いつもどおりの平凡な一日。中間考査も終わり至って何もない一日である。  
我がSOS団は今日も平和だ。  
ということは、俺も平和にすごせているという事だ。  
いつものように天使のような微笑みでお茶をいれてくれる朝比奈さん。  
まるで女神のような朝比奈さんの給仕を受けられるのがSOS団の唯一の特権であると言えるな。  
ああ・・・この幸せがいつまでも続けばいいと思うのだが、  
「それが望ましいのでしょうが  
涼宮さんが居る以上、それはありえませんね」  
古泉が口を挟む。人の心を読むな。お前は黙ってろ。  
 
ドンッ!  
 
「みんなー!注目ー!!」  
来た。ハルヒが扉を蹴破って叫ぶ。  
キラキラと目を輝かせ、一枚の紙を机に叩きつける。  
「・・・ミクルクエストV?ハルヒ、何だ?これは」  
「ま、また映画ですかぁ〜・・・?」  
「フフン。違うわよ、今回はゲームよ!ゲーム!」  
多い威張りで答えるハルヒ。また何故こんなものを思いついたんだか・・・  
それ以前に何故いきなりVなんだ。しかもどこかで聞いた事のあるタイトルなんだが・・・。  
「ほら、企画書よ!ちゃんと読みなさい!」  
怖いくらいの笑顔でハルヒは俺達に紙切れのコピーを押し付ける。  
ちなみに、長門はまだ来ていない。  
「えぇ・・・私、こんな役なんですかぁ・・・」  
どうやらいつものごとく、主役にされてしまった朝比奈さんが泣きそうになっている。  
ハルヒが書いたであろうストーリー展開には、  
いつものごとく朝比奈さんのコスプレ展開が満載のようだ。  
「面白そうですね。涼宮さん」  
「でしょ!さっすが古泉君!わかってるわね!」  
古泉がいつもと変わらない笑顔で企画書に目を通す。  
どうやら古泉の役どころは仲間その1の魔法剣士らしい。どうせサマルトリアだろう。  
「う〜む・・・」  
「ちょっとキョン!あんた何か文句でもあるわけ!?」  
たしかに文句はある。それは俺の職業が役立たずの遊び人にされているからではなく・・・  
「誰がつくるんだよ。俺達の中でプログラムなんて作れるのは長門だけだろう?  
プログラマーというと、安い給料で徹夜ばかりの仕事だと聞くが、それを長門一人にやらせるつもりなのか?」  
たしかに万能宇宙人の長門なら、造作も無い事だろう。  
だが、ここのところハルヒの生み出す閉鎖空間が多発しているらしい。  
小さなものではあるらしいが、それの処理のために長門・・・  
どうでもいいがついでに古泉も疲れているはずだ。  
「安心しなさい!ちゃんともうスタッフは雇ってあるわよ!」  
 
「何で僕たちがそんな事をしないといけないんだよ!?」  
と、つれてこられたのがあわれな上級生、コンピ研部長氏である。  
「うっさいわね!有希をコンピ研出入り禁止にするわよ!?  
それとも、あれをばら撒かれたいのかしら?」  
あれとは、前に部長氏が泣く泣くSOS団にパソコンを譲らされた時、  
ハルヒが脅すために使った写真の事である。犯罪行為だぞ・・・ハルヒ。  
「うぅ!?・・・し、仕方が無い。手伝おう・・・」  
かわいそうな部長氏。残念だがハルヒに目をつけられては俺にも助ける事は出来な  
い。  
「最初からそう言えばいいのよ!決まりね!  
後、美術部・・・それと、吹奏楽部や軽音楽部にも手伝わせるわよ!」  
おいおい・・・何人巻き込むつもりだこいつは・・・。  
 
まあ、この程度で終わるわけないんだよな。  
俺達はもちろんの事、まさかの哀れなコンピ研部長・・・  
それにあの人までを巻き込んだ事件に発展するとは思いもよらなかった。  
 
「・・・入団希望者」  
いつのまにか長門が部室の入り口に立っていた。  
「あら?遅いわよ!有希!」  
「長門?」  
「・・・・・・入団希望者」  
そして長門の隣に居たのはあろう事か長門と同じ宇宙人・・・  
「どうも皆さん、こんにちは」  
宇宙を統括する情報統合思念体穏健派の対有機生命体用ヒューマノイドインターフェイス。  
俺の上級生で朝比奈さんの同級生であり、生徒会に所属している彼女・・・。  
喜緑江美里が笑顔で立っていたのである。  
 
 
 
〜喜緑江美里の憂鬱〜  
 
 
 
「う〜む・・・」  
ハルヒが入団面接をするとの事でハルヒと喜緑さん以外の5人は外へ放り出される形となった。  
「まさか長門さんが彼女をつれて来るとは思いもよりませんでした」  
「ところで・・・部長さんはもう逃げてもいいと思いますよ」  
「んん?いやそうなんだが、少し気になる事があってね。  
団長さんは恐ろしいが、もう少し居させてもらうよ」  
この人が帰ってくれなくては、長門に事情を聞けないではないか。  
「・・・・・・問題ない」  
「そうか?」  
長門がそう言うのなら、まあ、当面の危険性はないのだろう。  
喜緑さんが絡んでくる以上、情報統合思念体とやらが何かしようとしているのはたしかなのだろうが・・・  
「皆!もう入ってもいいわよ!」  
ハルヒが騒がしくドアを開けた。  
 
 
 
 
 
「それであなたがSOS団のために何が出来るか!答えて頂戴!」  
机をはさんで、わたしの目の前に座った涼宮さんが質問を投げかけてきます。  
「えっと・・・わたし、生徒会に所属していますからいろいろ出来ると思います。  
何かあれば学校に関する事なら根回しする事も出来ますよ」  
「ふむふむ・・・何かと便利そうね!  
そうだ!あなたパソコンは使える?」  
「はい、少しだけなら・・・」  
少しと答えましたが、わたしは宇宙を統括する情報統合思念体が作り出した対有機生命体用ヒューマノイドインターフェース、  
人間程度が作るレベルのプログラミング能力なんて造作もありません。  
わたしの答えに満足したのか涼宮さんは笑みを浮かべてうなずきました。  
「うんうん!いいわ!入団オッケーよ!!  
我がSOS団にも清楚で大人しめのキャラが欲しかったところよ!」  
「そうですか・・・ありがとうございます」  
わたしは予め設定されたデフォルメの笑みを浮かべ礼をしました。  
「ふふっ、あなたにもSOS団初のゲームソフト制作!協力してもらうわよ!  
さて・・・皆!もう入ってもいいわよ!」  
 
バンッ  
 
「ちょっと君!君、喜緑っていうのかい?」  
涼宮さんがドアを開けると同時に、突然飛び込んで来て声をかけられました。  
「はい?なんでしょう?」  
彼はコンピュータ研究会部長、本名は×× ××。  
わたしのデータによると運動能力、低。頭脳、並。趣味はパソコンとゲーム。  
本来彼のような人間とは、関わる気もないのですが・・・  
「君、僕とは初対面のはずだよな?」  
「は、はい・・・そうですけど」  
以前、涼宮さんが書いたSOS団ロゴのせいでカマドウマの異空間に彼が閉じ込められた時、  
わたしは彼の彼女だと偽ってSOS団に事件の事を依頼していました。  
その後SOS団の誰かがわたしの名前を彼に教えてしまったようです。  
さて・・・どうしましょうか。  
「てりゃぁー!」  
突然飛び出してくる涼宮さん。  
蹴り飛ばされるコンピ研部長さん。  
これまで何かと厄介ごとを起こすたびにわたしが事後処理をしないといけないので  
この我侭女はあまり好きではありませんでしたが、はじめて感謝します。  
「な、なんで蹴るんだよ!?」  
「うっさいわね!無駄話してるからじゃない!  
早くこれ、読んでおきなさいよ!」  
わたしと彼に紙きれを渡す涼宮さん。  
「だーっ!断固異議する!人を蹴っておいて謝らないなんて・・・」  
「あんたにあたしに逆らう権利はないの!  
いい?団長命令は絶対よ!」  
「僕は団員じゃないだろ!」  
「う〜ん・・・そうね。今回がんばれば正式な団員にしてあげるわよ!  
不服従なら写真、バラすわよ!」  
涼宮さんの後ろでキョン君がやれやれといった風な顔でこちらを見ています。  
「うぅ・・・納得いかない・・・」  
「さて、あたしと・・・そうね!  
新団員!早速仕事よ!美術部と吹奏楽部、軽音楽部の奴らに話をつけにいくのよ!」  
あまりこの人と行動はしたくありませんが、今は仕方ありません。嫌々ですが・・・  
「ええ、おともします」  
とりあえず、彼とはあまり顔をあわせないようにしなければ。  
 
涼宮さんと脅迫まがいな勧誘をしつつ夕方になりました。  
SOS団の部室に戻った時には外も暗くなりはじめていたので  
そのまま解散という形になりました。  
そのまま、わたし、長門さん、キョン君の3人は長門さんの家で事情を説明することになりました。  
古泉君も話を聞きたそうにしていましたが、アルバイトがあるそうで行ってしまいました。  
「喜緑さん。部長氏の事なんですが・・・」  
「はい?それなら大丈夫ですよ。明日にでも彼の記憶の一部を改変しておこうと思いますので・・・」  
するとキョン君は首を横に振り、  
「いえ、そのことなら大丈夫です。  
部長氏には俺からハルヒが勘違いだと説明しておきましたから。  
あの人もハルヒのとんでもなさは知ってると思うので、納得はしてくれました」  
「そうですか?」  
彼は涼宮さんの鍵を握る唯一の人間として、情報統合思念体からも注目されてはいますが  
わたしからみた見解としてはどこも特出した所の無い平凡な人間です。  
監視する価値は無いと思うのですが、上手く立ち回ってくれる事もありますね。  
そんな事よりも気になるのが・・・。  
「長門、問題ないって言ってたけどやっぱり・・・」  
「・・・問題無い」  
何故、彼に事情を説明する必要があるのでしょうか?  
「・・・今から説明する」  
情報統合思念体が注目しているとはいえ、スペック的には彼はただの一般人  
ただの人間ごときにどうにかできるとは思えません。  
「情報統合思念体による討議の末主流派と穏健派が協力する結論が出た。  
そのため、喜緑江美理も涼宮ハルヒの付近で彼女を監視することになった」  
「それまたなんでだ?」  
「急進派の活動が活発化している。  
急進派の新たなヒューマノイドインターフェースが送り込まれた可能性が存在する」  
「ちょっとまて長門。それは問題ないわけないだろう!」  
彼は以前、急進派のヒューマノイドインターフェース、朝倉涼子に殺されかけたはず。  
新しいヒューマノイドインターフェースが現れたとなっては気が気でないでしょう。  
「・・・・・・問題無い」  
「問題無いわけないだろ!」  
「・・・・・・あなたに危害は加えさせない」  
長門さんもお仕事とはいえ、こんな足手まといを守らないといけないなんて大変ですね。  
涼宮さんに続く監視対象なので仕方ないんでしょうけど。  
「違う・・・違うんだ長門。俺の事じゃない  
もし、また急進派と戦う事になったらお前も危ないじゃないか。  
お前、何か不安そうに見えるぞ?」  
この人は一体何を言っているのでしょうか?  
わたし達ヒューマノイドインターフェースは初期に設定された性格や感情以外のものを露出する事などありません。長門さんなんて特に設定数が少ないんですから。  
それにわたしには長門さんはいつもと同じ無表情に見えますが?  
人間とはおかしな生き物です。  
「・・・・・・」  
「一人で抱え込むな。何かあったら俺や皆の事も少しは頼ってくれ。  
まあ、俺は頼りないかもしれないけどな」  
長門さんと彼のスペックには天と地の開きがあります。  
あなた程度が役に立つわけないでしょうに・・・。  
「・・・・・・そう」  
「話すべき事はそんなところですね。  
長門さん、そろそろ仕事に戻りましょう。急進派がいつ動き出すかもわかりませんから」  
「・・・・・・」  
「・・・長門さん?どうしました?」  
 
長門さんがキョン君を見つめて動こうとしません。  
相変わらずどういう思考回路をしているのやら・・・・・・  
「・・・・・・・・・・・・」  
「もしもし?長門さん?」  
「喜緑さん、すみません。  
もう少し長門と一緒に居てもいいですか?」  
「それは・・・その、困ります」  
わたしは元々長門さんがちゃんと仕事しているかどうか監視するのが役目ですからね。  
まったく、わたしの仕事を増やさないでほしいものです。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
「あの〜・・・長門さん?いいかげんに・・・」  
「お願いします。喜緑さん!」  
「・・・仕方ありませんね。少しだけですよ」  
長門さんが完全無反応ですし、仕方がありません・・・  
後で情報統合思念体に情報解除されてもわたしは知りませんからね。  
「ありがとうございます、喜緑さん  
これでいいんだよな?長門」  
どう考えてもキョン君が何か勘違いしていますね・・・  
いいわけありませんよね。長門さん?  
「・・・・・・こくり」  
全く表情を変えずに小さく首を縦に動かす長門さん。  
まさか・・・故障か何かでしょうか?  
「じゃあ、わたしは涼宮さんの監視に戻りますね。  
何かあったらお伝えします。いつでも動けるようにしておいてくださいね」  
「ええ、わかりました。どうもすみません」  
 
 
という事で、涼宮さんの監視に戻ったわたしですが、  
長門さんも監視の必要がありそうです。何かあれば情報統合思念体に報告しなければいけませんし・・・  
ちょっと覗いてみましょうか。  
「長門、俺に話す事でもあるのか?」  
彼はそう判断したようですね。しかしどこで判断したんでしょうか?  
「・・・・・・・・・」  
「・・・違うのか?」  
まぁ、キョン君の妄想通りなわけないとは思いましたが。  
彼は何で判断したんでしょうか・・・?  
「それじゃあ、一体どうしたんだ?」  
「・・・・・・・・・・・・」  
「・・・居て欲しいのか?」  
「・・・・・・そう」  
・・・全く信じられません。  
長門さんがいつも無表情で彼の服の袖を掴んでいます。  
思えば彼女の行動はこれまでにもおかしな点が何度かありました。  
そのたびに情報統合思念体に報告していたのですが  
情報統合思念体からはなんの干渉もありませんでした。  
まったく・・・わたしの上司ながら使えない方です。  
彼女に仕事に支障を来たす不良が見つかったとなってはわたしの負担が増えるばかりなのですが。  
って、ちょっと待ってください!何故抱き合っているんですか!  
二人とも!一体何を・・・  
 
 
この後の事は残念ながらわたしの口からは説明できません。  
そうですね・・・。どうしても聞きたいならそれはまた別のお話で・・・  
そんなことよりも後悔しました。  
わたしとした事が、二人のせいで涼宮さんの監視をすっかり忘れてしまうなんて・・・・・・  
 
 
「古泉!古泉!?」  
男がノックもせずにドアを開ける。  
「大変だ!かなり大型の・・・古泉?」  
男が入った部屋に人の影は見当たらなかった。  
 
 
 
その夜・・・閉鎖空間が発生した。  
 
まさかわたしまでもが涼宮さんの妄想に付き合う事になるとは・・・  
さっきまでわたしはキョン君と長門さんのもにょもにょ・・・を見せつけられていました。  
が、さっきまで見ていたはずの長門さんの部屋が突然消え去り  
長門さんの部屋だったはずの場所は・・・  
「わたしとした事が・・・」  
地平線まで広がる大平原がそこにありました。  
おそらくここは涼宮さんの閉鎖空間。  
わたしが目を離している間に何かあったのでしょうか・・・  
申し訳ありませんでした情報統合思念体様。どうか情報解体だけはご勘弁を・・・  
とりあえず、思念体に連絡をしないといけませんね・・・。  
 
・・・エラー  
 
頭をよぎるエラーメッセージ。  
え?エラー?あれ?どうなってるんでしょう?もう一度・・・  
・・・エラー  
な・・・何故・・・?  
「きゃっ!?」  
思考の途中に後ろから何かがわたしにぶつかってきました。  
「・・・これは!」  
わたしが後ろを振り向くと青く半透明でたまねぎ型。  
それにマヌケな顔を張り付けたぷにぷにとした奇妙な物体・・・生き物なんでしょう  
か?  
青い生き物はわたしを見てにぃっと微笑むと、再び飛びかかかってきました。  
バカなたまねぎです。このわたしに向かってくるとは・・・  
久しぶりにやりますか・・・うふふ。  
「情報解除!」  
 
しかし、何もおこらなかった。  
 
「やっ!?」  
青い生き物に向けた手が青い生き物の体当たりによって弾かれました。  
頭の中に鳴り響くエラー報告・・・そして、たしかにわたしに伝わる痛み・・・  
「え・・・ぁ・・・」  
わたしには痛覚を認識するという設定はないはず・・・  
これは一体どうなってるんでしょうか・・・?  
な、なんとかしなくては!  
再び青い生き物が私に飛びかかろうと・・・  
 
「ひぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!!」  
「うおぉぉぉぉ!!」  
遠くから何やら必死に走ってくる人影が二つ  
こちらにどんどん近づいてきて・・・  
「どわぁぁぁ!」  
転びました。  
 
ぶちょうしの かいしんのいちげき!  
スライムをたおした!  
 
わたしを襲っていた青い生き物は転んだ人に押しつぶされてしまいました。  
「喜緑さん!大丈夫ですか?」  
「あ・・・はい、大丈夫です。ありがとうございました」  
崩れた表情をデフォルトの笑みに戻し、走ってきたもう一人の人物、キョン君に会釈する。  
転んでるほうは・・・  
 
エラー発生:原因不明。被害レベル:極少  
無視しますか?  Y/N  
 
Yes  
 
そうそう、コンピ研の部長さんでしたね。  
あまりにもどうでもよかったので中々思い出せませんでした。  
「そそそ、そんな事より早く逃げなくては!!」  
「そういえばそうでしたね。喜緑さん逃げましょう!」  
「何から逃げるんですか? ・・・!」  
いきなり、彼ら二人に腕をつかまれ、わたしを引き摺るように走り出しました。  
あまり失礼が過ぎると後で情報解体しますよ。  
「ひぃぃぃ!もう来てるじゃないか!」  
後ろを向くと巨大な岩で出来た巨人がこちらへ向かってくるのが見えました。  
 
 
 
 
 
「ひぃ・・・ふぅ・・・な、なんとか逃げ切れたようだね・・・」  
「ええ・・・どうやらここなら安全のようですし」  
なんとか岩の巨人から逃げ出し、どうやら街のような場所に入ったようですが・・・  
「ここ、どこなんでしょうね?」  
周りを見渡すと、石造りの建物  
何やら古臭い服を着た人たちが行き交い鎧を着て馬に乗った集団が通りを行き交うという日本では見られないような光景が目に入りました。  
「うわぁぁぁ!一体どうなっているんだぁ!」  
「・・・・・・(またハルヒの奴・・・)」  
部長さんが挙動不審な動きと言動でうろたえているのに対して、  
キョン君は、何やら考えるような表情をしています。  
きっと涼宮さんのせいで、いろいろ馴れてるのでしょう。  
なんであんなのが神様扱いなんでしょうね?  
「さっきのゴーレムといい・・・どう見てもゲームの世界じゃないか!  
そうか!夢か!夢なんだな!はははは!  
そうなら早くそうと言ってくれよ君達!」  
「喜緑さん・・・これって」  
「ええ、おそらく閉鎖空間ですね」  
「って、無視するなよ!」  
うるさい人は無視して話を続けましょうか。  
「すみません・・・わたしが涼宮さんから目を離したばっかりに・・・」  
「喜緑さんのだけのせいじゃありませんよ。  
俺も長門の仕事を邪魔しましたから・・・」  
その通りですね。反省してくださいね。  
 
「・・・わはははははは」  
突然空から抑揚の無い声が響きました。  
先ほどまで一面の青だったはずの空は黒雲で覆われていました。  
「長門!」  
「これは長門君の声じゃないか!?」  
「・・・にんげんどもよ。わたしのなまえはまおうゆき。  
にんげんどもよ。みっかご、エスオースこくは わがてにおちる。  
きょうふに ふるえるがいい わはははは」  
何という棒読み・・・感情の無い長門さんには仕方ありませんが・・・そういう問題じゃないですね。  
「長門!どこにいるんだ!」  
キョン君が空に向かって叫びました。  
「わたしは まおうじょうにいる。  
エスオースを すくいたければ わがもとにくるがいい  
まっているぞ ゆうしゃキョン」  
「長門!?何わけのわからない事を言ってるんだ!」  
「・・・・・・台本」  
いつもの通りの長門さんの声に戻りましたね。  
「ここは涼宮ハルヒが作り出した閉鎖空間。  
おそらく涼宮ハルヒの考えて居たゲームソフトの企画と涼宮ハルヒの願望によって  
生み出された空間」  
「俺が勇者ってどういうことだ!?」  
「・・・涼宮ハルヒがそれを望んでいる。  
この世界でのハッピーエンドは私を倒し囚われた彼女を救い出す事。  
彼女はあなたに救われる事を望んでいる」  
なーるほど・・・長門さんと彼が仲のいいことに嫉妬しているというわけですか・・・  
相変わらず涼宮さんは自己中心的ですね。  
「お前を倒すって・・・!?」  
「・・・・・・来て」  
「長門!おい!長門!!」  
キョン君が叫ぶも、長門さんの返答はなく、空を包む黒雲も晴れていきました。  
「はははは!君が勇者だなんてまったく似合わないね」  
部長さんが笑いながらキョン君の肩をポンと叩きました。  
さっきまで情けないほど動揺していたクセに何ですかこの人は。  
「・・・もう大丈夫なんですか?」  
「ははは!何がだい?」  
「だからこの状況ですよ・・・」  
わたしのデータでは部長さんの障害や逆境への対応レベルは低。  
それも限りなくゼロに近い低。つまり小物ですね。人間としての器が小さいということです。  
しかしそれが一般人というものです。彼がこのような状況に適応できるとは最初から思っていません。  
「夢だろう?折角の夢なら楽しませてもらおうじゃないか!」  
データ訂正。普通の人間じゃないのかもしれませんね・・・。ただの現実逃避でしょうか?  
 
「まぁ、それでいいですけど・・・  
ところで、他のSOS団のメンバーもここに来ているかもしれません。  
出来たら長門か古泉と合流したいんですが、喜緑さん、長門と連絡・・・とれませんか?」  
わたしは首を横に振る。通信しようとしてもやはりエラーが起こってしまいます。  
「そうですか・・・」  
「よくわからんが、ゲームでズルはしてはいけないって事だね  
僕にはよぉくわかるよ」  
「そりゃ、あなたにはわかるでしょうね(パソコン四台取られたしな)」  
涼宮さんも余計な事をしてくれました・・・。  
ヒューマノイドインターフェースとしての能力さえ使えれば、こんなふざけた世界とはすぐお別れするのですが・・・。  
「喜緑さんが無理って事は多分長門のほうも・・・  
とりあえず、魔王城に向かいましょう」  
「そうですね」  
「待ちたまえ!!」  
何ですか?わたしは済ませて早く帰りたいのですが・・・  
「むっふっふ・・・おそらく魔王城にはバリアーが張ってあって通れないんじゃないかな?」  
「はい?」  
奇妙な笑みを浮かべ、自信たっぷりで述べる部長さん。  
「二人とも、団長さんの書いた企画書をよく思い出してみろ」  
「そういえば・・・たしかにハルヒの企画書にはそう書いてあったようななかったような・・・」  
「長門君の言った台本というセリフ・・・  
それにズルをさせない仕様・・・  
つまり、団長さんは自分の考えたコースを外れてほしくないのだよ!」  
ビシっと空を指さし自信満々に答える部長さん。何ですかそのポーズは。  
「なるほど・・・でもハルヒの書いた無茶苦茶なシナリオなんてよく覚えてましたね」  
「ははは!無理矢理だろうがゲームを作るとなれば  
企画はすべて把握するのが製作者のつとめじゃないか!」  
それにしてもこの部長さん、ノリノリである。  
嫌々のように見えたクセに結構涼宮さんの勧誘に乗り気だったんですね。  
そういえば文化祭の時コンピ研はゲームを出展していましたね。  
「たしか企画書によると、魔王の城のバリアーを解除するには  
伝説の聖獣と伝説の聖剣を手に入れる必要がある。  
まず最初の目的地は東にある魔物の塔!準備はいいかい君達!」  
「なんてベタな・・・ええ、急ぎましょう」  
目的地も分かったところで私達は東へ向かい・・・  
「待ちたまえ!!!」  
空気の読めない人ですね。  
「・・・なんですか?」  
「まだ何かあるんでしょうか?」  
「いいかい君達、これはゲームの世界だ。  
それに恐らくRPGだ。  
ダンジョンに向かうためには準備が必要だ!」  
なるほど、彼のゲームヲタクっぷりもこんな時だけは役に立つようですね。  
「でも、俺達お金も何も持ってませんよ?」  
「ふふふ・・・大丈夫僕に任せてくれ」  
また奇妙な笑みを浮かべる部長さん。やれやれ・・・この先大丈夫なんでしょうか・・・  
 
ビシャァァァン!  
 
暗い石作りの部屋に雷の音が響く  
広い部屋の王座に座るのは魔王、長門有希。  
そして王座に駆け寄ってくる女性が一人  
「ゆっきーゆっきー!・・・じゃなくて魔王にゃん!」  
「・・・・・・」  
「めがっさ重大な報告がありますにょろ!」  
「・・・・・・そう」  
「勇者キョンくんが、封印された聖獣に気づいたのか  
魔物の塔へ向かっていますにょろ!」  
「勇者一向は今のところ三人だ。  
一人は職業、勇者。キョン。  
二人目は職業、クレリック。名前は喜緑江美里。ランクはA  
キョンの奴!また抜け駆けしやがって!っと・・・失敬。  
三人目は・・・ん?」  
女性の背後からもう一人の男が一枚の紙を片手に現れる。  
「どうしたんだいっ!?」  
「職業・・・何も書いていないな。名前は・・・部長?」  
「彼らの職業設定は涼宮ハルヒの独断と偏見で決められている。  
おそらく彼らの能力はそれぞれの職業に対応したものが与えられている。  
そのためそれ以外の能力、私や喜緑江美里のヒューマノイドインターフェース  
としての能力を使用を制限している。  
職業が決められていないのは涼宮ハルヒが対象の能力やイメージを把握できていないから。  
そのため能力は不明」  
「は・・・はぁ」  
男のほうは説明がわからないのか首をかしげる。  
「難しい事考えなくても大丈夫っさ!  
ゆっき・・・魔王にゃん!魔物の塔にはこのお姉さんを派遣してほしいにょろ!」  
「・・・・・・こくり」  
魔王は変わらない表情のまま首を縦に振る。  
「めがっさありがたき幸せ!  
奴らのことは、この煙使いの鶴屋にお任せにょろ!  
ところで報酬にスモークチーズは・・・」  
「・・・・・・ない」  
「にょろーん・・・」  
「大丈夫ですかね・・・じゃあ、俺は聖剣の警備に戻りますんで・・・」  
「・・・・・・そう」  
「お姉さんも行ってくるにょろ!」  
「・・・・・・そう」  
そういい残し、二人の部下は仕事へ戻って行った。  
残された魔王は王座から立ち上がり、窓から魔王城周辺の暗い大地を眺める。  
「・・・・・・彼の勝利は確定している。  
すべての行動はそこに干渉しない。  
何故なら涼宮ハルヒがそれを望んでいるから」  
「・・・あなたはどうなのかしら?」  
「・・・・・・誰?」  
「あなたは・・・それを望んでいないんでしょ?」  
魔王が振り返ると同時に  
背後から近づいてきた影が魔王のみぞおちに正拳を叩き込む。  
地に崩れる魔王、長門  
「ふふふ・・・ごめんなさい。そう簡単に終わってもらっちゃ困るのよ・・・ふふふふ」  
 

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