あの日から数年たって、僕もやっとこの体に慣れてきた頃の話。
杖も必要なくなったし、成人男性の平均的な体力までに回復していた。
小さい頃からずっと3人だった僕と兄さんとウィンリィ。
あの出来事があったおかげで、絆はずっと深まったと思う。
特に、兄さんとウィンリィ。
兄さんとウィンリィが仲がいいってことを見せ付けられても、むしろそれはうれしいことだったし、兄さんとウィンリィが結婚したときは心から喜んだ。
兄さんとウィンリィには本当に幸せになってほしいと思っているし、願っている。
でもその一方で、この肉体を取り戻せたために、こんな感情があったことに僕は全く気づいていなかった。
僕は、兄さんとウィンリィが開いたホームパーティーに参加していた。
ばっちゃんとウィンリィが作った数々の料理に舌鼓を打って、久々に飲んだワインでいい気分になっていた。
その一方で兄さんは、ばっちゃんとウィンリィの手料理にがっついていた。
確かに、僕の体が『真理の扉』の前にいた頃に、僕の体を維持するために食べ過ぎていた癖がまだ残っているみたいで、せっかくの料理を食べていた……というより、流し込んでいた、といったほうが正しいかも。
その割には食べても太らない体質みたいで、その点はうらやましいというのか、なんと言うのか。
成長期を過ぎてもまだ食べ盛りのバカ兄貴だから、ウィンリィも大変だ……。
「ほら、あなた。みんなに言わなきゃいけないこと、あるでしょ?」
ウィンリィが兄貴に手招きをした。
動きがなんだかギクシャクしている兄さん。
何をそんなに緊張しているのかなぁ?
「えーっと、その…なんだ……」
もじもじし始めた兄さん。
「もうっ! エドが皆に言いたいからっていったから、ってその場を用意したって言うのに!」
いつもの夫婦漫才だ。久しぶりだな〜。
って、悠長に構えていた僕。
その余裕は、兄貴のたった一言で一気に吹っ飛んでしまった。
「待望の子どもが出来ましたぁ!」
本来喜ぶべき報告を、僕は受け止められなかった。
ウィンリィに、兄さんの赤ちゃんが……。
そりゃあ夫婦だもん、夜の生活も当然あるはず。それは自分でも納得できているはず。
ただ、それまで【結果】がでなかったから、自分でもどこかで『2人がそんなことするはずがない』と思い込んでいたんだろう。
でもいざ目の前に【事実】を突きつけられると……。
「おう! アル! そーいったわけだから、お前もなるべくウィンリィを助けてやってくれよな!」
って、兄貴が言ったような……。
はっきりいって、そこから記憶はなかった。
ワインを飲みすぎたからじゃない。
それ以前に、ショックが強すぎたみたいだ。
「やっと起きた」
ウィンリィの一言であたりを見渡すと、すでにパーティーは終わって、後片付けもすんだところだった。
どうやら僕は記憶を飛ばしすぎて寝てしまったようだ。
ウィンリィが心配そうに僕を覗き込んだ。
「よっぽど旅で疲れたのかと思ったわ」
『違うよ、ウィンリィに子どもが出来たから気が動転したんだよ』
なんて、いえるわけがない。
「いや、ちょっと……ハハハ」
笑ってごまかすなんて、子供みたいだ。
「あれ? 兄さんは?」
「エドはもう寝たわ。『悪いけど、アルが起きるまで看てやってくれないか』だって。エドこそ、弟を看る必要があると思わない?」
ちょっとふてくされ気味にウィンリィがいう。
「ごめん。長居しちゃったね。帰るよ」
僕は、スッと立ち上がった。
今の自分の気持ちがウィンリィに悟られる前に。
その気持ちを知ってか知らずか、ウィンリィは、僕にこう申し出た。
「送っていくわ。アルとは、まだまだいっぱい話がしたいし」
「でも……兄さんはいいの」
「いいわよ。あのバカ、一度寝たらしばらく起きないんだもの」
僕はウィンリィの申し出を無下には出来ず、送ってもらうことにした。
僕の家は、兄さんとウィンリィが住む家から歩いて数分もないところにある。
平屋建てで、兄弟で燃やしてしまった家の1階を再現し、若干アレンジした間取りになっている。
僕は、ウィンリィを自分の部屋へと丁重に迎え入れた。
「散らかっているけれど、適当に座ってて」
ウィンリィに紅茶を入れに台所へ行き、自室に戻った頃には、ウィンリィは僕のベッドに腰掛けて、部屋一面をくまなく眺めていた。
「こんな感じになっていたのかなぁ」
「何が?」
「もし、エドとアルが普通に錬金術へと進んでいたらってこと」
「錬金術師っぽい?」
「特にあのあたり」
ウィンリィが指差した方向には、机の上で散乱している学術書があった。僕が旅の中で手に入れた錬金術や錬丹術の学術書が山積みになっていた。
「遅れを取り戻さないとね」
「そうね。結局アルはエドのお守りばかりしていてあまり勉強できなかったみたいだし……」
僕はウィンリィに淹れたての紅茶を渡す。
こくこく、と飲むウィンリィ。
「おいしい。ありがとうね、アル」
よっぽどホームパーティで疲れていたのだろうか。ウィンリィは僕の淹れた紅茶を飲むとほっ、と一息ついた。
「そうだ。ねえ、お腹、触ってみる?」
「えっ!?」
ウィンリィは僕の返事を待たず、ぐい、と僕の右手首を取ると、自分のおなかに手を当てた。
「ほら、わかる? 大きくなってるでしょ? おなかにはちゃんとエドの子がいるのよ」
うれしそうに話すウィンリィ。
僕の、今の今まで気づかなかった感情が一気に体中をめぐって僕を包んだ。
「え?」
気がついたら、僕はウィンリィを自分のベッドに押し倒していた。
ウィンリィの気持ちなんか一切無視して、自分の欲求を満たすほうが先だったみたいだ。
急に押し倒されたウィンリィは何が起こったか理解できなかったみたいだった。
だけど、いつもの僕の顔とは違っていたのだろう。
「や、ちょっと!」
いつもの雰囲気と違うのに気づいたウィンリィの表情は、明らかに凍っていた。
「やめて、アル。今なら冗談で許してあげるから」
彼女は僕の下で必死に抵抗した。
でも僕はそれなりに力を持っているので、女性を押さえつけることくらいなんてことはなかった。
「アル!」
「僕だって、僕だって!」
「アルっ!」
「僕だってウィンリィが好きなんだ!」
「アルフォンスっ!」
「それなのに、どうして兄さんと結婚したんだ! 結婚せずに3人で暮らせばよかったじゃないか!」
恐れをなしたウィンリィは。
「いやあああああっ! エドオォォッ!!」
助けを求めるように兄の名を叫ぶ。
その声に、僕は我を取り戻した。
「……」
何もいわずに、僕はウィンリィから離れる。
「落ち着いて。アル」
乱れた着衣を直しながら、ウィンリィは僕に言って聞かせた。
「アル……気持ちはわかったわ。でもね、私はもうエドの妻なの。私はエドと新しい家庭を作ると決めたの」
一呼吸おいて、ウィンリィはさらにこういった。
「確かに3人は一緒よ。今までも、これからも。その上で私は新しい家庭を作る。その伴侶がエドだったってことよ。それだけよ。アルも新しい一歩を踏み出さないといけない時期に来ているのよ」
「わかんないよ! どうしてさ? あれだけ兄さんと口げんかしているのに、なんで兄さんと結婚したのさ?」
「約束したんだもん。私の人生、全部エドに上げる、って」
ウィンリィはきっぱりと言い切った。
「説明になってないよ! どうして僕じゃダメなの?」
「エドがどうとか、アルがどうとか、じゃ無いの。私が結婚した相手がエドだった、というだけの話よ」
「……」
僕は、ウィンリィの言葉には正直納得いかなかった。でも彼女の意思は強く感じた。だから、僕も……。
「……ねえ、ウィンリィ……」
僕は、ウィンリィに自分の正直な想いを吐き出した。
「……兄さんとウィンリィは夫婦だから、夫婦生活をしている。それは自分でも納得できていたんだ。
ただ、今まで【結果】がでなかったから、僕はどこかで『2人がそんなことするはずがない』と思い込んでいたみたいだ。
でもいざ目の前に子どもが出来た、という【事実】を突きつけられると……僕は、気づいてしまったんだ」
ウィンリィに嫌われることを覚悟で、勇気を振り絞って言った。
「僕は、ウィンリィとしたいんだ」
「したい、ってまさか……私と?」
僕の告白を聞いて、ウィンリィは相当悩んだ表情をした。
「……冗談、じゃないよね?」
「……」
僕は、うなずくのがやっとだった。
どれだけ時間が経ったんだろうか。
しばらくして。
「……わかったわ、アル」
絶対に拒絶されると思っていた。
「……今晩だけ、アルの想いを全身ですべて受け止めるわ……」
ウィンリィからの思いがけない一言。
その言葉に、僕はウィンリィに手を伸ばした。
「ウィンリィ……」
「もし」
僕がウィンリィに触れる瞬間。
「アルが明日以降も私を求めるのなら……私はあなたには二度と会わない。それでもいいなら、私を抱いて」
ウィンリィには、兄さんの赤ちゃんが宿っている。
本当は喜ぶべきことなのに。
『うぃんりぃト、ヒトツニナリタカッタ』
僕はこんな感情を持っていたなんて。
その一方で、僕は兄さんとウィンリィとのやり取りを間近から見ていたんだ。これ以上ないカップルだと僕も言える。
だからこそ、僕は兄さんとウィンリィには幸せになってほしいんだ。
その想いは、決してこれからも変わらないと自身を持っていえる。
今までもこれからも3人は一緒だ。
なおさら、兄さんとウィンリィの間に生まれる子も祝福しないと。
僕の前には、すべての想いを受け止めようとしてくれるウィンリィがいる。
僕の答えはひとつしかなかった。
「一晩だけ、ウィンリィをください」
「おいで、アル」
ウィンリィはにっこり微笑むと、僕の顔を胸の中に抱きしめた。
「いい、アル。これは夢よ。一晩だけの夢よ。朝になったらきれいさっぱり忘れるのよ」
「……うん」
そして、やさしく僕の頭を撫でる。
僕の頬を伝ってウィンリィの体温が伝わってくる。
よろいの姿をしていたときには感じることのなかった温もり。
とても気持ちよかった。
「あったかい……」
「そう……」
僕はウィンリィの胸から離れると、ゆっくりとウィンリィの唇に寄った。ウィンリィもためらわずに唇を重ねた。
僕は、キスの仕方はよくわからなかったけど、ウィンリィのほうから舌を伸ばして僕の舌に絡みついた。
ウィンリィの舌が、僕の口内に入って、歯茎や上あごを舐めてくる。
「んんんっ」
頭の中で粘膜が擦れあう音が響いてくるようだった。
唇をそっと離したとき、僕の下半身は燃え滾っているような感じだった。
「ウィンリィ」
「なに?」
「僕の……したいようにやっていい?」
「いいわよ。だけど、私のこと、大切に扱ってね?」
「うん、わかった」
そうは言っても、どうしていいか分からぬまま、無我夢中で、僕はウィンリィのボタンを次々と外していった。
全部外し、前をはだけるとぷるん、としたウィンリィの胸がこぼれ出る。
「きれいだ……」
自然と僕はそんなことを口にしていた。
そして、キスの時と同じように、そっと唇を触れさせ、そしてついばんだ。
はむはむ……と唇で優しく噛むようにしてから、ウィンリィの乳首を舐め、そしてしゃぶって吸う。
「あっ……んぅぅ」
ウィンリィの吐息が漏れ、身体がかすかに伸び上がる。
女性経験がほとんどない僕は、おぼつかない手つきで胸を揉みながら、乳首に吸い付くので必死だった。
「……ね、そこだけ?」
ウィンリィの乳房ばかり夢中になっていた僕は、彼女の言葉で我に返る。
「あ……そうか」
ウィンリィは服を脱ぎだした。
僕もあわてて着ていたものを脱いでトランクス1枚になる。
「おいで」
ぺたんと布団の上に女の子座りしたウィンリィが両手を拡げて、僕を招く。
「うん」
これまでの知識を総動員して、僕はウィンリィの身体に挑むことにした。
さっきと同様、胸から責めはじめる。
けど、今度は単調にならぬよう、色々と舐め方や揉み方を変えていく。
ぎこちないながらも、胸から、脇、そしてお腹へと徐々に移動するようにした。
パンツだけになったウィンリィの身体は、むっちりとしていて、とても感動的だった。
僕のぎこちない責めでも、さっきよりはましになったのか、眉を顰め身をよじるウィンリィの反応は、少し自信を付けてくれる。
「気持ち、いい?」
ムードもへったくれもない僕の問いに、ウィンリィはうっとりと目を閉じたまま、頷いて吐息混じりの声を漏らした。
「うん……」
その返事に気をよくした僕は、ゆっくりとウィンリィのパンツに手を掛けていた。
ずらそうとする僕に合わせて、ウィンリィも腰を少し浮かせてくれる。
完全に生まれたままの姿にされて、さすがのウィンリィもかすかに緊張した表情になった。
「なんか……恥ずかしい……」
そう言って軽く頬を染め、視線を逸らすウィンリィの表情に、なんとも言えぬなまめかしさを感じた。
僕は何も言わずに、膝を立てたまま、ぴったりと閉じられたウィンリィの両脚に手を掛け、じんわりと開いていった。申し訳程度に生えたアンダーヘア、そしてくっきりと色づいた裂け目の鮮やかな色につい見とれてしまった。
「そんなに見ないで……。恥ずかしい……」
目を潤ませたウィンリィのささやきを聞いても、視線を外すことなんかできやしない。
「いやだ、もっと見たい」
欲望に支配され、僕はそんなことを口走っていた。
完全にウィンリィの股間に顔を埋めるようにして、顔を近づける。
初めてじっくりと生の女性器を見る感動に、思わず息を呑んでしまう。
「……」
賞賛と興奮、感動を言葉にできず、無言で僕はウィンリィの裂け目をそっと指で拡げていた。
意外に色素の薄い印象、そしてしっとりと湿り気を帯びた淫靡な美しさに吐息が荒くなる。
白っぽく光るクリトリスはまだ半ば以上包皮に包み込まれていた。
多分、気のせいだと思うのだが、むんとした牝の匂いが鼻をつく感覚に僕は理性を失ってしまった。
視覚と嗅覚でやられた僕は、気がついたら唇を裂け目に口づけ、そして夢中でしゃぶりついていた。
舌先をねじ込み、肉襞をかき分けて舐め尽くす。
同時に鼻でクリトリスを刺激する。
「うんぅ……っ」
ビクン、とウィンリィの身体が跳ね、反射的に太ももが僕の顔を挟み込み、締め付ける。
最初の内は、僕の口から漏れる唾液だけだったのだが、徐々にかすかな酸味と塩気の混じった何かが僕の口の中を満たすようになっていた。
舐めるうちに固くしこっていくクリトリスに舌先を集中する。
弾いては、突き、そして転がす。
「あっ……んんぅ」
ウィンリィのうめき声が、段々と熱を帯びたものに変わっていくのが分かった。
押し殺すようなくぐもったうめき声と、しかし隠しきれない荒い息づかい。
時折、痙攣にも似た鋭い震えがウィンリィの身体に走る。
漠然と伝わる感触に後押しされて、僕は一層熱心にウィンリィの裂け目を責め続けた。
「んんーっ」
そのうちに、ひときわ鋭く、ウィンリィの身体が跳ね、そして力の入ったうめきが長く伸びた。
腰が浮き、幾度か震えたあと、糸が切れた人形のようにくたっとなるのが分かった。
「はぁ……」
ややあって、大きく吐息を漏らしたウィンリィが顔を真っ赤にして恥ずかしそうに僕の方を見るのが分かった。
「チョット……アル、舐めるの上手……」
とろんとした表情のウィンリィにそう言われると嬉しくないわけがない。
「あ、ありがとう……」
よだれにまみれた口元を手の甲で拭って、僕は一息ついた。
どうやら、ウィンリィがイッてくれたらしいと分かって、なんとも言えない充足感のようなものがこみ上げてくる。
「彼女できても今みたいにちゃんとしてね」
よろよろと身体を起こすと、ウィンリィは少し乱れた髪をかき上げた。
「アルのも、立派……」
ウィンリィを責めていることに集中していたばっかりに、僕のペニスが痛いほど勃起していたことを忘れていた。
「フフ、大きくなってる……」
そう言うなり、ウィンリィは四つんばいの姿勢で、ぱくんと隆起した僕の分身をくわえ込んだ。
「あっ、ううっ」
暖かく、ねっとりとした何かに包み込まれ、そして柔らかな、しかし意志を持った固まりが這い回る感触の心地よさに思わず声が漏れた。
『兄さんと、どっちが大きい?』
と、聞こうと思ったけど……やめた。
今のウィンリィは、僕しか見ていないから。
「んっ……ふふっ」
鼻から抜けるようなウィンリィの吐息が僕の股間を包み込む。
ウィンリィの口の中で、絡みついて泡だったウィンリィの唾液が、淫靡な水音を奏ではじめた。
「くうう……」
気持ちよさに堪えきれず、どうしても声が出てしまう。
「我慢しないで……出したら、全部飲んであげる……」
飲んであげる……ってウィンリィが僕のを!?
「あっ、だめだ! イキそう、ああっ」
そう考えた瞬間、僕の腰が小刻みに震えた。
放尿にも似た、しかし比べものにならぬほとばしるような快感とともに、僕の分身はその精を数度の身体の震えとともに吐き出していた。
ウィンリィの、口の中に。
「あああああっ、ウィンリィっ!!」
僕はウィンリィの口内で射精をしてしまった。
ウィンリィは、のどを鳴らしつつ、僕の放った精液を飲み干してしまった。
「の……飲んじゃったの?」
「アルの味がしたわ」
ちょっとした照れ笑いをしながら言うウィンリィ。
唾液と精にまみれた僕の分身に舌を絡め、ぱくりとくわえ込んで舐め取ると、つんつんと指先で突く。
「まだ、元気みたい……。ふふっ」
ぺたんとお尻から座り直したウィンリィは、内股気味に膝を立てた姿勢で、両手を拡げて僕を招いた。
「おいで……」
うっとりとそう言うウィンリィの視線が、淫蕩な輝きを放っている。
「うん……」
膝立ちでウィンリィに寄っていくと、僕はウィンリィの両膝を割り拡げた。
自分の手で分身を掴み、そしてウィンリィの裂け目にあてがうようにする。
拡げられたウィンリィのそこは、さっき僕が舐めたとき以上に濡れ、そして輝いて見えた。
「いくよ……」
僕がそうささやくとウィンリィはかすかに赤面した。
「うん……」
僕はウィンリィを見つめたまま、分身をぐっと押し込んだ。
「んんぅ……あっ」
予想以上に、ウィンリィのそこは濡れていた。
殆ど抵抗感の無いまま、肉と肉がこすれあい絡みつく。
「くうん……っ」
こぼれたウィンリィの吐息がさっきよりも大きい。
僕の首に抱きついていたウィンリィの手に力が入るのが分かった。
その重みに負けて、ウィンリィを押し倒す形になった。
「はぁ……」
暖かな肉に包み込まれぎゅっと締められる快感に僕も声を漏らしていた。
「すっごく……気持ちいい……」
うわごとのようにささやきながら、僕は抽迭を開始した。
絡みつく肉に押し出される感覚に抗うように、ぐっ、ぐっ、とウィンリィの奥底に突き立てる。
「ぁあっ、あ……ぁ、ぁ、ぁんっ」
恥じらいからなのか、漏れる声を押し殺そうとするウィンリィだったが、我慢しきれず、時折声のオクターブが上がってしまう。
身をくねらせ、しかし僕に抱きつく力が強くなっていく。
肌と肌がより密着し、熱を帯びたからだがさらに熱を増す。
接合部からこぼれるぬめり気をかき混ぜる音が、徐々に大きくなっていった。
「あぁんっ、あっ……んんぅぅ」
漏れる声を、下唇を噛むようにして抑えるウィンリィの切ない表情が見えた。
「……ぁ、んっ、んんぅ……」
無理矢理に唇を合わせ、舌先をねじ込んでいく。
苦しげなウィンリィのうめく吐息が、僕の唇の中にも入り込んでくる。
抽迭を止めないまま、舌先を舌先に絡めていく。
それに答えるように、ウィンリィも舌を絡め、そして二人で夢中で吸い合った。
「んっ、ふぅん……んっ」
「んくっ、んっ、んっ、んーっ」
僕とウィンリィのうめきが絡みつき、そして一つになっていく。
息苦しさからなのか、痺れるような感覚が全身を走る。
次の瞬間、僕とウィンリィが繋がっているあたりから、それまで経験したことのなかった感覚が、そう、爆発するっていうか。
快感が膨れあがってそれに全部が取り込まれたようにも感じた。
「んぁ、ああっ……」
「ンはっ、ああっ、あ、あ、あんっっ!」
いつの間にか重ねていた唇が離れ、僕もウィンリィも殆ど絶叫に近いうめきを漏らしていた。
鋭く、何度も身体が震える。
そして視界が、一瞬真っ白になる。
「……!!」
僕の想いが、あの放出感とともに虚しくウィンリィの膣内に解き放たれる。
でも解き放たれた僕の想いは、決してウィンリィに届かない。
すでに、最愛の人の子を身篭っているから……。
ウィンリィは、しばらく僕を受け入れてくれたけれど、僕の息子は、程なく力なく抜け落ちた。
僕の子種もウィンリィの裂け目から流れ落ちる。まるで意思を持って僕の精液を吐き出すかのように。
すっと視界が開けてきて、ぐったりとしたウィンリィの顔をぼんやりと眺めていた。
ピクン、ピクン、と時折身体を震わせ、上気した肌を薄いピンクに染めたウィンリィは、とてもきれいで、そして何よりもいやらしかった。
「……アルの気持ち、よくわかったわ。ありがとうね」
体液で汚れた下半身を処理した後、ごろんと横になった僕にまとわりつくように寄り添ったウィンリィは、僕の肩に頬を乗せてそうささやいた。
こんなことをされていても、それでも僕に微笑んでくれるウィンリィ。
僕の中で、何かが外れた。
「ウィン……リィっ……!!」
僕は、ウィンリィの胸の中で泣いた。
こんなことをしたところで、ウィンリィは僕のものになるわけがない。
そんなことはわかっていた。
それでも、僕の想いはどうしても伝えたかった。
こんな僕を、ウィンリィは許して受け入れてくれた。
僕が悪いことをするたびに姉さんみたいにしかってくれる。
兄さんが自分の右腕と引き換えに僕を魂だけ戻してきたのに、偽りの記憶を植え付けされたのでは、と疑ったときもウィンリィは本気でしかってくれたっけ。
「ごめんね、ウィンリィ。これからは本当の義弟(おとうと)になるから……」
そして、今。
僕の前には、兄さんとウィンリィ。そしてそのパパは息子を。ママは娘を抱っこしている。
今日は、ばっちゃんが写真屋を呼んで、家族写真を撮ることになっているんだけど……。
その日にメイとパニーニャとガーフィールさんが遊びに来ちゃったんだ。
家族写真がいつの間にか再開を祝した記念撮影になっちゃった。
兄さんもウィンリィも、それはそれで喜んでいたけど、ばっちゃんは、裏で頭を抱えていた。
なんか、偶然過ぎるのも怖いなぁ……。
「おい、みんな、準備はいいか?」
「いいよ〜!!」
「はい、撮りますよー」
全員がカメラを向く。
ウィンリィが兄さん以上に元気よくこう言うと、シャッターは下りた。
「さあ、エド、アル。笑って!!」
[End Of File]