さて、ある晴れた日の事だ。
珍しくも休日なのにいつもの集まりが無く、
俺は何となく起きてしまったはいいが、やる事も無かったので、家でゴロゴロもせずに
駅前の本屋まで歩いて行っていた。
空では太陽と雲が仲良くまじっている。
うむ。実にいい天気だ。
今ごろシャミセンが家で妹と言う名の音波兵器を相手にしながらひなたぼっこしてるだろう。
まぁそこはさておき、とりあえず俺は新学期も近いので赤ペンやら消しゴムやらノートやらを
ろくに使わないのに知らず知らずの内に消費してしまっているので補充し、ついでにマンガでも立ち読みしてこよう
という魂胆で売れない作家のように徘徊している。
閑古鳥が鳴いてる文房具屋に入った俺は試し書きの紙を2、3枚と本屋が開くまでの時間を潰し、
赤ペンと黒マジックと修正液を買って店を後にした。
文房具屋から本屋は300mぐらいあるのでゆったり歩いていた俺なのだが、ここで俺はある事に気付いた。
『もしかしてさっきから後ろにいる人に俺はつけられてる?』
そう思った途端に軽く冷や汗が出かけた。
さて、どうするか?
某カードのCMじゃあるまいが、どうする?俺?
畜生。向こうの…橘だっけ?の組織なのか?だとすれば捕まったら恐らく終わりだな。
考えてる内にとうとう追いつかれ、影が交わった時に俺は心臓が本当に止まるかと思った。
「おっと動かないで。キミは一体どこに行こうとしているのかな?」
おいおい、本屋ぐらい平和に行かせろよ、と突っ込める程俺もバカじゃない。
「家に帰るとこですよ。」
とりあえずそう答えておき、
冷や汗を垂らしながら全方位からナイフでも来たらどうしようかとか考えてる内に
いきなり、生暖かい何かが俺のうなじをなで上げた。
そして俺が驚いてる間に犯人は俺の耳元で囁いた。
「これは嘘をついている味だね。キョン。」
おい佐々木。お前いつの間に第5部読んだんだ。