長門有紀の抜き打ちの一刀が朝倉涼子を捕らえた  
手応えは十二分  
あとは朝倉がどうと倒れる音を聞くばかりである  
しかし、いくら待てども朝倉の倒れる音は届かない  
(・・・?)  
代わりに長門の耳に聞こえたものは、生あたたかい風の音であった  
その場より這いずり去るべく踏んばった長門だが、体が鉛のごとく重く動かない  
 
このとき、集会所の前に何者かの足音が近づいた  
(誰だ?)  
「朝倉──」  
やってきたのはエウメネスであった  
「キョンくん・・・」  
ゆっくりと振り返る朝倉涼子  
「これ。夢だよな・・・」  
長門の一閃により朝倉はすでに顔半分を失っていた  
風の音と思われたものは血泡の詰まった朝倉の呼吸音であった  
 
朝倉涼子がゆっくりと地に手をついた  
 
キョンの眼前で砂の如く半分になった頭蓋がくずれた  
 
 
クラス一とうたわれた美少女の右顔面は、天上で空しくキョンを睨んでいた  
 

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