・・・おい、ハルヒ。とうとう神様にまでされちまったぞ。
「ですから『機関』の者は困惑しているんですよ。
もしかしたら、明日にはこの世界はなくなるかもしれません。
その前に涼宮さんを亡き者にせよと主張する強硬派も確かに存在します。
現在は慎重派が多数を占めていますが、
少数派の中には涼宮さんが何者かの弟子ではないかと言う説があるんですよ。」
・・・おい、ハルヒ。今度は弟子だとよ。
「キリストはご存知ですか?
イエスが十字架刑に処せられた後も、弟子たちによって教えを広められました。
その教えはイエスのも」
「古泉、それは極端すぎはしないか?
それが本当だとしたらハルヒは一度、その何者かと会っていることになる。」
黙っていられず、古泉の声を遮って喋ってしまった、反省はしていない。
「ええ、もちろんその点で『機関』でも否定的な意見が多数出ました。
ですが、涼宮さんと何者かが混在しているとすればどうでしょう。
無意識に力を発動しているのではなく、無意識に力を発動されていると。
多重人格に近いかもしれませんね。」
「お前は、いやその『機関』はハルヒを何が何でも犯人のようにしたいようだな」
「大半がそうでしょうね。本当に僅かですが、
何者かが無数に存在する平面世界の1パターンを選び出したのではないかと言う説もあります。」
やれやれ、一体どこまでこんな話をするのだろうか。
「全ては偶然に発生した平面世界の一つをこの世界に適用されただけだと言うことです。」
「いい加減にしろ、偶然に長門や朝比奈さんがハルヒの元へ集まったと言いたいのか。」
「その通りです。もちろん、その偶然を何者かが必然的に発生させているわけですが。」
俺が何もコメントしたくないのを察したのか、そのまま喋り始める。
「例えばスプリンクラーの水滴が一定の場所に集まらず、
ある範囲の中で無数に散らばるとします。
その散らばった水滴同士が同じ地点に付着する状態を偶然、としておきましょうか。」
「試行回数が限られているため、人は偶然と呼んでしまいますが、
仮に試行回数が無限にあるとしたら、極端に言えば偶然を作り出せれば」
コーヒーが冷えてしまい飲む気が失せてしまった。それを見て古泉が、
「向こうの世界はまだ暖かいかもしれませんよ?」と嘲笑した。