ジャングルの朝。グゥが、テーブルで何故かレモンやミカンなどを食べている。
「ハレ……起きたか。ほーら、パパですよー」
ふくらんだおなかを撫でさすりながら、幸せそうに微笑むグゥ。
「グゥ……何の冗談だ?」 青ざめた顔で問い詰めるハレ。
「身に覚えが無いの? ハレ」 かつてウェダがクライブに認知を迫った台詞をなぞらえるグゥ。
「……どう考えても計算が合わないし、じゃなくて! 昨日まで普通だったじゃん!
なんでいきなりそんなんなってるのさ……明らかに嘘だろ。ソレ」
グゥのおなかを指差し、ハレは断定した。それでジャングルの朝は平凡に戻…らなかった。
「……ハレが認知してくれない」「よしよし」 グゥを抱いて慰めるウェダ。
「ハレ、ちゃんと責任は取らなきゃダメよ!」「母さんまで何をあっさり信じてらっしゃるの!?」
「カエルの子はカエル、か」 グゥが涙をにじませつつ、窓の外の空などを見て達観している。
「なんだよそれ! 取り消せよ! オレをあんなやつと同じにすんな!」 普通に切れるハレ。
「ならば認知するがいい。グゥの腹の中にいるのは自分の子供でございます、と」
「なっ!?」 いつになく尊大な態度でグゥが迫る。その向こうには冷ややかな視線を送る
ウェダがの姿が。
「身に覚えがないっちゅーねーん!!!」
叫び声に驚いたのか、グゥの服の中に潜んでいたポクテ数匹が走り出ていく。
「おー。戻った戻った」「あらよかったわねグゥちゃん!」そして、
「さてゲームでもするか」「私も今日は用事があったのよね」と、さも何事も無かったように
散っていくグゥとウェダ。
「……マテやおのれら」 瞬間、部屋の温度が数度下がった。
その日、ハレの怒りの叫びがジャングルの朝に溶け込んでいたという。