その後、森さんは朝比奈さんと長門にもきっちり口移しワインとディープキスのセットを  
サービスしていた。テーブルの上に突っ伏していた朝比奈さんは、寝ていたわけではなかった  
らしく、俺がハルヒに無理矢理ワインを飲まされたあたりから、見ていたらしい。  
 朝比奈さんは迫ってくる森さんを見て、  
「ひっ!」  
 と言って逃げようとしたらしいが、あまりの光景に腰が砕けていて、結局さらに腰砕けに  
なってしまった。森さんが朝比奈さんから離れた後、残された朝比奈さんは焦点の合ってない  
とろんとした表情で、虚空をただ見つめていた。  
 長門? 長門は騒ぎも何のそのでひたすら飲む食うに励んでいた。森さんが顔を寄せてきても  
何がしたいのかよくわからない感じで怜悧な視線を送り、事が終わっても、何のことだったのか  
よくわかっていない風であった。俺に視線を送ってきても困るぜ、長門。俺だって説明してほしい  
ぐらいなんだからよ。  
 古泉の野郎についてはきっちり逃げていやがったことだけを述べておこう。  
 ちなみに森さんが長門にディープキスをし終えたあたりで、俺の酔いは限界に達し、それ以降の記憶は  
夢の出来事であるに違いないと確信している。ハルヒが森さんの真似をして俺にワイン口移しをしたり  
朝比奈さんも俺にワイン口移しをしたり、まして長門が俺に口移しをするわけがないしな。森さんは  
森さんで突然ストリップを始め、脱いだ森さんのメイド服を朝比奈さんが下着姿になってから着直して  
胸の部分がぱっつんぱっつんになっていたり、その胸の部分に俺の頭が押し込められて窒息しそうに  
なったり、長門がアルコール自動分解機能を解除してほろ酔い姿を見せてくれたのも当然夢だ。  
俺の服を全員がひん剥いて、あれこれいたずらしてきたり、逆に俺が理性を飛ばしたふりをしてハルヒを  
剥いて、朝比奈さんや長門とともに日ごろの怨み辛みを散々体に教え込んだのも夢だ。最終的には  
俺もハルヒも朝比奈さんも長門も森さんも全裸になっていた気もするが、それもすべて夢だ。  
 
 なんせ、次の日起きたら、誰も何も覚えていなかったからな。森さんはかなり謝っていたが。  
 古泉が苦笑混じりになにか言ってたような気がするが、なんせ記憶にはないし、聞かなかったことにして  
記憶することも拒否した。古泉得意の冗談だったということにしておこう。  
 それどころではないことが翌日にあったからな。  
 

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