「書いて」
深遠たる宇宙のような瞳をこちらへと向けてくる。
「わたしと言う存在は他律状態にある。あなたの言う万能の力、それは確かに数多の事が実行可能。でも何を
すればいいのか、何をしていいのか。わたしはまだそれが理解できない。だからあなたに任せる。
わたしは、わたしが取るべき行動をあなたに記してもらいたい。そして──」
一度言葉を切り、ただじっと俺を見つめてくる。ただ先ほどと違うのは、その沈黙が支配する瞳の中に
ほんの僅かな、そう夜空を注意深く見つめていないと見落としそうなぐらい、淡い星の輝きを小さく点しており、
それはすなわち長門のある種の意思の現れでもあった。
「そして、何だ?」
俺はその星へとゆっくり降り立つと、その星にいた少女の姿を取る現地宇宙人からの貴重なるコミュニケートを
受けようと、言葉で手を差し延べてやった。
長門は一度だけ瞬きし、僅か数ミクロンの動きで首肯すると
「──そして可能なら、あなたと紡ぐような話を」