がどんどん近づいて、吸い寄せられるように唇と唇は触れ合って――――  
 
 
 
毎度毎度気恥ずかしいものがあるが、悪い気はしないのも確かだ。本来ならば、こういうことは世界を救うためではなくて青少年の甘酸っぱい青春の一ページを刻むためにあるべきだ、というのは譲らないけどな。  
 
俺がハルヒと唇を重ねてから、10秒ほどが経過した。世界はまだ収束する様相を見せはしない。  
 
 
 
20秒。  
 
 
 
3、30…………。  
 
 
 
待て。どうも何かがおかしい。  
 
お互いが自然に――――ハルヒに関しては若干名残惜しそうな顔をしていたようで複雑だったが――――唇を離して、顔を見合わせた。  
 
 
どうもあちらも少し驚いたというか、恥ずかしいというか、なんというかそんな顔をしている。そりゃそうだ。今までキスしてたんだからな。  
 
しかし、今問題なのは、何故この世界が収束に向かわないのか――――――それだけだ。  
 
 
「あ、あれ……いつもの夢じゃないん……だ………?」  
 
どうやらハルヒの奴も自覚はしていたらしい。記憶があるのはお互い様ってことか。  
 
「……………………」  
 
しかし、コレは困った。今俺は最後のの切り札を使った。だが状況は改善されない。もう俺には何の手立ても残されちゃいないってことだ。  
 
そして、それ以上に以前と違うのは、キスしてそのまま元の世界に逃げるという訳にはいかないこの抜き差しならない展開。  
 
なんと気まずいことか。俺はもはや何を喋ったらいいかもわからなかった。  
 
 
「………」  
 
 
「あ………」  
 
気づくとハルヒは自分の唇に指を当てて、どこか遠くを見ているようだった。  
 
 
「どうかしたか?」  
 
我ながら訳のわからないことを言ってしまった。キスしておいてどうかしたか、とはむしろ俺の頭の方がどうかしてしまったのではないだろうか。  
 
 
ハルヒは紅潮した頬を更に赤く染めながら言った。  
 
「え?……その……味、こんななんだと思って……」  
 
ええい、ハルヒよ。こんな時に何をクソ真面目に答えとるんだ。混乱してゆく状況と俺の脳内を他所に、ハルヒの暴走はどんどん加速しているようだ。  
 
しかし。俺は考え直した。  
 
こういう時だからこそなのかもしれない。ハルヒはハルヒで色々あるのだろう。きっと、今が普段の自分から脱却するきっかけと考えているに違いないのだ。  
 
そう思えばこそ、俺は余計とクソ真面目に状況を捉えざるを得ない。ここは、ハルヒの作った世界の中で、いわば彼女の本心の塊のようなところだ。  
 
そんなところで、ハルヒは俺にこうも積極的にアプローチしてきている。それが何を意味するかは、いちいち言うべきところでもないだろう。  
 
はっきり言おう。俺だって男だ。そんなことを言われて平気ではいられるはずもない。しかし、………  
 
 
と、長々と処理落ちした脳を働かせている間に、気づけば俺はハルヒにもう一度唇を奪われていた。  
 
 
 
「ん……んんっ………」  
 
先程とは違い、やや乱暴に舌を絡めながらハルヒは俺に擦り寄ってきた。  
 
 
明らかに俺の胸の鼓動は限界速度を超えている気がする。そして俺は自分でも知らない間にハルヒを抱きしめて壁に押し付けていた。  
 
何か今まで溜まっていた抑圧のようなものがお互いに堰を切ってあふれ出したようだった。お互いに貪欲に唇を貪りあって非常に長い時間が過ぎた。  
 
俺の股間では既に息子がいきりたっている。きっとハルヒにもバレているはずだ。  
 
 
一向に収束しない世界。境界線の上に立つ一組の男女。邪魔者は何もない。  
 
 
「……!?」  
 
 
状況に流されたとでも言おうか、無意識の内に目の前に横たわる華奢な体を組み敷こうとしていたことに気づき、俺は一度ハルヒから手を離した。  
 
 
なぁ、ハルヒよ。これがお前の望んだ世界なのか?もしここで、俺たちが一線を越えてしまって、それで世界は救われるのか?  
 
 
おそらくそれだけではダメなはずだ。きっとそうだ。  
 
 
俺がここで自分の欲望に任せてこいつを抱いてしまえば、今回はそれで事が収まるかもしれない。けれど、そうすることによって物語は悪い方向へ、おそらく次への道筋すら断たれてしまうことになるだろう。  
 
一体俺は何を言いたいのか?それはつまり、物事には順序があると言うことだ。  
 
「ちょっと……キョン……?」  
 
状況のつかめていないハルヒの肩に手を置いて、  
 
「いいかハルヒ、良く聞け」  
 
俺は少し間を置いてから言った。自分への決心に少し時間がかかった。  
 
「ポニーテール萌えだとか、そういうことじゃなくてだな、その、単純に俺は…………」  
 
 
ふぅ。  
 
自分でもとんでもないことを口走ってしまった気がする。だが後悔はしていない。形式的というか、事後承諾的にはなってしまったが、こういうのは大事なんだろう。  
 
 
俺があの恥ずかしい単語群を捲くし立てた後、この洞窟の中にしばし静寂が訪れた。そして、ハルヒは全く俺に目を合わせようとしない。なんともつらい数分間があったものだ。  
 
そう思って俺も目をそらしたその時だった。  
 
ハルヒはゆっくりと俺の方へにじり寄って来た。何も喋ることなく、本当に、なんだろうか、人が変わってしまったかのように大人しい印象を受けた。  
 
ハルヒはそのまま両手を俺の胸の辺りに添えるように懐に入ってきてずっと下を向いていた。  
 
「キョンのくせに………」  
 
こいつはこの期に及んでまだ憎まれ口を叩こうってのか?いや、それは違うはずだ。いくら俺が鈍いといわれようがそれくらいはわかる。  
 
「俺のくせに、なんだ?」  
 
ハルヒは俺の服をギュッと力をこめて握り締めて顔を上げた。  
 
「…………そんなのわかるわけないでしょ………勝手にあたしの頭の中ぐちゃぐちゃにしといて………」  
 
 
「でも、」  
 
 
上目遣いのハルヒが一瞬俺の眼に映って、その後すぐにお互い目を瞑った。  
 
 
「今回は許してあげる」  
 
 
 
「ん……んっ……ちゅ………んむ…」  
 
やさしくお互いを確かめ合うようにキスをしながら、俺は右手でハルヒの耳やら頭やら首筋やらをそっと撫でてやる。  
 
その度にかすかな嬌声をあげるハルヒをいとおしく思いながら、お互いの唾液を混ぜ合わせるように口の中を愛撫した。  
 
 
「やぁ………っっ!キョン……くすぐったいじゃ……な……んんっ……ふぁ」  
 
 
反応を確かめながら、ゆっくりと服の中に手を忍ばせて二つのふくらみを揉みしだいていく。一般的なことを考えれば、同年代の中では中々いいサイズだ。  
 
ハルヒはというと、完全になすがままという形で目を瞑って体を俺に預けている。しかし一向に唇だけは離そうとしない。  
 
「ぷぁ…ふむぅ……ん……ちゅぱ……ん……」  
 
少々手間取りながらもブラを下にずりおろし、俺はハルヒの双丘を直接指でなぞっていく。  
 
その瞬間、驚いたのか、はたまた何かを期待したのか、その両方なのか定かではないがハルヒの体がビクッと反応した。そして、俺の指がその尖端に辿り着いた時、ハルヒの反応は顕著なものとなった。  
 
「や………あっ、あっ……そこ……触っちゃ………はぁんっ……あ、あァァっ!」  
 
先程よりも息を荒くして、舌を突き出すようにハルヒは震えていた。予想外だがどうもこいつはお気に入りのようだ。  
 
その思わぬ快感に酔いしれるようなハルヒの表情が俺の中のSっ気に火をつけた。少しいじめてみたい気がする。  
 
「気持ちいいのか、コレ」  
 
俺は人差し指の腹で擦るように二つの突起を責めていく。乳首はもう完全に固くなって天を仰ぐようにそそり立っていた。  
 
「あぁぁっ!!ちが……そうじゃ……はひィィ!」  
 
予想通りの答えが返ってきたので、ハルヒが喋り終わる前に先程よりも強く乳頭をつねってやる。  
 
 
「あはァ……ダメぇ………コレ……らめぇ……」  
 
 
「なんだ、違うのか?それはすまなかったな。もうやめておこう」  
 
しっかりと反応楽しんでから、不意に手を離してやる。ああ、意外と俺ってこういうの好きかも。  
 
 
 
「え………?」  
 
 
「悪かったな、嫌がってんのに」  
 
 
「いや、そ、その……はぁ……はぁ」  
 
予想外といった様子でハルヒは息を荒げたままモジモジとしていたが、やがて完全に折れてしまった。  
 
「い、いいから」  
 
ハルヒはボソリと呟く。  
 
「え?何だって?」  
 
俺はわざとにそう聞き返した。どうして欲しいかなんてわかっている。ただ、あいつの口からそれを聞きたいだけだったりする。  
 
「その、しても………いいから」  
 
「何をだ?」  
 
「馬鹿キョン!いい加減にしなさいよ!!」  
 
ハルヒもついにキレた。しかし、ここで下がってはいつもと同じなので俺は黙って様子をうかがうことにする。すると、ようやく観念したのかハルヒは泣き出しそうなほどに顔をくしゃくしゃにして俺の耳元で囁いた。  
 
「……お願いだから……その………乳首……いじるのやめないで………」  
 
「よくできました」  
 
俺はそうハルヒの耳に囁き返してやると、ハルヒの服をたくし上げて、突起をこねるように愛撫していった。  
 
「あっ、あっ、それ…………ひゃう……んはァ……あぁぁぁっ、やっ、あァっ……………」  
 
ハルヒは蕩けた表情でどこか遠くの方を見つめるように情けない声を出した。  
 
「随分敏感なんだな………普段から自分でも触ってるのか?」  
 
一言一言、言葉で責めてやるたびにまた一段と感度が上がっている気がする。ハルヒの新しい一面を垣間見た気がした。  
 
「やっ………その……それは……言わ…な…いで………はぅぅ……んんっ!」  
 
言わないで、ということはしてるんだな、などと一人で考えながら俺は逸る気持ちを抑えて言葉責めを続けた。  
 
「気持ちいいか……ほら?」  
 
痙攣するように小刻みに震えながら、ハルヒはあられもない声で答える。  
 
「はァん、あぁっ……あっ、あっ、だ、え……これ……い…いひィ……よぉ………」  
 
口の端からは既に溢れた唾液がだらしなく垂れている。まさかここまでとは思っていなかった。俺はこんな姿を見せてくれるハルヒのことをいとおしく思った。  
 
 
また、やさしく口付けしてやると、もう完全に雌としての涼宮ハルヒは出来上がっていた。俺は上半身の愛撫を一旦終え、太ももからゆっくりとスカートの中に指を這わせていく。  
 
「……はぁ………はぁ………」  
 
表面的には恥ずかしがるそぶりを見せながらも、彼女のその瞳の奥には完全にその先を期待する妖艶な光が揺らいでいた。  
 
ハルヒは自分から自然に股を開くように、俺の手を自分の陰部へと誘った。  
 
 

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