小悪魔八重ちゃんの日常
1.
「にわちゃんお風呂どうぞー」
私はドアから声をあげ湯船に戻る。
「すぐ入るよー」
愛しい人の返事が聞こえる。フフフ…
「おっ風呂♪おっ風呂♪」
楽しげな鼻歌が聞こえてきました。さてどんな表情を見せてくれますか?
ガラ
「あっあれ?七瀬なんで…?」
困惑気味のにわちゃん。オロオロしてる様子がなかなか可愛い。
「クスッ私は上がったなんて言ってませんよ?」
2.
「ふう…なんか肩こっちゃいましたね…」
今日は本当に宿題が多いですねぇ。少し疲れ気味です。
「七瀬大丈夫?」
にわちゃんが心配して声をかけてくれます。
でも年寄りを心配してるような口調に聞こえるのは私の気のせいでしょうか?
ん〜少し気分転換でもしましょうか。
「にわちゃん悪いですけどマッサージしてくれませんか?肩とか」
最近はにわちゃんによく頼みます。
「もちろんいいわよ。七瀬って揉み甲斐あるしね」
どういう意味でしょう?褒められてる気がしないので意地悪しちゃいましょうか。フフフ…
「じゃお願いします」
「ん〜相変わらずこってるわね〜」
さて……と
「うん……んぅ…あぁ」
「ん〜〜ん…はぁ」
「あ…あの七瀬?」
にわちゃんが手を止めて話しかけてくる。今どんな顔してるか手に取るように分かっちゃいますね。
「にわちゃん、もう止めちゃうんですか?」
「いや…その…気持ちいい?」
「ええとっても」
さて、どういう意味ででしょう?
「そう…続けるね」
「うん、あ…うぁっ…ぁん」
「……」
「にわちゃんマッサージ上手になりましたよね」
「え?……そ、そうかな?」
「ん〜どうかしたんですか?にわちゃん?」
「ううん!なんでもない」
あ〜あ焦っちゃって。きっと顔真っ赤なんだろうな〜
「あ…あぁ…うぅんん」
「ん……そこぉ…」
「……」
そろそろ頃合かな?
「ねぇにわちゃん?」
「あ……なに?」
もう思考までボーってしちゃって……
「急に黙っちゃってどうしたの?」
「だっだって七瀬の声が……」
「ん?私の声が?」
「あっあの、その……」
ここで振り返ってやっぱり真っ赤なにわちゃんの顔を下から見上げる角度で見つめる。
「ん〜?にわちゃんお顔が真っ赤ですよ?」
「あ…いや…これは…ね?」
ん〜良い感じでパニクッてますね〜。あと一押し!
「にわちゃん?」
「え?」
キョトンとした顔をするにわちゃんに私は微笑みかけながら口を開く……
「私のこういう声なら毎晩のように聞いてるのにまだ慣れないんですか?」
あ……固まった。
3.
ん〜今度のブランデーはお菓子との相性がいいですね〜良い出来のクッキーが焼けました。
「七瀬〜なんか美味しそうな匂いがするんだけど〜」
ナイスタイミングです。にわちゃん。
「クッキー焼いてみたんです。二人で食べませんか?」
「うんうん。じゃあ私紅茶入れるね」
やっぱり喜んでくれる人がいると嬉しいですねぇ。
「じゃ、いっただっきま〜す」
「はいどうぞ召し上がれ」
美味しそうに食べてくれるにわちゃん。今回も成功かな?
「味の方はどうですか?」
「とっても美味しいけど……」
ん?
「味付け変えた?今までのと微妙に違うような…」
するどい……あっそうだ……
「ん〜最近味覚が変化した気がするからもしかしたらそのせいかも」
むろん嘘ですが。
「そうなの?タバスコでも一気飲みした?」
その想像力はある意味貴重ですよにわちゃん。
「いえ、なんといいましょうか……」
「ん?」
「最近の私の舌ってにわちゃんのが染み込んでるから……」
「ぶっふう!」
反省……紅茶塗れになってしまいました。