厄介事っての突然やってくるだと知ったのは、奇妙奇天烈を体言したような団に入ってからのことだ。  
入ったというよりは巻き込まれたのか?まぁ、でもSOS団設立のきっかけを作ったのはどうやら  
俺のようだしそんな些細なことはもうこの際気にしないさ。  
 さて、前置きはここまでにしておこうか。勘のいい読者なら分かると思うが、今俺は現在進行形で  
厄介事に巻きこれてている。そしてこの厄介事を持ち込んでくれたのは誰であろうSOS団団長涼宮  
ハルヒその人である。……いや今回の騒動を持ち込んだのはむしろ俺か?だが元を辿っていくと  
原因はあいつで間違いないだろう。  
今現在俺のの置かれている状況を説明すると長くなるが聞いてくれ。  
 
 
六月に入り、季節ももうすぐ梅雨になる。しかしSOS団は雨が降ろうが雪が降ろうが雷が降ろうが  
年中無休で活動するらしい。絶対的権力を持つ団長様がそう言ったのだからきっとそうなのだろう。  
そんなわけで今日も放課後は奇怪な一団に支配された哀れな文芸部部室及びSOS団アジトで非生産的な  
活動をしていた訳である。部室内には、メイド服を着て温度計と睨めっこしながらお茶を沸かしている  
学園内の天使であり、時を翔る少女の朝比奈さんと、部室の隅っこで電話帳ほどの厚さをした  
ハードカバーを読んでいる文芸部部長兼宇宙人製イントルーダーの長門、そして今俺と将棋の真っ最中  
のニコヤカハンサム超能力者の古泉がいる。ハルヒなら個人面談で今頃岡部教諭に、人生設計に  
ついて懇々と説得されているころであろう。あいつみたいなのを生徒に持った岡部にも同情するね、  
まったく。四月の頭にあった佐々木とその他諸々の懸念事項も何とか片付き、いつもの緩々な放課後  
を過ごしていた。平和ってことは良いことだ。  
しかしこの緩々な空気を嫌うのがハルヒなので、そろそろなにか俺たちを疲れさせるようなイベント  
を引っ張り込んで来るんじゃないかと予想する。またどっかのスポーツ大会のチラシでも持ってくるんじゃないか?  
「良いじゃないですか、気の合う仲間同士で一緒に汗を流して何かをするってことは。」  
格好だけは一丁前の手つきで盤面に駒を置きながらあの人畜無害な笑顔で古泉が俺に話しかけてきた。  
スポーツ大会ぐらいならまだ笑ってられるがいつぞやの映画撮影のときのようにあいつの気まぐれで  
世界が右往左往するような事態はもうごめんだぞ?  
「まぁ、そうなったときは僕たちが全力をもってサポートさせて貰いますよ、できる範囲でね。」  
そんなサポートが受けられるような状況にはなってほしくないね。  
 
そしてこの数十分後にまさしくそんな状況になってしまうとは思ってもいなかった。  
 
 
朝比奈さんの淹れてくれた極上の甘露を頂きつつ、古泉の駒を蹂躙していた時、ふと長門のほうを  
向くと意外にも、本から目を上げ部室のある一点に視界を注目している。  
どうした長門?そこには掃除用具入れしかないぞ、そう思って掃除用具入れに目を向けたとき――  
   
「きゃっ!」  
 
俺が掃除用具入れを視界に入れたのとほぼ同時にガタンと何かが落ちたような音と共に小さな  
悲鳴がそこから聞こえてきた。  
あー、何だ、今のは?今の悲鳴は朝比奈さんの物ではなく、もちろん俺や古泉の物でもなく  
ましてや長門の物でもない。ハルヒはこの場にはいないし、いたとしてもこんな可愛い悲鳴はださんだろう。  
ということは俺たち以外の第三者のものであることは間違いない。  
少し驚いた顔の古泉から目を離し、椅子を立ち掃除用具入れに向かう。  
前にもこんなことがあったなと頭の隅で感じつつ扉に手を掛け開くと――――  
 
「あ…、その、こんにちは……。」  
北高のセーラーを着た少女がいた。  
「……何者ですか?あなた」  
俺の問いに少し困惑した表情をするその少女  
 
……ああ、また俺は変なことに巻き込まれたようだ。  
 
 俺と古泉が部室に来たとき朝比奈さんは掃き掃除をしていたし、その箒をしまう所を  
俺はしっかり見ていたし、そのときには中には薄汚れた箒やちりとり、バケツしかなかったはずだ。  
それからはこの部室にはだれも出入りしていない。じゃあこの少女はいったいどこから来たんだ?  
今年の二月中旬にも似たようなことがあったな、あの時は一週間後の朝比奈さんだったが。  
じゃ、もしかしてこの少女も……。  
そいつは掃除用具入れから出てくると、初めて来た場所を見る目で部室を見回し、その次に  
長門を除いて唖然と困惑と驚きの表情の入り混じった団員を長門、朝比奈さん、古泉、そして  
俺の顔をまじまじと見つめてきた。  
そしてたっぷりと眺めた後、口を開いた。  
「あの、いきなりで驚くと思いますがが、その、今は何年何月でしょうか?」  
ああやっぱり、こんな質問をするってことはあれなのか。  
俺と同じことを感じ取ったのか古泉が西暦と年月日を告げると、その少女は  
「ウソ…」とか「ホントに来れたんだ…」とかうわ言の様に呟いている。  
ここで俺がもう一度聞いてみる。  
「あー、うすうす予想はつくんですが、あなたは一体何者ですか?」  
するとその少女は意を決したような顔をして、  
「私の名前は……ハルカ、その、驚くでしょうが私は二十一年後の未来から来ました。」  
 
疑惑が確信に変わった瞬間だろうね。やっぱり未来人でしたか。こんな状況に慣れきった自分が恐ろしい。  
 
困った状況に陥ったらまずはこいつに聞くのが一番だろう  
「……長門、本当にハルカさんとやらは未来人なのか?」  
「そう、しかし彼女は時空移動能力は保有していない。あなたと同じただの人間。」  
ってことは何か、朝比奈さんみたいな人に協力してもらってこの時代に来たって事か。  
「そう。」  
長門がそういうならきっと間違いないんだろう。  
そこで同じ未来人にも聞いてみよう。  
「朝比奈さん、何か未来から指令とかってきてますか?」  
「ふぇぇ、何も来てないですぅう」  
ということは朝比奈さんとは無関係なのか?  
「…古泉だめ元で聞くがなんか知ってるか?」  
「そういうことはハルカさん本人に聞いてみるのが一番ではないでしょうか?」  
やっぱりというべきか、流石の『機関』も未来人のことは専門外か。  
「あー、ハルカさんだっけ、色々と聞きたいことは有るがまずは何でこの時代に来たんだ?」  
こっちもなんとなく予想はつくんだけどな。  
「この時代のおか、んん、涼宮ハルヒさんのことで来ました。」  
何かを言い直したように彼女は一番聞きたくない名前を口にした。やっぱりあいつの仕業か。  
「それともうひとつ聞きたいんだが君は俺と同じ苗字だがこれは何か関係有るのか?」  
さっきの自己紹介で聞いてずっと頭の隅に引っかかってた疑問を聞いてみる。  
すると彼女は困ったような顔をして、  
「あのー…、今から言うこと驚かないで信じてもらえますか?」  
君が来たことで十分驚いてるし、今ならどんな胡散臭いことでも信じてしまえる自身がある。  
 
「それなら良いんですけど……、私はあなたの娘です。」  
 
前言撤回、やっぱ驚こう。  
 
「俺の娘?君が?」  
「はい、もし信じてないようならこれを。」  
そういって彼女はポケットをまさぐって一枚のカードを俺に突きつけてきた。  
これは、保険証か?そしてそこには紛れもない俺の名前が記されていた。  
どうやら本気で彼女は俺の娘らしい。何でだろうすごく頭が痛い。  
そして横を見るといつもより心なしかニヤケている古泉となぜか顔を赤くして  
手で口を押さえている朝比奈さんと氷のような目で俺を見てくる長門がいた。  
「………わかった、君が俺の子供だって事はなんとか信じよう。ただそこでひとつ疑問が出来る訳なんだが。」  
なんで俺の子供がハルヒのためにタイムトラベルまでして頑張ってるんだ?  
北高のセーラーを着ているって事は彼女は高校生だろう、自分の子供が高校生  
になるような歳になってもあいつは俺を引きずりまわしているのか?  
「これは話してもいいことなのかな…。驚かないで聞いてくれますか?」  
なんかすごくいやな予感がするんだが、一応聞いてみよう。  
 
「未来の涼宮ハルヒは私の母親でもあるんです。」  
 
いやな予感って物はよく当たる物だ。ああ、やっぱりそういうことか………。  
 

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