「ヘル君♪」
「うわぁぁぁぁっ!!」
ヘルシンキは思わず悲鳴を上げた。
世界有数の大都市・海洋都市イシュワルド。
ここは、そのイシュワルドで警備兵として働くヘルシンキの住む部
屋である。
で、なぜ彼が悲鳴を上げたのかというと。
「うふふ、驚きました?ヘル君」
目の前の床にちょこんと座り、いたずらっぽく片目をつぶって見せ
たのは、幼馴染のソフィア。
彼女は現在、シスターとして人々の尊敬の対象となっている。そし
て、ヘルシンキが密かに想いを寄せている相手。
そのソフィアがいきなり現れたことに内心泡を食いながらも、ヘル
シンキは尋ねた。
「ソフィア!ど、どうやってここに?」
はて、鍵をかけ忘れただろうか?自問自答するヘルシンキ。よりに
よって自分が、部屋の鍵をかけ忘れるなど、今まで一度もなかった事
だが。
「ええ、ヘル君を驚かそうと思いまして……」
一般の信者に向ける微笑みとはまた違う印象で、彼女は微笑む。
ああ、そう言えば。
ヘルシンキは昔のことを思い出した。
今でこそ清楚なシスター、人呼んで『聖女』で通っているソフィア
だが、幼い頃はなかなかのおてんばで、真面目なヘルシンキは彼女に
付き合ってだいぶ苦労したものである。
おそらくは昔の悪いクセが出て、針金か何かで鍵を開けてしまった
のだろう。
「でも、こんなにヘル君が驚いてくれるとは思いませんでしたわ」
「は、はは……」
乾いた笑いが、ヘルシンキの口から漏れた。
だがもちろん、いきなり彼女が現れただけで驚いたわけではない。
ちょっと人には言えない様な事をしていたのだ、ついさっきまで。
「あら?」
何かに気が付いたのか、ソフィアが目をみはる。
「へ……?」
思わずマヌケな声を出してしまう。
「まあ……昔一緒にお風呂に入ったときとはずいぶん……」
そこまで言われて、彼女の視線の先を確認し、ようやく気が付く。
『ちょっと人には言えないような事』をしていた結果、下半身が露
出したままだった。
「うわーっ!!」
ガラに合わない悲鳴をあげ、慌てて前を隠す。
「そ、その、これはえっと、深いわけがござってな……」
「……」
しどろもどろになりながら何か良い言い訳をひねり出そうとするヘ
ルシンキに対し、ソフィアは物欲しそうな目であらぬ所を見つめた。
「ソフィア?どうしたでござるか?」
「ヘル君、さっきのモノ、見せてくださいません?」
どこか浮世離れな所のある幼馴染は、無邪気におねだりした。
「な!?」
いきなり何を言い出すのか。
「そ、ソフィア、なんでそんな事を?」
「わたくし、信者の方からいろいろ御相談を受けるのですけれど、男
女の秘め事に関する御相談もけっこうあるんですの」
「そ、そうなんでござるか」
初耳である。しかし、考えてみればありうる話だった。聖職者は悩
める人々を教え導くのが仕事。その『悩み』の中に性に関するものが
あってもおかしくは無い。
「ですから、殿方のモノの本物がどうなっているか、一度見てみたか
ったんですの」
「いや、その……」
にっこりと笑って言うソフィアに、ヘルシンキは気圧された。
『見せて』と言われて、『はいどうぞ』と見せられる物でもない。
「まあ、駄目ですの?」
上目遣いでそんな要求をしないで欲しい。
「そ、そうでござるなぁ」
ヘルシンキはソフィアが断念せざるを得ないような策はないものか
と必死に考えた。
思いついたには思いついた。やや危険な賭けではあるが。
「こ、交換条件があるでござる」
「まあ、何かしら?」
「そ、ソフィアも拙者に裸を見せてくれるなら、見せるでござる」
「わ、わたくしが……?ヘ、ヘル君に……」
さすがのソフィアも顔を真っ赤にして黙り込んだ。
はて、これで正解だったのかと、ヘルシンキは迷った。
一気に彼女に嫌われてしまう恐れもあるからだ。
短絡的に決断してしまったが……これでよかったのか?
こっそり彼女の顔を盗み見る。
ソフィアは顔を紅くしたまま手を口に当てて、視線をさまよわせて
いた。脱ぐ気配も、怒ったり泣き出したりする気配もない。
ほっ……とヘルシンキは心の中でため息をつく。
どうやらうまく行ったか。
否。甘い。あまりにも甘い。
ヘルシンキはこの幼馴染を甘く見すぎていた。
「わかりました」
「はい!?」
「わたくし……ヘル君になら……見られても……いいです」
頬を赤らめたまま、ソフィアはヘルシンキを正面から見つめた。
石化するヘルシンキ。
『ソフィアが脱ぐ』という事実と『ヘル君になら』発言の相乗効果
はあまりにも大きかったか、ヘルシンキの意識はどこかへ飛んだ。
「上だけ……でもいいでしょうか?」
「あ、ああ……」
ヘルシンキはうなずいたが、意識の半分は水色の塔よりも高い所へ
逝ってしまっている。
するり、と衣擦れの音がする。思ったよりも大きな胸が、シンプル
な下着に包まれて現れた。
「……」
しばらくソフィアは逡巡した。
しかし意を決したのか、ゆっくりと下着を外す。こぼれ出て来た胸
が、ぷるんと震えた。
「ヘル君……見せて」
「……はっ!?」
ようやくヘルシンキは意識が戻ったらしい。
だが、全てが手遅れだった。
「早く……」
胸を両手で隠し、恥じらいながらソフィアが言う。
「あ……う」
もはや年貢の納め時である。
観念したヘルシンキは、自分のモノを隠していた覆いを取り払い、
ソフィアに見せた。
彼女は息を呑み、まじまじとヘルシンキのモノを観察した。
「……あら?さっきよりも大きくなったような」
そりゃ、こんなやり取りをしていれば嫌でも大きくなるだろう。
「ヘル君……興奮してるんですの?」
「あ……まあ、そうでござる」
そんなことを言われたらますます……ただでさえ半裸のソフィアが
目の前にいて、その彼女に大事なモノを見られてると言うのに。
ヘルシンキのモノは硬度を増し、高くそそり立った。
「……」
(ヘル君のコレ……苦しそう)
自然と、ソフィアの手が伸びる。
「ソフィア!?何を……」
言い終わる前に、弱点を確保されてしまう。
大事なモノを人質にとられてしまい、ヘルシンキはおとなしくせざ
るを得なかった。
ソフィアがモノを撫でさする度に、ヘルシンキは快感にうめいた。
このままでは暴発しかねない。
大切な人を汚したくは無かった。
「そ、ソフィア……そろそろ止めにしたほうが」
「駄目。こうなると殿方はすっきりするまで苦しいのでしょう?」
「え、まあそれはそうでござるが……」
なんだか押され気味のヘルシンキ。ろくに抵抗する事もできない。
「確か、こうすれば殿方は気持ち良くなるのでしょう?」
「あ……っっ!!」
ぱくり、と擬音の出そうな勢いでヘルシンキのモノはソフィアの口
の中に消える。
そのまま、ソフィアは愛しそうにモノをしゃぶり始めた。
「ん……ちゅぷ……はむ」
「ううっ、そ、ソフィア……」
ヘルシンキの反応を見ながら、舌と唇を総動員するソフィア。
決して上手くは無いが、ヘルシンキは急激に昇りつめて行った。
「ソフィア……もう……」
「……はひ?どほひたのれふ?」
くわえたまましゃべらないで下さい。
もはや我慢の限界、であった。
「うっ!」
ソフィアの口の中に思いっきり精液をぶちまけてしまう。
「!!」
注ぎこまれた大量の精液は、ソフィアの口の中には納まりきらずに
あふれ出した。
思いっきり咳き込むソフィア。白い液体が彼女の口から垂れ落ちる。
「そ、ソフィア、大丈夫でござるか?」
「ええ……ちょっとびっくりしちゃったけど……」
はにかみながらソフィアは言った。
「でも、ヘル君のだから」
「!」
その言葉に反応したか、再び膨張するヘルシンキのモノ。
「まあ……」
「あ、これは……」
節操の無い自分の息子に呆れるヘルシンキ。
「ふふ……」
「は、ははは」
くすくすと笑うソフィアに、ヘルシンキもつられて笑う。
「ねえ、ヘル君……」
ソフィアはやや潤んだ目で幼馴染を見つめた。
「もう一度……します?」
「今度は、胸でして差し上げます」
「胸?どうやってでござるか?」
いまいちその方面の知識が乏しいヘルシンキは首をかしげた。
「私に任せて、ヘル君」
「わ、わかったでござる」
「それじゃあ……」
今回は完全に受け身のヘルシンキ。
ソフィアはモノの先端に軽くキスをすると、自分のはちきれそうな
胸の谷間に挟み込んだ。
「あっ……」
「ヘル君……どう?」
ふにゅ、という弾力が気持ちいい。しかし、それ以上にソフィアの
胸が自分のモノを挟んでいるという視覚的な快感があった。
先走って出て来た透明な液体が潤滑剤になって、胸の谷間を滑る。
ぬちゅ。
さっきの口の中とは、また違う気持ちよさがヘルシンキを責め立て
る。
もう限界だった。
「ソフィア、もう……出る!」
このままだと今度は顔を直撃してしまう。
「離れて!」
「は、はい!」
次の瞬間。
床に大量の白いしぶきが飛び散った。
「ヘル君……」
「な、なんでござるか?」
「よかったら、また今度……」
「あ、その、ソフィアが嫌じゃなければ……」
「もちろん」
彼女の、いままでで一番まぶしい笑顔を見た、そんな気がした。
(おわり)