ロス少尉は見た!!  
 
セントラル勤務のマリア・ロス少尉は、式典に出席するために東方司令部にきて  
いた。本来は上官が出席するべき式典だったのだが、上官の都合が悪く、ロス少  
尉が代理として出席することになったのだ。  
司令部では遠方からはるばる来た幹部たちのためにパーティが催されているとこ  
ろである。大広間では多くの軍幹部たちが高級シャンパンを片手にそこここで歓談  
をしていた。普段あまり顔を合わせることのないエリート軍人たちが、親睦を深め  
合い大総統への忠誠をともに確かめ合う・・・というのは建前で、その実、軍内部の  
派閥争いや腹の探りあい、足の引っ張り合いが繰り広げられていて、会場の雰囲気  
はそのきらびやかな装飾とはうらはらに、どこかどろどろとしたものを含んでいた。  
 ロス少尉はそんなパーティの雰囲気に辟易していた。代理出席の自分には入って  
いくことのできない世界だ。下手に首を突っ込んだら、逆に自分の立場が悪くなっ  
てしまうかもしれない。触らぬ神に崇り無しだ。  
隅の方に立っていた少尉は何とはなしに会場を見渡してみた。そういえば、今こ  
の東方司令部の指揮をとっているのは、ロイ・マスタング大佐という人物だそうだ。  
まだ若いのに大佐の地位まで上り詰めたかなりのやり手で、未来の大総統を狙って  
いるともっぱらの噂だ。黒髪で、年よりもさらに若く見える顔立ちをしているそう  
だが・・・それらしい人物が見当たらない。パーティのホストでもある大佐がこの場に  
いない事に不自然さを感じたが、用事でもあって席を外しているのだろうと深く考え  
なかった。  
 
しかし、暇である。この高級なシャンパンはおいしいが、こんなとこで飲んでても  
全然楽しくはない。権力争いのどろどろとした雰囲気に耐え切れなくなった少尉は、  
外の空気でも吸って来ようとパーティ会場をそっと後にした。  
ところどころしか明かりの点いていない廊下は薄暗く、どこも同じように見える。  
少尉は東方司令部の中で完全に迷ってしまった。始めて来たのだから無理もない。そ  
れに司令部というものは作りが複雑なものだ。いつもなら入って来るときにしっかり  
と道順と建物の構造を覚えて置くのだが、今日はお偉方に囲まれててそれどころでは  
なかった。  
せめて会場に戻れはしないかと当てもなくうろついていると、薄暗い廊下の絨毯に、  
一筋の明かりが射していた。どうやら、この廊下に面した部屋のドアが少し開いてい  
て、部屋の中の明かりが漏れてきているらしい。  
人がいたら道を聞けるかも・・・そう思い少尉は明かりの漏れているドアへ向かった。  
ドアの手前まで来たとき・・・  
 「ぁ・・・んっ・・・」  
 女性の、押し殺したような、高く甘い声が漏れ聞こえた。  
 (なっ・・・何なの?)  
 少尉は思わず、少し開いたドアの隙間から中を覗いてしまった。  
 (きゃっ・・・え?あれは!?)  
 中には、金色の髪を後ろで纏めた軍服姿の女性が、机に手を着いて立っていた。そ  
してその後ろに体を密着して立っている軍服の男性・・・黒髪に、何もかもを見透かすよ  
うな鋭い瞳をもったその人は、ロイ・マスタング大佐その人に間違いなかった。  
 (マスタング大佐!?パーティほったらかして、こんなとこで何を・・・)  
 
 女性の方は、どうやらホークアイ中尉という人らしい。大佐の右腕として働く優秀な人物で、射撃の腕も一流だと聞いている。中尉のタイトスカートは太ももの中ほどまでたくし上げられ、大佐の右手がその中に消えている。  
左手はどうやら中尉の左胸を捕らえているようだ。中尉は一見無表情だが、頬が少し紅くなっているのがここからでもわかる。  
 「大佐、いい加減ふざけるのはやめてください。」  
 中尉が厳しい声で言った。しかし、大佐はそれにまったくひるまない。悪戯っぽい調子で言った。  
 「私はふざけてなどいないよ、中尉。」  
 「幹部の方々をもてなす側のあなたがパーティの場にいないなど、ふざけてるとしか言えません。」  
 「頭の固いジジイ達の相手は飽きたのだよ。なに、私がいなくても彼らは一向に困らんさ。」  
 「しかし、このような機会に上層部に人脈を作って置くべきではないのですか?」  
 冷静な会話を交わしながらも、中尉の顔はさらに紅くなっていく。息も荒くなってきた。大佐の両手はゆっくりと、しかし、確実に中尉を責め立てていた。中尉の豊満な胸をしっかりと掴み、規則正しいリズムで揉む。右手はスカートの中で、柔らかな太ももの内側を、羽がなぞる様な感覚で撫でて行く・・・。  
 「この忙しい時期にこんな所に出てこれる者が、使える人物なわけないだろう。君だってわかっているはずだ・・・。」  
 そう言って大佐は、中尉の右の耳にはぁっ・・・と熱い息を吹きかけた。それに中尉は、堪らないと言った表情で、眉根にしわを寄せて震えた。  
 
(大佐と中尉が・・・そんな関係だったなんて。しかもこんな所で・・・。)  
 偶然とはいえ、見てしまったもののあまりの衝撃の強さに、少尉は頭がくらくらした。上官と部下が、パーティが催されている真っ最中に、その会場と同じ建物の中の一室で、あんなに・・・あんなに淫らなことをしてるなんて・・・。  
 (どうしよう、私・・・どうしたら・・・)  
 少尉はこの異常事態にどう対処していいのか、まったく分からなくなってしまった。二人の情事を見ていると、自分の体まで火照っててくるような気がする。本当は、何も見なかった事にしてそっとこの場を去ればいいのだろう。  
少尉も頭のどこかで分かっていたはずだ。このままこの場にいることは、覗きをしている事に等しい。しかし・・・  
軍の施設内で繰り広げられているとは信じられないほど官能的な光景から、少尉は目が離せなくなっていた。  
 「どうしたんだい?中尉。随分と暑そうだが?」  
 大佐が意地悪く尋ねた。口元にはイヤラシイ笑みが浮かんでいる。  
 「た、大佐・・・もう・・・もうおやめください・・・。」  
 荒くなった呼吸を抑えながら、絶え絶えに中尉が言う。  
 
「ん?確かに・・・このまま続けるのは君に失礼かな?」  
 そう言って大佐は、中尉のスカートの中に潜り込ませていた手を引き、胸から左手を離した。その手には白い手袋がはめられていて、手の甲の部分には練成陣が描かれていた。  
 (マスタング大佐は国家錬金術師でもあるんだったわ。二つ名は・・・焔。)  
 焔の錬金術師は自分と机の間に中尉を捕らえたまま、中尉の目の前で手袋を外し机の上に放り投げた。  
 「手袋越しの愛撫はもうやめる事にするよ。」  
 「大佐?そういう問題ではっ・・・んっ・・・。」  
 中尉に最後まで抗議させずに、大佐は再び軍服の中に両手を滑り込ませた。今度は左手も軍服の下から差し入れ、ブラジャーの上から中尉の胸を掴んだ。太ももでは直に肌が触れ、布越しとはまったく違う快感を中尉に与えていた。  
 「ぁ・・・ぅんっ・・・。」  
 「先ほどよりも良さそうだな、中尉。直接触られる方が好きなのだね。」  
 反応の良い中尉に嬉しそうに大佐が言う。  
 「そ、そんなっ・・・ことは・・・ぁ・・・。」  
 中尉の瞳は熱っぽく潤み、半開きになったままの口からは喘ぐ声が漏れ続ける。  
 

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