「明日はお花見よっ!集合は九時にいつものとこ!」
言うだけ言って、電話は唐突に切れた。
まったくマイペースなヤツだ、前の晩に言うだけマシか。
年度末最後に聞いた声がハルヒかよ、とうとうこの一年は全部持ってかれちまったな…。
という訳で俺たちは今、花見の宴の真っ最中である。
いつものSOS団員五人に加えて、名誉顧問・鶴屋さんにうちの妹までオマケについた
にぎやかな席は、文句なしに楽しい。朝比奈さんとハルヒの作った弁当は美味いしな。
長門、花見にまでカレー持って来るのはどうかと思うぞ。いや、食うからそんな顔するな。
「さぁ、今日を指定した意味は分かってるわねっ?ではSOS団恒例・ホラ吹き大会〜!」
無駄に楽しそうだなハルヒ。昨晩いきなりの電話は、そういうことかい。
でもな、ホラと前置きしてやったら四月馬鹿にならんだろ?
「いーのよ、こういうイベントは大事なんだから!じゃあ古泉君から!」
「えぇ、実は僕、超能力者でして…」
「アウト!何それ、映画で使った設定そのまんまじゃない」
「えとえと、じゃあ私は未来からやって来ましたぁ」
「私は魔法を使う宇宙人、年はもうすぐ四歳」
「何なのよ、みんなしてもうー!」
「あっはっはっは!それよりハルにゃん、キョン君がみくるの作ったおかずばっかり
食べてるのはいいのかい?」
「何ですってぇぇぇぇ、こーらエロキョン!」
「鶴屋さん何てこと言うんです!ちゃんと均等に食べてますよ!」
「と、こんな具合にやるもんさっ。ハルにゃん、キョン君のこととなると食いつきいいねー」
「なっ……!べ、べつにこんなやつのことなんかっ、あたしは何とも」
「古泉君、こりゃ優勝者は決まったんじゃないかいっ?」
「はい、そのとおりかと」
古泉、お前が何を言いたいのか、俺にはさっぱりわからん。
「あっ、二位はキョン君だねっ!」