俺とシャツに入ったハルヒと妹と3人で遊園地に行った次の日の朝。  
 
やっぱりハルヒはそこに居た。  
 
 
 「はあー・・・ 問題はお前をどうするかだ」  
 「これは困ったわね・・・」  
 
シャツに入ったハルヒを果たして学校に連れて行っていいものなのか。  
ハルヒを連れて行くには、俺がハルヒを下着として着ていく、  
もしくは鞄の中にハルヒを詰め込んで持っていくという2つの方法がある。  
だが、着ないシャツを持って行っても仕方が無い。今日は体育の授業も無い。  
だから着て行く、となったらそれはそれで問題がある。  
 
まず、ハルヒが苦しいだろう。何しろ朝から夕方までずっと俺のYシャツの下に押し込められるんだからな。  
それにクラスメイトの反応も気がかりだ。恐らく学校ではハルヒは欠席扱いになる事だろう。  
この時に谷口や国木田がどう絡んでくるかだ。果たして俺はあいつらに黙り通せるのだろうか。  
更に昼食はどこで、何を、どうやって食わせるか、更にトイレは男子便所なのか女子便所なのか。  
一番重要なSOS団の活動の問題もある。ハルヒは勿論今日も活動するつもりらしいが一体どうやって指揮を執るのやら。  
 
 「どうするハルヒ」  
 
 「・・・・・・キョンの・・・ キョンのシャツの中に1日中・・・ キョンの汗の匂い・・・ っはぁ・・・ ハァ・・・///」  
 
・・・・・・息苦しいだろうとかそういう問題は無さそうだ。ただ別の大きな心配の種が出来てしまったが。  
ポケットティッシュ5個は持っていったほうが良さそうだな。いや、それでも足らないかも知れん。  
 
 
 
 
 「じゃあ行くぞ、良いかハルヒ、絶対服の中で変な事するなよ」  
 「まっかせなさい♪」  
 
どうも信用できん。でもそんな事を気にしていたら学校にはとても行けない。  
 
 「んじゃあ行って来る」  
 「キョンくんキョンくん、ハルにゃんはー」  
 「しーっ!声が大きい」  
 「ごめんなさい」  
 『私はここよ』  
 「ハルにゃんも一緒に行くんだね、いってらっしゃーい」  
 「ああ、行って来る」  
 
━━━━━  
 
谷口が絡んできた。  
 
 「おいキョン、今日はまだ涼宮の奴来てないな」  
 「あ、ああ・・・ そ、そうだな」  
 「キョン、お前涼宮がいなくて寂しいんだろ」  
 「べ、別にそんな事は」  
 
 カプッ  
 
 「ひぁっ! っ・・・あっ・・・!!・・・やめ・・・」  
 「一人で何喘いでるんだキョン、涼宮がいなくて余程寂しいのか?」  
 「ち、ちが・・・ そんな事はな」  
 
 ぺろぺろ  
 
 「!!っあ!! っ、ハァ、ちょ、ちょっとトイレ行ってくる、すまん・・・っぁあ・・・ ひっ・・・」  
 
   
 「・・・涼宮がいないとあそこまでおかしくなるのかキョンの奴・・・」  
 
 
 
   
俺は大便所へと逃げ込んだ。  
 
 「おいこらバカハルヒ!散々言っただろ変な事するなって」  
 「私がいなくても寂しくないって言おうとしたでしょ、あんたが悪いのよ」  
 「本気でそんな事思ってるわけ無いだろうが全く、あれは谷口の前だからそんなこと言ったのであってだな」  
 「谷口の前だろうと国木田の前だろうとホントの事言いなさいよ、  
  私がいなくて寂しいって、見せつけなさいあたし達の愛を」  
 「だからと言ってだな、何も俺の乳首を噛んだり舐めたりする事は無いだろうが」  
 「でも気持ち良かったでしょ、あたしもいつもキョンにやってもらって気持ち良いんだから  
  あーあ、キョンの乳首からもミルクが出たら良いのに、そうなったらあたしが毎日飲むのに」  
 
そんな事考えてくれるなハルヒ、ホントに出るようになったらどうする、ミルクは下の蛇口からだけで十分だぞ。イカ臭いが。  
しかもそれは俺に女になれって事じゃないのか?  
 
 「なぁにバカな事言ってるのよ、アンタが女になってどうするの」  
 
・・・どうもハルヒの頭の中には俺の想像を遥かに超えた通常ありえるはずの無い世界が広がっているらしい。  
俺とハルヒが付き合いだしてからというもの、俺も勿論であるが、特にハルヒの変態具合に磨きがかかった気がする。  
以前は俺の裸を見て鼻血ブーとか俺の乳首にしゃぶりつくとか俺の汗の匂いハァハァとかそういう事は絶対無かったぞ。  
ああ愛というものは恐ろしい、ここまで性格を変えてしまうのか。このままいくと一体どうなるのか。  
 
ってかもう予鈴が鳴ったぞ、もうすぐ1時間目の授業が始まる。  
 
 「良いか、とにかく良いかハルヒ、授業中に変な事は絶対するな、もしやったらお前をトイレに流す」  
 「アンタはアタシにそんな事しないって信じてるから♪」  
 
・・・だめだこりゃ。はい次行ってみよー。  
 
━━━━━  
 
今は4時間目。これが終わればようやく昼飯だ。  
何やらさっきからハルヒがもぞもぞしているが特に俺に対して危害を加えているわけでもないので良しとしよう。  
ただ気になるのは俺のシャツから濃厚な若い牝の匂いがプンプン漂っている事である。  
そりゃあ女の子を着ているのだから当然だ。  
 
それにしてもさっきからどんどん匂いがきつくなっている。ついに周りの生徒が何やら俺の噂をしだした。  
相当辺りに匂いが漂っているらしい。  
・・・・・・そういえばこの匂い、どこかで嗅いだ事あるな。――いや、これはよく俺が嗅いでる匂いだ。  
 
―――もしかしてハルヒの野郎・・・!  
 
 
  キーン コーン カーン コーン  
 
 「・・・やっと授業が終わった」  
 
授業が終わって先生が教室から出て行くと同時に俺はトイレに駆け込んだ。  
 
 
 「おいハルヒ!お前は何をやってる!」  
 
俺は急いでYシャツを脱ぎ捨てる。  
 
 「・・・あ、あぁんキョン見ないで・・・ あ、っあん・・・あああん・・・」  
 
何とハルヒが生まれたままの姿でオナニーに耽っていた。  
更に下の口にはリコーダーが、後尿道と尻にボールペンが数本突き刺さっていた。どこから持ってきたんだおい。  
俺のシャツは既に俺の汗とハルヒの汗と愛液でぐしょぐしょだ。これでは匂いが凄くて当然である。  
 
 「人のシャツの中でオナニーする奴がどこにいる!」  
 「だって・・・キョンのシャツの中にいたら我慢できなくて・・・ キョンに抱かれてる感じなんだもん・・・ っ・・・ あぁ・・・」  
 
くそう・・・ 流石の俺でもまさかハルヒが人のシャツでオナニーするとは考えてなかった。  
・・・こんな事ならシャツをもう1枚持ってくりゃ良かった。俺はこの18禁シャツで後2時間授業受けなければいけないんだぞ。  
 
 「ハルヒ、お前は明日から物干し竿で留守番だ」  
 「そんな!!SOS団の活動はどうするのよ」  
 「副団長の古泉がいるだろうが、それか休みでも良いんだぞ」  
 「そんな・・・ キョンはあたしの事が嫌いなの・・・ あたしはキョンとずっと傍に居たいのに・・・ ぇぐ・・・ うっ・・・」  
 「な、何もそんな事は言ってないだろうが・・・ おい、泣くな、ハルヒ泣くな」  
 「うえーん!!キョンのバカバカバカー!!!」  
 
とうとうハルヒが泣き出した。ってか男子便所から女の子の泣き声が聞こえたらまずいだろこれは・・・!  
既にドアの外がざわざわしている。  
 
 「おいハルヒ泣き止んでくれ俺が悪かった、俺が悪かったから、な!!」  
 「っ・・・ ぅぇ・・・ ぁう・・・ キョン・・・・・・」  
 
そんな涙溢れたつぶらな瞳で俺を見つめないでくれ。本当に俺が悪かったと思えてくるではないか。  
 
 「俺が悪かった、だから、な」  
 「キョン・・・ 明日からも学校に連れてきてくれる?」  
 「ああ、連れて来てやるから」  
 「良かった・・・ やっぱりキョンはそうでなくっちゃ!」   
 
あーころころ性格の変わるやつだ。全く。  
 
 「ハルヒ、早く弁当食べに行くぞ」  
 「あたしの分の弁当もあるんでしょうね」  
 「あるから心配するな、あと取りあえず服着ろ」  
 「わ、分かってるわよそんなの」  
 
俺は便所から出て取りあえず一旦教室に弁当を取りに向かう。  
途中周りの奴からかなりじろじろと見られたがもうここは一切無視を決め込む事にする。  
 
 
結局俺とハルヒは屋上で弁当を食べた。  
弁当を食べ終わった後ハルヒが俺のモノに食いついてきて数回イカされシャツが更にべとべとになったのは別の話だ。  
 
━━━━━  
 
ようやく放課後。  
俺とハルヒは文芸部室へと向かう。  
 
 コンコン コンコン  
 
 「どうぞー」  
 
既に朝比奈さんがいるようだ。俺はドアを開けて中に入る。部室には既に3人が揃っていた。  
 
 「こんにちは、キョンくん」  
 「団長は一緒じゃないんですねw」  
 「・・・・・・」  
 「あ、ああ・・・ まあな、一応休みという事にはなってる、・・・一応」  
 「「「?」」」  
 「キョンくん、一応っていうのは」  
 「朝比奈さん、実は・・・」  
 
俺は3人の前で着ていたYシャツを脱ぎ捨てる。  
 
 「じゃーん!団長様のお出ましよー」  
 
 「「「!!」」」  
 「まあ、そのアレだ、いわゆるど根性ガエルならぬ『ど根性ハルヒ』だ」  
 「「・・・・・・」」  
 「・・・ゆにーく」  
 
いつも冷静な古泉が冷や汗を掻いている。朝比奈さんは軽く顎が外れたようだ。   
「ゆにーく」などと抜かしているがお前も本を落っことしているぞ、長門よ。  
 
 「それにしてもそのシャツ凄い匂いですね、あなたと団長の匂いが凝縮された物凄い匂い、ムラムラっときますよ」  
 「この匂いって、いわゆる・・・・・・」  
 「・・・ハッテン場」  
 「「「!!!」」」  
 
長門!!それは違う!!お前が言ってるのはだな、  
 
 「長門さん、ハッテン場って言うのは、たとえば僕とキョン君が公園のベンチで」  
 「やめろぉーこれ以上言うな古泉ー!!」  
 「ならば、ラブホテルの匂い」  
 
・・・まあ、そういう事にしておこう。あながち間違ってはいないからな。正直この匂いはラブホテルにも勝っている。  
一体誰なんだ。長門にこんないらぬ知識を植えつけたのは。  
 
 「それにしてもどうしてこんな事になっちゃったんですか」  
 「昨日の朝目覚めたら既にシャツの中にいたのよ、なんでかはよく分からないけど」  
 「は、はぁ・・・」  
 「みくるちゃん、そんな事どうでも良いから早くお茶!お茶持ってきなさい」  
 「はい!」  
 
 
 「やっぱり大変ね、シャツに入って指揮を執るって」  
 
そりゃそうだろう。  
 
 「そうよ!!皆がキョンのシャツの中に入れば良いのよ!そうよそれよ!!」  
 「何バカな事を言ってるんだハルヒ」  
 「冗談よ、でもやっぱり大変、今日の活動はおしまい! キョン、家に帰って良い方法を考えましょ」  
 「わかったわかった」  
 「キョン、早く帰るわよ、じゃああなたたちまた明日ー」  
 「「お疲れ様です」」  
 「・・・・・・」  
 
 
その後俺とハルヒは何事も無く家に帰り着いた。  
そして散々妹にシャツの匂いをからかわれたり夕食のミートスパゲティを食べさせるのに散々苦労したり  
妹にもからかわれたシャツの汚れを取るのに一苦労したりもしたが、何とか一日を終える事ができた。  
 
 「おやすみ、ハルヒ」  
 「今日はお疲れ様、キョン」  
 
 
 
 
翌朝。  
 
 「やあ、奇遇ですね」  
 「な… なんなんですか?ここ、どこですか? なんであたしここにいるんですか?」  
 「・・・・・・不明」  
 「あら、みんなここに来ちゃったの、いらっしゃい♪」  
 
そこではパジャマを着た4人が眠い目を擦っていた。  
 
 「なーぜーだーなぜなんだーなぜお前らがここにいるー」  
 「それは僕にも分かりません、でも目が覚めたら」  
 「あなたのシャツの中にいた」  
 「良かったわ、これで昨日より活動もしやすくなるわ」  
 「何だかよく分かりませんけど・・・ よ、宜しくお願いします、キョンくん」  
 
・・・・・・今日は一日こいつらと一緒なのか。 

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