「それが…おれの精通体験だ。こんなので参考になったか?」
「なった。思春期の青少年の精通体験についての知見は今後文学作品を読む上でたいへん参考になる」
そういう長門は黒曜石みたいな瞳を俺に向けながら次の質問をしてくる。
「では、あなたの最近の自慰行為中の妄想内容について聞かせて欲しい」
「ちょ、ちょっとまて長門! なんだそれは」
「文字通りの内容。あなたが毎晩自慰に及ぶ際にどのような性的妄想を――」
「待て!待て長門!お前まさか俺の部屋を――」
「違う。私はあなたのプライバシーを尊重している。あなたの生命に危機が生じない限り
映像的音声的にあなたとその周囲の状況を直接モニターすることはない」
長門のその瞳の色が真摯なそれに変わる。
覗きをしているのかと疑われたのがよっぽどショックだったのだろう。
それにしてもその質問内容はどうかと思うけどな。
「そうか。スマン長門。疑っちまって。お前は俺のことを守ってくれてるのだものな」
そう言うと長門の頭を軽くなでてやる。掌に感じる無造作ヘアの髪の柔らかさは気持ちがいい。
どこかうっとりしたような目で俺を見上げてくる長門。こうしてみると、コイツも――
「――それであなたの自慰行為についての質問の答えは?」
かわいくない。
女の子がそんなこと言っちゃいけません。
長門は俺の体にぴったりとくっついている。
「あなたは女性の胸部に一方ならぬ興味を抱いていると想定される」
いや、まあ、そのそれはアレだ。おっぱいが嫌いな男はいないだろ。
「朝比奈みくるの乳房にたいする注視時間がそれを証明している」
そんなにみてるか、俺?
「みている」
そうか、見てるのか。
「そう。あなたはおそらく脳内で裸の状態の朝比奈みくるを想像して毎晩自慰に及んでいるものと思われる」
「な、長門? お前どこを触って?」
長門の小さな掌がズボンの上から俺のマイ・バズーカを撫でている。
「あなたはその乳房に顔を埋めあるいはその乳房で男根を挟み込まれる映像を想像しながら―――」
長門の小さな掌が硬化したペニスを撫でている。いつの間にかチャックを開けられ、素の状態で。
続かない