SOS団の部室への扉をあけると、そこには至福を与えてくれるメイドさんの姿が、何故か今日に限ってなかった。  
 機械の操作が得意でない朝比奈さんが、ノートパソコンを引っ張り出して、なにやら打ち込んでいた。  
 朝比奈さん、何やってるんですか?  
「あ、キョン君。これはね、うーんと、書き物です」  
 そうなんですか。朝比奈さんはどちらかというと、手書きの方が得意なんだと思ってましたけど。  
「そうですね。でも、こうやって書かないとあまり意味のないことなんです」  
 ちらと覗き込んでみると、そこにあったのは某巨大掲示板っぽいページだった。  
 なるほど、書き込みをしようとしていたわけですね。  
「そうなの。なんていうか、ちょっと気に食わないことがあって」  
 朝比奈さんが気に食わないとは、ずいぶんなことが起こっているものだ。  
「古泉君がキョン君に対して、機関にとって都合のいい時間移動についての考えを教えている感じでしょうか。それって、あまり私にとって都合のいい話ではないんですよね。  
 だから、私の教わったことと経験したことから来る考えをちょっと書いてあげたら見事に食いついてきて。釣堀にでも来た気分です。でも、私としては遊びでこんなことをしているわけではないんですよ。  
 だから、ちゃんといつも通り、批判っぽく聞こえるかもしれない批評兼感想を書き込んだんです」  
 話し終えた朝比奈さんは、俺を部室の外に追い出して、いつものメイド服に着替え、いつも通りお茶を入れてくれた。  
 まあ、朝比奈さんのああいうことに驚かないのも、普段ハルヒに振り回されているからだと思うと……やれやれとしか言えなくなってくるね。  
 

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