久しぶりにエルリック兄弟が故郷のリゼンブールへ帰ってきた。
もちろん宿泊先はロックベル家である。
エドワードがそろそろ寝ようかという時間に、ウィンリィが部屋へ顔を出した。
「ねぇ、旅先での話を聞かせてよ」
「あ〜別に話すほどのことなんてねーよ。あっ、この前大佐に聞いた話をしてやろうか?」
ウィンリィが興味津々な態度を見せるので、内心ニヤリと笑いながら話し始める。
昔、とある国に宋麗虎(ソウ レコ)様と呼ばれる王がいたらしい。
彼はとにかく処女の娘が好きで権力に物を言わせ、国中の生娘を差し出させた。
しかしそんな暴君もいつかは、力衰え民衆に討たれたそうだ。
最期の言葉は「我如何なる時も処女求む!死しても猶」で、その言葉通り
この話を聞いた処女の娘の元に幽霊の姿で現れて犯す。
これは本当のことで彼の話は、決して処女の前でしてはいけないと禁止令まで出た。
もし処女がこの話を聞いてしまったときは、ある二つの事をしなければならないのだ。
「ってちょっと〜!なんでそんな話をあたしにすんのよ!あたし処女なのに〜」
「へぇ〜そうだったのか〜知らなかったなぁ」
半泣きで怒るウィンリィに涼しい顔で戯けるエドワード。
「それでどうすればいいのよ!もう」
「あ?そんなの簡単だろ。奴が来る前に処女じゃなくなればいいんだから」
「えっなっ何言ってんのよ。誰とするっていうの」
「俺が目の前にいるじゃねーか。まったく知らないどっかの馬鹿王様と昔から大好きな俺様、
どっちに処女を捧げるべきかなんてわかりきってるよな!…ってな訳でいただきま〜す」
「あん…いやん…バカ…ァァ…」
まぁそんなわけでめでたく処女ではなくなったウィンリィさん。
エドのベットの上でシーツを体に巻き付けてマッタリしています。
そんな彼女を後ろから抱きしめているエドワードは大変満足。
「そういえば話を聞いた後にやらなければいけない二つのことの一つってHよね。
もう一つは何なの」
その言葉に体を固くしたエドワードは、ソロリと体を離し逃げの体勢になる。
が、逃がすウィンリィではない。
素早く三つ編みを掴み、早く言うように促す。
「…絶対怒らないって約束しろよ!…王の名前を逆さに三回唱えるんだ」
不思議に思いながらも三回唱えてみる。
「ソウレコ様よね。コ・レ・ウ・ソ…これうそ、これ嘘〜!」
(終わり)