「キョンくん、お話があります」  
 保健室に呼び出されたのは放課後のことだった。  
 朝比奈さんは、えらく真剣な表情を浮かべてそこに佇んでおり、俺の姿を認めると、幾分ためらいがちに話し始めた。  
「本当は『禁則事項』に該当する項目なんですが、今回は特別に許可がおりました。なので、キョンくんにはお話しします。わたしがこの時間平面上に来た理由を……」  
 確か、ハルヒの奴を観察するため、でしたよね。  
「そう。でもそれは実は、表向きの理由に過ぎないの。未来のことを、この時代の人間に話すのは禁止されているんだけど、事情が事情だけに今回は特別です。ちゃんと説明しないとキョンくんも納得してくれないと思うし……」  
 どういうことでしょう?  
「あのね。わたしが来た時代の日本は、この時代の日本に比べると、人口が極端に減少してしまっているの」  
 はあ、そうなんですか。ひょっとして、少子化の影響とかですか?  
「ええ、それもあります。でも一番の原因は、男の人の生殖能力が、この時代と比べると著しく低下してしまっているせいなんです」  
 はい。  
「科学物質による環境汚染が直接の原因なんじゃないかって言われているわ。男の人とエッチしても、女の人が妊娠できないの。バイオ技術を応用することで、今までかろうじてカバーしてきたんだけど、それももう限界なんです」  
 朝比奈さんは潤んだ瞳で俺を見上げながら、  
「それでは根本的な解決には繋がらないと、上の人たちは判断したの。ちゃんとした健康的な男性の濃い精液を調達しなければ、日本人は滅亡してしまうと、  
 ……そう、判断されたんです。それを受けて、極秘のプロジェクト・チームが立ち上げられました」  
 プロジェクト・チーム?  
「妊娠能力のある女の人を時間遡行させて、生殖能力のある男の人と恋をさせるの。そして子供をつくらせる。妊娠した状態で、女の人は未来に戻り、子供を産んで育てるの。そういうプロジェクト」  
 そりゃまた、大層な計画ですね。  
「そうなんです……」  
 哀しそうに呟くと、朝比奈さんはセーラー服のファスナーに細い指をかけ、迷う素振りも見せずに俺がいる前で脱ぎ始めた。  
「ちょ、ちょっと! あ、朝比奈さん、一体なにを!?」  
 朝比奈さんは、淡く柔らかな微笑みを見せ、  
「キョンくん。あなたの精液をください。未来の日本のために」  
 僅かに俯くと、頬を薄っすら桜色に染めながら、  
「一緒に子供をつくりましょ?」  
 そう、おっしゃった。  
 
 俺はひどく動揺した。  
 しかし、未来の日本の運命がかかっているとあらば、仕方がない。  
 俺は二秒で納得した。  
 
 朝比奈さんは、流れるような動作で制服を脱ぐと、ついで下着も取り去った。匂い立つような色気を漂わせ、一糸まとわぬ姿を俺にさらして、  
「キョンくんも、脱いで?」  
 赤く染まった顔で、はにかみながら言った。  
 うーん。惚れ惚れするほど可愛いな。  
 ちょっとだけ意地悪してみたくなるね。  
「朝比奈さん」  
「は、はい。なんでしょう?」  
「あのですね。俺の服なんですが、朝比奈さんが脱がせてくれませんでしょうか?」  
「え? え?」  
「実は俺は、そういった趣味の持ち主なんです。それくらい、いいでしょう? 俺の精液が欲しいんだったら、せめてそれくらいは、してもらわないといけません」  
「あ、あの、その……」  
 朝比奈さんは、少しだけ驚いたあと、  
「は、はい。わかりました」  
 首肯して、俺の要求に、素直に従ってくれた。  
 衣服を全で脱がせてもらい、俺たちは生まれたままの姿で向き合うことになった。  
 朝比奈さんはしばらくの間、グラマラスな肢体を恥ずかしげにくねらせながら照れていたが、やがて決心できたようで、  
「あの、それじゃ……、しましょうか……。子作り」  
 ぽつりと言って、控えめに微笑んだ。  
 なんだろうね。この異常に庇護欲をそそる笑顔は。  
 しかし俺は、日本の未来のために健気に身体をささげようとする朝比奈さんに感銘を受け、ますます彼女を苛めたくてたまらなくなってしまっていたのだった。  
「駄目です」  
 と俺は言った。  
「ええっ? ど、どうして?」  
「いいですか、朝比奈さん。物事には全て、順序という物があります。朝比奈さんは俺の子供が欲しいんですよね? ならば、そのためには、俺の息子が立った状態でいなければならないわけです」  
「は、はあ」  
 俺は自分の息子を指し示した。  
「見てください。どうです? 立っていないでしょう?」  
「……はあ。そうですね。小さなままです」  
「いえ、なにも朝比奈さんの裸に魅力がないだなんて言っているわけじゃないんです。むしろ朝比奈さんの身体はフェロモンばりばりです。とても美味しそうですよ。でも今は、そういうことを言っているわけではないんです」  
 朝比奈さんは、あっけにとられた顔をしながら、  
「言ってることが、よくわからないんですけど……」  
 事態が呑み込めていないようだ。  
「つまり、こいつを立たせる必要があるんです。立たせないと子作りはできません。わかりますか?」  
「なんとなくは……。はい、わかります」  
「咥えてください」  
「ふぇふっ!?」  
 びっくりした顔をして、  
「キ、キョンくん!? ふざけないで! いきなり、なにを……」  
「俺は真剣ですよ。いいですか、朝比奈さん。あなたの口に、日本の未来がかかっているんです。こいつを立たせられるかどうかに……。ことは重大ですよ?」  
「そんなこと急に言われても……」  
「俺だって本当は、こんなこと朝比奈さんにさせたくないんです。でも仕方ないじゃないですか。なにしろ、かかっているのは日本の未来なんですから」  
「ふぇぇ……」  
 朝比奈さんは、しばらく、え? え? と訳がわかってない素振りを見せていたが、その内、嫌々ながらも決意のできた様子で、  
「……わかりました。わたし、咥えて大きくしてみせます。初めてですけど、頑張ります」  
 そう言って、俺の息子に恐る恐る顔を近づけると、おずおずと口に含んだ。  
 
「……んっ、……んっ」  
 鼻にかかった甘い声を漏らしながら、朝比奈さんは俺の息子を吸い上げた。  
 上手です。朝比奈さん。  
「……ふっ、……キョンくんの、もう、大きくなりました。口でするの、止めにしてもいいですよね?」  
 俺としては、このまま一回、お口で終わらせてもらうことを所望しているのですが。  
「ダメです。精液がもったいないです」  
 ですよね。それじゃいいです。  
 
 さて、どうしたもんかな。  
 よもや保健室で、朝比奈さんと子作りする羽目になるなんて夢にも思わなかったぜ。  
「朝比奈さん、とりあえずベッドの上に移動しましょう」  
「はい」  
 朝比奈さんは素直に同意してくれ、俺と共に、白色のシーツで覆われた保健室のベッドに乗り込んだ。  
 えーと。それじゃ失礼します。  
「あっ」  
 いささか迷ったが、俺はまず、朝比奈さんのたわわな胸の愛撫から始めることにした。  
 小柄な体格には似つかわしくないサイズの胸を繰り、そろそろと揉み上げ、乳首をつまんでみる。  
「……っ」  
 どうやら気持ちいいらしい。  
 朝比奈さんは、わかりやすい反応を返してくれ、かすかに頬を染めている。  
 これでいいのか。  
 ホッとした俺は継続して胸を揉みつづけ、乳首を口に含んで、口の中で転がした。  
「……う、……いい、です。キョンくん……」  
 朝比奈さんがそう言って、ピクンと身体を震わせる。  
 どこまでも素直なお方である。  
「いいって、なにがいいんですか? 朝比奈さん」  
 硬くなった乳首を舌で弄びつつ、意地悪して俺は訊いてみる。  
「ひう……、あ、あの、その、……気持ち、いい、です」  
 掌で、そっと顔を隠しながら、いじらしい仕草で反応を返してくる朝比奈さんを見て、俺はますます彼女を苛めたくなってしまい、  
「あっ……、そ、そこは……」  
 朝比奈さんの秘部に指を這わせた。  
「濡れてしまってますね」  
「あ、言わ、言わないで、お願い……」  
 温かに濡れてしまっている朝比奈さんの秘部を、指先を使って愛撫し始める。  
「ふわ……、は、恥ずかしい。……うう、」  
 初めてなんですか?  
「そ、そうなんです。でも大丈夫。上司から、初めての時でも痛くなくなる薬をもらってきたの。あ、本当は、これも『禁則事項』なんだけど」  
 なるほど。では、こんなことをしても平気なんですかね。  
「え? あっ、なにを……あ、キョンくん? やっ、ダメ……」  
 身体を震わせながら、朝比奈さんが抗議する。  
 俺は朝比奈さんの秘部に顔を近づけると、舌で強く舐めあげてみる。  
「わ、キョンくん! そんなとこ、舐めないで! お、お願い。汚いです、……ふぁ、やぁッ……」  
 羞恥に肌を染めながら硬直している朝比奈さんを見やりながら、  
「朝比奈さん。せっかくですから、これを着て子作りしてみましょう」  
 俺はベッド横の衣類がけに吊るしてあった衣装を差し出した。  
「え? これは……」  
 意表をつかれて放心する朝比奈さんに、俺は説明する。  
「白衣ですよ。保健室の先生が羽織っている、白衣です」  
「え、どういうことですか? わた、わたしがそれを着て、エッチ、するって言うんですか?」  
 そうです。しかも、素肌に直接、白衣です。  
「ど、どうしてですか?」  
 その方が、俺が楽しいからです。  
「な、なんだかよくわかりませんが、キョンくんって少し変わってますね」  
 よく言われますよ。はっはっはっ。  
 
「着ました。これでいいんでしょうか」  
 よく似合ってますよ、朝比奈さん。素晴らしいです。  
「ちょっと恥ずかしいです」  
 恥らう姿がまた絶妙です。では、いきますよ。  
 俺は息子を朝比奈さんの秘部にあてがうと、ゆっくりと挿入していった。  
「あ、あう」  
 うわ。やはり、ちょっとキツイな。  
 いや逆に、この締め付けは、やばいかも……。  
「あっ、あ、うっ、……キョンくん、わたし、き、気持ちいいです……」  
 本当ですか?  
 上司にもらったって言ってた薬のせいか。  
 恐るべし未来のテクノロジー。しかし、朝比奈さんに薬を渡した上司って……。もしかして、朝比奈さん(大)か?  
「ふっ……、ひっ……、あっ……、き、きもちいい……」  
 お、俺もすぐにイッちまいそうです。  
 朝比奈さんの凶悪なまでに極上の締め付けに耐えながら、俺は腰を打ち付けつづける。  
「ふわっ……、ふわっ……、あ、きゃうッ……、キョンくん! あっ、……いいよう」  
 やばいです、俺も。と言うかなんですか? この締め付けは。  
 朝比奈さん、あなた、すごい名器の持ち主なんですね。  
「な、なんですか名器って、……ひぅッ、……ふっ、……や、あぅッ!」  
 白百合のような朝比奈さんのお顔を鑑賞しつつ腰を打ち付けていると、やがて息子の辺りに痺れを感じるようになり、俺は、  
「朝比奈さん、俺、もうイキそうです」  
「え? え? ふあッ……な、なんですか? せ、精液が、出ちゃいそうなんですか?」  
 そうです。精液が出ちゃいそうなんです。  
「あ、そのまま、出しちゃってくださいっ。……あ、お願いだから、中にそのままッ」  
「わ、わかりました! あ、イク! 朝比奈さん、イキます!」  
「あっ、キョンくん! わ、わたしもイッちゃいそう! あ! イクッ! あわ、あああッ!」  
 だが俺は、間違えて息子が抜けてしまった振りをして、精液を朝比奈さんの白衣の上にかけた。  
 朝比奈さん絶頂を向かえた余韻で浸りながら身体をくたっとさせ、呼吸を乱しながら涙目で俺を見上げ、  
「あ、キョンくん……? ど、どうして?」  
 すみません。どうやら失敗しちゃったみたいです。  
「そんな……なんてもったいないことを……」  
 もう一回するしかないですね。  
「う……、そうですね。子供、ちゃんと作らないと」  
 じゃあ、今度は朝比奈さんが上になってください。  
「う、うえ!? 上ってなんですか? も、もしかして、わたしがキョンくんに乗るってこと?」  
 その通りです。  
「むっ無理! 無理です、そんなの! わたし、運動音痴だし……」  
 愛があればなんとかなるでしょう。  
「ああああ、愛って」  
 いいから早く乗ってください。  
「ひええっ!」  
 えらく軽い朝比奈さんの身体を、ひょいっと俺は抱き上げると、馬乗りになるように、俺の身体の上へと跨らせた。  
 そして朝比奈さんの秘部の所へ息子を持っていき、そこに彼女の身体をゆるやかに沈み込ませていった。  
「ま、待って、キョンくん! やッ、は、入ってきちゃう、……くっ、ふ、ふわッ」  
 ズブズブと息子を呑み込んでいくにつれ、むずがるように身体をくねらせていた朝比奈さんの動きが止まり、やがて小刻みに肩を震わせるようにして、涙ぐんだ眼差しを俺に向けた。  
「う、う、動けない、です。……うっ、キ、キョンくんの、意地悪」  
「俺が動きますよ」  
 そう答えて、俺は寝転んだ体勢のままで、腰を突き上げる動きをした。  
「や、あ、あ、あッ、……キョンくんッ、キョンくんッ!」  
 すいません、痛かったですか?  
 朝比奈さんは子供のようにあどけない仕草で首を振り、  
「違うの。き、気持ちいいの。すごく気持ちいいの……。子作りが、こ、こ、こんなに気持ちいいなんて、わたし知らなかったの。き、気持ちよすぎて、アタマがどうにかなっちゃいそう……」  
 一体どんな薬を朝比奈さん(小)に渡したんですか、朝比奈さん(大)。  
「あッ! やっ! う、動かないで! きゃう! あぅ……あっ、またイクッ! ああキョンくん、またイッちゃうよう!」  
 う、俺も、またイキそうです。  
「あ、もうダメッ! キョンくん一緒にイこう! き、気持ちいいよぉッ! 中に出して。こ、こども、つく、……あ、イク! ふぁ、イッちゃうッ!」  
 
 ビクビクと痙攣しながら、俺たちは再び絶頂を向かえた。  
 だがもちろん、俺は朝比奈さんの中には出さなかった。  
「すみません、朝比奈さん。また、失敗して外に出しちゃいました。精液、朝比奈さんの太腿のとこに、かかっちゃいました」  
 朝比奈さんは、ぜいぜいと激しい呼吸をし、白衣を汗でびしょ濡れにしてしまっている状態で、今度はさすがに俺を軽く睨むと、  
「キョンくん、まさか、わざと外に出しているわけじゃ、ないですよね?」  
 バレたか。  
「や、やだな、朝比奈さん。子作りの最中は、俺も極度の緊張状態にあるんですよ。だから中で出そうと思っていても、そうそう上手い具合には成功しないわけです」  
「は、はあ……」  
「俺だって、朝比奈さんに子供を作ってもらいたいんです。あ、そうだ。今度は、朝比奈さんの方で動いて、俺をイカせてくれればいいんですよ。俺はじっとしていますから」  
「で、でも、わたしにそんなこと、できるでしょうか? さっきだって、まともに動けなかったのに……」  
 大丈夫です。朝比奈さんならできますよ。俺が保証します。  
「そうでしょうか……」  
 ではまず、さっきと同じように、俺の上に乗ってください。  
「は、はい」  
 朝比奈さんは大人しく俺の言うことに従ってくれた。  
 再び俺の身体に跨って、俺の息子を呑み込んでいく。  
「ひッ……、ふぁ……」  
 ぬぷぬぷという卑猥な音と共に、俺の息子がぬるぬるした粘液に包まれていく。  
 朝比奈さんの中は、相変わらず極上の締め付けだった。  
「はあ……、はあ……、これからどうすればいいんでしょう?」  
 その体勢で、腰を動かしてください。  
「う、……無理……です」  
 頑張ってください。日本の未来がかかってるんですよ?  
「は、……、ひ、……、く、……」  
 健気にも、おぼつかない腰付きで、朝比奈さんは下半身を動かし始めた。  
「あう、力が、入らな……ふぇっ、ダメ、わたし、ダメッ……」  
 頑張ってください、朝比奈さん。子供を作るんでしょう?  
「う、う、動けな……、お願い、キョンくんが、動いて……」  
 朝比奈さんの涙ながらの懇願に、さすがに俺は心打たれた。  
 わかりました、朝比奈さん。今まで苛めてしまってすみませんでした。  
 俺が動きます。ええ、動きますとも。  
「そ……、そうして……」  
 俺は朝比奈さんを突き上げ始めた。  
「や、あ、あ、あ、あ! あく、気持ちいいよお……」  
 光栄です。  
「あっ……あぅ……キョンくん、キョンくんのが、奥にあたってる。すご、すごく気持ちいいです……」  
 朝比奈さんの締め付けもすごいですよ。  
「ひっ……、ああくぅ、……ダメ、ダメ、そんなに突かれるとぉ……キョンくんダメだよぉッ! イッちゃうッ! わたしまたイッちゃうッ!」  
 俺もまたイキそうです。  
「ああッ、キョンくん出してッ! な、中に。こ、こども作らないと! やっ! イッちゃうっ! ふ、ふわあッ!」  
 だらしなく痙攣しながら、俺たちはイッた。  
 俺は――もちろん朝比奈さんの中には出さなかった。  
 朝比奈さんは、ひどく色っぽい、しかし疲労困憊といった顔付きをして、さすがに怒った。  
「キョンくん、いい加減にしてください。外に出しちゃったら、妊娠できないじゃないですか。一体、いつまで子作りをつづけるつもりなんですか」  
 俺は言った。  
「いつまでもです」  
「は、はい!?」  
「明日も、明後日も、毎日しましょう。子供ができるまで」  
「ひ、ひえっ! む、無理です!」  
「日本の未来のためですよ」  
「キ、キョンくんがちゃんと出してくれれば、一回で終わったはずなんです!」  
「次は中に出します」  
「や、約束、ですよ? わたし、今日はもう、疲れちゃって無理そうだから……明日にしましょう。明日は、必ず中で出してくださいね?」  
「はい。約束します」  
 そのようにして、その日から俺と朝比奈さんの、夢のような生活が始まったのだった。  
 
 END  
 

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