それはウィンリイ8歳のある日の出来事−  
 
 
「おーい、ウィンリイ!風邪ひいたんだって、大丈夫かー?」  
「あ…エド…ごほごほごほっ」  
「なーんか大変そうだな、もうすぐオマエ死ぬんじゃねー?」  
「…………あんたねぇ…………」  
「へっへーっ、今日はいいものもってきてやったんだぜ」  
「……何?」  
「じゃーん!これなーんだ」  
「……ネギじゃん、長ネギ」  
「これで風邪が治るんだってさ!ベルんちのばあちゃんから聞いて  
もらってきたんだぜ!」  
「…ネギで?」  
「そう、ネギで」  
「どうやってよ?」  
「なんかさ、これをお尻の穴に入れるんだってさ、そうするとネギが  
身体の熱を吸ってくれるらしいよ」  
「えぇ〜〜嫌だよ〜お尻の穴なんて〜」  
「でもさ、熱下がんないと注射されるぞ」  
「ええぇ〜…」  
「痛いぞ、注射」  
「……………」  
「な?」  
「………分かった………」  
「よし!やろーぜやろーぜ!」  
「……アンタ、絶対面白がってるでしょ」  
 
「でもさ、これ、どうやって入れるの?」  
「そりゃあ、白いほうを入れるんじゃねーか?」  
「えええ〜!だって、根とか生えてるし、泥もついてるじゃん  
やだよそんなの入れるの」  
「じゃ、最初の皮をはがして…ほら、これでキレイになった」  
「うーん、でも、こんなの入るのかなあ…」  
「そりゃあ、う○こが出てくるくらいだから、このくらいは楽勝じゃねー?」  
「エド、きったなーい」  
「ホントのことじゃん、ほらお尻出して」  
「えー、ホントにやるのぉ?」  
「風邪、治したいんだろ、ホラ出せよ」  
「………………………これでいい?」  
「もうちょっとこっち向けて」  
「な、なんか恥ずかしいよぉ」  
「えーっと…………あ、これか…………。……よし、入れるぞ」  
「う、うん…………」  
「…………………………………………」  
「…………っって、ひゃあぁぁぁぁっ!」  
「おい!もっと力抜けよ!」  
「だ、だって……あぁぁぁぁあっ!」  
「くっ、か、固い…だから力抜けってば!」  
「いやあっ!グリグリさせないでよっ!」  
「だって入んねえんだもん!…………よっと!」  
「きゃうん!!」  
 
「えーっと……よし。おい、10cmくらい入ったぞ」  
「そ、そんなに〜?入れすぎじゃないの〜!?」  
「ちゃんと入れねーと効かねーだろ、多分」  
「多分って…」  
「でもすげーぞウィンリイ!おめーお尻からネギが生えてるみてーになってる!」  
「ちょっとー!なによそれー!!」  
「うひゃひゃひゃ!馬のしっぽみてー!!」  
「いやん!もう!エドひどいよ!!」  
「あひゃひゃひゃひゃ、おもしれー!アルも呼んでこようっと!」  
「ちょっと止めてよ!!もういいから早く抜いて〜〜〜!!!」  
 
 
 
「……………てなことが昔あったよねぇ?覚えてる?」  
「そ、そ、そうだったっけ……………」  
「アタシの目を見なさい、目を」  
「いや、ま、その、あったような、無かったような……。ってか、そんなガキの  
頃の話をだなぁ……」  
「そりゃね、アンタもアタシも子供だったからね、ヘンな気持ちじゃあ無かった  
のは認めるわ。でもね」  
「でも……………何?」  
「一発殴らせて」  
 
 
アルフォンスが何者かにボコボコにされたエドワードをロックベル家の裏庭で  
見つけたのは、その数十分後であった。  
 

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