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埋めネタ代わりのフラグクラッシュ
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1.
「ふう、やっぱり朝比奈さんのお茶は最高ですね」
「うふふ、ありがとうございます、キョンくん」
「いやー、もう一生俺のためにお茶を入れて欲しいくらいですよ」
「え、あ、あの、キョンくんが………そう言うなら、うん、あたしでよければ美味しいお茶を入れ続けますよー」
「ええ、ありがとうございます。………それはそれとして、ハルヒのやつ遅いですねー」
「人の決意をあっさりスルーしたうえに他の女の話を始めた!」
「え、どうしたんですか、朝比奈さん?」
「うわ、さらにひどい事にそれに気づいてないですよ、この子!」
「??? まあ、とにかくちょっとハルヒを探してきますね」
「あ、ちょ、キョンくんまっ………、いっちゃった。まあ、そうですよねー。わたしはこういう感じですよねー。………でも、一つだけ言わせてください」
「神様の、バカー!」
2.
「しかし、ハルヒのやつは一体どこへ行きやがったんだ」
くいくい
「ん、おお、長門か。どうした?」
「………」
「??? 何だ、その無表情娘が意を決して好きな人に告白しますって感じの無表情は?」
こくこくこく
「いや、頷かれても、何の事だか分からないし」
「………わたしは「あー、キョン! こんなところにいたのね!」
「うわ、ハルヒ! こら、やめろ、袖を引っ張るな服が伸びるだろ」
「見せたいものがあるの。いいから黙ってついてきなさい!」
「わかった、わかった。ったく、………ああ、長門、悪いな、話はまた今度って事で」
「………そう」
(喜緑江美里、接続している?)
(あら、長門さん。どうしたんですか?)
(………いくら流離いのガンマンといえども、休息のための止まり木は必要)
(あー、グチを聞いて欲しいんですね。分かりました、すぐに向かいます)
(………ありがとう)
3.
「で、ハルヒよ。見せたいものって何だ? ここにはこの無駄にでかい木しかないような気がするんだが」
「だから、これよ、この木! 何でもこの木の下でキスをしたカップルは一生幸せに過ごせるという伝説の木らしいわよ。これって不思議だと思わない!」
「そうだな、俺の記憶が確かなら昨日までこの場所にこんなでかい木なんぞ無かったって事が、俺にとっては一番の不思議だがな」
「そんな事はどーでもいーの! で、さ、………その、………するわよ」
「え、何だって?」
「だから、………するわよ」
「???」
「べ、別にしたいって訳じゃないけど、身近にある不思議に手を出さないのもSOS団団長としてどうかって思うでしょ! それで、そーゆー事する相手ってあんたぐらいしか思いつかないし………って、ちがっ、今のは違うくて、えっと」
「ハルヒ?」
「でも、だけどキョンがイヤって訳じゃないし、でも勘違いとかして欲しくない事もないわけで、あー、もうどうすればいいのよ!」
「とりあえず落ち着け。で、俺は一体どうすりゃいいんだ」
「………ちゅー」
「………は?」
「ちゅー、しろ」
「あのな、ハルヒ」
「だ、だってしょうがないじゃない! 不思議がここにあって、あたしはSOS団の団長なんだから。だから雑用のあんたは黙って団長の言う事に従ってればいいの!」
「だから落ち着けって。大体、お前は大事な事を見落としているぞ」
「何よ?」
「この木って、下でキスしたカップルを幸せにする木って事だよな?」
「そうよ、それがどうかしたの?」
「いや、だからな、俺達はカップルじゃないだろ」
「………」
「あれ、どうしたんだ、急に俯いて体をブルブル震えさせたりなんかして?」
「………う」
「う?」
「うがー!」ゴスッ
「ぐはっ!」
「キョンの、バカー!」
4.
「まあ、そんな感じの何でもない一日だったはずなんだが、………どうして俺達は閉鎖空間で神人に襲われているんだろうな」
「ははは、凄く分かりやすい説明ですね。ありがとうございます、お礼といってはなんですが、今回思いっきりとばっちりを食らっている僕を入れまして四人分、四発ほどわりと本気で殴らせてもらえませんか?」
「何かよく分からんが断る。まあとにかく、俺はあの創造主気取りの馬鹿のところに行かなきゃならんので、後ろで破壊行動に明け暮れているでかいやつは任せた」
「まあ、いつもの事ですし、いいですけどね。ところで、涼宮さんの居場所は分かるんですか?」
「何となくなら、な」
「行って、どうするんですか?」
「………分からん」
「………」
「でも、俺が行くしかないんだろうな」
「ふう、そういう事は間違えないんですね、………ギリギリですが」
「悪いな、あと、任せた」
「任されました。………っと、もう行きましたか、………あの速さが全ての答えであるような気がするのですが、まあいいです。僕は僕の仕事をする事にしましょう」
「願わくば、明日も良い日でありますように」
5.
「あー、やっぱりこの木の下にいたんだな」
「何よ、いまさら何しに来たってのよ?」
「何しに来たんだろうな?」
「あんた馬鹿でしょ。それくらい考えてから行動しなさいよね」
「んー、そうだな。じゃ、ちゅーでもするか」
「………あたし達、カップルじゃないんでしょ」
「はあ、やれやれ」
「何よ、大体『やれやれ』なんてのはあたしのセリフよ」
「あのな、ハルヒ。お前はSOS団団長だろう」
「そうよ、それがどうかしたの」
「だったら、伝説くらい自分で作ってみせろよな」
ちゅっ
「………え、あれ、今の」
「さてと、帰るか」
「あ、うん。………じゃなくて、ちょっと、キョン!」
「ほら、一緒に行こうぜ」
「あ、うん。………じゃなくて、あー、もう!」
「うおっ、こら待てやめろ、だから袖を引っ張るなって。服が伸びるだろうが」
「うっさい! あんたは黙ってろ!」
「あんたは黙って、一生あたしについて来ればいーのよ!」
「普通逆だろう、まあ、今更だけどな。………やれやれ」