そういえばアーサー王と円卓の騎士で有名なエクスカリバーだが、もとはカリバーンという名刀で、  
一度真っ二つに折れてから小人だか妖精さんだかに打ちなおして貰ったことからEX−カリバーンと呼  
ばれ、これがエクスカリバーの語源になったとかなんとか……。  
 
 なぜこんなことを考えて気を逸らしているのかといえば、これは目の前で白い裸体をくねらせている  
貪欲なウロボロスことSOS団団長のせいというか、おかげというか……。  
 つまり現在の俺は孤軍奮闘の状態で自身の名剣だけを頼りに、涼宮ハルヒという名のほの暗く熱く湿っ  
たダンジョンで一進一退を繰り広げてるというわけだ。身を守るものといえばはなはだ頼りない薄いラ  
テックス製の鎧だけで、俺の断末魔と白い血飛沫を早く早くと急き立てるようにザワザワと蠢く魔物達  
の群れの中を掻き分けながら―――  
「んっ! そこ…それがイイの!」  
 まだ経験が少ない為か奥までの挿入はなかなかキツイらしく、最近のハルヒのお気に入りは入り口付  
近に浅く付き入れて、亀頭の出っ張りで粘膜を掻き出すようにゆっくりと抽送繰り返す行為だ。時々根  
元まで突き入れながら本能の赴くままに奥の扉を乱雑にノックしたい衝動には駆られるが、ハルヒの満  
足度と俺の持久力を両方を鑑みるとここは我慢の一択。苦痛に耐えて眉をしかめながら受け入れるハル  
ヒを眺めるのは俺の趣味じゃないしな。まぁ…一度は耐えて貰った訳だしな……反則的なまでに可愛かっ  
たなぁ……。  
 っと、いかんいかん、過去を振り返るには俺は若すぎるし、反芻して込み上げてくるものに耐えきる  
にも若すぎるので、現在の行為に没頭することにする。  
 大きく反応する部位を確かめながらゆったりと掘削を繰り返し、どの水脈に繋がっているのだろうか  
と馬鹿な疑問を抱きながら溢れ出す天然ハルヒ水を自慢のカリ・バーンで掻き出し、ダンジョン入り口  
の上部に配置されたピンクのドアノッカーに指を伸ばす。トントン。ごきげんよう、お加減はいかがで  
すか?  
「っわひゃ! あっ――くぅ!!」  
 どうしたんですか!? 大丈夫ですか!? トントントン。   
 正直に言おう。行為の最中のハルヒは可愛い。素直にそう思えるのが行為の最中だけとはいえ、自分  
の反応が恥ずかしいのか片手で顔を覆いながら、もう片方の指を噛んで嬌声を堪えるハルヒに劣情もて  
あます。  
 スタイル自慢ハルヒだけに、自身満万にさらけ出された裸身は今や羞恥と歓喜に朱に染まり、しっと  
りと艶やかに汗ばんだ肌の下、特に鳩尾から臍分、下腹部にかけては、皮膚の下に一体なにが潜んでい  
るのかと疑いたくなるようにうねり、くねらせていた。イブを騙してアダムを堕落させた蛇なのかもし  
れんね。成敗してくれる。こいつめこいつめ。えいえい。  
 
 
 ここで調子に乗ったのが、今回最大の失態だったんだろうな……。冷静に行為を致してたと自分では  
考えてたのだが、俺自身も経験が浅く、また普段よりもイイ反応を返すハルヒに注意が向きすぎていた  
んだと思う。行為がおざなりにならないよう集中しながらも、気を逸らすために妙なモノローグに力を  
分散させたせいかもしれないが……この事故はそんなとき起こったのだった。  
 
 伝説の秘宝であるピンクの真珠へのアタックを、千本ノックから占い師が水晶玉にするような妖しげ  
な指さばきでこねくり回し、慎ましげに手入れされた熱帯雨林が大きなうねりを見せた時、精一杯の愛  
情と茶さじ一杯分の嗜虐芯を込め、愛すべきビニール製の緩衝材、通称『プチプチ』の最後の一泡に対  
するように感謝と畏敬と細心の注意を持って俺の愛すべき小さなロゼッタストーンをきゅっと摘んだ。  
 
「ぅあぅっ! ―――っ!!」  
 
 それまでの行為で徐々にズレていたせいなのか、  
 はね上がるように背をそらして大きくのけぞったハルヒのせいなのか、  
 
「いくぞっ! ハルヒ!!」  
 
 最後の大波に乗るべく、ハルヒと言う名の歓喜の海の乗り出した俺が、ラストスパートよろしく深く  
突き入れたせいなのか、おそらくその凡てのカードが最悪のタイミングで揃ってしまったんだろう。交  
歓の濁流に飲み込まれ、潤み、呆けた瞳でどこか遠くを眺めるハルヒが背を、頭を下ろした場所はベッ  
ドの縁からかなり外れていた。  
 この高さなら頭から落ちても小さなタンコブをこさえるだけだろうさ。などと思い至ったのは随分後  
のこと。その時の俺の世界にはハルヒしか映っていなかったし、コイツを守るんだという矜持しか湧き  
上がってこなかった。まぁ、笑うなよ?  
 一大スペクタクルのクライマックスよろしく身を賭してでも! と衝撃からハルヒを守るべく背中と  
後頭部に腕を回し、  
「ハルヒ!!」  
 その叫びに意識を取り戻したであろうヒロインは背中に体重を支える物が無いことに一瞬恐慌したよ  
うに目を見開いたが、次の瞬間には逆に俺を守るんだといわんばかりに素早く腕を回してくると俺の頭  
をその胸に掻き抱いた。この辺はさすが団長様。とっさの判断力と行動力は頼もしいばかりだ。……が、  
ふさわしい持ち主に出会うために岩に突き刺さったままの聖剣までキュウキュウと強く抱き締められる  
のはさすがに埒外だった。もげるかと思ったね。カラクリ屋敷の釣り天井で人生に幕を下ろした盗人は  
こんな気分なのだろうなあ……。ぶっちゃけかなり痛い。  
 
 このままでは涼宮ハルヒという銘の俺専用――ここは断言しておこう――鞘から抜き払ったら一回り  
細身の剣になっていた、なんて事になりかねん。困るよね? お互い。ねぇ、ハルヒさん?   
 
 必死だった為か無駄に長いモノローグ披露するはめになったが、実際のところ落下は一瞬だった。当  
たり前か。俺のベッドの高さはマットを含めても40cmもないしな。永劫にも思えたクライマックスは  
不快な落下感を伴って瞬く間に終わりを告げたのだった。  
「つぅ…大丈夫か? ハルヒ」  
 あと、絞めつけ過ぎでちょっと痛いぞ? 口に出しては言えないんだが。  
 ハルヒはと言えば、まだ俺の頭を強く抱き締めながら息を整えている。密着してる分、下腹部のうね  
りがダイレクトに伝わってきた。  
「はぁ……ダイ…大丈夫……んっ!」  
 返事が遅れて少しばかり心配し始めた頃、息も絶え絶えにそう言った。言いながら少しの全身をフル  
フルと震わせていた。  
「んっ――……はぁ……。ちょっとびびったけど、なんだかすごく良かったわよ? キョンが支えてく  
 れた時、ああ、愛されてるんだって実感した!」  
 ハルヒは俺の頭に回していた腕を解くと、両手を俺の頬に添えてそっと持ち上げ、自分の唇へとぐっ  
と引き寄せた。さらば俺の主導権。またそのうちにな!  
 お互いの唇をついばみながら紅潮した頬、潤んだ瞳、そして100Wの笑顔眺める。それが一瞬ゆが  
み、「んっ!」をハルヒがまたも身を震わせると、ようやくマイ愚息がちゅるりと釈放された。「もう  
こんなトコ来るんじゃないぞ!」「へっへっ、またご厄介になると思いやんす」アホなコントが脳内で  
再生されてしまう。いかん、ニ回戦に挑むにも――正確には俺は達してないが、どうやらハルヒの方は  
満足できる高みに到達できたようで、なにやら達観した様子で息を整えている。俺のほうはと言えば、  
先ほどの桃色ギロチンハルヒホールドの影響でマイサンがヒリヒリというかピリピリと苦鳴を上げてい  
たので、少しばかりインターバルを求めているのだが――とりあえず一段落ついたということで愛を囁  
くべく「なんだかね!」モノローグを遮るなよハルヒ。  
「なんだかスッゴク良かったわ! 最後の、アレ! 落ちながらギュウって抱き締められた時、キョン  
のアレがグワワって大きくなった感じで、その瞬間体は落ちてるのに心がフワワって飛んでっちゃうよ  
うな! 例えるならピンク色のフラッシュに向かって羽ばたくイカロス!?」  
 気だるい午後のピロートークにしてはあけすけすぎるだろう? もうすこし慎みある語彙で表現した  
ほうが秘め事としては盛り上がるだろうに。それにだな、多分最後のは俺が、まあ、その…アレが大き  
くなったのではなく、お前がギュウギュウに絞めつけてきたから相対的に大きく感じたんじゃないか?  
 
「あんただって十分あけすけじゃない。そんなに……その、しま…絞め……うぅん!」  
「正直もげるかとおもったよ」  
「そ、そうなんだ? あたしもビックリしてたから意識してなかったんだけど、もうちょっとで『都市  
伝説の膣痙攣救急車搬送』になる所だったのかもねっ」  
 それは全力で遠慮したい。ご近所に顔向けできない人生は御免だし、妹が納得するまで説明を求めら  
れるかと思うとゾッとするね。  
「それで、あー、キョンは大丈夫だった?」  
 あぁ、ちょっと肘を打ったが痣になるほどでもないと思うぞ。  
「そうじゃなくて! ちゃんと気持ち良かった?」  
 そういうことか。なんて説明すればいいのかね。ちょっと最後のタイミングを逃してしまったのと、  
今だに愚息がピリピリと小さく痛みを嘆願し続けているわけで、再戦か和平かもう少し様子を見たいの  
だが……。  
「出た?」  
 いや、直接すぎです団長。  
 ここは正直に言っておくべきだろうな。俺が下手に遠慮することが、大体においてハルヒの逆鱗、は  
大げさにしても不愉快の琴線に触れること多々だしな。  
「ばっかねぇ〜。窮地の時こそ状況を楽しむのよ! 『英雄、色を好む』って言うでしょう。SOS団  
団員としては、落下の間に何度前後運動を行えるか試すくらいの胆力が欲しいところね!」  
 無茶言うなよ。40cm自由落下なんて、えぇと、コンマ数秒だろうが。  
「でもちょっと焦った表情も素敵だったわよ、キョン。大事にされてるって実感――」  
「うぐぅっ!!」  
 突然の激痛に堪え切れずうめく。痛てぇ・・・この痛みは?  
 珍しくウットリとした表情で賞賛とともにバードキスを繰り返したハルヒが、俺の悲鳴とビクリと手  
を止め、オズオズとその手の先にある本日のMVPへと目を向けた。  
「ちょっ! ちょっとキョン! こ、これ……大丈夫、なの?」  
 見なくても自分の体だ。どの部位が大変な事になってるのかは分かった。先ほどからヒリヒリピリピ  
リと警戒を発していたマイ聖剣が、秘め事の時だけ発揮されるハルヒの柔らかい所作で触れただけで、  
避難訓練の非常ベルよろしく最大級の警報を鳴らしだしたのだ。嫌な予感はしたのだが……恐る恐る視  
線を降ろすと、そこには無残にも『く』の字に折れ曲がった愚息の姿が! ……ちんこって折れるんだ  
ね。  
 
「だだ大丈夫? そそうだ! ちんこには骨とか軟骨とか無いから骨折はありえないらしいわよ!?」  
 長年連れ添った、まさに相棒だから骨が無いのは知っているが……。とりあえず触らなければ耐えら  
れない痛みではないらしい。  
「たしかまさに綿状の海綿体って血管や神経が筒状になってるから無理に捻ったり曲げると捻挫に似た  
症状を引き起こすらしいわ!」  
 同じようなボケ方をするな。で、これってヤバいのかな?  
「う〜ん、尿道が傷ついてなければソコソコ大丈夫って書いてあったけど、血尿が出るようだと病院に  
急げって載ってたはず……」  
 ソコソコって……血尿って……。にしても詳しいなハルヒ? ふぅ、痛みに驚いて愚息があどけなさ  
を取り戻してきたら痛みも大分引いてきたようだ。  
「だから行為の最中に体位を変える時、変に負担がかかるときは、どんなに盛り上がっていても一度抜  
いてから改めて挿入するよう心がけるべし。って! 違うわよ!! 借りた、そう借りた本を何気なく  
読んでいたら書いてあったことがなんとなく頭に残っていただけで、団長としては一見無駄に思える知  
識でもいつか役に立つかもしれないから忘れるわけにもいかなくて、決して変な書籍を愛読しているよ  
うなことなど――」  
 いいから落ち着け。まず落ち着けハルヒ。とりあえず触らなければ耐えられない痛みじゃないし、ハ  
ルヒ知識のおかげで慌てて病院に駆け込まなくても済むかもしれないしな。とりあえず少し様子を見て  
みるさ。にしてもドコからそんな本を買って、じゃない借りてくるんだか。  
「それは! みく――ん、ゴホン。女の子には独自の情報網があるのよ! 誰かは言えないけど、あん  
な可愛い顔しててもお年頃だし胸もアレなだけあってもう知識だけはスッゴイのよ!」  
 それは……ほとんど特定してるようなもんじゃないのか? 変な妄想が頭を掠めてしまうじゃないか。  
くそっ! 海綿体が海援隊並に痛みでもって自己主張してきやがるからこの話題は勘弁してくれ。あと  
ハルヒ、ジト目で俺の顔と折れた魔剣を睨むのは止めてくれ。どんなプレイだ?  
「エロキョン! シャワー借りてくるわね!!」  
 いつものテンションにいち早く回帰したハルヒはベッドのシーツを体に巻きつけると、床に散乱した  
大まかな衣服と、バックから新しい下着を手に部屋から出て行った。さらば俺の可愛げのあるハルヒ。  
またそのうちにな! これはさっきも言ったっけか?  
 と、油断してたら、ドアの向こうからハルヒが顔を出していた。  
「シーツは洗濯機回しておくから、換気とか後始末はしっかりお願いね。妹ちゃん、ああ見えてあんた  
に似ず鋭いところがありそうだから。……なに目を逸らしてんのよ?」  
「なぁハルヒ。恥ずかしそうにシーツに絡まりながら上目遣いでお願いするのは反則だろう? 今は心  
の平静を保ちたいんだが」  
 
 真白いシーツ――所々行為の残滓が残ってはいたが――との対比のせいかハルヒの顔が一瞬で赤くなっ  
たのがハッキリと分かった。…だから可愛げのある様子をあまり見せないでくれよと念じていたら、な  
にか思いついたのが一目で分かるようにニカッっと笑い、  
「もぉ! エロキョン!!」  
 先ほどとは違った艶のある口調で罵倒し、何故かその場でクルリと――うっ、クソ、わざとか……。  
シーツを若干ずらし、チラリズムを効果的に発揮しながら階下へと降りていった。俺の苦鳴が聞こえた  
のか、悪の女幹部の如く満足げな笑い声が響いている。どうやっても可憐なヒロインには向かないが、  
そんな所にも惚れたのさとウソ吹きながら、役目を全うすることなく使用済みとなった薄い皮膜製の鎧  
を、抜群の悲壮感を漂わせながらうなだれている愚息から取り除いてやった。うむ、縮んでもホンノリ  
『く』の字だな……。  
 タオルで汗や天然ハルヒ水を拭い――一部はかなり細心の注意を払いつつおざなりに、だが――、ベッ  
ドのマットで目立つ染みをポンポンと叩き拭うと、簡単に服を纏い窓を開けて新鮮な空気を存分に吸い  
込んだ。  
 願わくば、そう、新しい季節を感じさせる鮮烈な風を浴びながら、俺は一つのことを願っていた。  
 
「どうか血尿が出ませんように……」  
 
 
 
「というわけで、恥を忍んでお願いしたいのだが……分かってもらえるだろうか? 長門……?」  
 
 昨日の事故の後、シャワーを済ませたハルヒは俺に絶対安静を言い渡し、送ってもらうわけにはいか  
ないでしょう? ということで明るい内に帰宅することとなった。当初の予定ではもう少しゆっくりと  
二人の時間を過ごし、またのんびりと余韻に浸りながら家まで送り届ける予定だった俺としては恐縮し  
きりだったのだが、まだ歩く度に発する痛みに顔をゆがませていたわけで、ハルヒの気遣いに感謝しな  
がら送り出した。  
「いいのよ。それにもうソレはあたしのモノなんだから大事にするのは当たり前でしょ? 今日はシッ  
カリと休むこと。痛みがひどい様だったら病院に行くこと。そして」  
 玄関の扉の陰に隠れるように、そっと顔を差し入れてほんの少しだけキツめのキスをしながら、  
「次までに完治しておくこと! まだまだ頑張ってもらわないとねっ!」  
 ニヤリッとしか表現できない笑顔で、それじゃあ! と帰っていった。俺の窮状を察していながら、  
なぜ俺のツボを刺激するかね。いてて。  
 
 その後は、痛みこそあるものどうにか血尿だけは免れ翌日、つまり今日になったわけだ。  
 最初は歩くたびに少し痛みを覚えていたのだが、痛みを感じると萎縮し、萎縮してるお陰で痛みを和  
らぐといった、良く出来ているのか謎な循環を経て地獄のハイキングコースを乗り切ったのだった。  
 
 登校時の儀式でもあるハルヒとの挨拶をかわし、席に着いたところで小声で「大丈夫だった?」と聞  
かれたが、あまり心配をかけるわけにもいかないので「まあ、なんとかな」と無難に返したまでは良かっ  
たのだが、2〜3時限の休憩時間に空気を読まないことにかけて右に出るもののいない某谷口が、女子  
の白んだ視線にも気付かずちょっとした下ネタの爆走を始めたのだ。俺は、「あぁ、バカなんだなぁ」と  
軽く聞き流していたのだが、過剰反応したのが背後霊、失礼、守護霊ハルヒだ。  
「今日はキョンに猥談禁し――むぐっ!」  
 なんでもないなんでもない! と谷口国木田ペアに誤魔化しながら、ハルヒの口を右手で押さえつつ  
自分の席に座らせた。  
 今日を乗り切れば痛みもなんとかなるだろうと楽観的に考えていた俺だったのだが、そんな考えをあ  
ざ笑うかのように地獄の一丁目行きと書かれたバスが目の前に停車した。ハルヒの口を押さえていた右  
掌に熱い違和感が! 思えばコレが乗車券だったのだろう。終点までの片道切符だ。そう手に隠れたそ  
の中でハルヒの舌技が光る! ペロリ、なんて可愛い冗談じゃなく、チロチロと小刻みに舐ったかと思  
えば、指と指の付け根の隙間を貫通しようかと鋭く舌を突き入れてきたのだ!  
 一瞬の硬直。慌てて手を離したんだが、当のハルヒは素早く舌を収納するとニヤリと笑い窓の外へと  
そっぽを向き、あまつさえ惚けた拍子で口笛を吹く真似までしてやがる。  
まわりの目があったせいで派手に手を拭えず、何事もなかったように国木田達に向き直ったが、この時  
点でバスは俺を飲み込んで出発してしまったわけだ。  
 程なくして授業が始まり、シャーペンを持ったままこめかみを書いた時に気付いた。否、気付いてし  
まった。  
 最初は、なんと言うか、綺麗に言うなら右手に残ったハルヒの残り香だった。そこからは先日の生々  
しい唾液に香りに、先ほどの舌の動き、先日のカーテン越しの薄明かりの中で身をくねらせるハルヒ。  
先ほどの笑顔に、先日の、俺だけが見ることの出来るハルヒの蕩けた―――っ!! やばい! やばい  
やばい! ここが俺だけの閉鎖空間なら叫んでいたかもしれん。もしくは例の巨人と共に破壊活動にい  
そしんだかもだ。そうだよ! 痛いんだよナニが!  
 小康状態を保っていたはずが、遠くから聞こえる消防車のサイレンにワクワクする不謹慎な少年のよ  
うにそわそわしだし、今では実は自分の家が燃えてましたと目の前で激しい放水を受ける、真っ赤に松  
明と化した自宅を前に喉も裂けよと号泣してるような状態だ。なに、意味がわからない? 気にするな。  
俺ももう分からん!  
 
 登校時に見せた痛みに寄る収縮をおこらず、痛みに耐えながらも奮い立つバカ息子……なぁ、マゾな  
のか? 昨日は満足させてやれなかったしな……ハルヒから行為の三日前から『一人上手禁止』と申し  
付けられていて、それを律儀に守り通してたのもマズかったかもしれん。しかし、しかしだな、あのハ  
ルヒといえどもそのようなことをいつもの声量で叫ぶわけもなく、恥ずかしげに俺の胸に『の』の字を  
描きながら小声で囁くように命令するんだぞ。それはもうおねだりと表現するのにやぶさかでなく、頬  
を桜色に染めた上目遣いは反則的なまでに――うがぉあ! 耐えるんだ俺! 無心になれ! ちんちん  
痛いので保健室に〜などと言えるわけないだろう。無心に、いやこんな時こそ古泉だ! 今回は出番な  
いしな。何を考えてるのか自分でもわからなくなってきたが、俺は完全にヘテロ、異性愛者だ! いま  
こそそれを証明する刻!!  
 俺は、ともすれば激痛の中で薄れゆく意識の中、必死になってスマイリー古泉のインチキ笑顔でもっ  
て脳内ぷよぷよを開始した。  
 
「だ、大丈夫なの? キョン」  
 昼休みに入った直後、涼宮さんが学食に向かう前に声をかけてくれたが、その頃には僕はすっかりと  
古泉2号と化していた。  
「いえ、大丈夫ですよ? 涼宮さん」  
 怪訝な顔で、そう? と首を傾げて出ていったハルヒを見送り、僕は胸の奥に色んなモノを貯め込み  
ながらも微笑まなくてはならない時、人は無駄にさわやかな笑顔を浮かべてしまうものなのだなぁ、な  
どと微妙な悟りをひらいていた。今度からは古泉にも優しくしてやろう。  
 机を寄せて弁当を開き始めた友人たちに「それでは僕はトイレに言ってきますね」などと言って眉を  
ひそめさせ、僕は廊下へとまろび出た次第です。  
 いかん。しっかりしろ、俺。流れ出る脂汗と共に散漫になる自我を掻き集め、保健室に痛み止めのよ  
うな管理に注意が必要な薬剤が置いてある確率と、いかにしてそれを入手するかといった犯罪計画に頭  
を悩ませているその時、廊下に一陣の風が流れた、気がした。  
 なにがしかの予感を感じ取った俺はゆっくりと背後を振り返りると、おそらく部室へと向かうのであ  
ろう小柄な女生徒と目を合わせた。長門。  
 普段より冷え冷えとした視線を感じたが、あいつの目は俺の苦境を読み取ったのかもしれん。微妙な  
角度で一瞬だけ首を傾けたかと思うと、そのまますっと部室棟への渡り廊下へと姿を消した……今のは、  
「ついてきて」だよな? 長門?  
 
 無駄にさわやかさを振りまき、頭の中で満開の古泉の笑顔が咲き乱れるお花畑を掻き分けながら長門  
に追いついたのは、長門が部室の鍵を外しドアを開いたまさにその時だった。扉を押し開けたまま俺を  
じっと見つめたかと思うと、  
「入って」  
 その一言で彼女こそが天から差し伸べられた蜘蛛の糸だと確信した。いつにもまして温度の下がった  
眼差しとか、日が陰ったようなオーラをかもし出しているなんて事には気付かなかった。ホントだぞ?  
そんな事はないと、信じたいだろう? 蜘蛛の糸が、鋼さえ断ち切りそうなほど研ぎ澄まされていても  
今の俺なら飛びつくだろうさ。なんなら首に巻きつけかねないくらいに。頼ってばかりで不甲斐ないと  
いう思考さえも、痛みに反応して半分膨張しては、また痛み、それに反応して――といった悪循環を体  
験している身としては……済まん、言い訳だ。でも助けてくれ……。  
 
「あなたは」  
 俺は自分の特等席に、長門は自分のイスを俺の脇に移動させて向き合う形に腰を下ろすとすぐさま本  
題にはいってくれた。  
「現在かなりの苦痛を感じている」  
 ああ、そうだ。恥ずかしいが、なんとかしてもらいたいと、藁にもすがる気分をも体現しているぞ。  
「軽度とはいえない肉体的損傷がみられる」  
 そ、そんなにヒドいのか? ニ、三日に痛みに耐えれば復帰できると楽観してたんだが……。  
「早期に治療を施す必要がある。幸いにも医療機関に記録を残していないため、私が治療を行ってもな  
んら不利益は起こらないと考えられる。でも」  
 すこしビビったね。そんなに悪い状況だったとは……。「でも」の続きも気になる。治療となるとい  
つもの噛みつきだと思うのだが、ま、まさか患部に直接じゃないと効果が薄いとか――いでで! すみ  
ません。  
「でも、なんだ?」  
「でも、治療するには損傷が起こった際の詳細な状況を知る必要がある」  
「…………なんだって?」  
「詳細な状況説明を要求する」  
「な、長門……さん?」  
 
「鮮明かつ克明に説明を」  
「いや、しかしだな……その」  
「つややかに!」  
「なんと言えばいいのか……」  
「あでやかに!!」  
 なんでだろうな? 長門の瞳が普段より30%増しで開いてるように感じられる。  
「つまりは、アレだ……ハルヒと、アレがナニを……、  
というわけで、恥を忍んでお願いしたいのだが……分かってもらえるだろうか? 長門……?」  
「というわけ、では理解できない」  
「……かくかくしかじか、じゃ駄目だろうな」  
「駄目」  
「…………」  
「…………」  
 ここでお互いに手詰まりに陥ったわけだ。千日手とも言うかもしれん。しかし男同士でもまだ赤裸々  
に語るには恥らう内容を宇宙的インターフェースとはいえ可憐な少女にしか見えない長門に包み隠さず  
話すわけにも……。  
 ふーっ。長門の息が漏れた。溜息だろうか? まさかとは思うが鼻息じゃないよね?  
 失礼な疑問を抱いていた俺だが、長門が口を開いたのを見て背筋を伸ばした。  
「言語での情報伝達では齟齬をきたす可能性がある」  
「まあ、そうだな」  
「出来る限りの治療を施し、情報の欠落による差異は後日調整を行う」  
「差異って……大丈夫なのか」  
「無視できるレベル。大丈夫。まかせて」  
「そうか。いつもすまないな、長門。こんな変な事にまで頼りにしちまって……」  
「いい」  
「そうか。でもありがとうな」  
「いい。ギブアンドテイク」  
「はぇ?」一瞬朝比奈さん化しちまったぜ?  
「後日、情報の欠落を補完する際、映像と音声の提出を要求する」  
 な、長門さん?  
「食欲を満たした涼宮ハルヒが普段より過敏かつ過剰な反応を返すあなたに興味を持つのは確実。その  
際には授業開始から30分以内にあなたの意識が苦痛により断ち切られる可能性は87%。残りの13  
%も授業終了時まで耐え切る状況には配分されない」  
 
 それってつまり、このままだと確実に午後の授業中に恥ずかしい部分を押さえながら悶絶、気絶のコ  
ンボってわけか。たしかにハルヒならそういった行動をしかねない。嗜虐的なわけではないが、冗談が  
過ぎるという点ではハルヒに並び立つものはなく、規定事項というよりも被害に遭う確率150%って  
事か……。100%襲われて、更に襲われる確率50%ってヤツだな。あいかわらず敵に回すと恐ろし  
い奴だ……。目の前にいる敵もかなり厄介なわけだが。  
「なぁ、長門」  
「大丈夫。まかせて。私がさせない」  
 今日は嫌に饒舌だな?  
「そうじゃなくてだな。その、そういった行為を映像とか音声に残す嗜好を持ち合わせていないわけだ。  
だから渡したくてもだな……」  
「大丈夫。あなたの部屋のクローゼットに私の身体が納まること、および通風用の空気穴からベッドの  
全貌が視認できることも確認済み。まかせて」  
 いつの間に? この前俺の部屋で勉強会を開いた時に、お茶を用意して戻ったらやたらと妹が長門に  
絡みついてはしゃいでいた時か? しかしそれは恥ずかしいというか、見られて致すのが癖になったら  
困るいうか……。  
 俺の煩悶をよそに長門は部屋の柱に備え付けられた時計に目を走らせる。こいつの体内時計が狂うな  
んざ考えたくもない。やけにノリノリな長門だが、異常というわけでも……異常というわけでもない。  
ないだろ? 明らかに決断を迫るアピール。成長してるんだな、長門。  
 政治家並の殊勝さを以って俺は決断を下した。奇声を上げて気絶したり、ブーメランマンといった汚  
名を着て生きるには今の世はキツすぎる。ハルヒに気付かれた時に与えられるの罰とどちらがキツいん  
だろうね。  
「わかった……前向きに、善処する」  
 迂遠な拒絶を含めたつもりだったのだが、相手はそうは受け取らなかったらしい。長門観察日記を巻  
頭から紐解いても見られないような、大仰な角度を用いてコックリと頷いた長門を見て、  
「確約した。まかせて。隠密行動は得意」  
 確実に実行されるんだろうと実感し、嘆息を漏らした。やれやれだ。  
「それでは処置を開始する」  
 脱力感と投げやりさが表に出ないように努力はしたが、それが実を結んだか自信のないまま、やって  
くれと長門に頭を下げた。  
 
 
「うわぁぁあん! こんなのキョンじゃないー! 火星人――!!」   
 
 
 ドカーン! ともバターン! ともつかないドアの悲鳴と共に、ハルヒが泣きながら団室を飛び出し  
たのはその日の放課後のことだった。  
 渾身の力で引き開けられたドアは、その反動でもってカチャリと閉じられた。俺は追いかける気力も  
無く、ドアと、健気にそそり立つ可愛らしいさをアピールしてやまない自分のピンクの象さんを眺めて  
いた。あぁ、誰かが来る前にこの粗末なモノを仕舞わないとな……。  
 事の始まりはこうだった。今日に限って朝比奈さんの学年と古泉の特進クラスが進路指導の名目で俺  
達よりも一時限長く割り振られ、長門は全員が揃う頃合いまで図書館を物色したいとあの扉から出ていっ  
た。俺とハルヒだけが残された団室で、二人だけの気安さから下の按配の確認が口頭で行われたのだが、  
これは長門様様だ。痛みは跡形もなく消え去り調子に乗ってしまったのが敗因だろう。  
 最初に調子に乗ったのはハルヒだったのだが……復調を祝って、その、口で処理してくれると言い出  
したのだ。前日に俺が放出しなかったために貯め込んでおくのは体に悪いわよとそそのかされ、俺もハ  
ルヒも団室や団員に気付かれるような危険は犯さないとお互いに誓っていたのだが、ハルヒの方のスイッ  
チが入ってしまったらしく、また、あー……「今日限定で飲んであげるわよ?」などと言われて食わぬ  
は男の恥でもあり、うがい及び飲み込み用とウーロン茶まで用意してくれたとあっては……なあ?  
 外部から目の届かないように窓際の床に座り込み軽く膝を立て、その間を四つん這いで割って入る舌  
なめずりした女豹ハルヒ。軽めのキスから徐々にテンションを上げていき――制服を乱さないよう細心  
の注意を払いながら柔々と胸に触れたのだが、これは払いのけられた。曰く、昨日予備の下着を使用し  
てから補充するのを忘れたので、踊り子には手を触れないように! とのことだった――お互いの息遣  
いが乱れ始めたあたりで、真の持ち主へと回帰すべく、聖剣への扉が開かれた。はずだったのだが。  
 最初に異変に気付いたのはハルヒだった。  
「ねぇ、キョン? 気持ち良くないの? あれから自分でした?」  
 そんなことはないぞ。血尿こそ出なかったが手を添えるだけでもかなり痛かったしな。どうしてそん  
な事を? と目を向けると、両掌に余るキョンブレードを握り締めるハルヒの姿。……はそこには無く、  
いきり立ったミニチュア桃色エレファントを親指と人差し指だけで摘んでいるハルヒが見える……。  
「…………」  
 クイクイと普段より遥かに短いストーロークで上下させるハルヒ。絶句以外の機能をフリーズさせた  
俺の目の前で、ハルヒの瞳が潤み始め、目元が引くつきだしたのを見逃さなかった。  
「……こ」  
 こ?  
「こんなのキョンじゃないわ! 普段の見かけからは想像もつかないような狂暴さと、カリ! バーン!!  
 ってなってる無骨さがキョンの数少ない魅力の4番目位だったのに!!」  
 おお落ち着けハルヒ。こんな時は古泉を数えるんだ! 1・2・1・2! それと俺の魅力上位3つ  
も大いに気になるんだが。  
 
 ペチーンと小気味いい音を立ててハルヒのモノであるのはずのブツにビンタをかまし、ハルヒは涙も  
拭わずにすっくと立ち上がった。壊れたメトロノームよろしく左右に揺れる再生された聖剣。EX−カ  
リバーン……なまくら所か鞘から抜け出していません。ハルヒに下に引っ張られた時の感触が幼少のみ  
ぎりを思い出させた。この胸に去来したのは過ぎ去った過去への郷愁か……いや、残酷な現在への寂寥  
感だろうね。  
 
「うわぁぁあん! こんなのキョンじゃないー! 火星人――!!」   
 
 ハルヒさん。先ほどの感触では……仮性人では済まないかもしれません。  
 ささやかなブツを仕舞い終えた時、開かれたのは団室のドアではなく設立当初から鎮座ましましてる  
掃除用具ロッカーの扉だった。  
 中から出てきたのは、  
「うかつ。繊細な器官なので再構成に時間を要する事を忘れていた」  
「長門…………」  
 説明、してくれるよな? ドアから出ていったはずのお前がなぜロッカーから出てきたのかはあえて  
聞かないが、普通人たる俺の中庸をもって良しとする矜持に反して、唯一誇れたかもしれない勲章のよ  
うな宝物のような業物のこの現状を。  
「……最盛期を下回らないように再構成するには損傷が激しかったため、まず苦痛を取り除くのを最優  
先と設定。神経系の修復を行い安定するまでの間各組成から不足分を補う形で保護機能を有する皮膜構  
築に多くを割り振った。そのため海綿体及びそれに付帯する組織を一次借用した為に、全体の質量の減  
量および膨張率の低下が発生した。修復に伴い遅延処理にて順次復元構成が行われ、終了時には全長及  
び直径の誤差は+7%以内。持久力に関しては±0.2%以内に収まる」  
 つまり……大丈夫ってことなのか? わざと難解っぽい言葉を選んで煙に巻こうとしているわけじゃ  
ないよな? と、つい勘ぐってしまう。  
「そのうち、元の勇姿を取り戻してくれると思っていいんだよな?」  
「いい。それほど長くはかからない。大丈夫。安心して。金曜日の朝には完全復帰している。なお金曜  
の夕刻よりあなたの両親は同窓会により遠方に宿泊、妹が友人宅に宿泊するため家を留守にする模様。  
また涼宮ハルヒの家では土曜の夜に仕事関係の都合より両親が家を空けるが、涼宮ハルヒの居室には身  
を隠すスペースが少なく、奔放な行為に走り台所や浴室、居間、玄関等での行為に至った際にトレース  
が難しくなるため、金曜日の放課後にあなたの家に招待するのが望ましい。  
 あなたは涼宮ハルヒを自宅に招待するべき」  
 
 ……ツッコミを阻止するには、逆にツッコミ所を満載にした長台詞が有効なのは理解した。  
 とりあえず記憶野から排出される前に順番にツッコんで置くべきかと、大きく息を吸った直後に俺の  
携帯が電子音と共に震えた。  
 『着信:古泉』。迷わず通話OFFを押したのは、なに、古泉の苦情と問い合わせに辟易したわけで  
はない。  
「キョンが! キョンが新星人にー! ばかんだらげー!」  
 ドップラー効果を伴って団室前の廊下から、こんな台詞が聞こえてきたら誰だって処理すべき物事の  
優先順位はわかるだろ?   
「打ちなおされた聖剣は」  
 長門のモノローグを聞き流しながら俺はドアへと脚を急がせた。  
「神聖なる鞘に収まっている限り持ち主をあらゆる災厄から守る」  
 そんな一説もあったな。ブリテンの英雄の話は、そういえば長門から借りた本で読んだんだったか。  
「今のあなたもそう。真性なる鞘に収まってる間は、何物もあなたを傷つけることはできない。頑張っ  
て。あなたに託す」  
 なにも言わずに俺はドアを抜け、錯乱したハルヒを追いかけた。  
 傷つく事が無い? 本当かよ? 俺の心には今マリアナ海溝より深い傷が掘り込まれ、血涙でそれ  
を満たすことさえ出来るかもしれないのに、だ。  
 
 恐慌状態だった為か何かしらの不思議パワーの所為かは謎だが、無事ハルヒを捕獲した俺はグズるハ  
ルヒに衝撃で萎縮してるだけだ、とかなんとか丸め込み、週末には100%復帰する予定だと告げると、  
30Wくらいのくすんだ笑顔で「回復してなかったらギロチンなんだからね」と脅迫されつつも、週末  
の約束を取りつけることに成功した。  
 
 
 まったくもってやれやれだ。  
 ん? 金曜と土曜のどちらに約束したのかって? まぁ、選択的には一兎も得られない方さ。もしか  
したら長門との約束を先延ばしできるかもしれないし、限界に挑戦してみたいような若さゆえの暴走と  
も言えるのかもな。  
 
 ただ一つ気がかりなのは、二人だけの人体の不思議探索の真っ最中に。「うかつ。全身が滑った」な  
どとクローゼットから宇宙人が転がり出てこないか、ということだ。  
 
頼むぜ! 長門さん?  
 
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル