カノジョと同棲していたら、朝にどんな起こされ方をしたいか、なんて議論は思春期男子にありがちな話題であり、  
概してしょうもない妄想が炸裂して終わるどーでもいい話だが、どんな起こされ方が最悪かと問われれば、はっきりと断言できる。  
なんせ今、現在進行形で起きている事態だからな。  
と、いうことで、不可抗力の朝の生理現象に笑顔で頬ずりをする妹をベッドから無理やり引っぺがし、俺は寝ぼけた頭で朝っぱらから説教をせねばならなかった。  
いくらこいつに邪なる意思がないとはいえ、変態さんが千客万来なこのご時勢に、近頃の小学校じゃいったいどういう教育をしてやがるんだ。  
しかしながら、兄の切なる思いと妹の理解は、地球とアンドロメダ星雲くらいの距離があるようで、  
頭に?マークを浮かべた妹は、首をかしげながら母親に告げ口をしにいった。  
・・・マズイ。いや、気まずい。寝込みを襲われたんだから、こっちが完全な被害者なわけだが、状況的に俺が悪者にされてしまいそうだ。  
寝起きの頭をフル回転させて必死に抗弁を考えつつ階下へ降りると、案の定どんなに忙しかろうとも教育には手を抜かない母親から  
「毎朝フェラで起こしてくれる妹を叱るとは何事か!いやなら自分で起きなさい!」と、くどくどと説教を受けた。  
おーけー。なんとなく事態は飲み込めた。これくらいで動揺しては、SOS団団員その1は務まらんからな。  
その悟りきった態度に怒り心頭な母親を適当にいなしつつ、しっかりと朝飯を平らげた俺は、強制ハイキングを終えると、教室よりも先に部室へと急行した。  
 
 
「長門」  
「了解している」  
打てば響くとはこのことだ。頼もしいね、まったく。  
「で、ハルヒのアホウは、今度はいったい何をやらかしたんだ?」  
「今回の改変の原因は、昨夜N○Kで再放送されたドキュメンタリー番組にあると考えられる」  
「ドキュメンタリーだと?」  
「そう。題名は驚異の類人猿ボノボ。ボノボとはチンパンジーよりも人類に近いとされる類人猿のこと。彼らの行動学上の大きな特徴は、その性行動にある。  
両性間の交尾、ホカホカと呼ばれる雌同士の性器のこすりつけ行為、雄同士の尻つけ行為などが日常的に行われ、平和な社会秩序の維持に貢献している」  
で、それに感銘を受けたハルヒが人間社会にそのルールを持ち込んじまったと。  
「そう」  
一気に脱力した俺は、思わずその場にへたり込んだ。セックスで挨拶の世界だと?  
安直なヌキゲだってもうちょっとましな設定を考えるぞ。だいたい挨拶のたびに誰かとやってちゃ身がもたん。  
「現在、校内で性行為を行っている者は21組。そのいずれもがすでに恋人と呼ばれる関係を構築している。  
また、異性間におけるおしゃべりと呼ばれる情報伝達は、女子生徒が男子生徒の性器を口に含みながら行われている。なぜ齟齬が生じないのか興味深い」  
コラコラそんなところに興味を持つんじゃありません。  
「さらに喜緑絵美里は、生徒会長から胸部に対する接触を許し、彼の情報連結をクォークの単位まで解除した」  
ちょwwなにやってんの喜緑さん!!  
「これらを総合すると、親しい関係にあるものほど、深い性行動を行う模様。挨拶程度なら身体的接触を行うだけだと考えられる。安心して」  
安心できるような状態じゃないだろ、常識的に考えて。まぁとりあえず、それは置いといて、だ。何をすればこのバカエロ世界が元に戻るんだ?  
「現段階では不明。しかし、涼宮ハルヒはあなたとの性行為を望んでこの改変を行ったと思われる・・・わたしがさせない」  
あの〜セリフの最後を間違ってませんか、長門さん?  
「…………………………あなたに賭ける」  
 
長門が幾分しぶしぶ気味なのは、まんざらでもないが、ハルヒとセックスで挨拶なんてごめんだぜ。  
いや、あいつのことを嫌っているわけでもないし、ましてや、そういう行為に興味がないわけでもない。  
が、なんというか、そういうことは雰囲気を大切にしたいというか、その・・・などと、  
校内のあちこちから聞こえてくる甘ったるい嬌声を無視するために、あえてしょうもない悩みを抱えながら歩いていたら、我が2年5組に着いてしまった。  
 
さて、と覚悟を決めて扉を開けると、そこには想像以上の酒池肉林の地獄絵図が展開されていた。  
とりあえずクラスと一瞥すると、谷口がイキイキと女子の胸に手を伸ばしては、ピシャリと撥ねつけられ、  
国木田はこちらがギクリとするほど見事な業物を、隣の席の成崎にしゃぶらせつつ、俺にいつも通りの軽い挨拶を送ってくる。  
さらに、教卓付近では黒板に手をついた葉山を、後藤が立ちバックで激しく攻め立てていた。  
へ〜あいつらやっぱり付き合ってたんだ、と妙に冷静に納得しつつ、できの悪いロボットのようにギクシャクしながら自分の席に近づくと、  
朝っぱらからマグネシウム発光の笑顔に出くわした。  
 
「キョン、おはよっ!」  
「……うーす」  
やばい、今の俺は茹ダコよりも真っ赤になっているに違いない。長門の助言?を妙に意識しちまって、ハルヒと目を合わせることもできずに机に突っ伏すと、  
背後からHALOダイブも真っ青に急転直下した不機嫌オーラ全開な声がかけられた。  
「ふーん、いきなり団長を無視するとはいい度胸じゃない。キョン、覚悟はできてるんでしょうね」  
やはり身体的接触を伴わなければ挨拶したことにはならないらしい。  
が、頭では分かっていても、いざ実行となると、なかなか踏ん切りがつくもんじゃない。  
ましてや相手がハルヒとなると尚更だ。いや、特にこいつだけを意識してるとかってことじゃないぞ。  
ただ清く正しい人間としてのあり方を模索するのが、青春といふものであってだな・・・と誰に言い訳するでもなく、  
塹壕にこもる兵士のようにひたすら机に噛り付いていると、こちらの態度に違和感を抱いたらしいハルヒが近づいてきた。  
「どうしたのよキョン、顔まっ赤じゃない!カゼ? 無理してSOS団の活動に支障が出ちゃたまらないわ。とっとと保健室に行きなさい!」  
言っていることはぶっきらぼうだが、その口調の端々には、心細げな真心からの心配があふれている。  
驚きのあまり思わず顔を上げると、わざわざ前に回りこんで心配そうに覗き込むハルヒの大きな瞳が目の前にあった。  
そのあまりの近さに慌てて顔を背けると、さらに心配したハルヒが覆いかぶさるようにしながら、無理やり自分のほうに向かせようと挑みかかってきた。  
「何なのよ、こっち向きなさいキョン!元気あるんなら罰ゲームよ!分かってんの!?」  
コラのしかかるな。くっつくな。息を吹きかけるな。頼むからブラジャーくらい付けてくれ。感覚が生々しすぎるんだよ、お前は。  
ハルヒが動くたびに、想像していたよりもずっと豊かでフワフワとした柔らかい感触が俺の体表面を舐め回すように駆けずり廻る。  
ハルヒのセーラー服と俺のブレザーが織り成す衣擦れの音だけでなく、時おりこすれるカチューシャの刺激すらも艶かしい。  
もはやこれは「当ててんのよ」などという生易しいレベルではない。やばい。このままじゃ脳みそが煮えちまいそうだ。  
理性と下半身からのエマージェンシーコールを受けて、俺はあさっての方向を向いたまま手を伸ばし、  
適当にハルヒの体の一部を撫でた。とりあえず挨拶を返すだけならこれでよかろう。  
だが、これまでもつれる様に動き回っていたハルヒが、ビクリと震えてフリーズした。  
あれ??怪しい気配に驚いて顔を上げてみたものの、俺の手は真っ赤になってうつむくハルヒの頭の上に置かれているだけだ。  
何が悪いのか分からぬまま、とりあえず妹にするように、ハルヒの頭をくしゃくしゃと撫で回すと、教室が水を打ったように静まり返った。  
 
「このエロキョーーーン!!!!」  
ばちこーん!と平手を俺の頬にクリーンヒットさせると、ハルヒは今にも湯気を噴きそうな顔のまま席に戻り、プイッと顔を窓の外に向けた。  
おいおい、何なんだよいったい?呆然とする俺を尻目に、教室のざわめきが一気爆発し、はやし立てるような口笛が飛び交う。  
「キャー見た今の!」「どうしちまったんだキョン!?」「ウッワー大っ胆!」「裏切る気かキョン!?」「朝っぱらからスッゲーなオイ!」「ようやく覚悟極めたのか〜長かったねーキョン!」  
「おいっ俺を置いていく気かキョン!?」「涼宮さんおめでとーなのね!」「うらやましー私もされてみたーい」「あんたも男ならあれくらいの事してみせなさいよ!」  
なぜかオッズを発表した学級委員の後藤を中心に100円玉が飛び交い、あちこちでフェラ音と衣擦れがこだまする。  
俺たちの席を二重三重に取り囲む女子たちを中心に冷めやらぬ興奮は、いつの間にか教室に入ってきた担任の岡部がバンバンと出席簿で教卓を叩くまで続いた。  
「静かにしろお前らー!ホラッ出席取るぞー」  
やれやれ、身体的接触は挨拶じゃなかったのか長門?  
 
 
その後、授業の合間や昼休みになると、ハルヒはダッシュでどこかに消えてしまい、俺は一人、周りから文字通りもみくちゃにされながら、インタビュー攻めにあった。  
曰く、いつから?どこまでいったのね?抜け駆け禁止の盟約はどうした!なんでいきなり?あの大胆な発表の仕方は相談したの?裏切り者には制裁を!初デートはどこでやったの?などなど。  
何とか脱出を試みようにも、そうはさせじと女子連中がベッタリとまとわり付く。  
この改変世界における基本的なコミュニケーションの道具である豊かな胸の膨らみが、四方八方から押し当てられ、正気を保つのもやっとの状態で適当に答えていると、  
気がついた時には尾ヒレどころか、胸ビレにフカヒレまで付いた噂が学校中を駆け巡っていた。  
 
帰りのSHRが終わるとすぐに、俺は左腕に体を絡み付けたハルヒによって、部室へと連行された。  
朝以来ほとんど目も合わせようともしないので、どんなに激怒しているかと思いきや、何をどう間違ったのか、いつかの生徒会室に乗り込んだときのような不敵な笑顔を浮かべている。  
こいつがこんな表情をしているときは、ろくな目にあった試しがない。  
思い当たる節のありまくる経験則に基づく疑心暗鬼でいっぱいになりつつ引き立てられていくと、  
扉のあたりで「ぐっどらっくなのね」 などと声が掛けられ、ビシッと親指を突きたてた女子たちに花道を作られた。  
嫌な予感がますます色濃くなる。どうやら俺のあずかり知らぬところで、壮大な陰謀が進行中のようだ。  
 
それはさておきハルヒさん、二の腕に当たる柔らかい二つの膨らみにコリコリした突起が付属するのは、仕様ですか?  
それに俺の手のひらを太ももに挟み込んだら、歩きにくいと思うんですが?  
てか、上下とも下着を着用しないのは、この世界のデフォですか?  
などなど、雲霞のごとく湧き上がる疑問を封印しつつ、しぶしぶ引き立てられて行くと、廊下の至る所で声を掛けられた。  
ハルヒはこの学校では知らぬ者のいない名物女だが、そのことごとくが、純粋な祝福であるあたりがハルヒらしい。  
一方の俺にかけられた声には、幾分以上の哀れみが込められてる気がするのは僻みってもんかね?  
 
「やっほー、キョンくんにハルにゃん!聞いったにょろー!いやはや、いつかは決まると思ってたけど、急だったもんでおねーさんはびっくりだっ!  
ほらほら、みくるもそんな怖い顔してないで、笑顔笑顔っ!」  
見事な長髪をたなびかせながら駆け寄ってきた先輩は、俺の右手を掴むと、ぐにっと自らの胸を揉ませ、  
返す刀で引っ張るようにつれてきた小柄で童顔な御方のエベレストに俺の手をめり込ませた。  
と、特盛おかわり!!!思わず手の平が開閉動作をくり返し、豊饒なる大地を堪能してしまったのは、脊髄反射によるものであり、深い意味はない。  
 
「なに鼻の下伸ばしてんのよっ」  
ギクリと左腕に絡みつく物体に目をやると、低い声とは裏腹に見上げる視線に険はなく、口元には見事な三日月が浮かんでいる。  
なんというか、尻尾があったら全力で振ってそうな勢いだ。今はただ、こいつの上機嫌が恐ろしい。  
一方で、俺の右手を手首までめり込ませた朝比奈さんの上目遣いには、なにやら恨めしげな気配がこもっているようにも見受けられる。  
こっちの設定では、俺はこのお方に恨まれるような真似でもしてるのか?  
 
 
鶴屋さんも伴って部室に着くと、スマイル野郎が大仰かつ慇懃な仕草で出迎えやがった。  
だが、そのニヤケ顔からは胡散臭さが5割ほど引かれ、作り物とは思えない笑顔が浮かんでいる。おい、なんか悪いもんでも食ったのか?  
助けを求めて窓際に目をやると、そこにはドス黒いオーラの塊が質量を伴って座っていた。  
左腕に絡みつくハルヒの晴れハレオーラに相殺されて気づくのが遅れたが、  
スッとこちらを睨む黒曜石の瞳は、まるで100万光年四方のダークマターを凝縮したような異様な輝きを放っていた。  
言いようのない恐怖感に襲われ、慌てて脳内で百科辞典並みの反省文をしたためていると、バタンっと大きめな音で本を閉じた長門がツカツカと歩み寄ってきた。  
「ふぇぇっ」  
その迫力に朝比奈さんが硬直する。鼻先10センチのところまで来て、俺をギロリとにらみつけた長門は、まず自分の胸に手をやってその感触を確認すると、  
北高の世界遺産にめり込む俺の右手を引っぺがして、自らの手をめり込ませた。  
その結果……当事者の朝比奈さんだけでなく、部室にいる全員があっけに取られた顔をしていることから想像してほしい。  
えーとさ、長門。結末の予想はついてただろうに、そんなにショック受けるんなら、最初っからやらなければよかったと思うんだが。  
団員一同でorzになった長門という非常にレアな光景をしげしげ観察すること3分。  
そっと長門を思いやるように肩を抱いて立たせたハルヒが、無理やり空気を変えるように、自信満々な笑顔で団長席にピョンと飛び乗った。  
てか、前も思ったけど、北高のスカートけっこう短いんだから、その位置じゃパンツ丸見えd……いや、パンツは見えなかった。パンツ『は』。  
 
「これより本年度第1回目のSOS団裁判を始めます!罪状は団員その1の団長に対する不埒な行為についてです!  
あ。あたしは今回原告だから、名誉顧問、裁判長お願いね」  
机の配置がコの字型になってると思ったら、そういうことか。  
「はいっは〜い!まっかせるにょろっ!でわっでわっ!さっそくキョン君が今朝、ハルにゃんに襲い掛かったという疑惑について審理を始めるにょろ!  
まずは検察側の冒頭陳述だねっ。みっくる〜、好きなようにやっちゃいなっ!」  
ハルヒのアドリブに素でついて来られる鶴屋さんの臨機応変っぷりに感心しつつも、このままじゃ事実無根の疑惑で財布どころか貯金までもがすっからかんになっちまう。  
慌てて抗議の声を上げようとした瞬間、自分の正体を明かしたときのように凛々しいお顔をした女神がピシッとさえぎった。  
「はい!キョン君は本日2年5組において、朝のホームルーム前に、公衆の面前で涼宮さんに対し、信じられないような破廉恥な振る舞いをしたという噂を聞きましたっ!!  
それによると、いつもどおりにパイズリで挨拶をして、ちょっとしたオシャブリでも楽しもうとした涼宮さんを机に押し付けて、  
立ちバックで中田氏3連発という私の昨日のオカズそのものの行為に手を染めた挙句、  
快感のあまりグロッキー状態な涼宮さんの後頭部を固定すると、口を無理やり開かせて、イラマチオ3斉射を施してあげただけでなく、  
絶頂で気を失った涼宮さんを小さい子にオシッコをさせる体勢で教卓の上で抱え上げ、観音開きで御開帳にしたまま、  
クラスのみんなに見せ付けるように、アナル突き上げ3連射という天国を味あわせてあげたそうです!」  
「うっひょ〜朝からトリプルグランドスラムか〜。さっすがキョン君!おねーさんはびっくりにょろ!!それだけかい、検察官?」  
「これだけなら、ちょっと仲のいいカップルです!でも、キョン君はそのあと涼宮さんの、そ、その、あ、頭を撫でるという行為に手を染めたそうです!!  
こんな羨ましい行為は、とても容認できましぇん!!」  
「ひゅ〜キョン君やるねー!!でもみくるの主観がかなり入っちゃってるみたいなんで、一応確認を取りましょう!被告キョン君、今の内容に相違はないかい?」  
「待って下さい、鶴屋さん!その噂は尾ひれが付きすぎです!俺はいつも遅刻ぎりぎりに教室に着くんですよ!朝のSHR前にそんな時間があるわけないじゃないですか!」  
「女の子にそこまで羨ましい行為をしてあげておいて否定するなんて、キョン君ひどすぎまひゅ!!」  
「まあまあ、みくるも落ち着きなって。罪状は否認で全面対決のほうが面白いじゃないかっ!それに被告の言い分も一理あるからね。  
実際のとこは、もう一方の当事者にも聞きましょう。ってことで、原告ハルにゃん、そこらへんはどうだったんだい?」  
さすがは鶴屋さん。ノリノリで楽しんではいるが、冷静で公平だ。こういう所がこの人の人望の厚さに繋がってるんだろう。  
「ハイ、裁判長。あたしも証言したいところなんですが、あまりに突然の出来事だったため記憶が曖昧です。ですので、客観的な事実を知る証人を呼んでもよろしいでしょうか?」  
神妙そうな顔を作りつつ、目をランランと輝かせたハルヒが、また無茶苦茶な設定を始めやがった。証人だと?よんでもらおうじゃないか。  
 
法廷警備官の役割をしているらしい古泉が苦笑しつつ、カチャリとドアを開けると、そこには阪中以下、成崎、佐伯、大野木という2-5仲良しカルテットの面々が神妙な面持ちで立っていた。  
ってこいつらさっき教室出るときに親指立ててた連中じゃねーか!  
「さ〜入った入った!君たちはハルにゃんとキョン君のクラスメートだよね?」  
「はい。私たちは4人とも今朝の事件を目撃したのね」  
「おっけー。じゃあ、今朝何が起きたか知ってるってことだねっ。んじゃ、まずは検察側の証人尋問から。みくる、ぷりーず!」  
「まず、噂ではキョン君は涼宮さんに対して、トリプルグランドスラムなんていう羨ましいことをしたそうですが、これは真実ですか?」  
「はい、そう聞いたのね」  
「え?えーと聞いた、ということは、見たんじゃないんですか?」  
「はい。違うのね。噂では今朝学校でしたことになってるみたいだけど、学校に来る前にしてきたって聞いたのね」  
「キョン君!モーニンググランドスラムですかぁ!!」  
「ままま、みくる、落ち着きなって」  
「こここんなうりゃやましいことは、落ち着いてなんかいられましぇん!」  
ジタバタと暴れる朝比奈さんを長門に任せ、裁判長がノリノリで前に出てきた。  
「みくるは暴走しちゃったみたいだから、裁判長じきじきのクエスチョンターッイム!んでわでわ、単刀直入にさくっと聞いちゃいましょう。  
キョン君がハルにゃんの頭を撫で撫でしたってーのはホントなの?」  
「はい。今日、キョン君は教室に来たときから様子が変だったのね。涼宮さんの挨拶にも無反応で……涼宮さん、彼のことをとっても心配してたのね。  
そうしたら、いきなりキョン君が涼宮さんの頭に手を伸ばして……」  
「うはーいきなりかー、合意なしにそういうことをするのは、おねーさんどうかと思うなー。で、ハルにゃんは嫌がってたのかい?」  
「いいえ、びっくりしてとっさにビンタしちゃったみたいだけど、その後はずーっとニコニコしてたのね」  
「ちょっと阪中さん!べ、別にあたしは……」  
「そっかそっか、ハルにゃんも大喜びかー!それなら問題ナッシングだね。でわでわっ判決をいいわた……」  
 
「意義あり」  
いつのまにか朝比奈さんを古泉に押し付けた長門が、横断歩道を渡ろうとする小学1年生のようにすっと右手を挙げた。  
おお!弁護に立ってくれるのか!!しかもその目は生徒会室で喜緑さんとやりあってた時よりやる気満々だ!こいつは100万の援軍よりも頼もしいぜ!  
「身体的接触だけなら事故もありえる。ゆえに心がこもっているかが重要。この点を明確にするために、彼に涼宮ハルヒへの感情を問うべき」  
な、長門!?それは弁護じゃなくて、追い詰めてるだけだぞ!!  
 
部室に雷光のような緊張が走り、室温が一気に零下近くまで下がる。  
凝固した俺が何とか視線だけ動かして、冷気の主原因であるハルヒの方を伺うと、そこには腕組みをした閻魔様がカッと目を見開いて鎮座していた。  
慌ててそろそろと視線を戻すと、もう一方の冷気の塊が視界に入った。こちらからは−273.15℃の視線がヒタリと俺の目を射抜いていた。  
これなら戦艦長門の主砲に狙いを付けられるほうがまだ安心できる。  
その迫力にビビリながら、さらにもうひとつの冷気のほうを見やると、さすがに北高の女神様はニコニコと微笑んでいらっしゃった。  
だがそれは、獲物をスコープに捕らえた狙撃兵にも似た凄絶な微笑みだった。  
慣性の法則にしたがって機械的に首を動かし続けると、SOS団の残りの一人は額に脂汗を浮かべながら、今にも鳴るであろう携帯をギリギリと握り締めている。  
さすがのこいつですら、この状況では手も足も出ないらしい。  
 
終わった……すべてが終わった。  
磔刑に掛けられる直前の殉教者のように、ある意味すがすがしい気持ちで視線を正面に戻すと、糸切り歯をキラリと光らせた裁判長が、ニマニマと嬉しそうな笑顔を浮かべていた。  
こ、このお方なら、この状況を打破できるかもしれない!一縷の望みを抱いて祈るような視線で懇願すると、  
慣れない仕草で肩をすくめた裁判長は、俺のお株を奪うことを楽しむように、やれやれ、とつぶやいた。  
 
「このままじゃ十年経っても埒が明かなそうだしねっ。フリーズしちゃったキョン君を眺めてるのも面白いんだけど、  
後ろで怯えてる4人が可愛そうだから、とっとと決着をつけるにょろ!」  
おお!捨てる神あれば拾う神ありってやつだ。さすがは鶴屋さん!一生恩にきます!  
「ってことで、裁判長の独断で神権裁判に移行するにょろっ!この場合ルールは言わずもがなだよね?」  
 
 
3柱の魔神の目が一気に燃え上がり、部室が灼熱地獄と化す。  
神権裁判?いったい何のことだ?俺の頭の上に浮かんだ?マークを見て取った鶴屋さんが助け舟を出してくれた。  
「うはははっ!分からないフリをしてる人がいるみたいだねっ。活躍のしどころだよ解説役!」  
「はい。神権裁判とは古代の裁判様式の一種ですね。両者の主張がぶつかったときに、判断を神に委ねるというやつです。  
煮えたぎる湯から石を取り出させ、火傷を負わなかった方を嘘をついていないと認定するというのが有名ですが……」  
おいっ冗談はよせ!それって嘘云々以前に、物理的に無理があるじゃねーか!  
「あっはっは!そんなに怯えた顔しなくても大丈夫にょろ〜。古泉君も人が悪いね!  
ご想像通り棒倒しでいくから、へーきへーき!」  
ぼ、棒倒しですか?  
「そうにょろ!煮えたぎる中に突っ込むんだから、形式としては同じにょろ。  
んでんで、解説のコイズミさん、今回のルールは飛距離と量のどちらが適正だと思われますか?」  
「はいーそーですねー、いわゆるひとつのー、んー両方というのがこの場合ベストチョイスの選択だと思いますねーはいー」  
をい。どっかの終身名誉監督を模したつもりかもしれないが、神がかり的に似てないぞ。  
てか全く解説になってねえよ。小ネタはいいから、さっさとルールとやらを教えろ。  
「ぅおっけー!!じゃあ裁判長の権限で勝手にルール決定!各自がいちばんの得意技で、キョン君のを大量かつ遠くまで飛ばせたら勝ちとするにょろ!」  
What?大量?遠く?飛ばす?何を?頼むから誰かここに来て説明してくれ!  
 
「ほいじゃまず、みくるは……当然パイズリだよね?」  
パパパ、パイズリ!?  
「はい!涼宮さんに狭射術の県代表の実力を教えてあげます!!」  
背筋をぴんと張って、胸をぽんっと叩く朝比奈さん。それだけで北高の至宝は、たゆんたゆんと暴虐的に揺れる。  
「ふふーん、威勢いいじゃないみくるちゃん。でも、あたしだって中学時代はバナナ切りで毎年全国行ってたんだからね!負けないわよ!」  
朝比奈さんにビシッと人差し指を突きつけるハルヒ。普段なら震え出す朝比奈さんも、子供を天敵から逃がそうとする母猫のように力強くハルヒを睨み返した。  
てか、バナナ切りってなんだ?  
「そっかー。ハルにゃんは去年の膣圧測定めがっさ凄かったもんねー。今まで誰にも負けた事がなかったあたしも、あの記録にはビックリだっ」  
ケラケラと楽しそうに笑う鶴屋さん。だがちょっと待て、膣圧て。じゃあバナナ切りって、あそこでバナナを切るってことか!?  
「ちなみに中田氏になっちゃったら記録なしだかんね。子宮口で2段締めしちゃうと一発だから気をつけるにょろ」  
「任せといて鶴屋さん。そこらへんは抜かりないわ!」  
自信満々の笑顔で俺のつま先から頭のてっぺんを値踏みするように睥睨するハルヒ。おいおい、正直ちびりそうだぜ。  
「んで、有希っこはどうする?君ってばオールマイティーだから『これ』ってのがない気がするんだよね〜」  
「……くち」  
な、長門!?お前の役どころはそうじゃないだろ!!  
「任せて。舌の操作は得意」  
そういう意味じゃねーYO!しかも舌なめずりまでしてやる気MAXじゃねーか!!  
「やっぱ正攻法かー。いいねいいねー!三者三様!めがっさ面白くなってきたっ!」  
 
 
「それじゃまずは標準記録をとるにょろ〜。さ〜て、あたしの手コキに何秒耐えられるかな〜?」  
くっふっふっと悪代官のように笑いつつ、手をワキワキさせながら楽しげににじり寄ってくる鶴屋さん。  
って、あなたも参加するんですか!?  
「えっ!?ちょっと鶴屋さん、ずるいわよ!」  
ハルヒも虚をつかれたように抗議の声を上げる。  
「ちっちっちー。一発抜いとかないと、最初の人が超有利だかんね。裁判長として公平を期するために参考記録をとるだけさ!  
さーキョンくん、ここに座った座った!」  
まるでサンタクロースを待ちきれずに家中を駆け回る幼稚園児のように楽しげな鶴屋さん。  
その様子に抵抗する気を根こそぎ奪われた俺は、机をどかした団長席にどっかりと腰を下ろした。  
床にひざまずいた鶴屋さんがニヒヒっと笑い、俺のベルトを外してズボンを下ろし、うやうやしくトランクスから息子を取り出す。もうどうにでもしてくれ。  
 
ひんやりとして、絹のようにすべすべの指が愚息に絡みつく。  
鶴屋さんはまだ緊張で元気のないそれを励ますように軽く指で弾くと、いたずらっ子の笑顔のまま、  
右手の人差し指と親指で作った輪に亀頭を収め、触れるか触れないかの絶妙のタッチで擦り上げていった。  
急激に訪れる快感に一気に怒張して火照る息子に、淡雪のような肌触りの指が律動的に前後し、  
時おり綺麗に整えられた爪が意地悪をするように裏筋を刺激する。  
さらに左手は玉袋に添えられ、まるでピアノでも弾くかのように、中の玉を転がしてきた。  
そのあまりの気持ちよさに俺の腰が引けると、さらに嬉しそうな笑顔になった鶴屋さんは左手で竿を握りながら、  
右の手のひらで亀頭を包み込み、先走り液を塗り広がるように、スナップを利かせた円運動で一気に追撃にかかってきた。  
自家発電なぞとは比較することすらおこがましい、地中深くで躍動するマグマのような快感。  
こんな時でも明るい気品を失わない鶴屋さんは、快感に耐える俺の苦しげな表情を上目遣いで満足げに確認しながら、徐々にピッチを上げていった。  
 
ここで秒殺されては男が廃る!俺は意地になって腹筋に力を込め、鶴屋さんを強くにらみつけた。  
すると、今まで自信満々の表情で楽しんでいた鶴屋さんの顔が、親からはぐれた子供のように不安げに曇った。  
あ、違うんです鶴屋さん!慌てて言い訳しようと気を抜いた瞬間、エンドルフィンが脳内で爆発し、背骨を駆け下りて一気に外に放出された。  
鶴屋さんの滑らかな指が前後するたびに、ビクビクと噴水のような白濁液が発射され、弧を描いて高く飛んでいく。  
それは快感の質と呼応するように、信じられないくらいの量と勢いを伴う噴火だった。  
 
第一射こそ放物線を描いて彼方へ飛んでいったものの、そのあまりの量に驚いた鶴屋さんが指を離した瞬間、  
制御を失った愚息は、高貴なお嬢様の額に向かって艦砲射撃を喰らわせていた。  
括約筋が収縮するたびに、鶴屋さんの顔にタパタパと白濁液が浴びせかけられ、トレードマークである黒髪にドロリとした粘液が絡みつく。  
一瞬、初めて見せる無防備な表情で呆気にとられていた上級生は、すぐに頬を桜色に染めたまま、うっとりと目を閉じてその暴虐なる攻撃を受け続けた。  
 
脳漿まで絞りつくすような長い射精が終了すると、やや顔を青ざめさせたハルヒが悔しげにつぶやいた。  
「や、やるじゃないの、鶴屋さん」  
陶酔した表情で俺のスペルマを顔に絡みつかせていた鶴屋さんは、我に返った途端、バツが悪そうにニパッと微笑んだ。  
「いっやー申し訳ないにょろ!あんまりにもキョン君のがすごいもんでさっ。ついつい自分の世界にはいっちまったんさ。  
それでっと、えーと記録は……おおー!1.5mかー!キョン君はやっぱりすごいにょろ!」  
裁判長としての役目を果たしつつ、ぺろっと舌を出して上唇に絡んだ白濁液を舐めた鶴屋さんは、所在なさげにたたずむ2-5カルテットに近づいていった。  
「さーさ皆の衆、キョン君から絞りたてだよ!遠慮せずに味わっときな!」  
呼びかけに答えて、阪中たちはまるでミルクを飲む子猫のように、鶴屋さんに絡みついた俺のザーメンを舐め始めた。  
「これがキョン君の味……すごいのね」  
ウットリとつぶやく阪中。負けじと鶴屋さんの額や頬に粘りつく子種汁を清めるようにすする佐伯と大野木。  
その傍らでは成崎が陶酔した表情で鶴屋さんの髪を漉き上げ、指に絡んだスペルマを熱心にしゃぶっていた。  
ったく、何やってんだお前ら。  
 
その様子を指をくわえて羨ましげに睨んでいたハルヒが、辛抱堪らんとでも言うように俺に挑みかかってきた。  
「覚悟しなさいキョン!あたしだって負けないんだからっ!」  
ハルヒは、呆けたように団長席に座る俺に対面座位の形でのしかかり、半勃ちの息子を一気にぬるっとその胎内に収めた。  
おいっ、ちょっと待て、いくらなんでも出したばかりじゃさすがに……  
「くっ、ん、んっあんっ、キョンが、あ、あたしの中にぃ」  
甘える子猫のように体をこすり付けてくるハルヒからは、理性を蕩かす香りが立ち昇ってくる。くらくらするミルクのような甘い香り。  
それは濃密でありながら、柑橘のような爽やかさで、一瞬にして俺の射精後の虚脱感を奪い去り、脳天のアクセルをガツンと踏み込んできた。  
「かはぁ、んぁん、キョ、キョンのってば、膣内でこんなに、お、大きくぅ」  
腰をうねるように回転させていたハルヒが陶酔した表情で動きを止め、感極まったように俺の頭を豊かな胸に抱きかかえた。  
その瞳からは普段の勝気な気性が鳴りを潜め、俺を励ますような優しさと、全てを包み込むに母性本能が溢れている。  
しばらくうっとりと密着していたハルヒだが、ハッとしたように競争の件を思い出すと、  
決然とした表情で髪を振り乱しながら、一気に美尻をくねらせて攻め立ててきた。  
 
ハルヒの膣は完璧だった。  
まず膣口が俺の侵入を阻むかのようにきつく締め上げ、襞ひだの一つ一つが独立した意思を持つ舌のように、うねうねと絡みつきながら愚息を奥へ奥へと引きずりこむ。  
そして、上からは数の子天井がカリ首を絡めとるように刺激し、下からは段々になったスポットが吸い付くように密着する。  
さらに奥に進むと、狭い子宮口が亀頭をねじり上げるように締め付けつつ、膣全体が息子を優しく包み込みながら神秘的な温かさを尿道に叩き込んできた。  
まさに女体の神々しさと生々しさを体現するような感触に、俺の脳髄が悲鳴を上げる。  
さっき鶴屋さんにあれだけ派手にぶちまけたにもかかわらず、暴走する性感が一気に加速し、俺はハルヒの自在に蠢く美尻を掴みあげると、猛然と突き上げ始めた。  
「ぁんっ、はっ、んっ、こらっキョ、キョン、あたしが頑張、るん、だから、そ、そん、なに激しくちゃ、きゃんっ!」  
その言葉をさえぎるように、高く持ち上げたハルヒの桃尻を放り落とすタイミングにあわせて愚息で突き上げると、ハルヒは快感のあまり、白い喉をのけぞらせて白目を剥いた。  
どうやら激しいのがお好みらしいな。速度を緩めて代わりに突き上げのストロークを大きくすると、ハルヒはまるでトランポリンで遊ぶ子供のように、俺のシャフトを中心に跳ね回った。  
ゴツゴツと愚息が子宮口を突き破らんばかりに刺激し、そのたびに意識を飛ばしかけたハルヒが、すがりつくように俺の背中につめを立てる。  
だが回を重ねるごとに、その力は急速に失われていった。  
 
「キョ、キョン、あたし、も、もうっ、中にっ、膣内に出してぇぇぇ〜〜〜〜!!!!」  
感極まったハルヒにトドメの一撃といわんばかりに深く腰を打ちつけた瞬間、ぐぽりとハルヒの最深部に到達した息子がすべてを開放した。  
中空に放たれるのとは全く異なる満足感あふれる射精。  
絶頂で失神しながらも、ハルヒの胎内は一滴残らず俺の全てを絞りつくすように、射精の律動にあわせて、蠕動を繰り返しながら絡みついてきた。  
細胞のひとつひとつまでが歓喜に震える征服感に満ちた膣内発射。  
脳まで届けといわんばかりの勢いでドピュドピュと打ち出される俺の子種汁は、ハルヒを内部から俺色に染め上げる尖兵として、子宮の隅々に満ち溢れていった。  
がくがくと痙攣し、崩れ落ちるように力を抜くハルヒ。  
その羽のような軽さに、改めて心の底から湧き上がるような愛しさがこみ上げ、俺は折れよといわんばかりにきつくきつく抱きしめた。  
意識を飛ばしたハルヒも、それに答えるようにやんわりと俺の頭を抱きとめ、頬ずりをしながら、ひたすら俺の名前を呟いている。  
その声はうつろながらも、陽だまりのような幸福感と恍惚とした充足感に満たされていた。  
 
「うっは〜、すごい中田氏にょろ〜。でも、だいじょうぶ?これじゃ今日が安全日でも妊娠しかねないよっ」  
ちょっと羨ましげな鶴屋さんの言葉に、うっとりと俺にすがり付いていたハルヒが、ハッと思い起こしたように顔を上げた。  
「こ、このバカキョン!外出しじゃないと記録にならないじゃない!」  
目に涙を貯めてワタワタと慌てるハルヒ。けど、こればっかりは俺にいわれても……。  
「うーん、ルール上は記録無しなんだよねー。ま、そこんとこは次の方の配慮に期待しましょう!ね、有希っこ!!」  
意味深な目配せをした鶴屋さんに対し、驚くべきことに、長門は顎を首にくっつけるほど深くコクンとうなずいた。  
 
なごり惜しそうに離れるハルヒと入れ替わりに、長門が俺の脚の間にひざまづいた。  
ここで長門が1cmでも俺のものを遠くに飛ばせば、ハルヒの負けだ。  
当然このバカエロ世界は終息に向かい、また平和で退屈な日常がよみがえるに違いない。任せたぜっ長門!!  
 
長門は俺の意思を汲んでくれたようで、黒真珠の目に力を込めた。  
「まかせて。先ほどリボ核酸型情報素子の収集を専門とするインターフェイスたちと同期をとって性技データを手に入れた。今の私は世界一の娼婦」  
ゴルア!ちょっと待て長門!!いまお前がすべき努力は違うだろっ!!!  
だが、俺の懇請を意にも介さず、長門はかしずくように愚息キスを与え、俺を見上げながら恐る恐るといった感じで、その小さな口にモノを含んでいった。  
いつもは冷静な長門の目に羞恥と戸惑いが混じる。そのあまりのギャップにカッと焼けるような快感がはしり、俺の息子は一気に力を取り戻した。  
俺の反応に驚きと喜びの混じった表情で答えた長門は、息子の大きさを確かめるように丹念に舌を這わせていった。  
 
いったん口を離した長門の顔には、決意と緊張に満ちた微笑みが浮かんでいた。どこかで見たような顔。ああ、これは向こうで入部届けを渡してくれたときの長門だ。  
「許可を」  
真摯なまなざしの奥に揺れる不安。ひょっとしてこの世界を終わらせたくないのか?  
その黒曜石の瞳に写る自分自身の姿を見て、俺は覚悟を決めた。仕方がない。わがままを通したがる長門なんて、そうそう見られるもんじゃないからな。  
「よしっ、やっちまえ!」  
「そう」  
 
ぱくりと再び俺の息子をほおばった長門の頭が大切な宝物を味わうようにゆっくりと前後する。だが、俺は至高の快楽と共に、奇妙な違和感を覚えていた。  
フェラを受けるのは初めてだから誰かの技と比較できるわけではない。しかしながら、どうにも腑に落ちない違和感。  
いったん口を離してアイスクリーム舐めるように棒に舌を這わす長門を見て、その原因が分かった。  
あのー長門さん?情報操作で歯を消して歯茎フェラなんて、いくらなんでもインチキじゃありませんか?  
「ちがう。私はいま、全力を尽くしているだけ。この改変世界で課せられたルールは遵守している」  
「そうなのか?」  
「そう」  
ってどっかで繰り返したような問答だが、長門の小さな口に収まった愚息は、すでに2発も出したにもかかわらず、そろそろエマージェンシーコールを発していた。  
 
長門の小さな舌が俺のご子息を舐め回し、キュッとすぼめられた唇がカリから裏筋をリズミカルに躍動する。  
この小さな口のどこにそんなスペースがあるのか分からないが、長門は愚息を根元まで吸い込み、まるでCTスキャンで輪切りにするように、じっくりと頭を前後させた。  
 
長門は楽しげだった。他人から見れば気付かないようなほんのちょっとした表情の動き。  
だがそれは、コンピ研との勝負でパソコンを覚えたとき以上の高揚感に満ちた顔だった。  
面白い本だとほんの少しだけページをめくる速度が上がるように、それでいて読み終えてしまうのが惜しいような、高揚と愛惜が入り混ざった表情。  
 
息子をゆっくりと味わっていた長門は、いったん動きを止め、許可を求めるように上目遣いで見上げてきた。  
俺がその小さな頭を優しく撫でると、長門は俺のものを咥えながら、一瞬消失世界を髣髴とさせる儚げな微笑を浮かべて、ゆっくりと目を閉じた。  
 
急に速くなる頭の振り。これまで遠慮がちに静々としゃぶっていた長門は、ジュポジュポといやらしい音を立てながら、  
高速呪文を唱える時の舌の動きと、背骨の骨髄すら吸い上げるような強烈なバキュームで攻め立ててきた。  
一気にレッドゾーンを振り切る耐精感。息子を押さえつけるようにしごき上げる長門の歯茎が、奇跡的なぬめりと硬度を保ちつつ、  
チューブから歯磨き粉を搾り出すように、俺の精巣から情報子の放出を促す。  
宇宙的存在の本気の攻撃に、普通の有機生命体たる俺が堪えられるわけがない。  
今まで見たこともないような潤んだ上目使いで射精を促す長門に対し、俺はこれまでの感謝も込めて、今の俺のすべてを放出した。  
 
突き上げるような幸福感と征服感。  
重イオンビーム砲のように加速された精子のひとつひとつをその小さな口に受け止めた長門は、  
まどろむ子猫のような表情で俺のスペルマを一旦口に溜めては、コクリコクリと喉を鳴らしていった。  
永遠とも思える放精の瞬間が過ぎると、長門は俺の有機情報体を多量に含んだ生臭い液体を、ソムリエがワインを味わうように舌で転がしながら、ゆっくりと飲み下してった。  
そして最後に口の周りに溢れたスペルマをぺろりと舐め上げた長門は、誰が見てもわかるくらいに幸せそうな微笑を浮かべていた。  
 
あのー長門さん?一滴でもこぼせば勝ちだったことは覚えてらっしゃいますか?  
「うかつ」  
おい。そのニヤリとした笑顔はなんなんだ長門。  
お前の感情が豊かになるのは喜ばしいことだが、これがお前の親玉の望む結果とは思えないぞ。  
「私は私。情報統合思念体は関係ない。それにたとえ処分を受けようとも、今の充足感に勝るものはない」  
長門は力強い微笑を浮かべたまま、きっぱりと宣言した。やれやれ。4歳児なら反抗期も当然か。  
さぞかし親父さんは嘆いているだろうが、こんなに誇らしげな長門を見たら何も言えなくなっちまう。  
まぁ仕方がないな。いざとなったらいつかの約束どおり、ハルヒをけしかけるとするさ。  
 
コクンと頷いた長門は、自分の番を今か今かと待ち構えている朝比奈さんに何事かをごにょごにょと耳打ちした。  
いぶかしげに小首をかしげていた朝比奈さんだが、長門の忠告の意味を理解したらしく、パッと顔を輝かせる。  
「任せてくださいっ!必ずやご期待に沿ってみせます!!!」  
 
さーてと、最後の朝比奈さんはパイズリらしいからな。必然的にどんなに頑張ったって外にこぼれるだろう。  
やれやれ、ようやくこれでゲームオーバーだ。  
まぁ成り行きとはいえ、北高の至宝をこの目に拝めるんだから、こればかりはハルヒの気まぐれに感謝したい気分だぜ。  
 
長門とバトンタッチした朝比奈さんが俺の足元にひざまずき、ぺろんとセーラー服を捲り上げた。  
その下から現れたのは、まさに完璧なる母性の象徴であり、雄大なる大地を思わせる高くそそり立った二双のエベレストであった。  
その究極のアールを描く美しさに目が点になり、脳の奥の奥までこの絶景を刻み付けんと、視覚スキャンをフル動員する。  
ゆったりとした呼吸に合わせてフルフルと蠢くその物体は、処女雪を思わせる清廉なる慎ましさと、相反するように男を誘う淫靡さに満ちていた。  
こ、これが、夢にまで見た朝比奈さんのおっぱいか!!!!!  
想像していたよりも、さらにすさまじい量感に思わず手が伸び、遠慮することすら忘れてぐっと指をめり込ませる。  
「きゃふぁん!」  
朝比奈さんの悲鳴に我に返ると、俺の10本の指がすべて、北高男子の憧れの的にめり込んでいた。  
「すすすすいません。あんまりにも綺麗なもんで、つい!」  
平謝りな俺を見て、朝比奈さんは慈愛に満ちた微笑を浮かべてくれた。  
「今日からこれはキョン君にあげちゃいます。だから好きなだけめちゃくちゃにしてくれていいですよ」  
少しかすれた甘い声。それは天上の神々すら垂涎する究極の誘惑だった。  
よく考えれば無茶な申し出だが、考えるまでもなくこれを断るほど俺はできた人間ではない。  
蜜に誘われる虫のように、俺は朝比奈さんの、を改め、たった今自分の所有物となった巨大で完璧なおっぱいを改めてむんずっと掴み、  
欲望の赴くままに、揉み、引っ張り、潰し、そして舐めまわした。  
 
暴力的なまでの存在感を放つ母性の象徴が俺の指によって醜くひしゃげるたびに、朝比奈さんの瞳には恍惚とした光が浮かび、すぐに思い返したように打ち消された。  
それは嫌悪や拒絶ではなく、何かの力で湧き上がる欲望を無理やり押さえつけているようだった。  
たぶん俺に快感を与えられてしまうのは禁則なんだろう。  
その使命感と健気さに感動するとともに、どうしても朝比奈さんのすべてを白日の下にさらけ出したいという根源的な欲求がつきあがる。  
いったん冷静になった俺は、朝比奈さんに掛かる禁則を破るべく、やんわりと乳房を揉みながら、じっくり観察を続けた。  
こういう揉み方なら、朝比奈さんも余裕を持って楽しめているようだ。ということは、激しくすると禁則が掛かるってことか。  
さらにこの巨大な乳に隠された弱点を探るべく、小さく控えめで、少し陥没気味な乳首を軽くつまみ上げると、朝比奈さんがビクリと跳ねた。  
それは胸乳全体を揉むのとは違った急激な変化だった。もしかするとこれが朝比奈さんのスイッチか?  
俺はとりあえず朝比奈さんのまだ勃ちきっていない淡い桜色の乳首を親指と人差し指で挟んで、ほじくり出してみることにした。  
クリクリと刺激するたびに朝比奈さんがビクビクと反応する。  
 
「ひゃんっ!キョンくん、そ、それは、ら、らめれすぅ〜」  
言葉では拒絶しつつも、舌足らずの甘い声を上げながら、俺の指をめり込ませるように胸を押しだす朝比奈さん。アイコンタクトが乳首攻めが正解だと教えてくれる。  
調子に乗って更にコリコリと責め続けると、淡桜色の控えめな乳首が徐々に勃ちあがるとともに、その先端からジワジワと液体が溢れてきた。  
もしかしてミルクか!?朝比奈さんに一旦立ってもらって、俺はそのえもいわれぬ香気を立ち昇らせる液体をぺろりと舐めてみた。  
甘い!!上品な和菓子のようなサラリとした甘味。それでいて凝縮されて濃厚な旨味。しかし決して厭きることのない爽やかな後味。  
たまらず朝比奈さんの両乳首を口に含んだ俺が、両乳を交互に搾りあげると、みくるミルクは尽きることなく湧き上がり、ビロードの喉ごしで俺の体内に吸収されていった。  
一口ごとに積もりに積もった疲労や心労が減少していき、愚息が初めてエロ本を見たときのように、グンと反り上がる。  
朝比奈汁は、まさに万能の霊薬であり、同時に最高級の媚薬だった。  
 
「あっんっ、ぁはんっあっぁっんっ、キョ、キョンくんっ」  
朝比奈さんは乳を揉みしだかれるたびにピクンピクンと反応しながら、俺の頭をぎゅっと魔乳に包み込むように抱きかかえてくれた。  
乳首を咥えながらも完全に谷間に没入する俺の頭。360°朝比奈乳の世界。それはまさに、この世の桃源郷だった。  
 
そのあまりの気持ちよさに、俺の中で何かが音を立てて崩れた。  
もっとこの乳を味わいつくしたい。  
心の底から湧きあがるドロドロとした欲望に身を任せるように、谷間から顔を上げた俺は、再び朝比奈さんをひざまずかせた。  
そして、両手で筒を掴むように右の乳を固定し、今にもはちきれんばかりに勃起した息子をその桜色の乳首に向かってねじ込んだ。  
両手に余る大きさでなければ不可能な水平方向の乳首への陵辱。人類の至宝を鷲掴みにしながら一気に最深部まで突き入れると、  
朝比奈さんの母性の象徴は、雌穴への挿入に勝るとも劣らない圧迫感をもって愚息を包み込んだ。  
モノを完全にめり込ませた朝比奈さんの乳肉は、ふんわりとマシュマロよりも柔らかく、それでいて弾き返すような弾力を持っていた。  
さらに、突き入れるたびに硬くなる乳首が尿道を直に刺激し、噴き出すみくるミルクが粘膜を通して直接息子に刷り込まれていく。  
精を放とうにも射精感を遥かに上回る強烈な刺激が絶頂に待ったを掛け、塞き止められた欲望が脳髄を真っ赤に燃え上がらせる。  
更なる快楽を求めて細胞の一つ一つを隅々まで味わうように魔乳を陵辱していると、朝比奈さんの小柄な体が釣り上げられた魚のようにビクビクと跳ね始めた。  
あと一息だ。俺は右の乳首に愚息を突きたてるたびにブルンブルンと暴力的に揺れる左乳の天頂を摘むと、さも当然のように時計回りにグリッとねじり上げた。  
 
「ひゃーーーーん!!!」  
白い喉を震わせてピンと弓なりになった朝比奈さんが崩れ落ちるように力を抜いた。  
慌てて抱き起こすと、荒い息をつきながらぐったりとした朝比奈さんの瞳からは理性が完全に失われ、恍惚とした淫靡な光に満たされていた。  
「ふふふ。禁則が……解けちゃいましたぁ〜」  
我に返った朝比奈さんは、これまでの恥ずかしげな表情とはうって変わって、まるで淫乱な娼婦のような気だるい微笑を浮かべながら、俺に抱きついてきた。  
「うふふふふ。責任は取ってもらいますよ、キョンくん!」  
耳元でささやかれる甘く楽しそうな声。重圧から解き放たれた朝比奈さんは、乳首を完全に勃たせ、トロトロと乳汁を垂れ流しながら、深遠なる谷間に愚息を挟み込んだ。  
 
谷間に完全に隠れてしまう情けなきわが息子にちょっとショックを受けつつも、圧倒的な乳圧と蕩けるような感触に、背骨がくにゃくにゃと砕ける。  
まさにパラダイス。朝比奈さんは見るものすべてを恋に落としそうな笑顔を浮かべたまま、一気に擦り上げるピッチを上げた。  
乳肉が愚息の形に合わせて変形し、1ミリの隙間もなく蕩けるような柔らかさがカリ裏から玉袋までを包み込む。  
皮オナニーでも味わえないような密着感。しかしながら突き放すような弾力。  
さらに棒を溶かしてしまうようなミルクローションの滑りと粘膜から直で吸収される強烈な媚薬。  
背骨を鷲づかみにされるような快感になんとか耐える俺に答えるように、朝比奈さんは持てるすべてのテクニックを駆使して愚息をこすり上げていった。  
ふんわりと柔らかい両乳が交互に息子の左右を擦り、それに抵抗すべく力を込める腹筋に、コリコリとした乳首が絶妙な刺激を送る。  
圧倒的な量感を発揮する乳と、あどけない表情で一生懸命に奉仕する顔のギャップに、俺の理性はたちまち降参を決めた。  
母性の象徴を犯す背徳感と、母性の象徴にすべてを受け止めもらう充実感に包まれた俺は、叫び声を上げながら、その完璧なる乳塊に粘液を噴出させていた。  
まるで胎内に注ぎ込むような満足感。  
しかし行き場を失った奔流は谷間を暴れまわりながら、押さえつけられた蛇口のように上に向けて飛び出し、朝比奈さんの嬉しそうな笑顔をドロドロと白く染め上げていった。  
 
俺のスペルマを顔一面に貼り付けた朝比奈さんは、呼吸を忘れるほど美しかった。  
あどけない童顔の上をヌルヌルと流れる汚らわしい液体が逆に優雅さと高貴さを際立たせ、  
清楚で凛とした美貌に浮かんだアルカイックスマイルは、全てを許し包み込むような優しさを湛えている。  
卵型のほっそりした顎からネバネバと糸を引いて流れ落ちる白濁汁をその深遠なる胸の谷間で受け止めた朝比奈さんは、  
慈愛にみちた微笑みを浮かべたまま、三々九度の杯を干すように、自らの谷間に溜まった俺の子種汁を美味しそうにすすり上げた。  
 
胸に溢れた白濁液を一滴残らず舐めとった北高の女神は、天使の清らかさと淫魔のいやらしさを兼ね備えた笑顔のまま、嬉しそうに周囲に声を掛けた。  
「見てのとおり残念ながら私も記録ゼロみたいです!困りましたぁ〜。これは引き分けですかぁ〜?」  
トロンと熱に浮かされたような瞳で、全然困っていない表情でクスクスと笑う朝比奈さん。  
「おうさっ、全員が記録なしじゃ仕方ないねっ!でわでわっ第2ラウンド行ってみよっか〜!!」  
鶴屋さんの一声で、我に返った俺は、事態が何一つ動いてないこと気付かされた。  
ちょ、ちょっと待ってください、第2ラウンドっていったい?  
「公平な裁判長役は終わりだかんねっ、今度はあたしも思いっきり参戦させてもらうにょろ!」  
「いいわ鶴屋さん、受けて立ってあげる。SOS団の真の実力者を決めようじゃないの!」  
「わ、私だって負けませんよ〜!」  
「勝つのは私」  
ライバルを見詰め合う団員達の瞳は楽しげで、活き活きと輝いていた。ってお前ら、延々発射し続ける俺の身にもなれー!!!!  
 
 
助けを求めて部室の隅に目をやると、そこには苦笑しつつも、なかなか見事なイチモツに2-5カルテットの舌を這わせたスマイル野郎がいた。  
えーと……まぁ、みんなが楽しいなら、このバカエロ世界も悪くない……か?  
キラキラと輝く笑顔で嬉しそうにジリジリとにじり寄るSOS団の面々。  
あきらめの境地に達した俺は、太平洋のような大きな気持ちで、すがりついてきた4人娘の頭をくしゃくしゃとなでた。  
 
途端に予想外の反応が飛んでくる。  
「こんっのエロキョーーーーーン!!!」  
「うっはー!めがっさ照れちまうにょろー!!!」  
「きょきょキョンくん不潔でふゅーーー!!!」  
「………………あ」  
 
いい角度で入った顎への掌底、側頭部への肘うち、全体重を乗せるようなボディーブロー、を一度に食らった俺は、  
ブラックアウトしていく瞬間、当初の疑問を改めて思い浮かべていた。  
 
やれやれ、身体的接触は挨拶じゃなかったのか、長門?  
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
おわり  
 

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