満開な桜の花の下、ピンク色の花びらが一枚ひらひらと舞い落ちてきて  
ウィンリィの裸の乳首の横に載った。  
 
いつも通りのタンクトップを乳房の上までまくり上げただけのウィンリィの裸の胸。  
いつだって見慣れているはずの幼馴染みのウィンリィの姿。それがたった布一枚をめくって  
胸を露出させただけで、今の俺にはまるで別の生き物のように見える。  
 
月明かりの青白い光の下、俺の腰の動きに併せて規則的に前後に柔らかく揺れる  
その白い乳房の上の桜の花びらを指でつまみ上げようとしたときに、  
はずみで指がウィンリィの固く尖って上を向いた乳首の先端に触れた。  
 
冷たい機械鎧が乳首に触れる感触を感じたのだろう、ウィンリィは閉じていた目を開け、  
普段なら絶対に出さないような可愛らしい声で一言鳴いてみせた。  
 
「うぅんっ・・・」  
 
俺の腰の後ろに回されたウィンリィの裸の両脚。  
鳴き声と同時に俺の腰から背中を挟むようにしているそのウィンリィの両脚に力が入れられて  
ウィンリィの性器に全体を包まれたままの俺自身がウィンリィの身体のより深い所まで侵入する。  
 
そのウィンリィの性器の感触と目にする表情、そして脊髄にまで響くようなウィンリィの鳴き声の同時攻撃に  
俺はこれ以上耐えきれそうになかった・・・  
 
「ウィンリィ・・・俺・・・」  
 
こんなときに・・・どうしてこんな表情ができるのだろう。  
声を掛けられたウィンリィは目を開けて下から真っ直ぐに俺を見つめる。  
酒だってかなりまだ残ってる筈だし、俺と同じくらい感じてだっているのが喘ぎに近い甘い息づかいから解る。  
 
だけど今この時のウィンリィの表情はいつものあの表情、  
初めての時の朝、ピンク色の何かを肩にはおり両手でマグカップを抱えてこちらを見つめていたときの表情、  
こちらを見つめながら結んだ唇の端でかすかに微笑むあの表情だった。  
 
そしてそのあと目をつぶり、その優しく微笑んだままの表情で  
両手を真っ直ぐにこちらに差し伸べてきて俺に告げる。  
 
「いいよ。エド。  
 出して・・・出して・・・出して、エド・・・」  
 
「う・・・」  
 
俺の名前を呼ぶウィンリィのその言葉を合図に俺はウィンリィの白く柔らかい身体に射精を始める。  
興奮のあまり一回で射精が終わらない。俺はウィンリィの両脚の間に自分の腰を打ち付けるようにして  
続けざまに2度、3度と性器を痙攣させてウィンリィの身体の中に自分の精液を送り込み続ける。  
 
たぶん精液を送り込むときの俺の性器の脈動が伝わるのだろう  
こちらの両脇から背中に両手を回し、そうして俺に必死にしがみついた姿勢のままのウィンリィの口から  
 
「・・・あ・・・あ・・・あ・・・あぁ・・・」  
 
と脈動にあわせて短い断続的な鳴き声が漏れ出てきて俺の脊髄に響く。  
それからウィンリィの白い身体が小刻みに震えながら硬直しはじめて背中をのけぞらせ始める。  
俺に身体の中心を貫かれたまま、震える白い胸を俺の眼前にさらしたまま、泣きじゃくるような鳴き声を上げながら。  
そして最後に俺を見つめながら抵抗を諦めたような長い長い引っ張ったような切なげな鳴き声をあげて・・・・・・・・  
それから・・・・・・・・  
 
 
 
コトが終わったあと、妙に冷静な気分になって自分に似合わない事を考えたりすることがないだろうか?  
というか俺はいつもそうだ。経験が増えればそんなこともなくなるだろうと思っている。俺はまだウィンリィと数回しただけだ。  
そのウィンリィは終わった後の今もまだ両手で俺の首にしがみついたままコトの余韻に身体を奮わせている。  
 
身体の震えと体温が俺に密着したままのウィンリィのむき出しの胸から伝わってきていた。  
そのウィンリィの身体の、柔らかい肌の感触とウィンリィの肌の匂いに気をとられてどうにも考えが上手くまとまらない。  
 
ヤバイ・・・俺も相当酒が回ってるな・・・というか軍公認の宴会とはいえ16才の俺にここまで酒を飲ませるなんていったいどういう常識してるんだあいつらは・・・これだから軍人て奴は・・・。俺は心の中で連中をののしっていた。  
それにさっきは一瞬まともに見えたのに・・・コイツも・・・・・・・・  
 
コトの余韻から落ち着いたかと思ったウィンリィは先刻から俺の顔を舐め回し始めている。何やらくすくす笑いながらだ。  
明らかに泥酔しているのは確かだった。止めさせようとするのだが言うことをきかない。  
コイツは酔った上で外でしたって後から知ったら必ず俺を殴る。コイツはそういう奴だ。誘ったのは自分のくせに。  
理不尽きわまりない。  
 
だがいつもコトが終わったあとに考える自分に似合わない事というのはそのウィンリィの事だった。  
俺は自分の眼前、目と鼻の先にあるウィンリィの横顔を見つめながら考える。  
 
俺たちは幼馴染みとして出会い、両親の居ない同じ様な境遇で同じ村で育ち、そして自然とこうして抱き合うようになった。  
俺はたぶんコイツの事が好きで、コイツも俺の事が好きなのだと思う。  
だがもしウィンリィを失ったら?いやそもそも幼馴染みなどではなく、知り合ってさえもいなかったら?  
 
俺は最近そんなことを考える。  
人は何かの犠牲無しでは何かを得る事はできない。俺たちはそう信じている。  
それなら・・・もしもウィンリィが居なかったら?ウィンリィとピコナばっちゃんのあの家、俺たちがプレゼントした人形のあるウィンリィのあの部屋、  
そこで何かにくるまって両手にマグカップを抱えこちらを見上げるウィンリィ。  
それを手に入れるためには俺は何を、どんなものを、どれだけのものを犠牲にしなければならなくなるのだろう?  
 
俺はそうしてさらに考える。  
あの時に俺の名前を呼ぶウィンリィ。俺の身体の下で俺を受け容れながら俺に向かってまっすぐに両手を差し伸べ微笑みながら俺に自分の身体への射精の許しを与えるウィンリィ。いつもいつもそうする度に、俺にそうやって微笑む度に・・・ウィンリィはその対価を何から得ているというのだろう・・・  
ウィンリィのあの時の微笑み。それに相当するだけの対価、それに見合う何が俺にあると言えるのだろう?  
 
俺はそして最後にはいつも同じ考えに行き着く。  
俺たちは旅立ちの日に自分達の家を焼いて決してそれを後悔などしない。そして必ず元の自分達の身体を取り戻す。  
その為に旅を続けている。その目的が達成されるまでは決して村には戻らない。そう決めてある。  
 
だがそれは同じじゃないだろうか。多分同じことだ。  
何か解らない目的のために家を出て・・・母さんと・・・俺たちを捨てて2度と戻らなかったあの男、俺たちの父親と。  
 
俺たちは多分旅の終わりに欲しいものを目の前にして、そこで改めてその対価を要求されるだけじゃ済まない。  
俺たちの対価の支払いは既にあの旅立ちの日から始まっている。  
 
だとしたら・・・支払い続け、失い続けて今かろうじて残っているかもしれないもの・・・いずれすっかり失ってしまおうとしているかもしれないもの・・・何かを犠牲にしてしまった奴らを見続けてきてしまった今の俺には・・・  
それが何か少しだけ解るような気がする。  
でも俺は・・・俺は・・・俺は・・・・・・・・  
 
 
 
「ふはははははははははははははははははははははは(笑)」  
 
コトが終わった後の、俺の高尚な思考は、いけ好かない野郎の盛大な高笑いで無惨にも中断された。  
そのせいで答えの出ない想いから、ほんの少しだけ救われたような気もする。  
だが、いけ好かないコトには変わりはない。  
自分の居る場所の半径1m以内の至近距離から聞こえてくるとなればなおさらだ。  
 
ここまでいけ好かない奴といったら世界に一人しか居ないことに決まってる。  
もちろんマスタング大佐だ。アレ以上はこの世に居ない。  
 
大佐はウィンリィと俺が頭を向けている桜の大木のすぐ向こう側にいる。  
それは解っていた。解ってはいたのだがつい忘れてしまい不覚にも驚いてしまった自分を  
俺は内心でののしった。もちろん大佐についてもだ。  
 
野郎、人が気持ちよく、いや少し鬱が入りかけていたけどな、とにかく余韻を楽しんでいるいいところで  
よりによって高笑いとは何て野郎だ。許せねえ!  
 
マスタング大佐が何故そこに居るかについては少し説明が要る。  
俺たち、俺とウィンリィは宴会を抜け出した後、アルの用意してくれた宿の部屋までは行き着けなかった。  
途中でこの場所、野原の真ん中に何故だか一本だけ立っている桜の大木のある場所に出くわしたのだ。  
 
大木の周りは半径5mほどが程良い感じの芝生になっていて寝ころぶと気持ちが良さそうだった。  
その外側の周辺は背の高い雑草が生い茂っていて周囲からの視線を完全にさえぎっている。  
そしてここに来たときに泥酔中のウィンリィの奴が事もあろうに  
「青姦しましょ!青姦しましょ!青姦しましょ!青姦しましょ!青姦しましょ!」  
と駄々をこね始めたのだ・・・そんな言葉どこから覚えたんだ?  
 
・・・本人の名誉のために言っておくが、ウィンリィの奴は普通の女とは少しだけ女離れしてはいるものの  
普段は決してそこまで恥知らずではない。ぐでんぐでんに酔っぱらっていた上での言葉だと・・・思う。  
そして俺だって紳士だから普通ならそんなへべれけの酔っ払いの言葉を相手にしたりしない。  
 
ただその時は俺も酔っぱらっていた上に、正直言ってアルの用意してくれた部屋でウィンリィと  
俺の奇跡的に残った生身の部分を、自分だけ、活用するのは気が引けた。  
たった一人の弟とはいえそこまで気を回すことはない・・・とも思う。  
 
だいたい俺は最初にウィンリィとこういう関係になったときも相当気がとがめてしばらくアルには  
言えないでいたのだ。結局は、アルの奴はこういうコトには妙に察しがいいのでそう長くは  
隠しておけなかったのだが・・・  
 
それはともかく俺とウィンリィはその場所でコトを開始した。より正確に言えば俺がオレ自身の挿入を完了してウィンリィに良い声を上げさせた瞬間、まさにその瞬間にガサゴソと周囲の雑草をかき分ける音がして  
2人連れの男女が大木の向こう側からこの場所にやって来たのだ。  
 
その2人は当然というか勿論というか案の定というかとにかく有り得そうな事ではあったが  
マスタング大佐とホークアイ中尉の2人連れだった。  
 
当然のごとく俺とウィンリィはその場で硬直した。だが2人は俺たちに気付かず  
大佐は中尉の肩を抱いて真っ直ぐ桜の大木の反対側まで来ると、自分は立ったまま  
大木を背に寄りかかり、中尉をそのまま後ろ抱きにして何やらゴソゴソと始めた様子だった。  
ホークアイ中尉の上着の前をあけているらしい衣擦れの音らしきものと中尉の柔らかくあらがってみせる  
声が木の反対側にいる俺たちの耳に聞こえてくる。  
 
俺はちょっとだけ情けない体勢でその場に硬直しつつも内心で大佐をののしり続けていた。  
宴会とはいえ一応は軍の公式行事だろ?これは。  
それを2人だけで抜け出してこんなところでコトに及ぼうとは図々しいにも程がある!  
それに、それにだ、そもそも国家錬金術師ともあればたとえ酔っていたとしても  
半径30m位の人間の有無位は気配で察知できたって良さそうなもんじゃないのか?  
 
だが結局大佐は俺たちに気付いた。気配を察したのだろう、木を背にして中尉を抱いたまま  
左肩越しに少しだけ振り返ると、あの3角形の眼の端で俺とウィンリィの姿を視界に入れたのだ。  
 
俺はウェンディに覆い被さったままの少しだけ情けない恰好で仕方なく片手を上げて  
や、やあ・・・奇遇ですねえ・・・、といった感じで無言で挨拶をした。平静を装ったつもりだったが  
引きつり笑いの上、冷や汗も流れていまっていたかも知れない。俺の身体の下ではウィンリィも仰向けのまま明らかに状況を把握していない素の不思議顔で大佐の方を見ていた。  
 
どうだ・・・この野郎、驚きやがれ!  
引きつり笑いを浮かべながら俺は内心ではそう思っていた。が・・・・・・・・  
 
大佐の野郎は表情一つ変えずにあの3角眼の端に俺たちを捉えたまま、それからおもむろに  
唇の端だけを上に曲げた例の表情で、フフン(笑)、と鼻で笑って見せたのだ。  
解ると思う。大佐がよくやるあの、木で鼻をくくるとか、鼻で嘲笑う、とかそういう奴だ。  
 
俺の脳裏には大佐のフフン(笑)の声が自動的にリピートされた。  
 
フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。  
フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。フフン(笑)。  
 
・・・・・・・・フフン(笑)・・・だとお(怒)  
 
一方で木の裏側からは大佐の攻勢が本格化したらしい事を示す、ホークアイ中尉の短い驚き声、  
明らかに中尉が予想していない中尉の身体の色々な場所をあちこち次々と触られて、当惑と羞恥が混じった様子の  
「あっ。あっ。あっ。あっ。あっ。あっ。あっ。あっ。あっ。」  
といった鳴き声が激しく聞こえ始めてきていた。  
 
そのホークアイ中尉の声に不覚にもウィンリィの身体の中の俺のモノが反応してしまう。  
完全に酔っ払いモードのウィンリィは面白がってそれにあわせて腰を動かし、くすくすと笑う。  
 
大佐の野郎・・・そっちがその気ならこっちだって・・・(怒)  
 
そう考えた俺は野郎の存在など忘れて目の前のウィンリィの身体に集中することにしたのだ。  
本当に忘れてたワケじゃない・・・忘れてたワケじゃないのだが・・・  
 
 
(花見夜桜野外編1・終了)

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