自室のベットに寝転がり、エリシアはもうすぐ迎える自分の二十歳のバースディに  
思いを馳せていた。  
ずっと以前から決めていた計画、自分の父親と同年代であるロイを襲う。  
本来ならば無理矢理などいけない事だとわかっている。でも、ただ待っているだけでは  
愛しい人を永遠に見つめているだけで終わってしまう。  
 
「そんなのは、嫌だよ」  
エリシアはベットから起きあがり、パジャマのボタンを順に外していく。  
そして下着も取り去った後、全身鏡の前に立った。  
小さめの体に不似合いな少し大きめのポッテリとした胸。  
つきたての餅のようなそれは、まだ異性に見られたことも触られたこともない。  
ロイに恋をしてからというもの、この体は彼にしか許さないと決めていたから  
傷を付けないように気を付けていたし、お手入れにだって気合いを入れている。  
そのおかげで肌はスベスベで、シミも大きな傷跡もない。  
ロイ・マスタングに愛されるために存在している体。  
しかし、彼は絶対に自らエリシアを抱こうとはしないだろう。  
なぜならば彼女は、亡き親友ヒューズの愛娘なのだから、ロイにとっても娘同然  
…と言うよりはむしろ、侵してはならない聖域に住まう天使だとでも錯覚していそうだ。  
エリシアはそれをぶち壊し、男であるロイを手に入れたいのだ。  
そのために今まで隠れた努力をしてきた。  
不意をついて拘束するために、父が残してくれた書物『必殺!これで貴方もナイフ投げ名人』  
の<猿でもわかる初級編>から始まり、ついには<これで今日から名人編>までクリアーした。  
 
そして更に重要なロイをその気にさせるためのテク。  
エリシアは今まで男性経験など皆無だったので、昔からの  
頼れる姉貴分達からご教授願った。  
サイドテーブルから男性器を模したペロペロキャンディーを取りだす。  
ちなみにこれは、ウィンリィからの成人祝いプレゼント。   
「ロイのもこんな形なのかなぁ…はむっ」  
口に含み、教えられた通りに舌を動かしてみる。  
鏡に映った物を銜えた顔は、なんだか可愛くない。  
ちょっと嫌だなと思いつつもイメージトレーニングを続行する。  
先端を優しく包み込み、チロチロと焦らすように舌先を使う。  
「こうすればロイのは大きくなるんだよね?…ハァ」  
 
段々身体が火照りだし、胸の先端がムズムズと痛痒くなり、戸惑いながらも  
己の手を胸へと誘う。  
指先がちょっと触れただけで電流が走ったかのような衝撃が体中に伝わる。  
この指がロイのだったらと考えると、更に気持ちよく感じるから不思議。  
焔の錬成時に強く擦り併せる指先は、皮が何度も捲れ固くなっている。  
「ロイの指は固くて…ああ、そんなに強くはイヤ!」  
想像に集中しすぎ、変化を見せる先っぽをついつい力強く摘んでしまって  
ふと現実に引き戻された。  
 
手には男の象徴を象った食べ物を持ったまま。  
「こっちを忘れちゃ駄目だもんね」  
確か裏側も重要だと言っていたような気がするなぁとベロを出したまま  
考え込んでいると自分の体に異変を感じた。  
下腹部がキュっと閉まるような、それでいて力が入らなくて緩んだような…  
違和感を感じて、恐る恐るそっと茂みの中に人指を差し入れてみる。  
「!」  
カタン  
もう片方の手が握っていたキャンディーが床に落ちた。  
 
ああ、濡れている  
そのことに気付いたエリシアは、濡れた手を見て自嘲気味に笑うしかなかった。  
年頃の女が性的欲求で濡れるのは当たり前のことだが、頭で理解しようとも  
実際には今までエリシアは、その経験がなかったのだ。  
ずっとロイに求められるがまま、純粋で汚れのない少女であろうとしていたから。  
欲望を知らず慈しまれる奇麗なキレイなお人形。  
「ふふふ…私、もう奇麗じゃないね。ロイ…こんな私でも愛してくれるよね?」  
目尻から溢れた小さな粒が、静かに頬を伝う。  
彼女は変わる。聖女から処女へ、そして大人になる日に女へ。  
 
(終わり)  
 
 
 

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