――ティコ魔法堂  
 
イシュワルドの商店街の一角にあるお店。  
魔法品や怪しげな薬が品揃えの大半を占めるせいか、店内の雰囲気はなんとなく暗い。  
「こんにちわーっ」  
そんな店内に似つかわしくないくらいの明るい声が響く。  
入ってきたのは10代後半の赤髪の少女。  
「あら・・・こんにちわ。イヴちゃん」  
カウンターでダルそうに座っている店主・ティコが挨拶を返す。  
 
「それで・・・今日はどうしたの?」  
「えっと・・・フィル君がカゼをひいたらしくて、お見舞いのものか良く効く薬を・・・」  
「あら、そう・・・フィル君のためね」  
くすっと微笑む。イヴがフィルに好意を寄せているのはティコも知っている。  
しかしフィルはシオという少女に思いを寄せている。  
俗に言う三角関係というやつだ。しかもイヴにとっては分が悪い関係でもあった。  
しかし、それでもイヴはフィルの気を引くために今もいろいろとアプローチしている。  
 
「ルヴェルくーん、棚から特製タミフル取ってきてーっ」  
ティコは店の奥に向かって声を投げる。しかし、返事は返ってこない。  
「ルヴェルく・・・あ、そうだった・・・使えそうな商品を見繕って行かせたばっかりだったわ」  
弟子(という名の奴隷)の男を呼び損ね、ティコはしばらく沈黙した。  
「・・・まぁいいわ。後でお仕置きメニュー追加ね・・・」  
小声の独り言を呟くと、ティコは店の奥へと足を運ぶ。  
棚には商品の薬のストックやその材料となるもの、研究中のアブなさそうな薬品が所狭しと並んでいる。  
主に錠剤関連が並んでいる棚をティコは漁り始めた。  
「タミフルは・・・これね。・・・あら・・・これは・・・?」  
目的の薬瓶の隣には別の丸薬のビンがあった。ラベルには『D-821』と書いてある。  
「これはこの前ルヴェル君に使ったアレね・・・・・・あ、もしかしたら・・・・・・」  
しばらく考え、ニヤリとする。  
(使えそうね・・・)  
 
「お待たせ、これよ」  
イヴに2種類の薬を差し出した。  
「二種類ですか?」  
「そ。こっちの白い方の錠剤は朝夕の食後に、緑の方の丸薬は寝る前に飲むように言ってね」  
差し出した薬は、片方がよくあるタイプの錠剤、もう片方は濃い緑色のちょっと大きめの丸薬だった。  
「わかりました〜」  
「お代はいらないわ。フィル君には品物を採取してもらったりとお世話になってるしね」  
「ありがとうございます!早速行ってきます」  
「気をつけてね。あ、それと・・・」  
突然呼び止める。  
「はい?」  
「今フィル君に持っていくのよね?」  
「はい、そうですけど・・・」  
「じゃ、明日の午前中にフィル君の様子を見てちょうだい」  
「そんなに早く治るんですか?」  
「たぶんそっちもだけど、ちょっと面白いものが見れるわよ」  
ニヤニヤしながらイヴを見送る。  
「は、はぁ・・・じゃ、行ってきます」  
ティコの笑みの意味が気になったが、まずは薬をフィルに届けることにした。  
「ただいまですじゃ〜」  
薬を袋にしまおうとすると、不意に入り口からティコの弟子(奴隷)のルヴェルが帰ってきた。  
「あ、ヴェルっちょ・・・」  
「遅いっっっ!!!!」  
「グゲファッ!」  
イヴが声をかけるより早く、ティコの怒声と鉄拳がルヴェルを直撃した。  
正面から食らったルヴェルは3メートルほど吹っ飛んで倒れこんだ。  
「全く・・・商品の調達くらいさっさとこなしてきなさい。私の仕事が増えるじゃない」  
「師匠・・・商品の調達は20分でもかなり早いと思うのですじゃ、我慢してくだされ・・・」  
ルヴェルが持っている袋には、何かの木の実らしきものが入っているが、今の衝撃でいくつかがこぼれた。  
「今度は10分で見繕ってきなさい」  
「そんな殺生な・・・」  
ムチャな要求をする師匠だが、ルヴェルは泣く泣く従うしかない。  
「・・・ん?おお、イヴか。何か用があったのか?」  
ようやくイヴの存在に気付いたルヴェルが声をかけた。  
「うん、フィル君に薬を持っていくとこ」  
「そうか、ご苦労なことじゃ。・・・ん?」  
イヴがしまいかけた緑の薬にルヴェルは反応した。  
「お主・・・その緑の薬・・・」  
「これ?カゼ薬じゃないの?」  
「まさかそれはD-821番のくすゴファァァッ!!」  
言い終わらないうちにティコの飛び後ろ回し蹴りがルヴェルの後頭部を直撃した。  
そのままルヴェルは倒れ、気絶してしまった。  
「何でもないわ。早く持って言ってあげなさい」  
ムリヤリ笑顔を作ってその場をごまかそうとするティコ。  
「は、はぃ・・・じゃ、お邪魔しました〜」  
(あまり深くは聞かないでおこっと)  
そそくさとその場を後にし、フィルのいるギルド寮へと向かった。  
 
――コンコン  
来訪者のノック。布団にくるまっていているフィル。  
「う〜ん?・・・ゲホ、ゲホ」  
咳が止まらず、のどが痛い。少しの行動でさえ面倒に感じる。  
しかし、部屋には自分しかいないのだから横着するわけにはいかない。  
体に鞭打って起き、ドアを開けた。  
「こんにちわっ!」  
「・・・こんにちわ、イヴちゃん・・・ゲホッ、ゲホッ・・・」  
「大丈夫、フィル君?」  
「うん・・・なんとか・・・でも、しばらくは外歩けそうにないや・・・ゴホッ!ゴホッ!  
 ところで、何か用?」  
「うん、お見舞いついでに、ティコさんからお薬もらってきたの。はいっ」  
「お、俺に・・・?」  
「フィル君しかいないじゃない!ティコさんの特製なんだからっ」  
「ご、ごめん、イヴちゃん」  
「白い方は食後、緑の方は寝る前に飲んでね」  
「う、うん・・・いろいろありがとう」  
「早く元気になってね!待ってるんだからっ」  
と言っていきなりフィルに抱きついた。  
「わっ!ちょ、やめ・・・」  
慌て、何とかイヴを引き離した。  
「ぶ〜、ただのスキンシップだったのにぃ」  
むくれるイヴ。彼女にとってはスキンシップのつもりでも、フィルにとってはかなり戸惑う行動だった。  
「そ、そういうことは好きな人とやった方が・・・」  
「あら、それだったら問題ないわ。だってイヴはフィル君が好きなんだも〜んっ」  
再び抱きつこうとする。  
「わわっ、分かったから、ほ、ほら、今はカゼだし、伝染しちゃうとマズいから、ねっ」  
なんとか静止させ、この場をしのいだ。  
「じゃ、私は帰るね。明日も来るからね」  
「う、うん・・・ありがと・・・じゃあね」  
正直、そんなに嬉しくなかったが、フィルは愛想笑いで返した。  
 
「さて・・・と」  
夜10時。いつもならもっと遅くまで起きていたのだが、今日は病人の身。  
夜更かしして体調に影響を与えるわけにはいかない。  
フィルは読んでいた本を枕元に置き、電灯を消そうと立ち上がった。  
電灯の紐に手を伸ばしたところで、何か思い出した。  
「――おっと、寝る前に飲むんだっけな・・・」  
イヴからもらった薬のうち、緑色の丸薬を取り出した。  
(何かの薬草でも入っているのかな・・・?)  
気にはなったが、レミュオールの魔女と名高いティコの薬なので、信用して飲む事にした。  
「ん・・・さて、寝るか・・・明日には治ってるといいな・・・」  
電気を消し、布団に潜り、明日を待つ。  
 
 
「う〜・・・・・・」  
布団と毛布にくるまりながらも、フィルは目を覚ます。  
外ではとっくに太陽が昇り、昼になろうとしていた。  
「・・・・・・もうこんな時間か」  
正直、夕べはあまり眠れなかった。カゼのせいか薬のせいか、体が熱かったり寒かったりとの繰り返しで  
とても寝ていられず、治まった後はよく覚えていないまま眠ってしまった。  
咳やのどの痛みは取れたが、全身がやや熱っぽく、ダルさで力が入らない。起き上がるのでさえ辛かった。  
(そんなに早く効き目があるはずがないか・・・)  
「うぅ〜・・・今日も安静だね・・・」  
そう言って左側に寝返りを打ったとき、服越しに何かの違和感を感じた。  
「・・・?」  
自分の左の腕にぽにゃんとした感触のものが当たる。  
「ん・・・服に何か入っているのかな?」  
ダルさをこらえて起き上がってみた。胸のあたりに重みを感じ、自分の目で確かめる。  
「・・・えっ・・・・・・!?」  
 
目を疑った。  
フィルの胸には女性のもののような乳房がくっついていた。  
いや、くっついていたのではなく、大きくなったというのが正しいのだろうか。  
「☆#%$@¥くぁwせ(ry・・・」  
もはやまともに言葉にすらならない。  
すかさず布団に潜り、状況を把握しようとする。  
(何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ・・・・)  
頭の中は『何故』でいっぱいになり、心の整理が追いつかない。  
(夢・・・そうか!これは夢だ!)  
ムリヤリ夢オチだろうと納得しようとするが、ほっぺをつねっても痛みしか返ってこない。  
(夢じゃないとすれば・・・誰かのイタズラ!?)  
今度はこの胸は作り物で、誰かがつけたのだろうか?  
揉んだり引っ張ったりするが、自分の体の一部であることを強く認識されるだけだった。  
しかも胸に触れる度に、ピリッという快感にも似た感覚がする。  
(ん・・・結構、気持ち・・・いいかも・・・・・・)  
しばらく自分の胸を弄り続け、ふっと我に帰った。  
(――いかんいかん!これじゃあ俺は変態じゃないか!)  
『ゴッ!』と自分の頭を叩いて止める。  
「それにしても・・・これじゃ外に出られないよ・・・」  
胸を見つめて悩んだ。この大きさでは、服の上からでも目立ってしまう。  
上半身が女、下半身が男である今の珍妙な体では、バレたら何があるか分かったものではない。  
「・・・とりあえず着替えよう・・・・・・」  
外に出たときの事を考えるのはやめた。外に出なければいいと考えた。  
今は体調を優先することにした。  
昨日からの熱のせいか、シャツが汗でびっしょりになっていたので、替えるためにタンスへと向かう。  
立つのは辛いので、ズルズルと這って移動する。  
なんとか上半身だけ裸になり、脱いだものは近くの洗濯籠に放り込んだ。  
改めて自分の上半身を鏡で見た。フィルは顔のせいでよく女の子に間違われる。その事がコンプレックスなのだが、  
鏡に映った自分の上半身は、ほとんど女性のそれだった。  
(うわぁ・・・・・・)  
早く治したい。男らしさを求めるフィルにとっては切なる願いだった。  
(熱が引いたらティコさんに治してもらおう・・・)  
考えると、ティコの薬による影響の可能性が高い。昨日飲んだカゼ薬の思いがけない副作用かも知れない。  
彼女なら、何か治す方法を知っているだろう。彼女の性格なら、フィルの体のことやその事で相談しに来たことを  
誰かにバラしたりはしないだろう(バラすのが面倒くさいだけかも知れないが)  
治してくれることを期待し、今日は熱が引くまで寝ることにした。  
「さて、とりあえずシャツぐらい着なきゃ・・・」  
タンスからシャツを取り出そうとしたその時――  
 
――コンコン  
 
突然、ノックの音が響いた  
(まずいっ!!)  
シャツを着るのを忘れ、無我夢中で這い、急いで布団に潜り込んだ。  
(誰か来ることまで考えてなかった・・・)  
誰かお見舞いに来たのだろうか。もし誰かに見られたら一巻の終わりである。  
「フィ〜ルくんっ♪」  
ドアの外からイヴが呼びかける声が聞こえた。  
そういえば、昨日『明日も来る』と言っていたのを思い出した。  
「・・・あれぇ?いないのかなぁ?」  
(・・・居留守を使おう・・・)  
こんな体を見せられるわけがない。イヴには悪いが、今は諦めて帰ってもらいたかった。  
「フィールーくーん」  
再度呼んで確認する。  
「・・・もう治ってお仕事行ったのかな?」  
諦めかけてなんとなくドアノブに手をかける。  
――ガチャッ  
「あ・・・開いちゃった・・・」  
すんなり開いてしまった。  
(あ・・・カギ掛け忘れたああっっ!!)  
ドアを開けた視点からは、フィルの布団が見える位置だ。そのままガッチリイヴと目が合ってしまった。  
「なーんだ、フィル君いたじゃんっ」  
フィルを見つけるや否や近づく。  
(イヴちゃん、来ちゃダメ・・・)  
心でそう考えても、熱と脱力感で声が出ない。  
「イヴ・・・ちゃ・・・・・・ちゃ・・・ダメ・・・」  
「じゃーん!今日はイヴ特製の料理を持ってきてあげたわよ。美味しいんだから」  
自分の声が小さかったのか、イヴには聞こえていなかった。  
「カゼのときは寝るのもいいけど、寝てばっかりじゃ体がなまっちゃうわよ!ほら、さっさと起きて!」  
完全にイヴのペースで動かされる。しかし、今体を見られたくはなかった。  
「お布団を剥いじゃうわよ〜」  
手をワキワキとさせてフィルの布団に手をかけた。  
「や、やめ・・・・・・」  
力ない抵抗空しく、布団とその下の毛布が剥がされた。  
毛布を取ったとき、フィルの体の異変にイヴは驚愕した。  
 
「なに・・・これ・・・・・・」  
無理もない。毛布の下は半裸のフィル。しかもDカップはあろうかという胸。  
「う・・・・・・あ・・・・・・」  
隠しようの無い事実に、お互い困惑したまま固まった。  
(あぁ・・・・・・見つかっちゃった・・・)  
(嘘・・・何でフィル君にオッパイが・・・?)  
イヴはとっさに何かを思い出した。  
(まさか・・・ティコさんはコレを知ってて・・・)  
そう考えると、昨日のティコの言動やその意味とつじつまが合う。  
(面白いモノって・・・こういうことだったんだ・・・)  
好奇心の赴くままフィルの胸に手を伸ばす。  
フィルは少し後ずさるが、無意味な抵抗だった。  
「ふぁっ・・・」  
手が触れた途端、小さく声が漏れる。さっきまで外気に触れていたイヴの手は十分に冷たかった。  
(すご・・・本物・・・・・・)  
柔らかい手ごたえと体温は、それが間違いなく本物だった。  
(フィル君のスベスベで柔らかっ・・・・・・!)  
手を止められない。そのまま揉み続けた。  
「あっ・・・んっ・・・あ・・・・・・んあ・・・・・・」  
手が揉むリズムと、フィルの小さな喘ぎが同期する。  
「ふ・・・ふふ・・・・・・」  
イヴは何かの嗜虐心が芽生えたようにかすかに笑った。  
(こんな機会なんてなかなか無いわ・・・・・・少しくらい・・・・・・いいわよね?)  
乳房を堪能していた左手は胸の先端の突起に移動した。  
「ひゃ・・・・・・」  
摘んだ途端、さっきより高い声で喘ぐフィル。  
(うわ、敏感・・・・・・)  
顔を赤くしながら、それでもイヴは弄り続ける。  
「や、やめ・・・・・・んっ!・・・」  
声を出したくてもうまく出ない。目でなんとか訴えようとする。  
しかし、その表情はイヴの内なる嗜虐心を煽るだけだった。  
(あは・・・フィル君、気持ち良さそうな顔・・・)  
左手を引っ込めると、フィルの胸に顔を近づける。  
「あ・・・ああ・・・・・・」  
困惑するフィル。その胸とイヴの顔の距離は10センチもない。  
乳首に向かってふうっと息を吹きかける。  
「ひっ!」と強く喘ぐフィル。何度か繰り返し、反応と表情を堪能していく。  
(フィル君・・・・・・かわいい・・・・・・)  
乳首にキスをして、そのまま吸い付いた  
「んぁっ!イヴちゃ・・・・・・そん、ああっ・・・」  
口の中で転がすように舌を動かす。ザラザラした舌の表面で生んだ刺激が集中する。  
同時に、右手をもう片方の乳房に這わせて揉んでいく。  
「どうしたのぉ?抵抗しないんだったらどんどんイジめちゃうわよぅ・・・」  
わざとらしく耳元で囁くように言う。  
「ほら、こっちなんてどお?」  
「あっ・・・そこはっ・・・・・・」  
フィルのパンツに手をかけ、片手で脱がす。  
「ふふっ、こっちは男の子なんだね」  
モノを撫で、意地悪そうに微笑む。やや子供っぽいそれは、すでに硬く勃起していた。  
「もう・・・やめ・・・よ・・・・・・」  
小さな声を精一杯搾り出して懇願するが、イヴには逆効果だった。  
「だーめっ」  
赤い髪の小悪魔はフィルを片手で押さえつけ、もう片方の手でモノを握り、軽くしごき始めた。  
「女の子に押さえつけられるなんて、なっさけなーい」  
「あうぅ・・・」  
脱力感のせいで抵抗ができない。  
 
「もっと気持ちいいコトしてあげる」  
そう言って、モノの先端にキスをする。  
「あぅっ!」  
さっきまでとは違う、快感かも分からぬ鋭い刺激。反射的にフィルの体が一度痙攣した。  
「あら、これくらいで感じちゃうのぉ?フィル君ってカワイイ〜」  
今度は亀頭をすっぽり咥えた。  
歯、舌、唇など、口内の様々な場所にフィルの最も敏感な部分が触れる。  
「あう、んっ、あ、い、っ・・・」  
(ああ、フィル君が悶えてる・・・)  
心の中で悦楽を覚えながら、イヴはさらに攻め続ける。  
「んふ、フェラって気持ちいいでしょ?」  
さらに奥まで咥え、上下のストロークを繰り返した。  
ジュポジュポと液体が弾ける音が強くなる。  
「あっ、うっ、うぁ、んんっ・・・」  
「これならどうだっ」  
亀頭を咥え、舌を高速で動かす。音は強く細かく響いた  
「う、あああぁぁっ、す、すご・・・・・・」  
イヴのヌルヌルして温かい口内は、経験の無いフィルを絶頂させるには十分だった。  
「うあぁっ、い、イヴ・・・ちゃ・・・」  
「いっひゃうの?いっひゃうの?」  
モノを咥えたままイヴの視線はフィルの顔に向かう。  
今にもはち切れそうなものを必死で耐えている表情。だが、もう持たなそうだ。  
「あ、あ、あぁぁぁぁっ!」  
フィルの体全体が二、三度痙攣し、モノから精液が吹き出した。  
「んっっ!」  
至近距離で発射された精液を、イヴは半分ほど口で受け止めた。  
口で受け止められなかった分の精液がほっぺや鼻先にかかる。  
「はぁ・・・はぁ・・・」  
体全体で呼吸して、フィルはグッタリと顔を横に向けた。  
「あはぁ・・・・・・これがフィル君の・・・」  
口の周りについたのは舌で舐め取り、舌が届かないところは手で拭い取って  
下に垂らして粘性を楽しんだ。  
フィルの方はというと、仰向けのままグッタリしている。  
イッた感覚の余韻で放心状態だった。  
 
「まだよぉ、お楽しみはコ・レ・カ・ラ」  
イヴが服を脱ぎ始めた。ゴスロリ系の服の下から、刺激的な下着と豊満な胸。  
上の下着を取り、隠された部分が露になる。そのまま四つんばいでフィルの上に覆いかぶさった。  
「ふぁ?」  
フィルの目の前にはイヴの巨乳があった。  
「むぷっ!」  
その巨乳をフィルの顔に押し付け、顔面の凸凹を楽しむイヴ。  
「ど〜お?イヴのもすっごいでしょぉ?」  
「むぐっ、ん・・・・・・」  
柔らかな、女性特有の良い匂いがする。  
「反応薄いわねぇ・・・じゃあ・・・・・・」  
ボンヤリしているフィルの顔を覗き込む。至近距離まで顔を近づけ、キスをした。  
「ん・・・・・・」  
舌でフィルの唇をこじ開け、舌と舌を絡め合わせた。  
「んぐっ、ちゅ、んむ・・・・・・んっ・・・・・・」  
(あっ・・・・・・吸われて・・・・・・る・・・・・・)  
ダイレクトにイヴの生温かい吐息が流れ込んでくる。  
一方的なディープキスに、フィルの顔が緩んでいった。  
「んぷ、ぷはっ・・・・・・こんなキスもいいでしょ?」  
30秒程の長いキスからフィルを解放し、突然立ち上がったイヴ。  
「・・・何を・・・・・・?」  
「どうすると思う?」  
そう言ってフィルのモノを胸で包み込んだ。  
「ふ、ふぁぁっ?」  
「や〜らかいでしょ?」  
棒全体にかかる優しい乳圧。その様子を真正面のアングルから見ることができる。  
「ほ〜ら、またカタくなってきたわよぉ」  
「ひ・・・・・・う、嘘・・・・・・」  
さっき果てて縮み始めたはずのフィルのモノがまた大きくなり始めた。  
「ほら、ほら、気持ちいいんでしょ、私のオッパイ?」  
「やぁぁ・・・・・・そんな事・・・・・・」  
徐々に乳でモノをしごくのを速めるのにつれ、反応も大きくなっていく。  
「あら、こんなに大きくしといて・・・嘘はだ〜め」  
膨らんだ先端を指でつついて焦らせる素振りを見せた。  
「嘘をついたフィル君にはオシオキね」  
「え・・・・・・ちょ、イヴちゃ・・・」  
 
イヴはついに下の下着も脱ぎ、一糸纏わぬ姿になった。  
「フィル君は動かなくてもいいからね」  
フィルの上にまたがり、モノを抑える。  
「あ、あぅぅ・・・」  
フィルの頭の中は既に混乱状態だった。何をしていいのかわからないし、何もできない。  
「こんな近くで女の子のハダカって見たこと無いでしょ?」  
ウインクしながらフィルを見つめた。  
「あ・・・・・・あぅ・・・・・・」  
「私も気持ちよくなりたいんだから」  
指を使って自分の割れ目を開けると、濃いピンクの膣が露出した。  
イヴの秘部は今までの興奮から、ハッキリ分かるほど濡れていた。  
今にも結合しそうな部分から、フィルは目が離せなかった。  
「じゃ、いただきまぁす」  
亀頭を数回擦りつけ、ついにフィルのモノをイヴの膣が飲み込んだ。  
「・・・!・・・っ、すご、いっ・・・」  
熱く、ヌルヌルした内部に包まれ、キュッと締められていく。  
どれもこれもフィルにとって未経験の感触だった。  
徐々に腰を落としていくイヴ。  
「あはっ・・・入っ、ちゃったぁ・・・」  
根元まで飲み込んでもイヴは余裕だった。  
「動くよ・・・っ」  
根元から半分ほどのところまで戻し、再び根元まで飲み込む。  
「あっ、あひゃっ、ひっ・・・・・・ぃあっ!」  
あまりの快感から、フィルの声は裏返りっぱなしになった。  
「んっ、フィル君のチンポ・・・・・・気持ち・・・いいっ」  
腰の上下運動を繰り返していく。  
「イヴちゃ、んっ、こんなの、あっ、ダメ、だよぉ、んっ!・・・」  
力なく叫ぶ。  
「あら、・・・っ・・・やめて・・・欲しいの、かしらっ・・・?」  
意地悪な笑みを浮かべ、フィルを躙る。  
「こんなにっ、気持ち、いいっ、のに・・・んっ」  
突然、イヴは結合を解き、立ち上がった。  
「ふぇ・・・?な、なんで・・・?」  
「なんでって・・・?フィル君が『やめて』と言ったからやめたのよ?」  
イヴはわざと突き放すように言った。  
「そんな・・・俺・・・俺・・・・・・」  
「なぁに?やっぱ入れたいのぉ?」  
しばらくうつむくフィル。その顔は泣きそうな表情を浮かべていた。  
「入れるぅ?入れない?」  
選択を迫るイヴ。フィルは泣きそうになりながらもコクリとうなずいた。  
「ダメよ。ハッキリ言わなくちゃね」  
「・・・・・・たぃです」  
「な〜に?聞こえないわよぉ?」  
わかっていながらもフィルを虐めるように聞き返した。  
「入れ・・・たい・・・で・・・す・・・・・・」  
顔を真っ赤にしながらも、なんとか声を絞り出した。  
「よく言えましたっ!」  
フィルに抱きつき、胸を押し付けた。  
「じゃあ続き、いくわね」  
向きを変え、フィルに背とお尻を向けた状態でまたがり、入れた。  
「・・・っあ!ああぁっ、す、すごっ・・・・・・」  
「あ、っはぁ、さっきより、ん、来るでしょ、んっ」  
向きを変えただけでも刺激の違いがハッキリとわかる。  
先端が膣内のゴリゴリとした部分に触れる。  
「んっ、そこっ弱い、のぉっ!あっんっ」  
イヴが弱い箇所を突かれて喘いだ。  
「ひ、いっ、あっ、あっ・・・俺、もっ・・・」  
さっきよりきつめの膣内がフィルのモノを強く刺激する。  
 
「んっ、ちょっと本気、出すわよっ」  
元の向きに変わり、再度挿入した。今度は上下の動きに加え、腰全体をグラインドさせて動かした。  
「ああっ!深いっ、ようっ!ふぁ、ああぁっ!」  
亀頭の先から根元まで深く、鋭くイヴの膣を突いていく。  
「あっ、あたしもっ、気持ち・・・いいっ、よぉっ!」  
「はっ、ひぁぁっ、俺っ、俺っ・・・ああぁっ!」  
腰を落とす度にグチュッグチュッといやらしい音が響く。  
「そろ、そろっ・・・んんっ、ラストスパート、かけるわ・・・よぉぉっ!」  
ピストンの幅を更に大きく、間隔をさらに短く、速める。  
グチュグチュといった音は、次第にパンパンと高く、鋭く響いた。  
「ひぃぁっ!イヴ、ちゃ、お、俺、あぁっ、い、いき・・・・・・」  
ほとばしる快感の中で、フィルは何か大きな波が来そうな感覚を感じた。、  
「んっ、イキ、そうなっ、の?・・・フィ、ル、くぅぅん!」  
イヴが問いかけた。彼女もまた、快感でいっぱいだった。  
「い、いぁっ・・・も、もう・・・・・・」  
「あっ、イヴも・・・あっ!一緒にぃ、イって、あげるぅっ!」  
フイニッシュと言わんばかりに、イヴが膣に力をこめた。  
最後にキュッとした強い締まりが、今にもイキそうなフィルとモノにとどめをさした。  
「あ、あああああぁぁぁぁっっ!!」  
 
ドクンッ!  
 
その瞬間、フィルはイヴの膣内で残り全てを放出した。  
イヴも同時に、体全体を2、3度大きく痙攣させた。  
膣が締まり、モノから精液が搾り出される。搾り出された精液は熱い液体となって流れ込んだ。  
「あぁっ、フィル君のっ、セーエキっ!熱いっ、よおぉ!」  
「う、ああ・・・・・・もう・・・・・・」  
そのまま力尽き、糸が切れたようにお互い転がった。  
 
「はぁ・・・はぁ・・・・・・ひど・・・いよ、イヴ・・・ちゃ・・・」  
半泣きでフィルは訴えた。  
「あら、フィル君だって出しちゃったのよ。イヴのナ・カ・に」  
「そ、そんなぁ・・・」  
「・・・な〜んてね!今日は安全日だから気にしなくていいの!」  
ペチンとフィルの頭を叩く。  
「それに・・・」  
「・・・それに?」  
何か言いかけたイヴに対して聞き返した  
「・・・フィル君の赤ちゃんなら大カンゲーよっ!」  
「や、やめてよぅ、そんな事・・・」  
毛布に閉じこもるフィル。イヴはバツが悪そうに微笑む。  
「そうだね、フィル君にはシオちゃんが一番よね、ふふっ」  
「だからぁ・・・」  
「ほらほら、早く服着ないと悪化するよ」  
 
 
――後日  
フィルは次の日には完治し、いつもの生活に戻っている。  
例の薬による体の異変はあの後一日安静にしたら元に戻ったらしい。  
 
「・・・そう、効果ありだったのね」  
ティコ魔法堂の昼休み。仕事を一休みしてお茶をすすりながら話すティコ。  
イヴとルヴェルも各々椅子に腰掛けている。  
「で、どうしたの?襲っちゃったわけ?」  
ニヤニヤしながらティコは訪ねた。『えへへ・・・』と後ろ頭を掻くイヴ。  
「フィルも可哀想にの・・・」  
二人の会話についていけないルヴェルは、独り言を呟いた。  
 
「・・・で、あの薬って豊胸薬だったんですか?」  
イヴはティコに訪ねた。  
「そんな品のいいモノじゃないわよ。アレは失敗作」  
「失敗作?」  
「えぇ、どっかのお偉いさんに頼まれた不妊用の薬を作っている際にできたの」  
「それがあのD-821番の薬じゃよ」  
横からルヴェルが口を挟む。  
「まさかフィルにあの効果が出るとはの・・・」  
「フィル君とルヴェル君の例からして、あの薬は男性だけに豊胸効果と脱力感をもたらすみたいね」  
「男性だけなんですか?」  
「シオちゃんやヤヨイちゃんにも試したわよ。・・・コッソリお茶に混ぜてね。効果はなかったけどね」  
「悪魔ですじゃ・・・」  
ボソリとルヴェルが呟く。  
「何か言った?」  
「いえ、何も・・・」  
「ルヴェル君の例もあるから、効果はだいたい分かったわ」  
「ヴェルっちょの・・・例?」  
イヴは首をかしげた。  
「あぁ、ワシもあの薬の実験だ・・・被験者になったんじゃが、フィルと同じ効果が出ての・・・」  
「あの時のルヴェル君ときたら・・・面白い体になっていたわね」  
「・・・やめてくだされ、師匠。もうあんな思いは・・・」  
「虐めがいがあったわぁ・・・あの時の事を思い出すと・・・」  
「だからワシは思い出したく・・・グゲェッ!!」  
言いかけたルヴェルのみぞおちに無言でボディブローを叩き込んだティコ。その表情は恍惚に満ちていた。  
「メ チ ャ ク チ ャ 興 奮 し た わ ・ ・ ・」  
自分の世界に入り浸っているティコ。  
「さ〜て、またルヴェル君にあの薬を使いたくなったわ。今日は早めに店じまいね」  
店の奥へと入るティコ。それを確認したルヴェルはなんとか這って逃げようとする。  
「逃げても無駄よ。それともメニュー追加して欲しいのかしら?」  
全てを見透かされたように店の奥からルヴェルに声が投げられた。  
「あ、あの、じゃあ私これで失礼しますねっ」  
そそくさと立ち去るイヴ。  
「ま、待つんじゃイヴ!頼むから助け・・・・・・」  
すでにドアは閉まった後。背後には薬とロープを持ったティコ。  
「さて、ようやく誰もいなくなったわね。楽 し み ま し ょ ?」  
 
 
 
イシュワルドは、今日も平和だ。  
 
――完  
 

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