「中尉」  
まるで泥の中に躯を沈めているように意識が混濁としている中で、ふと大好きな声と香りを認識して安心した。  
温かで大きな腕に躯が包まれていることが嬉しくて、目を閉じたまま夢中でその腕に縋り付く。  
ソファーで寝てしまった私を抱き上げ、大佐がわざわざリビングからベッドへ私を運んでくれているというとんでもない迷惑を掛けていることに、酔っ払った頭では気付きもしなかった。  
「中尉、大丈夫か?」  
すぐ上から大佐の声が聞こえることが心地良くて、また眠ってしまいそうになる。  
しかし、冷たいシーツの上に躯を優しく横たえられると大佐の腕が離れていくのを感じ、重たい瞼を開けた。  
大佐の温もりが遠ざかっていくのが嫌で、咄嗟に近くにあった彼の手を取り首を横に振った。  
「中尉、具合が悪いのか?」  
すぐに私の上に覆いかぶさり、大佐が心配そうに問い掛ける。  
違う、と、もう一度首を横に振る。  
私を見下ろしている大佐にもっと近付きたくて、力の入らない腕を何とか彼の背中に回し、ぐっと引き寄せた。  
大佐は急な出来事に驚いたのか、体勢が崩れて私の躯の上に落ちてきた。  
少し重たいが、まるで私を包み込むように大佐が隙間なく密着していることが嬉しい。  
「…いか…ないで…」  
呂律の回らない口調でなんとかそれだけ告げ、大佐を抱き寄せる腕に力を込めた。  
「…中尉…」  
大佐は嬉しそうに頬を緩めて笑うと、額や頬や顎、そして唇に口付けてきた。  
大佐が口をこじ開ける前に喜んで自ら唇を開き、彼の舌を迎え入れる。  
くちゅりと水音をたてる唾液は濃度の高いアルコールの味がしたが、そんなことは気にせずにお互いに舌を絡めて貪り合った。  
歯列を舐められ、そして舌の形を確かめるように柔らかな肉の輪郭を丁寧に愛撫され、だんだん息が上がっていく。  
私も負けじと大佐の唇の中に滑り込み、舌に軽く歯を立てた。  
「…中尉…いいのか?」  
口付けを止める頃には、私も大佐も肩で息をしていた。  
私のブラウスの第一ボタンを指先でつつきながら、大佐が行為を続けて良いのか問い掛けてきた。  
大佐の唇を光らせる唾液を舌で丹念に舐めとりながら、こくりと力強く頷く。  
大佐は笑みを浮かべて私のブラウスを脱がせ、早々とキャミソールやブラジャーも取り去ってしまった。  
「…ふぁ…ッ…あん…!」  
アルコールが入っているためか、いつもより肌が敏感で、手の平で胸を軽く揉まれただけでも甘ったるい声がもれてしまう。  
「ずいぶん気持ち良さそうだな」  
「…ん…っ」  
酔っているのは私だけではなく、素肌に触れる大佐の指も血の巡りが良いためにいつもより温度が高い。  
しかし、その指に触れられることを期待している私の肌は、アルコールも手伝ってもっと熱くほてっている。  
もっと触れてほしくて自ら胸を突き出した時――  
「中尉ー、大丈夫ですかー?水持ってきましたけど…」  
一瞬にして思考が停止した。  
情事中には絶対に聞こえるはずのない声が耳に届き、夢見心地だった頭が急に冷えていく。  
「ちょ…っ、あんたら…えええッ!!?」  
「む…」  
「え…?」  
三人それぞれの声が、狭い寝室に響いた。  
そして、しばしの間、誰も動かず声も発することなく、部屋が重い沈黙に包まれる。  
 
「え…っ!?きゃあっ!」  
沈黙を最初に破ったのは私の悲鳴だった。  
深い酔いが一気に覚めた気がした。  
私の部屋に、寝室の入口に、何故かグラスを片手に持ったジャン・ハボック少尉が立っている。  
この状況が理解できないが、肌を晒していることにはっと気が付き、目に飛び込んできたブラウスを慌てて引き寄せ肩に羽織った。  
「…な…っ、なんでハボック少尉がいるの…!?」  
「なんでってこっちの台詞なんですけどッ!それから大佐ぁ!隙あらば中尉を襲わないでください!」  
少尉は、動揺している私と妙に落ち着いている大佐に向けて、びしっと指を差した。  
「ああ、そうだ…お前がいることをすっかり忘れて夢中になってしまったな、中尉。ちなみに、誘ったのは中尉からだよ」  
「はあぁッ!?上司が揃いも揃って、部下がいるっつーのに何してるんスか!…ん?ということは…まさか…中尉まで俺のこと忘れて…?」  
「忘れているというか…。あ、あの…失礼な言い方になるけど…どうして、少尉が私の部屋にいるの…?」  
未だ大佐に組み敷かれたまま、ドアの側に立っている少尉に恐る恐る聞いてみる。  
すると、少尉の表情はみるみるうちに青ざめていった。  
「ひ、ひどすぎますよ中尉…っ!今日飲もうって誘ったのは中尉からじゃないですかーっ!」  
ひどく落ち込んだ今にも泣きそうな声で、少尉がわんわんと叫ぶ。  
「…え…?」  
「『え?』じゃないですよーッ!」  
「ふむ、けしからんことに君から誘ったらしいじゃないか」  
私を見下ろす大佐も、少尉がここにいるのは当たり前だというように頷く。  
部下に情事中を見られたという羞恥をしばし忘れ、目を閉じて必死に記憶を巡ってみる。  
「…あ…っ」  
思い出した。  
酔った頭でおぼろげに記憶を引っ張り出すと、今までの出来事が断片となってぽろぽろと零れるようにたくさん蘇ってきた。  
そうだ。  
今夜は、またもや恋人に別れを告げられてしまったハボック少尉を励ますために、二人でいい店にでも飲みに行こうと約束をしていたのだ。  
しかし、二人で飲みに行くことをどこからか聞き付けた大佐が「二人きりで出掛けるなんて許さない」と怒り、そして少尉も「邪魔をしないでください」と反発したのだ。  
結局、いろんな意見が飛び交った末、私の部屋で三人で酒を飲むことで事態は丸く収まった。  
……収まったのだが、私がアルコールを摂取する時の癖で、大佐と少尉に散々説教をしながら、酒を浴びるようにがばがばと飲んでしまったのだ。  
大佐と少尉はやけに私に酒をすすめてきた気がするが、それは少しでも私の口煩い説教から逃れるためだったのだろう。  
恥ずかしいことこのうえない。  
そして情けない。  
酒を飲み過ぎた私はだらしなくもソファーに横になって眠ってしまうほど、そして軽く記憶が飛ぶほど酔ってしまったようだ。  
それから、思い出すだけで赤面してしまうが、私はてっきり大佐と二人きりだと思い込み、アルコールの力を借りて大胆に迫っていたところを――  
先程まで一緒に飲んでいた少尉に見られてしまったのだ。  
「…ご、ごめんなさい…。少尉、今ちゃんと思い出したわ…」  
穴があれば入りたいような気持ちで、少尉に必死に謝る。  
大佐が覆いかぶさっていなく、そして服が乱れていなければ少尉に土下座をしていたかもしれない。  
 
「じゃあ、やっぱマジで今まで忘れてたんですか…。俺がトイレと水取りに行ってる間に、中尉はすっかり俺のこと…」  
少尉がどんよりとした声でぶつぶつと呟く。  
「まあ、中尉にとってお前はそれほどの存在だということだろう。なあ?」  
「た、大佐!何を言うんですか!」  
「あーっ!もうっ!大佐は口出さないでください!腹立つ!」  
温厚な少尉にしては珍しく、彼は苛立ちを隠すことなくドンと音を立ててベッドの横にグラスを置いた。  
勢いがよすぎたために、グラスから水が零れそうになるのを私は申し訳ない気持ちで眺めた。  
「少尉、本当にごめんなさい…。もう、何て言っていいのか…」  
恥ずかしくて情けなくて、そして最低最悪で、泣きそうになりながら謝る。  
すると、少尉ははっとしたように怒りに歪めていた顔をいつもの優しい表情に戻した。  
「いーえ、中尉はかなり酔っていたからいいですって。…それより…」  
「…ハボック少尉…?」  
少尉は急にベッドの上に乗り上がると私の両脇に腕を差し入れた。  
そして、まるで捕まえたテロリストでも扱うかのように、大佐の下からずるずると私を引っ張った。  
「おい、何をするんだ」  
大佐がやや怒った声を出し、じろりと少尉を睨む。  
「大佐、酔っているか弱い女性を襲うなんて最悪ですよ」  
不機嫌な大佐の声に、さらに不機嫌な少尉の声が応戦する。  
少尉は胡座をかいた膝の上に私を引っ張り上げ、背後から腹に腕を回され、拘束されてしまった。  
少尉はぎろりと大佐を睨んでいる。  
そして、しっしっと、大佐に向けて、まるで虫でも追い払うかのように手を動かしている。  
「ふん、馬鹿な奴め。中尉はか弱くないし、私の恋人だ。そして、誘ってきたのは彼女からだ。何か問題があるか?」  
「…そっ、そうなんスか中尉!?中尉から誘ったんですかッ!!?」  
「…あ、あの…」  
私が顔を真っ赤に染めて黙って俯いていることが、大佐の発言が真実だという答えになってしまった。  
「…これも本当なのかよー…」  
少尉は信じられないというように目を見開いていた。  
羞恥のあまりこのまま消えてしまいたくなる。  
少尉に軽蔑されても無理のない話だ。  
「というわけで、お前は邪魔者なんだよ。帰れ。恋人同士の戯れに首を突っ込むな」  
大佐は私の肩をがっしりと掴むと、少尉から自分の方へ私を引き戻そうと、容赦なく引っ張る。  
「……ずるいっスよ、大佐ばっかり」  
しかし、そう呟いた少尉は、私の腹に両腕を回したままで、何故か私を自分の元に留めようとする。  
「ほう?何がずるいんだ?聞いてやってもいいぞ」  
「俺だって中尉のことが好きなのに、大佐ばっかり中尉といいことしてずるいっスよ!」  
「しょ、少尉…!?」  
突然の少尉の告白に目を見開いて驚くが、頭に血が上っている彼に私の声は届いていないだろう。  
「何だと?フラれたばかりの男がすぐに告白か?はっ、ずいぶんと安い恋だな」  
大佐に噛み付きそうなほど彼の間近で怒鳴る少尉を、彼は鼻で笑って受け流す。  
「…俺、本当はずっと中尉のことが好きだったんですよ。最低ですけど、別れた彼女だって実は中尉に似ていて…」  
「少尉…あなた少し酔っているのよ。だから落ち着いて…。ね?」  
ぶつぶつと恨み言を語り出した少尉の方へ振り向いて、自分が言えたことではないが、諭すように言う。  
 
「俺、酔ってません!冗談でもないです!」  
「そうだぞ、中尉。こいつは中尉が酔う姿に見惚れて酒なんか全然飲んでないぞ」  
「……酔ってる大佐は少し静かにしていてください」  
「そうなんです!俺、中尉のことが大好きなんです!」  
「…酔ってないなら、少尉は落ち着いて…」  
「はっはっはっ、残念だなあ。中尉はこの私の恋人だ。また失恋だな」  
「と、とりあえず大佐も少尉も離して…」  
私の意見は大佐と少尉のどちらにもまったく聞き入れてもらえず、事態が悪化するばかりだ。  
言い争いをしている二人から逃れたいのだが、大佐に左腕を、少尉に右腕を掴まれているために身動きがとれない。  
まるで幼い子供が喧嘩をして取り合うおもちゃになった気分だ。  
愛銃はすぐ近くにはないし、そもそも男であり立派な軍人でもある二人から逃れることは不可能に近い。  
そして最悪なことに、酔っているせいでいつもの調子で叱ることができない。  
……元はといえば私がすべて悪いのだが。  
「大佐ばっかりいつもべたべたべったべた中尉にくっついてずるいです!俺にも中尉を抱かせてください!」  
「…抱かせてください、だと?中尉はそんな女じゃない」  
顎が外れてしまうような少尉の爆弾発言に、大佐が怒りに満ちた低い声で応じた。  
「…そんなこと分かってますよ…。…でも…」  
少尉の視線が、ふと大佐から私へと向けられた。  
「中尉は大佐のもので、絶対に手の届かない人って諦めてたけど…。…中尉のこんな姿を見て引き下がれると思いますかッ!?」  
「……まあ、そう言われてみれば無理かもしれないな」  
「え…?…きゃあっ!」  
また寝室に私の悲鳴がキンキンと響いた。  
少尉の視線の先には、ブラウスがすっかりとはだけて、まるで裸のようあらわになった乳房があったのだ。  
そういえば、少尉が来た時に慌ててブラウスに腕を通しただけで、ボタンをしっかりしめてなかったことを思い出す。  
「中尉、さっきから丸見えだったぞ」  
「だ、だったら教えてくださいッ!」  
「もう俺…憧れの中尉のこんな姿を見せられて…。…いろいろ大変なんですよ…」  
今まで怒鳴っていた少尉の声がワントーン下がり、そして心なしか切羽詰まっているように聞こえた。  
嫌な予感がして、失礼ながら少尉の股間にちらりと視線を向けると、そこはズボンを押し上げはち切れそうなほど膨らんでいた。  
「おお、さすが若いだけあるな」  
「…か…か、感心している場合ですかっ!」  
暢気な大佐に一喝するが、まったく効果がない。  
「ね…中尉、治めてくださいよ…」  
耳元でおねだりするように甘く囁く少尉に、右に引っ張られる。  
「馬鹿を言うな。中尉は私のものだ。誰にもやらん。お前は一人でヤってろ」  
しかし、すぐに大佐に左に引き戻される。  
「……大佐、もしかして怖いんじゃないですか?」  
「何?」  
まるで大佐を挑発するような少尉の物言いに、再び悪い予感がした。  
「俺が中尉を抱いたら、中尉が大佐をすっかり忘れて俺に夢中になっちゃうのが、怖いんじゃないですか?」  
「はあ?訳が分からん。負け犬の遠吠えにしか聞こえないな」  
「中尉、俺、年配者にはない若い技をいっぱい持ってますから!天国を見せてあげますよ!」  
「…な、何を言っているのよ少尉…!」  
少尉のあからさまな発言に頬が赤くなる。  
 
「私はな、毎晩中尉が許しを乞うまで鳴かせて、それはもうしっかり満足させているんだ。まだ青臭いお前なんか足元にも及ばないな。それに私はまだ若い!」  
「た、大佐も何を言っているんですか…!」  
今度は耳や首まで赤くなる。  
「そんなの、やってみなきゃ分からないじゃないですか」  
「何だと?」  
「ちょっと、二人とも落ち着いて…!」  
私を間に挟み、そして私を取り残して、大佐と少尉はばちばちと火花を飛ばし合っている。  
これは非常にまずい状態だ。  
最悪の事態を避けるために慌てて思考を巡らせる。  
幼稚な一面のある大佐は、一度挑発をされると周りが見えなくなり、それにまんまと乗っかってしまうのだ。  
大佐に対して何かしらの闘争心を燃やしている少尉は、彼のその性格を利用しようとしている。  
「中尉、俺が未知の世界を見せてあげますよー」  
「私が中尉を女にしたんだぞ。もうやることはやりつくしているし、私がいれば十分するぎるほどだし、中尉にお前は必要ない。さっさと出て行け」  
「へえ、そう言って逃げる気ですか?」  
「誰が逃げるか!」  
「少尉、大佐を挑発するのはやめて!」  
大佐と私が叫んだのはほぼ同時であった。  
「……中尉、頼みがある。私とこいつのどちらが良いか比べてくれ」  
「はいっ!?…そ、そんなの…!」  
「…やっぱり実践が一番ですよね、大佐。ああ、中尉、俺は大佐を挑発なんてしてませんよ」  
しかし、大佐の言葉に少尉が作戦成功とでもいうようににやりと口の端を吊り上げたのを、私は見逃さなかった。  
「そんな…!私はこんなの嫌ですっ!離して!離してくださいっ!」  
「それは聞けないな」  
「それは聞けませんよ」  
大佐と少尉はここだけ仲良く声を揃え、私は絶望的な気分を味わった。  
「大佐も少尉も一度落ち着いて…!…あっ、大佐…っ!?」  
大佐は私の躯を自分の方へ引き寄せると、勝手にスカートのホックを外して下着ごと乱暴に脱がせてしまった。  
慌てて取り去られたスカートを追って手を伸ばすと、その手首を強く掴まれた。  
はっとして上を見上げると、勝ち誇った表情で笑い私を見る少尉がいた。  
「少尉!あなた一体どういうつもり…あ、ん…っ!」  
正座を崩したような形でシーツの上に座る私を、背後から腹に腕を回して抱き寄せた大佐が、尻の方から迷うことなく秘所へと手を伸ばした。  
秘所が直接大きな手に覆われて、思わず悲鳴を上げてしまう。  
「やぁ…あっ…だ、駄目です…!大佐ってば…ッ!大佐…っ!」  
大佐の指がいきなり淫核を捉え、快感に震えながら思わずよろめいてしまう。  
しかし、ふらついた躯を私の前にいた少尉が胸に抱き留めてくれた。  
私を見下ろす少尉の瞳はいつになく真剣で、アルコールによる興奮や勢いが見られなかった。  
今なら、まだ、間に合うだろうか。  
「ねえ少尉…、あぁ…っ!?…やぁっ、ん…っ…ふあッ!」  
今すぐこんなことを止めてほしいと懇願しようとしたのだが、その前に少尉がブラウスの中に金髪の頭を突っ込んできた。  
胸元をすぼめた舌先で舐められ、肌の熱さと舌の冷たさの差に身震いをする。  
「今は大佐と競うみたいになってますけど…俺、本当に中尉がずっと好きだったんです」  
「ひぁ…っ…いやぁ…っ!ん、あ…ッ!」  
乳首を口に含め、ぴちゃぴちゃと水音を立ててそれを吸いながら、少尉がくぐもった声で告白する。  
 
敏感な場所を冷たく柔らかな舌でくすぐられることに耐えられず、思わず目の前にある少尉のシャツにしがみついた。  
「少尉…んっ、大佐を止めて…!大佐も…っ、酔っておかしくなっているのよ…!だから…ッ!」  
少尉に乳房を舐められ、そして大佐に繁みの中の尖りを愛撫され、快楽に流されそうになりながらも必死に懇願する。  
「俺は酔ってませんよ」  
「だったら…っ!ふぁ…っ…あ…、なおさら…!」  
「ずっと中尉を抱きたかったんです。だからこの機会は絶対に逃せない」  
「…は、んぅッ…んー…っ!」  
「大佐のことを好きでもいいんです。でも今は少しでいいから俺のことも見て…」  
「あぅ…あ…ッ!ん…はぁ…ッ!」  
固くなり形を持ち始めた乳首に軽く歯を立てられ、背筋にびりびりと甘い刺激が走る。  
手に握っていた少尉のシャツはくしゃくしゃになり、皺がついてしまった。  
「おい、二人で何を話しているんだ」  
「ひぁっ…あ…っ、たい、さ…!あぁ…っ!」  
大佐が不機嫌そうに話に割り込もうとしながら、すでにすっかりと濡れそぼった膣にするりと指を差し込んだ。  
膣に入り込んでいる指は大佐のいつもの指なのに、胸を揉む指は少尉の知らない指で、倒錯感を覚える。  
しかし、アルコールの酔いも手伝ってか、私はその倒錯感に興奮しつつあった。  
ふたつの違う指が私の躯を貪ることに、異様さと気持ち良さを覚えていた。  
実は二人が言い争いをしている時から、大佐とはまた違う逞しい少尉の手が私に触れる度に、変に火をつけられて放っておかれた躯は、少しずつ反応しつつあったのだ。  
少尉の太い指が肌の上を撫で回すことがひどく心地良い。  
二人の男性に抱かれて喜びを感じるなど、私はとても淫らな女なのかもしれないと思うと、恥ずかしくて不意に涙が出そうになった。  
「あぁーっ…あ…!駄目…ッ!…そこ、ばっかり…駄目…ッ!」  
しかし、そんなことを考える暇もなく、大佐と少尉にどんどんと快楽を与えられる。  
「中尉、すごい敏感なんですね」  
「…あぁ…っ…ふ、あ…んんッ!」  
少尉は私に触れるのはもちろん初めてだというのに、何故か確実に気持ち良いところを攻めてくる。  
まるで赤子のように乳房にしゃぶりつかれ、そして膣の中で二本の指を大きく広げられ、二人の間で躯がみっともなくがくがくと震えた。  
敏感な場所を同時に激しく愛撫され、今にも頭がおかしくなってしまいそうだった。  
「…あー、やば…っ。ねえ、中尉、俺のも触って…」  
「え…っ?」  
ふと少尉は下着ごとズボンを脱ぐと、何故かベッドの上に立ち上がった。  
ベットがぎしりと軋む。  
「…な…に…?」  
顔の少し上にすっかり勃ち上がった少尉のものがあり、頬を染めながら慌てて視線を反らした。  
「中尉、お願い…胸でして」  
「え…!?」  
私の答えを聞かずに、少尉は早々と脇の下に手を差し入れ上に引っ張ると、私をシーツの上に膝立ちにさせた。  
「おい、何をするんだ」  
説明もなしに私が立ち上がったことにむっとしたように、大佐がうしろから口を挟む。  
顔は不機嫌そのものだ。  
「今から中尉に奉仕をしてもらおうと思って」  
「いや…っ、しょ…少尉っ!」  
少尉は乳房を下から掴み上げると、なんと彼の熱いものを谷間に挟み込んだ。  
突然の少尉の行動に首までさあっと朱が走る。  
 
「何だお前…中尉に天国見せるなんて言って、自分が気持ち良くなりたいだけじゃないか」  
「天国見せる前にイっちゃいそうなんですよ…こんな見事なおっぱい見せられたら」  
「私が育てたからな」  
「た、大佐…!」  
「はいはい。大佐は中尉を支えててください」  
「私に命令をするな!」  
私をおいてきぼりにして二人は勝手に話し合い、途方に暮れてしまう。  
大佐は私を支えるために膝立ちになり、広い胸に私の背中を預けた。  
「…やあ…っ…あぁん…ッ!」  
そして、今度は大佐の手が前から繁みの奥へと入り込む。  
陰毛までびっしょりと濡らした秘所を手の平全体で軽くさすられるだけで、唇から喘ぎ声が零れた。  
「…中尉…」  
大佐の愛撫に躯を震わせていると、胸を鷲掴みにした少尉が乳房を上下に揺さ振り始めた。  
てらてらと濡れて光る赤黒いグロテスクなものが乳房の肉にうもれている、あまりに卑猥な光景に目眩がしそうだ。  
「…んんっ…あ…熱い…っ!」  
「やばっ、中尉、気持ちいいー…っ」  
「…おい、無理させたら消し炭にするからな。まったく、私だってあまりさせたことがないのに…」  
「あぁッ!…はぁん…っ…あぅ…っ」  
少尉のものを隙間なく挟んでいる胸も、大佐の指が入り込んでいる膣もひどく熱い。  
縋り付くものが欲しくて思わず少尉の太ももに抱き着こうとすると、その手を彼に取られた。  
そして、少尉のものが谷間に埋まっている自らの乳房へと手を導かれる。  
「…しょ…い…?」  
「…中尉がやってください」  
「…そ、そんな…」  
「やって…中尉…」  
少尉に懇願されているというのに、欲に満ちた瞳で私を見下ろす彼にまるで命令されているようだった。  
年下で、しかも部下だというのに、命令されている。  
倒錯した現実がまた興奮を呼び起こし、大佐の指をきゅっときつく締め付けてしまった。  
恐る恐る自らの乳房を手の平におさめ、先程少尉がしていたのを思い出しながら、彼のものを挟んだまま胸を上下に動かした。  
「…あ…、はぁ…っ」  
「ああ…中尉、気持ちいいですよ…」  
「…本、当…?」  
「おっぱい最高です…乳首もこんなに固くして…」  
「…あぁッ!や…っ、いやぁ…触らないで…っ!」  
「あ、中尉、手を止めちゃ駄目です」  
「…んんぅ…ッ!」  
乳首を指で弾かれ、思わず少尉のものを愛撫する手を止めると、今度はお仕置きだと言わんばかりに軽く乳首を引っ張られた。  
「…む。中尉…いつもより締まりがいいんだが…。それに濡れすぎだぞ」  
「中尉、パイズリだけで感じてるんスか?可愛い…」  
「もう三本も飲み込んでいるぞ…中尉、分かるか?」  
「ふぁッ…あ…っ…い、言わないで…っ!」  
恥ずかしい言葉を浴びせられ、力なく首を横に振る。  
しかし、少尉と大佐が口を開く度に子宮がじんじんと痺れるようで、私は確実に感じていた。  
「中尉の胸、すっげー柔らかくて最高…これ夢だったんだよなー…」  
「お前、いつもそんな目で中尉を見ていたのか…。中尉、やはりこいつは最低の男だぞ」  
「おっぱいのロマンが大佐に分かるもんですか」  
「…あっ…あんっ…んんー…っ!」  
少尉が固く尖った乳首の周りを指で撫でるのを耐えながら、必死に胸を動かして彼のものを愛撫する。  
乳房と少尉のものが擦れ合う度に、火傷してしまいそうなほど肌が熱くなる。  
 
「あぁ…っ…はあ、ん…ッ!」  
しかし、乳房を上下に揺らす動きがだんだんと拙くなっていく。  
原因はうしろから秘所を執拗に愛撫する大佐だ。  
「…中尉、そろそろイくんじゃないか…?」  
「…はっ、あ…あぁ…ッ!」  
あからさまな言葉が恥ずかしいが、本当に今にも達してしまいそうで小さく頷いた。  
固く尖った芽ばかりを指の腹で擦られ、あまりの刺激に膝立ちしていることすら難しいのだ。  
膣に差し込まれた指も的確に敏感な場所を擦り上げ、脚から力が抜けそうだ。  
「あぅッ、あー…っ!たっ、大佐ぁ…!」  
「中尉…俺ももうイきそう…!」  
少尉は動かなくなってしまった私の手に自らの手を添えると、再び自身を自ら乳房で擦り出した。  
「やぁっ…大佐っ!だめ…っ!そんなにしたらぁ…ッ!」  
大佐は相変わらず小さな粒を攻め続けた。  
大佐の手が早くリズミカルに動くのと一緒に、高い声で喘いでしまう。  
声を抑える余裕などない。  
逃げ出したいほどの大きな快楽が迫ってくることに耐えようと、私は自らの胸を痛いほど掴み上げた。  
「…中尉、イくの…?だったら一緒に…っ!」  
「あぁ…ッ、んあ…っ!もうだめ…!だめぇ…ッ!」  
「くう…っ!」  
「あ…ッ――んあああッ!」  
顔に白く熱いものが放たれるのとほぼ同時に、私の秘所からもまるで噴水のように水のような液体が勢いよく噴き出した。  
秘所から溢れた蜜はシーツに大きな染みを作る。  
少尉は乳房で自身を擦りあげ、搾り出すように私の顔に向けて精を出している。  
「…あー…最高…」  
少尉は精液を全部放つと、ベッドの上にどかりと腰を下ろした。  
胸から少尉の手が離れ、支えを失った私もベッドの上に倒れ込む。  
顔や髪は少尉の熱い精液にまみれ、乳房には指が食い込んだ痕が赤く残っていた。  
そして、尻の下には失禁したかのように蜜が広がっており、恥ずかしくてそこから視線を逸らした。  
「…って、やば…っ、中尉の顔に出しちゃった…。す、すいません、中尉!」  
ベッドの上に足を投げ出して座っていた少尉が、慌てて私に謝る。  
「……お前、わざとだろ」  
呼吸を楽にするよう、汗まみれの背中をブラウス越しにさすってくれた大佐が、少尉をひと睨みした。  
「…あ、ばれた?やっぱり分かります?」  
「それに溜まりすぎだ」  
「フラれたばっかの人間にそれを言いますか。つか、中尉かなりエロい…」  
熱く白い精がとろりと頬を伝う様子を、大佐と少尉が遠慮なく覗き込んできた。  
呼吸を落ち着けているというのに、二人の視線を浴びるとまた息が上がる。  
「…おい、少尉、どけろ」  
二人から慌てて顔を逸らそうとすると、急に顎を大佐の手に捕えられた。  
「…中尉、私のも頼む」  
「…え…?」  
「はあっ!?」  
すでに目の前には勃起した大佐自身があり、断る暇もなく濡れた先端が唇に押し当てられた。  
「…あ…」  
まだ絶頂の余韻が残っており、躯が思うように動かないうちに大佐のものを愛撫するのは辛い。  
しかし、男性特有の独特の匂いがつんと鼻をつき、欲しいとでもいうように子宮がじくじくと疼いた。  
「…ん…っ」  
本能が雄の香りに従うように、勝手に唇が開いた。  
上を向きそそり立つ大佐のものをそっと口の中にくわえ込む。  
大佐が足を広げた間に顔を沈め、躯はシーツの上に投げ出したまま、彼のものを口に含み舌先でちろちろと舐め始めた。  
 
「あの清楚な中尉が、顔に精液つけたまままたしゃぶるって…。信じられないっス。…中尉って意外にエロいんですね」  
少尉が興奮したように、そして何故か嬉しそうに私の顔を覗き込む。  
「…んー…っ、ん!」  
大佐のものの先端を唇に挟んだまま、首を横に振って必死に少尉の言葉を否定をする。  
しかし、躯は少尉の言葉に反応して背中に鳥肌が立った。  
「中尉すっげー可愛い…。言葉攻めに弱いんだ」  
「…ん…っ?」  
少尉は私の腰を掴むと、力の抜けた躯を持ち上げてシーツの上に四つん這いにした。  
そして、四つん這いになった私の上に大きな少尉の躯が重なる。  
少尉の広い胸に滴る汗が、ブラウスに包まれた私の背中に染み込んだ。  
「…おい、何をしているんだ」  
「…あっ…、ふあ…!」  
「あー、中尉のおっぱい、柔らかーい」  
「こら!人の話を聞け!」  
「マジでボイン最高っスよー。…また勃ってきちゃったし…」  
「…あ、うぁ…ッ」  
少尉は胸元に手を伸ばすと、重力に従って下を向く乳房を揉み始めた。  
胸を愛撫され喘ぐと、危うく大佐のものが口から出そうになってしまい、慌てて深くくわえ込んだ。  
少尉は私の上に覆いかぶさり、再び固さを取り戻した自身を私の尻に擦り付けてきた。  
まるで獣同士が交尾をしているようだ。  
「中尉…これでさっきは俺のを挟んでくれたんですね…堪んないっス」  
「…ん…っ、ん…」  
「こんなに柔らかいのに乳首だけこりこりしてて、いやらしい」  
「…んぅー…ッ」  
「ほんと可愛すぎます…さっきは潮噴いてイっちゃってましたね」  
「ふん、それも私が仕込んだんだぞ」  
「ふ…あ…っ、ん…っ!」  
少尉の舌が耳の形を舐め、直接脳に吹き込むかのように意地悪な言葉を囁く。  
それが堪らなく気持ち良い。  
部下の前で達するというはしたない姿を見られたことも興奮に変わってしまう。  
「やらしい中尉、大好きですよ」  
「…ん…っ…ん…」  
少尉の言葉攻めに耐えながらも、必死に大佐のものを指で扱き、先端に強く吸い付く。  
奥まで手を伸ばして二つの柔らかな塊を揉むと、大佐が一瞬だけ息を飲んだ。  
反応してくれることが嬉しくて、もっと大胆に奇妙な感触のそれを手の平に収めて弄り出す。  
「ん、ふぅ…っ、ん…」  
「わあー…中尉すごいっスね…。つか大佐、羨ましい」  
「お前はさっき胸でやってもらっただろうが」  
「すました顔して美味しそうに頬張っちゃって…中尉、最高です」  
「…ん、う…ッ!」  
「…っ」  
「…あ…」  
少尉に乳首を爪で軽く引っ掻かれ、思わず大佐のものに歯を立ててしまった。  
慌てて大佐を見上げて謝る。  
「た、大佐…!ごめんなさい!」  
「…いや、いいよ」  
大佐は私の前髪をさらりと撫でただけで、特に怒った様子も見せず、痛そうにもしていなかった。  
しかし、お詫びにと少し苦しいが頑張って喉まで肉棒をくわえて頬の肉で擦りあげる。  
「…うわ…エロ…」  
「…中尉、今日はやけに熱心だな。まさか、こいつがいるからか?」  
「…んぅーッ…ん…」  
違うと再び首を振る。  
しかし大佐と少尉の言葉はまるで愛撫で肌を撫でられているかのように刺激的で、躯の熱を高めていく。  
大佐もこの異様な状況に興奮しているのか、静かではあるが、いつもより呼吸の乱れが大きい気がした。  
 
「…中尉、出すぞ…ッ」  
「…んぁ…んん…ッ!」  
こくりと頷いて、しっかりと大佐のものの先端を唇でくわえ込む。  
「…う…!」  
「…んうぅー…っ!」  
根本から指で強く扱くと大佐のものがぶるりと震え、口の中に熱い精液が勢いよく放たれた。  
「…ん…ッ」  
白くねっとりとした液体が喉まで飛んで苦しいが、すべてを搾り出すように先端を唇で強くしゃぶる。  
「…中尉、そこまでしなくていいといつも言っているだろう」  
「…で、も…」  
大佐のものから口を離すと、白く染まった唾液が糸を引いた。  
何回も喉を鳴らして精液を飲み込んだが、それでも口の端から溢れてしまった精を、大佐が苦笑しながら拭う。  
困ったような口調だったが、大佐は嬉しそうでもあった。  
「…なに二人だけの世界に入っちゃってんですか」  
「…あ…っ」  
大佐と見つめ合っていると、それを邪魔するかのように少尉が私の腰を持ち上げて引っ張った。  
秘所にはそそり立った熱いものが当たっている。  
「…中尉、今から天国を見せてあげますよ」  
「馬鹿者!急すぎるだろ!」  
私の耳に甘い声でそう囁いた少尉に対して、大佐がものすごい形相で怒鳴る。  
大佐は私の腕を掴んでシーツに仰向けに引き倒すと、次にベッドの横にある小さな引き出しからあるものを取り出した。  
「お前は女性に対する気遣いがなっていないからすぐにフラれるんだ」  
「…だって、つい…。…まあ、そうっスね…」  
少尉が小さな声で反省しながら、大佐から渡された避妊具を自身につけている。  
大佐と少尉のやり取りを見ながら、私は顔がどんどんと赤くなっていった。  
避妊具をあの引き出しに勝手に入れたのは大佐だが、部下に上官同士の情事を垣間見られたようでひどく恥ずかしい。  
「…中尉…」  
羞恥のあまり二人を遮断するように目を閉じていると、少尉が躯の上に覆いかぶさってきた。  
脚を左右に大きく広げられ、熱いものが膣の入口に宛てがわれると、くちゅりと水音がたつ。  
期待と不安に思わず目を開く。  
「…あ…ッ」  
大佐しか男を知らない私は、馴染みのないその熱や大きさを感じるだけで妙に興奮してしまった。  
はしたないことに、私は恋人ではない男性を受け入れることに喜びを感じていた。  
早く掻き混ぜてぐちゃぐちゃにしてほしい――  
すっかり肉欲に満ちた淫らな瞳で期待をしていると、ふと大佐と目があった。  
私がいやらしいことを考えていることを見抜いたであろう大佐は、不機嫌そうに私の顔についた少尉の精液をシーツで乱暴に拭った。  
「…いきますよ、中尉…」  
「…うん…っ…あぁ…ッ!」  
先端が膣の中に押し入っただけだというのに腹に感じる圧迫感が強く、思わず少尉の首にきつくしがみついた。  
膣はかなり濡れているはずなのに、少尉のものがあまりにも大きくて、彼が腰を進める度に小さな痛みが躯に走る。  
「…っあぁ…おっ、大きい…!」  
少尉の熱い塊が沈められると骨盤がみしみしと広がるようで、まるで躯を串刺しにされたような気分だ。  
「……おい、それじゃまるで私のが小さいみたいじゃないか!」  
「うわ…中尉の中、狭い…っ」  
息も絶え絶えに、熱い肉棒の侵入に声を上げる。  
奥まで入り込んだ少尉のものは、みっちりと隙間なく膣を塞いでいて、まるで息ができないように苦しい。  
気付けば涙が頬を濡らしていた。  
 
「…いやあっ、駄目…!たいさぁ…っ、大佐…っ!」  
「おい、中尉、大丈夫か…?」  
「…中尉、俺のことを呼んでくださいよー…」  
「ハボック、あまり無理をするな!」  
膣の中で少尉のものが小刻みに動くだけでも苦しくて、気が付けば助けを求めるように大佐のことを呼んでいた。  
大佐は私の頭の横に座ると、気遣わしげに優しく髪を撫でてくれた。  
少尉も気を紛らわしてくれるように、汗の滲んだ額にそっと口付けてくれる。  
「…中尉、そのうち…楽になりますから…」  
「…うあ…ッ!?」  
少尉は軽く腰を前後に動かしながら、先程大佐に散々弄られた繁みの中の芽を指先で摘んだ。  
「ひあぁッ!…あっ…しょ、少尉…そこは…っ!」  
「…ほら、濡れてきた」  
少尉の言葉通り、彼が身を沈めるそこはじわじわと濡れてきた。  
少尉は固く尖った淫核を指先で包み込むようにして擦り、そして同時に腰を振っている。  
「あんん…ッ、…あぁ…は…ッ!」  
敏感すぎる尖りを刺激される度に躯から力が抜け、侵入者に警戒するように強張っていた膣も緩み、再び潤い出した。  
少尉が自身を抜き差しする度に、それにまとわりついた蜜が淫らな音をたてる。  
涙がぼろぼろと流れるが、それは苦しみからではなく快楽からだった。  
「ほら…中尉、いいでしょ…?」  
「あぁんッ!」  
少尉が思いきり腰を打ち付けると、盛大にパンと肉と肉がぶつかり合う音がした。  
まだ多少痛みは残るが、苦しさが快楽に打ち消されるほど気持ち良い。  
「ハボック!無理をするなと言ったじゃないか!」  
「だって中尉のここ狭くてとろとろで、吸い付くされそうなんですよ…。ほら、中尉も気持ちいいみたいだし」  
「……そうなのか、中尉?」  
「…ふぁ…っ…ああ…は、ん…!」  
少尉の肩にしがみついたまま、恥ずかしさも忘れてこくこくと何度も頷く。  
「……痛くないならいいが…。何だか複雑な気分だな…」  
大佐はその言葉通り、複雑そうな表情を浮かべて私の髪を撫でた。  
いつも私を貫く大佐に、別の人と交わる姿を眺められている。  
自分がひどく淫らな女になった気分で、躯の中心がますます熱を帯びる。  
「ひぅ…っう…あん…ッ」  
「…うわっ、中尉、締め付けないで…!」  
パンパンと休むことなく何度も激しく腰を打ち付けていた少尉が小さく呻いた。  
私の肌の上に、少尉の額や躯から滴る汗がぽたぽたと落ちる。  
「…ハボック、お前、がっつきすぎじゃないか?」  
「中尉の中、気持ちいいー…。中尉もいいですか?」  
「…ん…ッ、いい…っ!はぁ…あ…っ!」  
「私の話を聞け!」  
「…あん…ッ、ん…うぁ…!」  
「中尉の感じてる顔、すっげー可愛いですね…」  
少尉は嬉しそうに呟きながら、汗と涙で濡れた頬に唇を落とした。  
熱い塊が行き来するたびに、膣の中の肉をまるでえぐるようにして激しく擦られ、絶え間無く快楽が与えられる。  
揺さ振られる度に頭もかくかくと揺れ、まるで思考まで揺れているようで今にもおかしくなってしまいそうだ。  
「…あっ、中尉…、俺、もうイく…っ!」  
「はん…っ…あ…っ、しょ、い…っ!少尉…ッ!」  
「…うあ…!」  
「あっ、ひゃああ…ッ!」  
腰を激しく振り乱していた少尉が、膣から抜けそうなほど自身を引き抜き、そして力強く貫いた。  
快楽に顔を歪めた少尉が、ゆっくりと自身を抜き差ししながらゴムの中に精液を放つ。  
 
ゴム越しに熱い精液が放たれるのを感じ、そして少尉が気持ち良さそうな表情を浮かべているのをみて、躯の芯がじんと疼いた。  
手も脚も、躯全体が快楽に痺れてしまったような感覚を覚える。  
「おい、ハボック、早くどけ。次は私だ」  
「…えー、そんなあ…」  
少尉がずるりと私の中から自身を引き抜いた途端、大佐が彼を押し退けて場所を陣取った。  
大佐はすでに避妊具を身につけており、休む間もなくすぐに膣の入口に猛りを宛がった。  
「…あ…大佐…!ま、待って…!」  
「待てない」  
軽く達したばかりで、しかも先程までは少尉を受け入れていたというのに、また侵略されては躯がおかしくなりそうだ。  
「いやぁ…ッ!あぁーッ!」  
しかし、大佐は痺れている躯に容赦なく入り込んできた。  
ついさっきまで別の男性を受け入れていたにも関わらず、膣ははしたなくも喜んで大佐に絡み付いた。  
しかし躯は刺激を与えられてばかりで、ばらばらに壊れてしまいそうだ。  
「…ひうぅ…ッ、あ…あぁ…!」  
大佐の首に腕を回し、思いきりしがみついて、彼のものがすべて膣を征服する強すぎる刺激をやり過ごす。  
「ああ、やはり中尉の中はいいな…」  
大佐は膣の柔らかさを味わうかのようにゆっくりと抜き差しを始めた。  
「…た、いさ…っ!そんな…!あ…ッ!」  
しかし、比較的ゆっくりとした動きですら辛くて、目尻に涙が浮かぶ。  
「ハボックよりいいだろう?中尉…」  
「やあ…っ…いきなりっ、なんて…!」  
「…無理させるなって言ってたの誰ですか…」  
呆れたようにそう呟いた少尉が、急に私の肩に触れた。  
「大佐、ちょっと動くのやめてください」  
「…何?」  
「いいから、早く。中尉のこと起こすから」  
怪訝そうな顔で大佐が律動を止めた一瞬の隙に、少尉はうしろから私の脇を抱えて上半身を抱き起こした。  
「よいしょっと」  
「おい!」  
「…うぁあ…ッ!」  
大佐は少尉に合わせて素早く体勢を変え、怒鳴りながらベッドに座り胡座をかいた。  
大佐の上に跨がる形となり、彼の先端が膣の思わぬところを突いて腰がぶるりと震える。  
「危ないだろう!傷付けたらどうするんだ!」  
「だからあらかじめ言ったじゃないですか」  
「…あっ、あぁ…!」  
私を抱き抱えた少尉は背後から胸に手を回し、乳房を揉み始めた。  
「ハボック…私達の邪魔をするな。お前はさっき満足しただろう」  
「揺れるおっぱいを間近で見て触らない奴なんて男じゃないです!」  
少尉は何故か誇らしげにそう告げ、乳房に指を食い込ませる。  
「それから中尉が辛そうにしてたから助けようと…。大佐だってがっついてるじゃないですか」  
「お前は胸を触りたいだけだろう…。中尉、大丈夫か…?」  
「…はあっ、ん…」  
大佐に跨がることにより彼のものに目一杯膣を広げられ、そしてさらに少尉に乳房を揉まれ、平気なはずがない。  
大佐の首に腕を回して縋り付き、逞しい肩に頬を預け、首を懸命に横に振った。  
「おい、苦しいみたいだぞ」  
「おっぱいを揉んで中尉の苦しみを緩和します!」  
少尉の好意は嬉しいが、胸を揉まれても気持ちが良すぎて辛いだけなのだ。  
しかしそれを告げる気力はない。  
「とりあえず…ゆっくり動いていくぞ…」  
「あ…っ、や…!ま、待ってくださ…!」  
「中尉…だから待てないと言っただろう…?」  
 
サディスティックな性格をしている大佐が、その一面をちらつかせるように意地悪な笑みを口元に浮かべた。  
「…ひあぁー…ッ!」  
大佐は私の腹を掴むと、膣に彼自身を飲み込ませるように一気に容赦なく腰を落とした。  
大佐と繋がっている場所が燃えるように熱い。  
私があまりの衝撃に首を思いきりのけ反らせるのを、大佐は満足げに眺めた。  
「…ひゃっ!あぁ…ッ、あーっ!」  
「いいだろう?中尉…」  
大佐が動く度に背筋にびりびりと鋭く甘い痺れが駆け抜ける。  
喘いでばかりで口が開きっぱなしになり、唇の端から唾液が溢れてしまう。  
「あッ…んあぁ…っ…はぅ…!」  
大佐は下から突くだけではなく、まるで円を描くように腰を動かして膣を刺激した。  
私の躯を知り尽くしている大佐は、敏感な部分ばかり擦りあげてきて翻弄されてばかりだ。  
大佐に躯を揺さ振られる度に飛び散った汗がシーツの上に落ちる。  
「…やめ…てっ…お願い…っ少尉…、いやぁ…ッ!」  
挿入されているだけでも苦しいのに、少尉に乳房を揉みしだかれ、休む間もなく感じてばかりで辛い。  
止めてと懇願しても少尉は聞き入れてくれなかった。  
少尉は私の声を無視して、頬に伝う涙をまるで犬のようにぺろりと舌で舐めた。  
「中尉、すっごく気持ち良さそうな顔してる…」  
「…あ…ッ、きゃあ…っ!」  
「…中尉っ、あんまり締め付けるな…」  
少尉に胸を揉まれるだけではなく、乳首を指で思いきり押し潰され、快楽と驚きから膣を締め付けてしまった。  
大佐が小さく呻く。  
「…あぁ…ッ、たい…さ…っ、もうイっちゃう…っ!」  
大佐に下から貫かれ、少尉に乳房を愛撫され、二人に挟まれた躯は限界が近いために小さく痙攣し始めていた。  
「あぁー…っ!たいさぁ…!だめ、だめぇ…ッ!」  
髪を振り乱しながら大佐にしがみつき、なりふり構わずもう無理だと叫ぶ。  
「イっちゃ…あ…ッ!イく…っ!」  
「中尉、イくとこ見せて…」  
「いいぞ中尉…っ!」  
大佐が思いきり下から突き上げ、膣の中の敏感な場所に固い先端をぶつけた。  
 
「――やああぁー…ッ!」  
許容範囲を越えた躯がぴんと強張り、そして一気に緊張がとけて緩んだ。  
膣を突かれ、熱い視線を浴びせられ、乳房を揉まれ、ブラウス越しに肩に噛み付かれ――何もかもが気持ち良くて頭が真っ白になってしまった。  
あまりの衝撃にほんの少しだけ意識が飛び、気が付けばまた秘所は蜜を噴き、そして大佐が私に遅れて達していた。  
涙で滲んだ視界で大佐が眉を寄せて精を放つ姿を捉える。  
「…ふ…あっ、あー…っ」  
躯に力が入らず、うしろにいる少尉の胸に思いきりもたれ掛かった。  
力の抜けた腕や脚もだらりと人形のように垂れ、私は酸素を貪ることで精一杯だった。  
「…あぁー…ッ」  
ぴくぴくと痙攣する私の汗まみれの躯を、大佐は前から、少尉はうしろから強く抱きすくめた。  
「…中尉、良かったぞ」  
「超可愛かったっス!」  
「…あ、そういえば…中尉に私とお前のどちらが良いかを決めてもらうんだったな…」  
「ああ、そうでしたね。中尉を気持ち良くさせるより、なんか俺達だけ楽しんだような気もするけど」  
「まあ、ヤる前から私に決まっているけどな」  
「いーや、今日から中尉は俺にメロメロですよ!」  
「中尉、どうだった?」  
「中尉、どうでしたか?中尉ー?」  
二人が話しているのを、フィルターでも掛かっているかのように、はっきりとではなくぼんやりと聞いていた。  
一番楽しんだのは――大佐でも少尉でもなく、この私だ。  
二人の男性に抱かれ、淫らにも常識や恥じらいを捨てて、乱暴なまでの快楽と最高の天国を味わったのだから。  
どちらが良いかだなんて、二人とも良すぎて決められるわけがない。  
しかし、そんなこと口にできるはずがない。  
「中尉、どうなんだ」  
「俺ですよね?ね?」  
どう答えるべきか迷っている間にだるさと眠気に襲われ、目を閉じるのと同時に私は意識を手放した。  
 
 
 
終わり  
 

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