「偶然近くまで来たから遊んであげる」と朝っぱらから遊園地に引きずられて、
「別にデートなんかじゃないわよ」と観覧車でぐるぐる回され、
「疲れたから休むわよ」と近くの安ホテルに連れ込まれ、
「この部屋ちょっと暑いんじゃないの?」とエメラルドブルーの下着を見せつけられ、
「いっぺんやってみたいだけなんだから」とベッドに押し倒され、
「泣いてなんかない!」と腕の中でしゃくり上げられ、
「誤解すんじゃないわよ。あんたのことなんて何とも思っちゃいないから!」とアウトするとき叫ばれ、
「あんたとなんて過ごすんじゃなかった」と駅で別れ際に言われ、
「あたしはあんたなんて大っ嫌いなんだからね!」と夜、わざわざ電話で言われた。
わかったわかった。話があるなら明日にしろよ。もう12時過ぎてるぞ。
「※○★ ̄□T;▽×ちょ、ちょっと何でそれ早く言わないのよバカ!」
ガチャン、ツーツー……こんな音はしないんだけどな。
やれやれ。
翌朝。たいへんたいへんー、火星人が攻めてきたよー、と妹の叫ぶ声に目が覚める。こら、嘘つくんじゃありません。
「何言ってるの、今週はエイプリルフール週間だよ?」
おいおい。慣習的詐欺公認日を一週間に延ばすなんて法案、どの省が出して、誰の内閣が決めて、いつ発効したんだ?
思い出そうとしているとき、携帯が鳴った。