そんな彼の真摯さに、純情乙女の心臓は爆発寸前さ。
もし、この場所に僕と君以外の人間がいなかったのなら、今すぐにでもその手を取って求婚しているぐらいなのだが。
「お前、さっきからなにブツブツ言ってんだ」
おっと、いけない。どうやら自覚しないままに声に出してしまっていたらしい。
もし聞こえてしまっていたなら、今のことは君と僕との間"だけ"の、ささやかな秘密ということにしておいてくれ。
「アホか。なにが二人だけの秘密か。
そんな秘密は、そこに突っ立っているニヤけ面の顔面筋肉構成と同じぐらいどうでもいい。
どうでも古泉じゃ、ますますもってオセロの相手にはならんだろうから、さっさと一局付き合ってくれ」
なんとこれは、"付き合う"とは。
この蜂蜜のように甘く溶ける福音のような言葉を、もう少し違う状況で聞ける機会があるというのなら、
僕の脳髄はアフリカにおけるイギリス軍前線並の勢いで、桜色の電撃戦を繰り広げてしまうのは確実だ。
この素晴らしい感情を端的に例えるなら、脳が桜色に染まってしまうということなのだが―――
「 と っ と と 座 れ 」
「もちろんだとも、キョン。君の誘いならば、僕は謹んで……ゴホン……お付き合いをさせていただくとも」
年頃の女子高生として、"付き合う"という単語に過剰反応してしまうのはいた仕方がない。
………そうだろう?理解しておくれよ。
「??? わたし、どこかで似たような光景を見た記憶があるんですけど」
「……両者の思考波長の一部は極めて酷似している」
「自分がこういうのもなんですが……お似合い以外の何物にも見えませんね。
この場に彼女がいないのは幸運ですが………果たして、これからどうなるのでしょうか」