原作で拳銃を返しに来たエドが帰った後で、ロイが訪ねてきたという設定です。  
 
 
ボディソープを含ませたスポンジで、ロイの広い背中を丁寧に泡立てる。  
リザの位置からは、こちらに背を向けて座っているロイの表情は見えない。  
ロイがどんな気持ちで何を考えているのかも、リザには分からない。  
エドワードが帰った後でやって来たロイは、遅い時間であるにも関わらず平然とリザの家に上がり込み、  
一緒に風呂に入りたいなどと勝手なことを言い出した。  
リザはすでにシャワーを浴びていたので断った。  
しかしロイは、今日は甘えたい気分なんだ、私の入浴を手伝ってくれ、などとわがままを言ってきかない。  
それで仕方なく、リザはロイの身体を洗ってやることにしたのだ。  
服を濡らさないためにリザがカーディガンの袖とズボンの裾を折っていると、  
ロイは自分の服を脱ぎながら「君も脱ぎたまえ」などとまた勝手なことを言い出した。  
リザは当然の反論をする。  
「あなたを洗うだけです。私まで脱ぐ必要はありません」  
「命令だ。脱げ」  
きつい口調ではないし、怒っているようにも見えなかった。  
だが背筋がゾクッとした。リザは命令に従った。  
泡立てたスポンジでロイの背中を擦り、次に後ろから抱きつくようにして胸や腹を、そして足、と順に洗っていく。  
軍人であるロイのがっしりとした肩幅、適度に鍛えられた筋肉。  
いくら意識しないようにしても、意識せざるを得ない。  
けれどせめて、意識していることを彼に悟られないように、事務作業でもこなすかのように淡々と手を動かす。  
そしてお互いに口を開くことも特にないまま、リザはロイの身体を洗い終えた。  
そして最後に、お湯で泡を流す。  
「終わりましたよ、大佐」  
「ありがとう。今度は、私が君を洗ってあげよう」  
「私はすでにシャワーを浴びましたと、先ほども申し上げましたが」  
「構わん。洗うこと自体が重要なのではない。一種のコミュニケーションだ」  
このわけの分からないことを言う男に、何と反論すれば良いのだろう。  
言い返す言葉を考えていると、しかしロイはニヤリと笑った。  
「上官に逆らうのかね。リザ・ホークアイ中尉」  
反論、できない。リザは諦めてロイに身体を委ねた。  
 
先ほどリザがロイにしたのと同じように、ロイはリザの後ろに座ってまず背中を洗い始めた。  
それから前へ、そして下へと、スポンジを持ったロイの手が移動していく。  
そして腰周りに触れられたとき、ゾクッとした感覚が走り、リザは身を固くした。  
しかしロイはそんなリザの反応を気にした様子もなく、ただ淡々とリザの身体を泡立てていくだけだ。  
やがてロイの手が内腿に入りこんできたときは、すでにお湯ではない液体が滲んでいることに気付かれるのではないかと気が気ではなかった。  
だがロイは何も言わず、身体を洗うという行為以上の悪戯をリザの身体に加えることもなかった。  
それなのにリザの身体は、だんだんと熱を持ち始めている。  
もっと触れて欲しい。あなたのその腕で抱いて欲しい。  
リザは明日から、大総統付き補佐に異動になる。  
長年付き従ってきたロイのもとを離れなければならなくなった今、リザはいつになくロイが欲しいと感じていた。  
エドワードに問われてイシュヴァールの昔話などしたせいで、センチメンタルになっているせいもあるだろう。  
それに生理が近いせいもあるのだろうが、はしたないほどに彼を求めてしまっていることを、リザは自覚しないわけにはいかなかった。  
そしてロイがリザの身体を一通り洗い終える頃には、もう我慢できなくなっていた。  
「大佐。ください」  
ロイの足の間に屈みこむと、彼は少し驚いたような顔をした。  
「どうした、珍しいな」  
「ダメですか?」  
上目遣いで問いかけると、ロイはふわりとした笑顔を浮かべた。  
「いや、君からしてくれるなんて嬉しいよ」  
上官から許可の言葉を得て、リザはロイの下半身に手を伸ばした。  
すでに勃ち上がりかけているそれを両手で包み、数回扱いてから口に含む。  
「気持ちいいですか?」  
「ああ、うまくなったじゃないか」  
ロイは満足げに微笑んで、リザの髪を撫でる。  
リザはロイに髪を撫でられるのが好きだ。  
髪に与えられる優しい愛撫が嬉しくて、リザはより深くロイをくわえ込んだ。  
しばらく続けていると、ロイの呼吸はリザの耳にもはっきり分かるほどになってきた。  
敏感な先端を指でくるくると円を描くように撫でてやると、軽く呻き声をもらす。  
そろそろ出したいのかもしれない。  
「あの、このまま続けても?」  
手は休めないまま、顔だけ上げて上目遣いに尋ねた。  
 
基本的にロイは、女性よりも先にイクことを好まない。  
以前、ロイが制止するのを無視して彼だけ先に果てさせたことがあるが、  
それは酷く彼の機嫌を損ねる結果になった。  
そして上官の命令が聞けないのか、とわけの分からない説教をされた挙句に、  
お仕置きだと称してさんざんな目に合わされた。  
ベッドの上でこの上官に逆らってはいけないということを、文字通り身体で覚えさせられたのだ。  
それ以来リザは、こうして奉仕するときもロイの意向に逆らわないようにしている。  
「続けてくれ」  
OKが出たので、リザは再び彼を口に含んだ。  
「くっ…、リザ、もう出そうだ」  
ロイがリザの肩に手を掛けて、軽く押す。口を離せ、の合図だ。  
だがリザは顔を上げることなく、それを口に含んだまま答えた。  
「ほのまま、だひてくらさい」  
「おい、無理しなくていいんだぞ」  
「ひてません」  
そしてきつく吸いあげると、熱いものがリザの口内に広がった。  
口で受け止めようとするが、飲みきれずにこぼしてしまう。  
「大丈夫か」  
苦味にむせていると、ロイが優しく背中をさすってくれた。  
「平気です」  
「口をゆすぎたまえ」  
ロイが腕を伸ばして、シャワーのコックを捻る。  
「平気です、あなたのですから」  
「しかしそれを洗い流さなければ、ベッドに行けないだろう」  
確かに、口で受けきれなかったのものが、胸や腹のほうにまで流れてリザの身体を汚していた。  
リザは立ち上がって、それをシャワーで洗い流した。  
流し終えてお湯を止めると、その直後、いきなりロイが後ろから抱き付いてきた。  
そして彼の手はリザの足の間に入り込み、内腿を撫でる。  
「大佐!」  
突然のことに驚いて抵抗しようとするが、後ろから抱え込まれていては、まともな抵抗はできない。  
内腿を撫でていた彼の手は、止める間もなく上に移動してきて、リザの最も敏感な部分に触れた。  
その途端、腰がくだけるような感覚が走る。  
「ずいぶん濡れているな」  
からかうようなロイの口調に、リザの頬が羞恥に染まる。  
しかし反論する暇も与えられないまま、次の瞬間にはいきなり指を突き立てられた。  
「あああっ」  
その一突きだけで、軽く達しそうになる。  
しかし意地悪なロイの指は、決定打を与えないままするりと逃げて、入り口の周りばかりを優しくなぞるように愛撫する。  
それだけの刺激では満足できないリザは、つい自分で腰を動かして、ロイの手を追ってしまう。  
しかし。  
「続きはベッドでしようか」  
ロイはあっさりと行為を中断してしまった。  
「君だって、硬いタイルの上で押し倒されるのは嫌だろう」  
確かにバスルームの床は、そういったことに適した材質とはいえない。  
だがこのタイミングで中断するのはあんまりだ。  
リザはそう思ったが、ロイはそんなリザの反応を楽しんでいる様子だ。  
そしてロイはバスタオルを手にとって、リザの身体を勝手に拭き始めた。  
こういうときにロイに逆らってもいい結果にはならないことを、リザは経験上よく知っている。  
諦めて、リザはロイに身を任せる。  
 
大きめのバスタオルで互いの髪と身体を拭き合ってからバスルームを出ると、服も着ずにベッドに直行した。  
そして少々乱暴に彼女を組み敷き、両の手首を掴んで動きを封じる。  
すると彼女は少し驚いたような目でロイを見上げた。  
しかし言葉を発する間も与えず、唇を奪う。舌を侵入させて、濃厚なキスを交わした。  
東方から連れてきた部下たちはそれぞれ異動命令が出され、  
セントラルに残るリザも明日からは大総統付きとなる。  
ロイはその不安と空白感を埋めるためにも、今日はゆっくりと時間をかけてリザを抱こうと考えていた。  
彼女が私の部下でいる最後の夜だ。  
できるだけ長い時間を共有し、互いに触れ合っていたかった。  
一緒に風呂に入ろうと言い出したのも、単なるスケベ心というより、  
そうした心理的な空白を埋める意味合いが強かった。  
だがそんなロイの考えとは裏腹に、今夜のリザは思いがけず積極的だった。  
形だけの拒否の言葉は口にしても、上官命令だと言われれば大人しく従う。  
さらにリザにしては珍しく、自分から奉仕してくれた。  
これまでにもさせたことはあるが、普段はロイから頼まなければ恥ずかしがってやってくれない。  
ロイは基本的には女性より先にイクことは好まないのだが、今夜はせっかくのリザからの好意だ。  
ありがたく受け取って、先に一度イカせてもらうことにした。  
何度も舌を絡め合い、長いキスを終えて唇を離すと、リザはすでに頬を上気させ潤んだ目をしていた。  
すでに一度出しているロイに対し、中途半端に煽られただけのリザは余裕がなさそうだ。  
耳元や首筋にねっとりと舌を這わせながら、胸の豊満なふくらみに手を伸ばす。  
やや乱暴に掴んで強く揉みしだくと、痛かったのかリザは嫌がるように身を捩った。  
しかし硬くしこっている頂点の部分を手のひらで擦るようにして刺激してやれば、  
すぐに快楽を示す鼻にかかった声が漏れる。  
もう一方の手は下肢へ移動し、太ももを撫で回してそのやわらかな感触を楽しむ。  
リザは反射的に足を閉じようとしたが、ロイの足がすでに間に入ってそれを阻止している。  
ロイの手は腿を撫でながらだんだんと上に移動していく。  
そこはすでに十分すぎるほどの湿り気を帯び、シーツにまでしみが広がっている。  
指先で何度か割れ目をなぞった後、指を二本そろえて挿入した。  
すでにトロトロのそこは、ほとんど抵抗もなくロイの指を飲み込んでいく。  
 
「リザ、指が入ったよ」  
言わなくても分かることをわざわざ口に出して羞恥を煽る。  
リザは耐えるように目を閉じて顔を背け、声を漏らさないように手で口を押さえている。  
そんな可愛い反応を楽しみながら、ロイは指を動かし始めた。  
わざとゆっくりとした単調な動きで焦らしながら、しかし時おり感じるポイントにも軽く触れてやる。  
そのたびに、リザは我慢できずに甘い声を漏らす。  
「気持ちいいかい、リザ?」  
「そういうことを、はあっ、聞かないで下さいとっ、んんっ、いつも申し上げて、いるはずです」  
「でも私は聞きたいのだよ。答えたまえ」  
「いやっ、です」  
「強情だな君は」  
そういうとロイは、リザの中から指を抜いてしまった。  
さっきからスローペースの愛撫で焦らされ続けているリザにとって、それは残酷な仕打ちだった。  
「気持ち良くないというのなら、やめてもいいんだが」  
引き抜いた指で入り口の周りをゆるゆると撫でながら、ロイが意地悪く問う。  
「この変態っ、無能っ」  
リザはロイを睨み、悪態をつく。しかしそれはロイを煽る結果にしかならない。  
「全く手厳しいね。しかしこういうときくらい、素直になったらどうだ」  
そう言うとロイは、茂みの中に隠れていたクリトリスに指を伸ばした。  
そして濡れた指の腹で、それを優しく押さえ込む。  
「あああああっ」  
リザは悲鳴のような嬌声を上げ、身をのけぞらせて逃げようとした。  
しかしロイはリザが逃げられないように押さえつけて、クリトリスの上で円を描くようにしながら、優しくゆっくりと指を動かす。  
まだイカせない程度には加減しながら、しかし彼女の理性を吹き飛ばす程度には容赦なく。  
こうして快楽に表情を歪めるリザを追い詰めていくのも、ロイの楽しみの一つだ。  
しかし。  
「いやっ、やめてくださ、ああっ」  
リザがそんなことを口走るので、ロイは本当に指の動きをぴたりと止めた。  
「そんなっ。どうして」  
こんな状態でやめて欲しいわけがないくせに、嫌だのやめてだの嘘ばかり言うからだ。  
リザは今夜、すでに長時間にわたって愛撫を受けながら、まだ一度も達していない。  
かなり辛いはずだ。もう我慢できないらしく、涙を流しながら、  
自分で腰を動かしてロイの手に擦りつけてくる。  
しかしすぐに体重をかけて押さえつけ、動きを封じる。  
まだお預けだよ、リザ。  
そしてギリギリの状態の彼女に追い討ちをかける。  
「もう一度聞く。正直に答えたまえ。気持ち良いのか、良くないのか」  
「気持ち良いっ、だからもう、お願いです大佐」  
「うん、いいよ。もうイって」  
望む言葉を言わせることができて満足したロイは、彼女にも望むものを与えてやることにする。  
指を深く差し込み、彼女の感じる部分を突いてやる。  
同時にクリトリスへの愛撫も忘れない。  
さらに胸元や首筋にも舌を這わせる。  
「ああっ、大佐、大佐っ」  
絶頂はすぐに訪れたようだ。  
リザはロイを呼びながら一瞬身体をこわばらせ、その後すぐにぐったりと動かなくなった。  
 
長く焦らされた分だけ絶頂は激しく、回復にも時間がかかる。  
リザはロイの腕の中で、通常より深めの呼吸をゆっくりと繰り返しながら、身体の状態が落ち着くのを待っていた。  
しかし絶頂の余韻はなかなか引かず、まぶたを持ち上げるのさえ億劫なほど全身がだるい。  
髪を撫でてくれるロイの手は心地良く、できればこのまま眠ってしまいたいと思う。  
だがこのまま眠らせてもらえないことは明らかだ。  
腰の辺りに押し当てられているロイの昂ぶりは、早くリザの中に入りたいと訴えている。  
この状態でそれを受け入れて、果たして身体が持つだろうかリザは心配になる。  
しかしロイに余裕がないときには、前戯で果てたばかりのところをすぐさま貫かれることもあるのだ。  
それを思えば、今日は休ませてもらえただけマシなほうだろうか。  
身体のだるさはまだ残っているが、すでに臨戦状態のロイをいつまでも待たせておくわけにはいかない。  
睡魔に抗って目を開ける。リザの髪を弄っていたロイと目が合った。  
何か物思いにでも耽っていたのか、彼の漆黒の瞳にはどこか陰があるように見えた。  
「たい、さ」  
「どうした?」  
「こうしてずっと、あなたのそばにいたいです」  
「私も君に、そばにいて欲しい。それなのに、君を人質にとられるようなことになってしまって、全く情けない限りだ」  
「前向きに考えるなら、敵の懐に入り込んで情報収集ができるということです」  
「頼もしいな、君は」  
「隙あらば、寝首を掻くこともできるかもしれません」  
「危ないことはするなよ」  
「分かっています」  
そして、どちらからともなく顔を寄せて、甘いキスをする。  
「そろそろいいか?」  
耳元で熱っぽく囁かれ、背筋がゾクリとする。  
同時に、身体の奥から新たな蜜が流れ出るのを感じた。  
あれだけ激しく果てた後なのに、身体はまだロイを欲しているのだと自覚させられ、恥ずかしさで死にたくなる。  
不意に、横たわっていた身体を持ち上げられ、ロイの身体を跨ぐ格好をとらされた。  
「君が入れて」  
戸惑っているリザの反応を、ロイは楽しそうに見上げている。  
ここでためらったり恥らったりすればするほど、彼を楽しませることになる。  
リザは覚悟を決めて、ロイのものに手を添え、その上に腰を落としていった。  
「んっ」  
先端が少し入っただけで、全身に甘い痺れが走る。  
気を抜けばロイの上に倒れてしまいそうになるのを、膝と腰に力を入れて必死に耐える。  
「リザ、辛いか?」  
ロイが下から腕を伸ばして、リザの腰を掴んだ。  
そのまま引き下ろされて一気に貫かれるのかと思い身構えたが、そうではなく支えてくれているようだ。  
「無理しないで、ゆっくりでいいから」  
さっきまでさんざん焦らしプレイでリザを苦しめていたのと同じ男とは思えないほどの優しい言葉。  
大切なものを慈しむような目でリザを見る暗い色の瞳。  
それに彼の腕に支えられているおかげで、腰の負担もずいぶん軽くなった。  
リザは落ち着きを取り戻して、ゆっくりと腰を進め、ついにロイを根元まで飲み込んだ。  
「大佐、私が動きますから」  
あなたは動かないでくださいね。リザは暗にそう言って、ロイの上で腰を動かし始める。  
しかし一度目の絶頂の余韻が深く残っているせいでかなり辛い。  
思うように動けない。どうしても緩慢な、単調な動きになってしまう。  
こんなセックスでは、ロイを満足させられないかもしれないと不安になる。  
「こら、リザ」  
声とともに、リザの腰を掴むロイの手に力が入り、制止をかけられる。  
「無理をするなと言っているんだ」  
「無理なんてしてません」  
「じゃあなぜ泣いているんだ」  
ロイが手を伸ばして、指でリザの目元を拭う。  
「あなたを守りたいからです。あなたを守るために、私は泣くんです」  
 
ロイ・マスタング。焔の錬金術を操るイシュヴァールの英雄であり、若くして国軍大佐の地位にまで上り詰めた男。  
リザだって鷹の目と呼ばれるほどの狙撃の名手であり、彼とともに戦線をくぐり抜けてきたが、それでもときどき、彼の持つ強さと危うさが怖くなる。  
先ほど訪ねてきたエドワードもそうだが、人並みはずれた才能と強さ、そして優しさをあわせ持つ男というのは、どこか危うさを感じさせる。  
だからリザがロイを守る。だからリザはロイのために泣く。  
ロイが上半身を起こし、リザの額にキスをした。  
「私のために、ひとりで泣くな。私だって君を守りたいんだ」  
そう言うとロイは、とん、と軽く腰を突き上げた。  
「あっ」  
突然のことに驚き、バランスを崩しかけたリザは、慌ててロイの肩にすがりつく。  
「私に掴まって、そう、体重をかけていいから。そして自分が気持ち良くなるように動くんだ。君が私の腹の上で苦しんで泣いていたら、私だって気持ち良いわけがないだろう」  
ロイに言われるまま、彼の肩に手をついて身体を支えながら腰の動きを再開する。  
さっきはロイを感じさせようと躍起になって激しいグラインドを繰り返していたが、ロイに促されるまま今度は少しずつ動いて、自分の気持ちよくなれるところを探してみる。  
やがて、大きく抜き差しするよりも、入れたまま小刻みに揺するようにしたほうが気持ちいいことが分かってくる。  
大きく動かなくて済む分、楽に快感を得られるし、激しすぎないので長続きする。  
「そう、いい子だねリザ。上手だよ」  
耳元に感じるロイの声や息遣いにも感じてしまう。  
だんだん目の奥がチカチカしてきて、周りが見えにくくなり、ロイしか感じられなくなる。  
不規則なリズムと深さでロイに下から突き上げられると、与えられるその予測不可能な快楽に、何度か意識が飛びそうになった。  
やがて、大きな波が近づいてくる。それに飲み込まれ流されたいと思う。  
けれど、うまく流れに乗れない。リザは絶頂が近づくと、感じすぎてしまってそれ以上動けなくなる。  
結果、自力で上り詰めることができない。  
もう少し、というところまで行きながら、何度目かの波をまた逃す。  
苦しくなって、助けを求めるようにロイを見る。ロイの目にも苦しげな表情が浮かんでいた。  
「すまん、限界だ」  
そう呟くと、ロイはいきなりくるりと反転してリザを下にした。  
「何でっ?今日は私が上でっ」  
すでに息も絶え絶えになりながら、しかしリザは不満を訴える。  
今日は私に最後まで任せてくれるのではなかったのですか、と。  
しかしロイはやや間の抜けた返事を返す。  
「コンドームをつけてないから」  
「コン・・・?」  
「君が上だと、射精のタイミングですぐに抜けないから。中に出すわけにはいかんだろう」  
「・・・無能。だから避妊具はちゃんと付けてくださいと、ひあっ?」  
ロイはリザに最後までしゃべらせず、リザの膝の裏に手を差し込むと、そのままリザの両足を大きく広げて持ち上げた。  
リザはその部分を突き出すような恥ずかしい体勢を取らされ、同時に結合が深まり奥をえぐられて悲鳴をあげる。  
「確かに避妊を怠ったのは私の落ち度だ。それは認めよう。だが今夜に限っていえば君は付けろとは言わなかったし、避妊具を付けてない私のものを、君は自分で入れたんじゃなかったかね?」  
ロイは言いながらグリグリと腰を押し付け、意地悪な言葉と快楽の二重の責めをリザに与える。  
身体の中心を貫かれ、さらに両足を抱え込まれているリザには、逃れる術もない。  
「それから、こういう状況で男に無能などと暴言を吐くのはよしたほうがいい。自分の首を絞めるだけだよ。覚えておきたまえ」  
この後、リザが足腰立たなくなるまで「暴言」のお仕置きをされたのは言うまでもない。  
 
 

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