一般的な高校生にとって大切な休息の時間、前半戦を乗り切りこれから始まるであろう後半戦とロスタイムに向けて、
様々なことを討議しあう重要なひと時。まぁ簡単に言えば昼休みは大切だと言うことなのだが。
「わざわざ呼び出してすみません」
まったくである。
こっちはあのデコボココンビと今後の指針についての大事なミーティングがあったというのに。
「それはとても興味深いですね、ぜひ一度同席させていただきたいものです」
「断る」
お決まりの肩をすくめるポーズをとりながら、残念ですね、なんて言ってやがる。
「そんなことより本題はなんだ」
昼休みも大事ではあるが、それ以上に俺の日々の安定のほうが大事である。
これ以上天上天下唯我独尊娘によって繰り広げられる非日常的であり、俺が右往左往するような事態にならないようにする必要がある。
そうは言ってみるが実際は疲弊レベルがほんのちょこっと下がるくらいなのだろうがそれが大事なことである。
「大丈夫です、今回は涼宮さん絡みの話ではありません」
ほう、それなら俺の心身は異常をきたす可能性が軽減されたな。
「で、じゃあ誰絡みの話なんだ?」
「僕自身があ「じゃあな古泉」
そう言いながら教室に帰らさせていただくことにする。
時間の無駄をしたものだ。
「まってください! あなたの意見をぜひ聞きたいのです」
えらく真剣だな。よほどの事なのだろうか、あのゼロ円スマイルが崩れかかっている。
そこそこまずいことにでもなっているのかね?
「少しぐらいなら付き合ってやるよ」
「ありがとうございます」
おーおー、ゼロ円スマイル復活だよ。安いねー、大安売りだ。
「では早速、あなたは2チャンネルという掲示板をご存知ですか?」
「次の不思議探索は朝比奈さんとが良いな」
「そこのあるエロパロ板の話なのですが」
聞いちゃいねぇっ!
「やっぱり帰らさせていただくことにする」
「僕はあなたの意見を聞きたいのです。どうかよろしくお願いします」
「……正気か?」
「えぇ、僕はほどほどに正気です」
困ったね、マジだよこいつ。そもそもあそこは18禁だろ?
「細かいことを気にしていては話が進みませんよ?」
進める気は不二家の営業再開を聞いたときくらいどうでも良いんだが
「僕はエロパロ板一の質と量を誇るある場所にSSを投下しているのですが」
なにっ!? あそこは住人の批判が激しく製作した側がションボリするようなところだぞっ!
そこに投下しているとはやるな、ある意味見直したぜ。
「あなたも良くご存知なんですね、これで話も進めやすいといったものです。では本題です。あなたはあそこの住人をどう思いますか?」
どう思うかなんていわれてもな、さっき言ったばっかりだろ。
「そうだと思いました。しかし、僕にはまた違った見方もあると思うんです」
なぜだろう、いつになく真面目な古泉なのだが話しの内容がかなりまずい。
まぁ普段の会話から考えるとまだ少しマシな気もするが一般人はドン引きだな。
「よく考えてみてください、様々な作品が投下されてみんなでそれを読み感想なり批評を書き込む。
ここで気を付けるべきポイントは批判でなく、批評ということです。そもそも投下する者の立場からしてみれば完璧な出来なわけです。
何日にも及ぶネタ作り、話の矛盾点、人称の区別、さらに書き終えてから何回も自分で読み直す。それで投下するわけです。
あそこの回転の速さから考えると半日足らずで反応が返ってきます。
その様々な書き込みを紐解いてみると十人十色の反応が返ってくる、それは中には批判もあります。
しかし大事なのは批評のほうです。自分では完璧だと思い投下する……でも実際は穴だらけの隙だらけなのです。
我々一人間の脳によって製作された作品には限界があります。そんな中必要になってくるのは他人の意見です。
投下した作品に良い感想が付くとついにやけてしまいます。
お恥ずかしいことに僕も初めての投下は緊張しましたよ、そして結果は酷いものでした。
内容矛盾、人称、設定、口癖、キャラクター……もう壊滅的なものでしたよ。初投下ですからもちろん小ネタですよ?
それなのに様々な反応が返ってきました。それで思うわけです。
次こそは完璧な作品を投下してやろう、批評してくれた人たちのコメントを参考にし、今回以上のものを書き上げよう。
そんな批評してくださった人々に支えられて今の僕がいるといっても過言ではありません」
……あぁ〜、どこから突っ込んだらいいのか分からないくらいの熱弁を披露してくれた。
だからどうしたというのかね? 俺にはどうしようもないのだが。
「だからあなたの意見をお聞かせください。僕の話を聞いてどのようにお考えですか?」
どうお考えですか、と言われてもな。どっちでもいい気がするような話だしな
「いいえ、結構です。言葉にしなくても僕にもあなたの考えていることが分かりますよ」