・ バスタイム  
 
 
 羞恥を堪えるように、八重は息を吐いた。  
 後ろで両膝を立てて座っている多汰美の脚に、膝を引っ掛けるようにして座らされ、  
 八重はまるで幼児がおしっこをさせられているような、いわゆる"しーしーポーズ"を取らされていた。  
 両脚をぐいっと大胆に開かれて、付け根の部分を余すところなく白日の下に晒してしまっている。  
「七瀬の恥ずかしいところ、全部見えてるよ?」  
 広げられた脚の間でそこを覗き込みながら、にわがからかうように言った。  
 (そんなの…言わなくても分かってるのに…)  
 かぁっと顔が熱くなって、八重は恥ずかしさのあまり唇を噛みながらそっぽを向いた。  
 しかし、その仕草に三人ともぷっと吹き出して笑い始めるのだ。  
 (うぅ…笑わなくても…)  
 恥ずかしいやら悔しいやら、八重は唇を尖らせて無言で抗議をする。  
 でも、「…じゃあそろそろいくね」というにわの声が聞こえると、  
 そんな気分は吹き飛んで、思わず身体がちぢこまってしまう。  
 
 恐る恐る視線をそちらに向けると、  
 お尻の辺りにボディソープをまぶしたにわの細長い人差し指と中指が添えられていた。  
 目的地は水じゃない液体で濡れているそこじゃなくて、そこからちょっと下のところ。  
 八重の目からは見えないが、にわからは丸見えになっているはずの八重のそこは、  
 それはもう十重二十重に及ぶ夥しい愛撫によって、丹念にほぐされている。  
 緊張も手伝ってか、まるで間もなく来るであろう仕打ちを期待しているかのように、ひくひくと嫌らしく震えていた。  
 もっともその前戯であるはずの行為によって、  
 本日二度目の絶頂を味わわされたばかりとあっては、仕方のない反応とも言える。  
「ほら、力を抜いて…?」  
 にわに優しく促され、八重は頬を赤らめながらこくんと頷いた。  
 すぅ〜…と息を深く吸い込み、それをふぅ〜…と吐き出していくと、緊張が自然に弛緩していく。  
 …その隙を突いて、すでに準備万端にされてしまっている後ろの穴に、  
 にわの二本の指がぐぷぷっと卑猥な水音を立てながら、躊躇することなく勢いよく潜り込んだ。  
 
 まるで待ち焦がれていたかのように、それを中へ易々と迎え入れる八重だったが、  
 反射的に不浄の穴へと侵入してきた不埒な侵入者を駆逐すべく、腸内をぎゅうっと窄めて締め付けてしまう。  
 しかしボディーソープを潤滑剤にまとった指は、その抵抗を物ともしないどころか、  
 むしろ抵抗が強まった分だけ与える刺激を増長させながら、ずるずると八重の粘膜を擦り抜けていく。  
 爆発的に膨れ上がっていく快感を反射的に口から吐き出そうとするものの、  
 挿入に合わせて真紀子に唇を重ねられていて、声を出すこともできない。  
 矢も楯も堪らず、鼻から快感に染まった悲鳴を漏らす八重。  
 三人から寄ってたかって徹底的に愛撫され、性感をどうしようもないところまで高められたところに、  
 後ろの穴の奥深くまで指を突き立てられては、最早八重に耐えられようはずもなかった。  
 八重は腸内をひくひくと数回わななかせた後、一拍置いて、  
 深々と潜り込んだにわの指を、身体の震えに合わせてぎゅうっぎゅうっぎゅうっ、とリズミカルに締め付ける。  
 キスで唇を塞がれて声すら自由に出せない八重は、にわの指を根元までしっかりとくわえ込みながら、  
 目を見開き全身を突っ張らせて、無言のまま絶頂の余韻を堪えていた。  
 
「七瀬の中、ぎゅっぎゅって震えてる。気持ちよかったんだね」  
「八重ちゃん、どんどん敏感になってくねぇ」  
「せやな〜。イってる瞬間なんかごっつぅエロい顔になるもんなぁ」  
 真紀子が重ねていた唇を離し、にわが八重のお尻の具合を二人に報せると、  
 三人はそれを揶揄しながら楽しそうに笑った。  
 しかし当の八重は、今しがたの絶頂を反芻している最中にも関わらず、  
 未だお尻の中で八重の余韻を炙るようにぐにぐにと蠢くにわの指と、  
 慎ましやかな胸を器用に揉み上げる多汰美の悪戯に必死に耐えていて、気の利いた返答は出来そうにない。  
 
 こうして八重がこういった行為を受けるのは、反応を見て分かる通り初めてのことではない。  
 始まりはいつだっただろうか。 それほど最近のことでもないし、それほど昔のことでもない。  
 ただ、幾度となく繰り返された行為により、  
 八重の身体はお尻の中への刺激すら快感として受け止めてしまうほどに開発されてしまっている。  
 三人は、膣内への深い挿入は決して行わなかった。  
 ただしその反面、他の性感帯の発掘は積極的に行われ、  
 特にお尻の方の開発はこれでもかと言わんばかりに激しく、  
 八重の性感帯の中でも特に感じるように開発されていた。  
 
 達したばかりの身体を愛撫される違和感はいつの間にか溶けて消え、  
 八重はいやいやをするように頭を振りながら、再び全身に満ちていく気持ちよさに艶っぽい溜め息を吐いた。  
「なぁにわちゃん、足こっちの方にくれん?」  
 八重の肩に顎を乗せながら乳首をいじっていた多汰美が体位の交換を要求する。  
「おっけ〜。んじゃあ…」  
 それに頷いたにわは、何やら思案するように八重のお腹辺りをしばらく見つめると、  
 まるで悪戯を思いついた子供のようににた〜っと笑みを浮かべた。  
 しかし脳の溶けている今の八重にそれを疑問に思うほどの余裕はなく。  
「えいっ」  
 (……あ……っ!?)  
 そんな掛け声と共に突然目の前が真っ白になり、それから僅かに遅れて鋭い刺激が脳へと突き刺さる。  
 にわが八重の中へと深く挿し込んだ二本の指を軽く曲げると、  
 腸内を引っかくようにして擦りながら指を一気に引き抜いたのだ。  
 瞬間、余韻を味わっている間にたっぷりと蓄積された快感が頭の中で一気に弾けて、  
 思わず開きかけた八重の口を、咄嗟に多汰美が押さえた。  
 完璧な不意打ちに、一瞬にして達してしまった八重の上体がぴくっぴくっと跳ね、  
 何かを握るようにしてぎゅっと丸まったをつま先が、小刻みに震える。  
 
「えっへへ〜、いっちゃったねぇ七瀬ぇ」  
「…いきなしは危ないんやよ…」  
「ご〜めんごめん、でも言うとバレちゃうから」  
 にわが笑いながら手を合わせて謝ると、多汰美は呆れたように小さく溜め息を吐いた。  
「そんでにわちゃん、そこの椅子前に置いてくれんじゃろか」  
「ん?ああ、はいはい……しょと」  
 にわがお風呂用の背の低い椅子を八重の前に置くと、  
 多汰美は息を乱しながら悶えている八重を持ち上げ、自分の方を向くようにして座らせた。  
「青野はやんないの?」  
 ふと横を向いたにわが、少し離れた位置であぐらに頬杖をついている真紀子に問いかける。  
「いや、もうちょい見とくわ」  
 そう答えながら、なぜかニヒルな感じでニヤリと笑う真紀子。  
 
 その反応に「ふぅん…」と返事もなおざりに向き直ったにわは、  
「…で由崎、こっちに倒した方がやりやすいでしょ?」  
 と八重の肩に手を乗せながらそう言うと、多汰美は「分かってるね」と楽しそうな笑みを浮かべた。  
 何だろう、とぼやけた脳で考える暇もなく、八重の身体はにわに背中を支えられながら、  
 椅子にお尻を乗っけたまま後ろに引き倒されてしまう。  
 突然の浮遊感に慌てる八重だったが、そのまま上体が倒れていくと、  
 椅子の高さと合わせるようにあぐらをかいたにわの足の上に着地した。  
 八重は丸くした目をぱちくりと瞬くと、顔の左側から見下ろすにわを見上げた。  
 目が合うと、優しい笑みを浮かべたにわの顔がゆっくりと近づいてきて、唇にキスが降ってくる。  
 にわは唇を軽く合わせると、唇にぺろっと舌を滑らせてから小さく口を開け、食べるようにして再び唇を合わせた。  
 唇の間からぬるりと舌が入ってきて、間もなく本格的なフレンチ・キスへと移行していく。  
 
 くちゅくちゅと音を立てながら、にわと唾液を交換する。  
 一応キスをしている最中は鼻から息をすればいい、と教えられてはいるものの、  
 要領の悪い八重にとってそれはちょっと苦手だった。  
 でも、今でもキスは恥ずかしいものの、正直嫌いというわけでもない。  
 相手とぎゅうっと密着して、顔も近くて、唇も舌も暖かくて、柔らかくて。  
 恥ずかしくてぼぉっとしてしまうけど、すっごくどきどきして、  
 それでいて何だかもわもわとした安堵感を感じるのだ。  
 (結構強引に奪われることも多いんだけど…)  
 ふと閉じていた目を開けると、にわと目が合った。  
 にわの目が、楽しそうに笑った気がした。  
 漠然とした予感に油断していた神経を引き締めた直後、八重の胸に新たな感触が生まれる。  
 にわは唇を合わせたまま、八重の薄い胸に手のひらを滑らせていた。  
 ぞくぞくっと込み上げてくるような心地よさに、鼻から息を抜きながら耐える。  
 警戒していれば耐えられるというものでもないが、それでも何とか不意打ちは回避することができた。  
 
 …と思っていたら、真打ちは別のところからやってきた。  
 後ろに押し倒される際、思わず拡げた脚の間に潜り込んでいた多汰美が、  
 にわの動きに合わせて両肩で太ももを持ち上げるようにして八重の脚を抱え込んだのだ。  
 続けてあそこに細い息がふっと吹きかけられ、八重の全身がびくんと震える。  
 多汰美はそのまま八重のそこに顔を近づけると、  
 左右の脹らみを舌先を尖らせてくすぐるように突付き、舐め始めた。  
 僅かに開いた割れ目に沿って舐め上げたり、周辺を焦らすように這わせたり、中に舌を軽く捻じ込んだり。  
 八重は思わず身体をくねらせて抵抗するものの、  
 多汰美は暴れる八重を逃すまいと、太ももをしっかり掴んで離さない。  
 多汰美の舌に気を取られていると、今度はにわが八重の充血してぷくりと膨らんでいる乳首の上に指を乗せ、  
 周りをくりくりと軽く爪で引っかいたり、乳首を上から押し潰したりしていじり回してくる。  
 口の中に感じているにわの舌は柔らかくて優しいままなのに、  
 首より下は別世界のように熾烈で、八重は瞬く間に追い込まれていく。  
 でも、足をばたつかせたりして抵抗しようものなら、多汰美がそれを無理矢理に押さえつけ、  
 直接唇をくっ付けて中に溜まっている液体を思いきり吸い上げたり、鼻先でクリトリスを押しつぶしたりしてくるのだ。  
 
 次々とエスカレートしていく行為に、八重の太ももが無意識にびくびくっと跳ね上がる。  
 そこへにわの指が八重の右の乳首を強めに摘まむと、ぎゅうっと上に引っ張り上げた。  
 (やぁっ……っ!)  
 鈍い痛みと共に頭の中が甘く痺れて、八重の意識を塗りつぶしていく。  
 身体の中がいっぱいになっていく感覚に、思わずとめていた息を吐き出す八重。  
 そうして再び息を吸い込む直前、ふっと力が抜けたその一瞬の隙を突いて、  
 多汰美の細められた舌が膣口をぐにゅりとこじ開けて奥まで潜り込むと、  
 中の壁をこそぐようにして舐め回してきた。  
 目がくらむような快感が、緩んだところへ一斉に叩きつけられる。  
 我慢していても耐えられそうにないのに、それをわざわざこんなタイミングでやられてしまったら、  
 もうどうしようもなく達してしまうしかない。  
 中でぐりぐりと動く多汰美の舌の感触を存分に味わいながら、  
 脳裏を埋め尽くしていく深く濃厚な絶頂感に、八重は何度も身を震わせていた。  
 
「ちょっと一休みしよっか」  
 八重の目線の先でぼやけて見えるにわが、一時休憩を提案する。  
「そうじゃね」  
「休憩だよ七瀬。しばらく休んでていいよ」  
 見上げる八重に、にわが笑いながら言った。  
 (…休憩かぁ…)  
 八重は、はぁ〜…と息を深く吐き出した。  
 この四人の中で、こうしてこんなことをされるのは八重一人だけである。  
 つまり、三人から責め立てられる立場にあるわけで、  
 間を置かずにずっとされ続けるというのは、体力のない八重にとってはなかなか辛い。  
 ということで、するときは八重の様子を見ながら適宜休憩を挟むということが暗黙の了解になっていた。  
 
 八重がにわの足に頭を預けたまま一息ついていると、  
 脱衣所の方から"かららら"と戸を開ける音が聞こえてきた。  
 八重の母、幸江だ。  
 こういうのはよくあることで、今回は休憩中だったが、している最中に幸江がやってくることもある。  
 でも慣れるもので、そういうときでも八重を除いた三人に動揺の色は見られない。  
「皆でお風呂なんて、いつも楽しそうね」  
 タオルを置きに来たらしい幸江が、風呂場の中に話しかけた。  
 まさか自分の娘がこのような行為に興じているなど夢にも思わないのだろう、その口調はちょっと羨ましげだ。  
 幸江の言葉に、にわが八重の額を撫でながら言葉を返す。  
 目の前で流れる会話を、八重は呆ける脳で右耳から左耳へと聞き流していた。  
 
 その横で多汰美と真紀子が視線を交わしながら、何やらにやにやと意地悪そうな笑みを浮かべている。  
 しかし、八重はその二人の怪しい笑みには気付かない。  
 多汰美が右手の方から、真紀子が左手の方からじりじりと八重に近づくと、二人は一斉に八重に襲い掛かった。  
 二人の動きは迅速だった。 否、八重の反応が遅かっただけかもしれない。  
 ただ、八重が小さく悲鳴を上げるときには既に、八重の乳首は二人の唇の中に捉えられていた。  
 八重の身体が一気に緊張する。  
 横から二人がやってきたのは見えたし、  
 咥えられた瞬間の刺激はそんなに強くなかったので、声は抑えられた。  
 でも今責められたら、絶対に声を抑え切れない。  
 そして絶対に達してしまう……母親の前で。  
 そんな八重の思惑をよそに、二人は遠慮なく行動を開始する。 結果、その予想は外れた。  
 二人の行動は、れろり…れろれろれろ…と乳首を舌で舐め転がすだけというものだったのだ。  
 吸い上げたりも甘噛みもない、ただただ蕩かすような甘い舌の愛撫。  
 極限の緊張の中、裏をかくような柔らかい刺激は、  
 まるで真綿で絞め付けるように優しく八重の身体を蹂躙していく。  
 
 いつもは誰かがキスだったり手だったりで八重が声を出すのを防いでくれるけど、今はそれがない。  
 それほど強い刺激ではなく、今のタイミングじゃなければ多分意識しなくても堪えられたはずだった。  
 でも、少しの声も漏らすまいと自分の意思だけで声を我慢していると、なぜかいつもよりものすごく感じてしまう。  
 (どうして、こんなに…気持ちがいいの…っ……?)  
 じりじりと燻るような快感に身を震わせる八重。  
 ちろちろと乳首を、れろれろとその周りを、淀みなく舌が滑っていく。  
 多汰美と真紀子の舌の動きは決して同じになることはなく、その軋轢が殊更強い快楽を生み出していた。  
 ただ、二人の責めはやはり優しく、丁寧で執拗でありながら、弱い。  
 まるで0.9に9が積み重なっていくような、ひどくもどかしく、そしてとてつもない恍惚感。  
 際限なく上へ上へと押し上げながらも、決して最後の一歩を許さない。  
 ひたすらにたおやかな高揚感の中、八重は声を上げるでもなく、萎れるような吐息を力なく漏らしていた。  
 
 やがてにわとの会話を終えた幸江がこちらに呼びかける。  
 それに真紀子と多汰美が八重の胸から唇を離して返答すると、幸江は脱衣所から出て行った。  
 突然に訪れた開放感に、薄れていた胸以外の神経が急速に回復していく。  
 途端に込めていた力が一気に抜けて、八重はぐったりと脱力した。  
 (……お母さんの前で、いっちゃうことはなかったけど…)  
 その代わりに、胸の先っちょには未だ吸われ続けているような錯覚が焼きついている。  
 今は何もされていないはずなのに、それがじんじんと疼いて、  
 呼吸するたびにその感覚が全身を蝕むように広がっていく。  
 首筋に触れているにわの手の感触も、お腹の上に置かれている多汰美の手のひらの感触も、  
 それだけで思わず力が抜けてしまうくらい気持ちがいい。  
 身体中のどこもかしこも、ただ触れられただけで全身が甘く痺れるくらいの性感帯に変化していた。  
 
「いい具合にできあがったみたいやな」  
「青野もやるんでしょ?」  
「ああ、八重ちゃんもそろそろラストっぽいしな」  
「うん。じゃあ由崎、声の方頼んでいい?」  
「うん、ええよ」  
 弱弱しく息を吐き出す八重の頭の上で、何やらいろいろと決まっていく。  
「じゃあ七瀬、もうすぐ終わるから、頑張ってね」  
「覚悟しいな八重ちゃん。ごっつ気持ちよくしたるさかい」  
「覚悟って、言い方が物騒じゃよマキちー」  
 八重に話しかけながら、三人は姿勢や位置を移動させていく。  
 先ほどまでのにわの位置に多汰美、八重の右手側ににわが座った。  
「よっ、せと」  
 八重の足の方へとやってきた真紀子は掛け声を漏らしながら、  
 多汰美がやっていたように八重の太ももを肩で持ち上げて抱え込む。  
 
 (あっ………!?)  
 その太ももを擦る真紀子の肌の感触に、くすぐるように触れた髪の毛の感触に、  
 ふわぁっという柔らかな浮遊感を覚えた八重は、思わず全身を小さく震わせながら悶えた。  
 夥しい数の小さな快感が身体のあちこちでパチパチと弾けるような感覚に、思わず意識がぼやける。  
 (…今の…何……?)  
 信じられないくらい緩やかに訪れた絶頂を、細かく呼吸を繰り返しながら反芻する。  
「あれ、うそ、七瀬いっちゃったの?」  
「みたいじゃねぇ…。やっぱりさっきの効いとるんじゃろか」  
 にわと多汰美が少し驚いた表情で蕩けている八重の顔を覗き込む。  
「やろな。ようけ敏感になっとるようやな」  
 真紀子は太ももを巻き込んだ腕を伸ばして八重の局部に触れると、左右に小さく割り開いた。  
 外側は辺りに毛の一本すら生えていないくらい無垢で綺麗なのに、  
 中身は少し赤らんでひくひくと震えながら、とろとろと粘り気のある液体を吐き出している。  
 割れ目の端っこにあるクリトリスは小さいながらもぷくっと膨らんでいて、  
 少し剥けた包皮から僅かに顔を出している姿が可愛らしくもひどくいやらしい。  
 
「んじゃ、いこか」  
「おっけー」  
「ほいよ。八重ちゃん、もうちいとじゃけぇな」  
 三人は合図しあうと、多汰美が八重の頭を撫でながら囁き、そっと唇を合わせた。  
 それを確認して、真紀子とにわも行動を開始する。  
 口を小さく開いて八重の右の胸に唇を寄せたにわが、肌と色違いの部分をまとめてはむっとくわえ込んだ。  
 こりこりと抵抗する塊を舌先でいじめながら、少し強めに吸い上げて引っ張るようにして顔を離していく。  
 やがて唇からちゅぽんと乳首がすっぽ抜けると即座にくわえなおし、それを何度も繰り返す。  
 同時に真紀子も顔を傾けると、目の前にある幼い割れ目に舌先を潜り込ませた。  
 口を広げて押し付けるようにして舌を奥へ奥へと送り込みながら、内壁を擦り上げ、かき混ぜる。  
 最初は妙な感覚だった。  
 とんでもなく気持ちがいいのに、絶頂後の下りかけの余韻がそれをぼやけさせる。  
 しかし違和感が少しずつほぐれてくると、まるで歯車がかみ合っていくように快感が鮮明になっていき、  
 それが怖いくらいに加速度的に大きく、鋭くなっていく。  
 (…どんどん、気持ちよくなって……っ…)  
 多汰美の手もいつの間にか八重の胸の上に添えられていて、  
 先っちょをやわやわと優しく摘まみながらさらに八重を追い立てる。  
 
 (だめっ、やぁっ…!!)  
 どうしようもなく気持ちよくて、達することを自覚した瞬間、背筋を絶頂が駆け抜けて頭の中で破裂した。  
 八重は全身に力を込めて、頭のてっぺんからつま先にまでじっくりと波及していく強烈な快感を必死に堪える。  
 しかしそれを乗り越えても、多汰美の指もにわと真紀子の唇も全く止まる気配を見せない。  
 快感が身体から抜けていかないどころか、  
 身体中を駆け抜ける快感がそれを上回る快感に次々と上書きされていくのだ。  
 (…まだ……?)  
 多汰美に乳首をきゅうっと捻られただけでふっと気が遠くなり、  
 にわの歯が乳首に食い込む甘苦い痛みに意識を呼び戻される。  
 真紀子の唇が八重のクリトリスをぱくりとくわえると、細かく舌を震わせながら薄皮を優しく剥き上げた。  
 裸になったクリトリスを舌先で丁寧に転がしながら、周りの溝をすくうように舐めずっていく。  
 (…っ…くぅ……っ!)  
 立て続けに襲い掛かる、深く大きな絶頂。  
 八重を攻め立てる唇も指も、タイミングや方法や、強さも柔らかさも何もかも適切で、  
 八重は何度も何度もあっという間に登りつめてしまう。  
 達するごとに達しやすくなる、逃れられない悪循環に八重は陥っていた。  
 絶え間なく訪れる波に八重が悶えている中、ちらりと視線を交わすにわと真紀子。  
 
 こくんと頷きあうと、八重にとどめを刺すべく二人の手が八重のお尻の方へそろりそろりと伸びていく。  
 やがて二人の手が目的地に到達し、程なくして八重が再びの絶頂を迎えた直後、  
 別々の意思を持つ二本の指が、同時に八重のお尻の中へと飛び込んだ。  
 重くくぐもった悲鳴を上げながら、自らの穴の中へと深く潜り込んだ指を強く締め付ける八重。  
 蠕動する八重の中を、にわと真紀子の指がでたらめにかき回す。  
 互いの指が互いの指を押しのけながら、それぞれが知りうる八重の弱点を乱暴に擦り抜ける。  
 (だめっ!だめっ!だめぇぇっっ!…もうっ…もうっ……!!)  
 お尻の中をぐりぐりと掻き回される感覚に身をよじり、両脚に力を込めて必死に堪える八重だったが、  
 そこへ真紀子が駄目押しとばかりに、剥き上がったクリトリスを唇で挟み、ちゅう〜〜!と激しく吸い上げた。  
 (……っ………………!!!)  
 次の瞬間、複数回まとめて達してしまったかのような、  
 呼吸すらできないほどの凄まじい快感が八重の全身を貫く。  
 身体をぐぐーっと突っ張らせながら硬直した八重は、数秒後に全身をびくびくびくっ!と激しく痙攣すると、  
 割れ目からぷしゃっぷしゃっと透明な液体を勢いよく噴き出した。  
 限界を越え、必死に繋ぎとめていた意識のたがはあっさりと弾け飛んで、八重の身体が急に脱力する。  
 目蓋がすっと落ちると、八重の意識は目の奥の暗闇の中へと溶けていった  
 
 
-----------------------------------------------------  
 
 
 ぷしゃっぷしゃっ、と顎の辺りに熱い液体が降りかかり、真紀子は思わず顔を離した。  
 八重の身体から力が失われたことに気付いたにわと多汰美も、その動きをとめる。  
 多汰美が唇を離すと、八重は"はっ、はっ、はっ、はっ"と息を乱して激しくあえいだ。  
 八重が痙攣するたびに、ぷしゅぷしゅっと割れ目から勢いよく噴き出していた透明な液体が、  
 ちょろちょろと勢いを失っていき、やがて少し黄色がかった色へと変化していく。  
 どうやら気を失った拍子にお漏らしをしてしまったようだった。  
 可愛らしいマスコットの描かれたマットレスの上を緩やかに流れていくそれを、  
 三人は何とはなしに無言で見つめる。  
 やがて八重がお漏らしを終えると、にわが八重の額を優しく撫でた。  
 八重が気を失ってしまったので、今日のところはこれで終了である。  
 
 さすがに毎回毎回気を失うまでするわけではないが、たまにこういうこともある。  
 三人は声を掛け合うと、シャワーを暖め、そして八重の身体を洗い始めた。  
 気を失ってしまった八重への気遣いか、そこにいやらしさは微塵もない。  
 隅々まで丁寧に、優しく愛しむように八重の身体を磨き上げていく。  
 しばらくして全身を洗い終わると、八重は頭に濡らしたタオルを乗っけられ、  
 多汰美に抱えられながら湯船に浸かる。  
 三人は今のエッチのことや学校でのことなど他愛もない会話を交わしながら、  
 身体を洗ったり、代わりばんこに湯船に浸っていく。  
 間もなくして八重が目を覚ませば、三人は労いの言葉をかけ、八重が恥ずかしそうに破顔する。  
 
 そしてお風呂から出れば、四人はいつも通りの生活に戻るのだ。  
 
 
 お風呂場は、異世界。 そこは、少女たちが睦言を紡ぐ場所。  
 
 
 
                                           ....fin  
 
 

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