ネイキッド・新川  
 
 古泉の企画したふざけた殺人事件もどきも幕を下ろし、  
後は帰るだけのハズだったのだが…嵐は元気ハツラツ、発情したみたいにその猛威をふるい続けていた。  
「いやあ〜、困りましたね、これも涼宮さんが望んだことなんでしょうか」  
 しらん。  
「食料が底をついてしまいました」  
 え  
「この嵐では船を出すことができません」  
 え  
 これはピンチかもしれんね。  
けっこうのん気してた俺も少し焦りはじめていた。  
「しかたありませんな、動植物をキャプチャーしてきましょう、皆様はここでお待ちください」  
 渋い声でサバイバルな発言をするのは新川さんだった。  
動植物をキャプチャーだって?そんなセリフ、日常じゃまず使わないぜ。  
「さすが新川さんですね、そこにシビれる!あこがれるゥ!」  
 いかん、古泉が限界のようだ。新川さん、一刻も早くお願いします。  
「まかせてください」  
 そう言う新川さんの手には…げっ!狙撃銃が…  
昨今の執事は銃も扱えるらしい。  
「鉄橋にセットした爆弾ぐらいなら百発百中ですぞ」  
 自信マンマンに言うからには、やったことあるんだろうな…どんなシチュエーションだよ…。  
そんなサバイバルな執事を見送って、さて、俺たちはなにをすればいいのだろうか。  
「では僕は建物の中を探索してきます、カロリーメイトか即席ラーメンがあるかもしれません」  
 なんでそのふたつ限定なんだ…。まあ疲れてるみたいだからつっこまないでおくか。  
とりあえず部屋にいるハルヒたちと合流して新川さんの意外な一面を教えてやろう。  
「新川さんってサバイバルなのね!そこにシビれる!あこがれるゥ!」  
 古泉と同じリアクションをするなーッ!!  
 
 ややあって新川さんが帰還してきた。  
キノコなどの山菜がほとんどだったが、ウサギや…マジかよ…  
蛇も何匹かキャプチャーしてきたようだった。  
「うまいですぞ!」  
 そんなさわやかな笑顔で言われても…。  
「新川さん、やるわね…」  
「やあ、さすがですね!さすがですね!」  
 おい古泉、落ち着け。  
新川さんがキッチンでキャプチャーした動植物の調理をはじめるといい匂いがしてきた。  
思ったより期待できそうだ。  
「さあ、できましたぞ」  
 蛇は丸焼きで原形そのままだった…。まじすか…。  
しかし背に腹はかえられない…意を決して口に運ぶ。  
そして叫んだ。  
 
「うますぎるッ!!」  
 
俺は叫んだね、ああ叫んださ。  
 

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