なあ佐々木よ、この本棚、お前のお気に入りの本が100冊、上の段から
50音字順にきれいに並べられているのは分かったんだが…、
上から4段目の右の方の10冊だけちゃんと奥の方まで押し込まれていないのはなぜだ?
「いや、その10冊だけ他の本とサイズが違うのさ」
そうか?本の高さは他の本と同じのように見えるが?
縦の長さが同じなら奥行きの長さも同じになるはずだぞ?
「なな、何を言っているんだ!縦が同じでも奥行きの長さが違うってこともあるんだ!」
そうか。じゃあ奥行きの長さが違うのかを実際に確かめてみようじゃないか。
「うあああああああああああぁぁぁッ!?何をするんだッ!!」
なんと!驚いた。その10冊の本の裏側には別の本が何冊か隠されてた。
しかも、なんだ、その、18歳未満お断りの本ばかりだ。DVDもあったがそんな些細なことはどうでもよい。
俺だってエロ本はたまに見る。廊下を走る妹の足音に気をつけねばならないのが問題だが。
しかし、いやはや、困ったことに佐々木秘蔵エロ本コレクションがだ、
沢山の百合の花に囲まれて、裸で抱き合っている女の子の表紙ばかりなのだ。
お嬢さん、そこは出すところです。舐めるところじゃありません!
よりによってそれらの本はかなり使い古されている証拠として、背表紙の下あたりが、
微妙に折れ曲がっていたり、シワがよっていたり、幾つかのページの角が栞代わりなのか折り曲げられていた。
佐々木よ、スマン。正直言ってスマンかった。
「いや違うんだ。キョンよ。これは僕が男女間の生殖行為の進化の閉塞感を打ち破る為の研究材料としてだね…」
いやいいんだ。趣味はひとそれぞれだ。古泉はボードゲームマニアだし、PCゲームで遊ぶことだけが
コンピュータ研究だと思い込んでいるヤツもいるし、サバイバルナイフマニアの女もいたし。
それと同じようなものだな。
「いやそうじゃない。僕が本当に好きなのはだね、」
ごめん。俺、急いで帰るから。ごゆっくり。
俺が、急いで佐々木の部屋から出ようとしたら、ついううっかり本棚に左足の小指だけをぶつけちまった!
ぐふうええええええぇッ!?うwぐー!しかも、本棚から本が数冊落ちてきやがった。
ん?本と一緒に茶封筒が落ちてきた。しかも、その茶封筒からたくさんの写真がこぼれ落ちてきた。
ん?これは俺が中3のときに進学塾の高野山合宿のときに写真屋さんにとってもらった写真か?
「あ!」
と叫ぶとともに、佐々木がその写真の山に覆いかぶさりやがった。いったい何をしているんだ。
「キョン、見ないでくれ!大事な写真なんだ。」
はいはい、分かったからそう興奮するな。さすがにそこまで大事な写真を見るほど野暮なヤツじゃねーよ。
と佐々木に口だけそう言っておきながら、佐々木が隠し忘れた、背後にある数枚の写真を凝視してみた。
この部屋にある、薄紫色のベッドの上で何故か生まれたままの姿!!の佐々木が、
同じく何も身に纏わない平坦な体つきの女の子によって何故かキュウリを股間に入れられている。
しかも、その女の子のもう片方の手の指では佐々木の申し訳程度の大きさの胸をこすっている。
写真に写っている佐々木の顔を見てみると、こいつ、今まで俺に見せたことの無いような顔をしてやがる。
こいつ、これほどまでに『オンナ』だったのか?
「キョン、僕の話を聞いてくれ。これは、事実を写していない。個人で楽しむ為にパソコンで作ったコラージュ画像なんだ」
なんでそんな物をわざわざ作るんだ。朝比奈さんの耳を舐めるハルヒも変態だが、こいつは更なる変態だ。
俺は、本棚から落ちてきた本や写真を片付けずに、逃げるように階下の玄関まで走り去った。
ん?だれか家に来たようだ。佐々木の親御さんか?「ウチの娘を貰ってくれるのはいつになるのかねぇ」
とか言われるのは勘弁だぞ。
「あれぇ、キョンさんじゃないですかぁ。どうして佐々木さんの家にいるんですか?
!!もしかして、佐々木さん、キョンさんを混ぜて3Pに挑戦しようとしてるんですか?」
橘京子がそこにいた。