「畜生! なんだってんだよ!」
エドワード・エルリックが怒りにまかせて机に拳をたたきつけた。
「兄さん……」
「………」
それをみながらロイ・マスタング大佐が考え込む。
「ふむ。鋼の、その憤りに偽りはないな」
「当たり前だっ」
「私もなんとかヤツをとらえたい、私の管轄で好き勝手させるのは我慢ならん」
「ならっ……!」
「そこで私に考えがあるのだが……」
ガチャリ
しばらくして扉を開けてリザ・ホークアイ中尉が入ってくる。
「大佐、支度できました」
そういってエドワードを室内にいざなう。入ってきた彼を見て東方司令部の面々が
どよめく。エドワードは赤い顔をしたまま裾をぎゅっと握り耐えてる風だった。
「に、兄さん……?」
「……大佐……これは……一体……」
エドワードの声は怒気をはらんでいた。
「ん? よく似合ってるぞ?」
「じゃなくてっ! なんで俺がこんな格好させられにゃならんのだ!?」
「これ以上被害を出さないために囮作戦だ。分かるだろう?」
「だからってなんで俺がっ!? 囮なら、誰でもいいじゃねぇか!」
「おいおい、狙われているのは10才〜12才の少女だぞ? 危険がありすぎる役だ。
腕の立つ背格好が合うのは君しかいない。私だと無理がありすぎるよ。」
「あんだとーっ!だれが10才〜12才の女の子と変わらない背格好だってぇ〜っ!?」
「兄さん! お、落ち着いてっ!」
弟アルフォンス・エルリックが今にも暴れ出しそうになったエドワードを後ろか
ら羽交い締めにして抑える。エドワードは赤を基調とした少女のドレスを着させ
られていた。ドレスなのは右手と左足の機械鎧を隠して女装するにはそれが一
番妥当であったからだ。顔にはリザ・ホークアイ中尉によってうっすらと化粧が
施され、たしかに大人しくしておれば女の子と見まがいそうである。
「これでお解りかな? エドリーヌ君」
ロイの言葉で東方司令本部の室内がどっと湧く。
「〜〜〜〜っ!」
「兄さ〜〜んっ! 大佐もこれ以上刺激しないでくださいっ!」
エドワードは怒りで声もでない。
「うむ。いささか度が過ぎたかもしれん。鋼の、許せ」
「………ちっ!……覚えてろよ……」
ロイの管轄下であることも面白くなかったが、それでもこれ以上被害を出さ
ないためだと自分に言い聞かせる。
「それでは他の者は先ほどの配置に付いてくれ。中尉は彼を例の場所に」
「はい」
ロイも含め、それぞれが配置に向かう。アルフォンスも何かしら役割を与えら
れたようで、部屋にはリザとエドワードだけが残った。
「エドワード君。こちらです。」
リザに誘導されて自分の持ち場に向かう。
「くそ……なんだって俺が……っ」
ぶちぶちと文句を垂れながらも後をついて行く。普段はき慣れないスカートに
下半身が心許ない感触を覚える。それにくわえてスカートのふわふわと太股を
なでる感触がこそばゆかった。
「女っていつもこんな感じなのかよ……大変なんだな。」
そしてなによりもやわらかい布地で全体的に締め付けて来る女性物の下着。
「…………」
認めたくない心地よさに顔が赤らむ。意識しないように思うほどについ意識が
そっちにいってしまう。そしてその締め付けの中でむくりと自分の物が大きくなり
だしてるのがわかる。「わ! こんなところで固くしたら変態みたいじゃねぇか!
収まれ……っ」とっさに錬成陣の構築式を頭に描くが形だけ頭の中で追ってい
くだけで、意識がどんどんペニスへと集中してしまっていく。歩くだけでも勃起し
たペニスがこすれてしまう。
「……?」
その刺激を最小限にとどめようと不自然な歩幅になったエドワードをリザが不
審に思って振り返る。
「…………」
「……んだよ?」
悟られまいとしても顔の紅潮は隠しきれなかった。
「そういえば……。下着は女物じゃなくてもよかったですね」
「………あ」
「どっちみち男物でもその前に機械鎧をみられてしまっては遅いですしね」
「う……」
気づかなかった自分も自分だと思ってしまう。
「とりあえずそれをどうにかしないことには……こちらへ」
目的の場所ではない部屋にエドワードを連れ込む。
「……んだよっ! あっ! ちょっ……」
リザがエドワードのスカートをめくるとチェック柄の女性物のパンツが露わになる。
「な、何すんだよ!」
「動きがそんなにギクシャクされては作戦通りに動けなくなるばかりか、
囮がばれかねません。」
「だ、だからって!」
「とりあえずそれを何とかしますので手をどけてください」
「な?!」
リザが手をどけるとそこは既に痛いほど勃起していた。パンツに手をかけて
事務的な手際でズリ下ろす。
「あっ……」
外気に晒され突如布地の柔らかな拘束がなくなったエドワードのペニスは
更に硬度を増し、これ以上にないくらい勃起して脈打っていた。
その先の大部分はまだ包皮にくるまれており先の方がわずかに中のピンクの
粘膜部分を覗かせていた。
「それでは処理します」
「うぁ……」
リザが手を添え、幹を握りそっとしごく。初めての女性の手の感触に場所と
場合を考えずどぎまぎしてしまう。そのしごく手が時折勢いがつきすぎてまだ
剥けきってないエドワードの包皮の限界を無視してしまう。
「んくっ!」
「あ……少し強すぎましたか?」
「ん……うん……ちょっと」
「ごめんなさい。これくらいでいいかしら?」
「うん……こっちこそごめん。こんな時なのに」
「私の手配ミスでもありますから」
「………」
「なかなかでませんね」
たしかに心地は良かったが射精感にはまだほど遠かった。
少し思いあぐねてからリザがぱくりとエドワードのペニスをくわえる。
「あ……」
突然ペニスが温かく柔らかい感触に包まれる。
「ち、中尉……」
「ほうれふふぁ?」
ペニスをくわえながら上目遣いに聞くリザの表情にもうっすらと赤みが掛かる。
「すごく……気持ちいい……です」
「そうれふか……ん……んちゅ……」
更にくわえ込んで竿の部分を唇できゅっとしめつけながら、くびれの部分も
亀頭の部分も圧迫しながら一気に引き抜く。
「ぷはぁ……」
こんどは鈴口部分の露出してる部分を舌先でぐりぐりと舐めこする。
「うぁっ」
たまらず出るカウパーが舌に付着するのも厭うことなくねぶりあげる。
軍服の凛々しいとも言える普段の中尉からは想像すらつかないその光景が
背徳感という隠し味になってさらに恍惚感を加速させる。
程なくせりあがるように射精感がわきあがる。
「くっ……中尉……俺もう……」
「んっ……掛けられると後始末に困りますから口の中に」
「え?」
そういって再びペニスを口に含むリザにエドワードは選択肢もなく。
すでに発射寸前だった上にさらに刺激されては射精を堪えることなどできなかった。
ほどなくリザの口の中その迸りを放つ。
「んんっ!」
びゅくんびゅくんびゅくんっ
律動するペニスにあわせて若者特有とも言える濃い粘りけのある精液が
リザの口内を満たした。その青臭さが口内から鼻腔へと流れていく。
脈動が弱まったところで口にたまった精液を飲み下した。
しかし、濃さ故か喉にひっかっかりなかなか飲み込めなかった。
なんとか飲み干してエドワードのペニスを離すと
唇から亀頭の間に精液が糸を引きしたたりおちる。
「ん……はぁ……」
「…………」
「…………」
「…………………」
「………あ…」
しばらくの静寂のあとリザはエドワードの屹立がいまだ衰えずに
そそり立ってる事実に気づく。
「こまったわ……」
「…………ごめん」
「しかたありません……生理現象ですし」
「中尉?」
リザが突然立ち上がり、軍服のズボンのベルトをカチャカチャと外し始める。
ずさりと腰布と共にズボンが足元まで落ちた。
地味目の下着に包まれた締まった尻が露わになり、
そのまま近くのテーブルに片手をつき、エドワードの方を振り向く。
エドワードはそのクロッチ部分から目を離せないでいた。
うっすらと滲んでいるその部分を。
「時間もないのでこの姿勢で」
「え?」
「ショーツの脇から……」
「い、いいの?」
「よくなかったらこんな格好してません」
リザの声はあくまで事務的な口調ではあったが心なしかうわずってるように
聞こえた。のろのろとリザに近づきその丸みのついた尻に手をかける。
その柔らさに思わずなでさすってしまう。
「ん……今はそんな時ではありませんから、すぐに挿入を始めてください」
「あ、はい……」
素直に返事してしまいながらショーツを脇にずらす。初めて見る女性器は
うっすらと濡れてひくひくとうごめいていた。見とれているエドワードにじれて
リザが声をかける。
「見てないで……早く……時間が……」
「え、あ……ごめ……」
近づいてきた精液でヌルヌルしたペニスをリザ自ら掴んで割れ目にあてがう。
「んんっ……エドワード君……そのまま腰をつかって押し込んで……」
「…………こう?」
「んっ……そう……です……」
リザの腰を掴んでゆっくりと出し入れを始める。くちゅくちゅと淫らな音と
荒いエドワードの息だけが室内に聞こえた。
「あぁ……中尉……の中……気持ちいい……」
「ん……そう……ですか……そのまま動いて、出してしまってください」
「え? いい……の?」
「ん……大丈夫……です………んくっ……」
いいのと聞きはしたがすでに腰は自分の命令を聞く状態ではなかった。
どんどんスピードを速め、より快楽を求めようとしていた。それにあわせて普段も
それほど感情を露わにしないリザの息が上がってきてるのもさらに興奮を助長させた。
「ああぁ……中尉……俺また……もう……」
「んぁ、エ、エドワード君? あぁん!」
思わず背後からリザを抱きしめてしまう。軍服のごつい布地越しではあったが
豊かなリザのバストの膨らみが分かる。そのままぎゅっと抱きしめつつ腰を
動かしていると間を置かず強い射精感がわき上がってきた。
「中尉……! 出るっ!」
「ふぁっ……あぁ……」
びゅくん! びゅるっびゅるるっ! びゅくっびゅくっ……。
二回目とは思えない量の精液がリザの胎内で放たれ、その感触に身を
委ねながらもリザも軽いエクスタシーを迎える。その絶頂感が脈動を
つづけるペニスをきゅうっと締め付ける。
「はぁはぁ……んっ」
「んはぁ……」
しばらく重なったまま荒い息だけが聞こえていた。よりも早く回復したリザが
手際よく精液を後始末し、放心状態のエドワードのドレスを整えた。
「さぁ、いつまでもぼーっとしてないで」
「あ、……うん」
「しっかり頼みますよ? 作戦の要なんですから」
まるで何事も無かったようにそうリザが言う。そして──。
「くっ」
脱兎のごとく逃げる犯人。それを囲もうとする軍部の面々にだんだんと追いやられて
いく。その上、ロイの火焔攻撃が犯人を狙って次々と放たれる。もう少しいったところに
確保しておいた退路がある。そこまでいければ逃げおおせるはずであった。
「ちぃ!しつこい奴らだ……んっ!? ぶべっ!!!
なんとか逃げようと壁を曲がったところで思いもしない場所にある壁にぶつかる。
「痛ぅ……なんでこんな所に……」
「………へっ! 逃げられると思ったのか?」
まるで背後にゴゴゴゴゴゴゴという効果音でもついていそうな形相でドレス姿の
エドワードが犯人を見下ろしている。
ドゴッ
「ぎゃっ」
「貴様のせいでっ! 貴様のせいでっ! 貴様のせいでぇ〜っ!!!!」
「ちょ、ちょっと兄さん?! それ以上やったらほんとに死んじゃうって!」
「殺す! 速やかに殺す! こんな格好させやがって!」
アルフォンスがほんとに殺しかねない兄を羽交い締めにして抑える。
「離せーっ! あいつのせいで俺は!」
「はっはっはっはっは! 作戦大成功だったな。ご苦労、鋼の」
「あ、大佐……」
「くぅっ」
「ご強力感謝する。鋼の錬金術師殿。ふ……。
これで私の株もまた上がるというものだ」
「ぐぅ〜」
歯がみするエドワードを後にロイが部下に指示を出していく。
入れ替わるようにリザがエドワードの前にやってくる。
「あ……」
「エドワード君お疲れ様」
「…………」
どんな言葉を書ければいいのかエドワードには思い浮かばなかった。
「それじゃ服を着替えに行きましょうか」
そういって着替えのある場所にいざなう。あとにつきしたがうエドワード。
その表情には戸惑いと照れと。──そして幾ばくかの期待が見て取れた。