月明かりが射し込む薄暗い部屋に、二人の声が聞こえる。  
 
「・・・ねぇ?グゥ・・・。」  
「ム?どうした?」  
「いや、どうしたじゃなくてね?」  
「?」  
「何で俺のベットに入ってんの・・・?」  
 
自分のベットに入り込んでいた女に、なかばあきれながら話しかけたハレ。  
ハレのベットに忍び込んで、何気無く腕枕をしてもらっているグゥ。  
 
ハレとグゥは22歳になった。  
 
「いやだわ、そんな妻に対して野暮なことを・・・、」  
「出てけ。」  
可愛く言うグゥに対してハレは容赦ない言葉を浴びせる。  
 
二人は成人してから、結婚をした。  
大人になるにつれてグゥはどんどん綺麗になっていった。  
細く、華奢な、変わらず真っ白な肌で、まるで硝子細工のような美しさに。  
対するハレもあどけなさの残るものの、なかなかにたくましく成長していった。背は結婚する時にグゥを追い越し、今ではハレの方が断然高い。  
 
「だいたい、き・・・、昨日もしただろー・・・。」  
ハレが顔を少し赤らめて言うと、  
「・・・やれやれ、初心なやつだな・・・。」  
と、からかうように言うグゥ。  
「な、なんだよ!!じゃあ知らないぞ?!明日立てなくなっても・・・。」  
「臨むところだ。」  
「・・・・・・・・・後悔すんなょ。」  
 
両手でグゥの頬を包み、真っ直ぐに瞳を見つめてくるハレ。  
思えば小さい頃からハレのこの眼が大好きだったな。・・・やはりハレの方が手が大きい。安心する。  
グゥがそんなことを考えている間に、ハレとの距離は縮まり、唇が触れ合った。  
 
甘い、優しい、幼稚なキス。初めてキスした時のことを思い出す。  
いったん離れる。わずかにハレの頬が赤みを帯びていた。  
 
「ハレ・・・、」  
溶けるような甘美な声で惑わせば、ハレは自分をも酔わせてくれる。  
もう一回、同じキス。  
そのままハレは頬、首筋、鎖骨にキスを移していく。  
 
耳たぶを甘く噛まれた。  
「あ・・・、」  
思わず声が出る。  
「グゥ・・・、綺麗・・・。」  
耳元で声がする。すっかり声変わりした声。たとえるならビターチョコのような甘い声・・・。  
 
手が、形のよい胸へと触れる。  
ごつごつした男の手は、服の下へ侵入すると  
ゆっくりと慈しむように愛撫しだした。  
「・・・んっ・・・!」  
背中を走る心地よい刺激はどんどんグゥの思考を麻痺させていった。  
片手で愛撫を続け、片手でグゥの細い腰を抱き寄せたハレは  
グゥに深い口付けを与えた。さっきまでの可愛らしいものと違い、深く、激しい口づけを・・・  
「ふっ・・・ん・・・んん・・・!!」  
舌が絡まりあうたびに漏れるグゥの声。それは媚薬のように甘く、ハレの耳に染み込むように聞こえた。  
いったん、口を離す。  
「ッッハ・・・ァ・・・!」  
荒い息遣い。唇と唇を紡ぐ銀の糸が  
月光を浴びて神秘的にすらみえた。  
 
「グゥ・・・、」  
肩で小さく息をしながら、苦しかったのか快楽に溺れたのかはわからないが  
涙をためる女の名を呼ぶ・・・。  
 
そして抱き寄せていた手を下半身に這わせる。  
「ぁっ・・・!」  
小さく上がる声すら、ハレはとてつもなく愛しく感じた。  
 

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