埋めネタ その5 ある機関員の独白  
 
僕が能力に目覚めたのは、小学校の卒業を目前にした冬のことだったと思う。  
説明のしようがないけど、とにかく気づいちまったんだ。おかげで、機関に拾ってもらうまでは、色々と怖い思いもしたっけ。  
 
機関の訓練所に着くと、僕と同年代の連中が集められていた。  
初日のミーティングで紹介された教官は、優しそうなお姉さんで、ちょっとドキドキしたことを覚えている。  
初日の夜は、これから始まるマンガのような世界に興奮して眠れなかったっけ。もっとも次の日からも眠れなかったけどな・・・極度の疲労で。  
 
翌日、朝礼に並んだ僕らの前に、あの綺麗なお姉さんが、穏やかな微笑を浮かべて現れた。そして、次の瞬間から地獄が始まった。  
「わたしが主任教官の森園生です。別に覚えなくてもいいわ。すぐにイヤでも忘れられない体にしてあげるから。  
それから、わたしに話しかけられたとき以外は、口を開かないように。口でクソたれる前と後に“Sir”を付けなさい。」  
へ???Sirをつける?Why? なぜ?  
どう答えればいいか分からず、キョトンとした僕らを見た森教官の笑みが、凄みを帯びた。  
「分かったか!ガキども!!」  
!!!!!  
「サ、Sir、 Yes、 Sir・・・」  
「ふざけるな!大声だせ!タマ落とされたいか!」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
こえー!!!マジよしてくれよ!意味わかんないって!これがジョークだとしても、マジ笑えないって!  
 
度肝を抜かれて茫然自失な僕らに、ニッコリと微笑んだ森教官が演説を始めた。  
「貴方達が私の訓練に生き残れたら・・・各人が機関直属の超能力者となります。  
涼宮ハルヒに祈りをささげる、世界の守護者です。  
しかし、その日まではウジ虫です。地球上で最下等の生命です。  
貴方達は人間ではありません。両生動物のクソをかき集めた値打ちしかありません。」  
「貴方達は厳しい私を嫌うでしょう。しかし憎めばそれだけ学びます。  
私は厳しくても公平です。差別は許しません。童貞、包茎、ヲタ・・・私は見下したりしません。  
なぜなら・・・すべて平等に価値がないからです!私の使命は、役立たずを刈り取ることです!愛する『機関』の害虫を!!」  
「分かったか!ウジ虫ども!!」  
「Sir、 Yes、 Sir!」  
「ふざけるな!大声だせ!!」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
 
「そこの童顔君、きみの名前は? 」  
「く、国木田です、Sir!」  
「ふざけるな!!本日からテメーをショタと呼ぶ!わかったか!!」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
「いい名前でしょ、気に入った?」  
「い、Yes、 Sir!」  
「聞いて驚かないでねショタ君?うちのスポンサー筋は腐女子が多い!貴様がその担当だ!!」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
震えながら涙を浮かべる国木田君にむけて、森教官が満足げな微笑を向けた。  
思わずちびりそうになる、凄絶な笑顔だ。  
 
「な、なんなんですか!何のためにこんなことするんですか!」  
お!誰かが抗議したぞ! あれはたしか古泉君・・・だったかな?  
「黙りなさい。今のは誰!?どのチェリーかしら? 未来人の手先のおフェラ豚さん、犯されたいの?  
・・・答え無し?TFEI端末のババアの仕業ってこと?」  
「上出来だ!!頭が死ぬほどファックするまでシゴいてやる!!ケツの穴でミルクを飲むようになるまでシゴき倒す!!!」  
「僕です、Sir!」  
おお!小泉君が正直に名乗り出た!  
「あら、そこの童貞君なのね・・・勇気があるじゃない。正直なのは感心ね。気に入ったわ。今夜、教官室に夜這いに来てもいいわよ。  
このガチホモが!じっくりかわいがってやる!女じゃ感じられない体にしてやる!  
さっさと勃てろ!今ここでマスかいてみせろ!でなきゃクビ切り落としてクソ流し込むぞ!!!」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
 
「あなたの髪を見てたら嫌になるわ。なんなのこのアホ毛は。君、名前は?」  
「た、谷口です、Sir!」  
「谷口?学校を出ようの作者?」  
「Sir、 No、 Sir!!」  
「気品ある名前ね、華族の出なの?」  
「Sir、 No、 Sir!!」  
「あなたもチンポを吸うんでしょ?」  
「Sir、 No、 Sir!!」  
「その口は、掃除機オナニストの口よ!」  
「Sir、 No、 Sir!!」  
「やっぱり気に喰わないわね。なんでそんなアホ毛なの?」  
「Sir、 No、 Sir!!」  
「その胸クソ悪いアホ毛を今すぐやめてちょうだい」  
「Sir、 Yes、 Sir!!」  
「早く毛に伝えろ!」  
「頑張ってます、Sir!」  
「三秒あげるわ。十分でしょ、この早漏!  
その額を続ける気なら、アナルえぐって、直に尾?骨にファックしてやるぞ!」  
1! 2! 3!  
「できません、Sir!」  
「いいわ、ケツの穴を引き締めなさい!ダイヤのクソをひねり出してみなさい!  
さもないとスカトロ地獄よ!」  
 
 
・・・・・・・・すまん。これ以上は勘弁してくれ。脳が思い出すのを拒否してやがる。  
とにかく、森教官は有言実行の人だった。どういう意味かって?字のごとくだよ。  
ただの脅し文句かと思ってたら、言ったことは本当に全部実行しやがったんだ。  
おかげで、春休みのたった2週間で、古泉は立派なガチホモに成長したし、国木田は腐女子のマイナーカップリング派に大人気だ。  
谷口は・・・もともとMだったんだろうな。あんだけ掘られても、むしろイキイキとしてやがる。  
この話で機関の9割は、語れたんじゃないかと思う。みんなアホばっかりだ。  
 

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