甘い首筋の柔らかな感触を味わいながらエドガーはもう一人、大切な存在を思い浮かべていた。
「………アーミン」
こんな男のどこがいいのか。
いっそ、憎まれ裏切られたほうがまだマシだ。
けれど彼女の瞳を見れば自分を害することだけは無いことを、エドガーは確信している。
だとすれば、リディアへの想いが彼女を苦しめているのか。
何かをひとつだけ選び取るのではなく、欲しいものは全部手に入れる。
これが自分の信条なはずだった。
けれど。
彼女の裏切りを確かなものにするとしても、自分はもう。
唯一人を、選んだのだ。
リディア―――
カモミールの香りに包まれながら、腕の中の少女をただただ抱きしめた。
もう二度と、自分の前から消えてしまわないように。