執務室の空気がいつもよりずっと冷たく感じ、真冬でないというのに、鋭利に尖った氷が素肌を鋭く刺すようであった。
何もしていないというのに呼吸が乱れ、活発に動く心臓の鼓動の音が耳にうるさい。
いつも大佐が仕事をする机の上から見る景色は当然見慣れぬことはなく、不安ばかりが黒い染みのように心にじわりと広がる。
そして、神聖な職場である司令部にいるというのに性的なことを嫌でも考えさせられることも、煌々とした電球の明かりの下で裸体を晒すことも、すべてにおいてが異常であり心細くてたまらない。
「脚を開け」
必ず従わなければいけないという脅迫感に捕われてしまうような、人の上に立つ人間としては相応しい、厳しくて力強い声が耳に届く。
大佐はいつも上官としても個人としても、私に優しく接してくれていたために、このように一方的に命令されることはひどく珍しい。
机の向かいに足を組んで悠々と座る大佐は、一糸纏わぬ姿で戸惑う私を、目を細め楽しげに眺めていた。
「脚を開け。二度言わせるな」
先程よりも強い口調で大佐が命令をする。
深呼吸をすると、情けなくも唇がふるふると震えた。
己の痴態から目を逸らしながら、ゆっくりと膝頭を離して大佐の前に内股を晒す。
「手を後ろにつくんだ」
今にも泣き出しそうな気持ちを堪え、大佐に言われたままに両の手の平を腰よりうしろに置き、躯を支えた。
「…あ…っ」
大佐の手が太ももに伸びてきたかと思えば、まだ足りないというように強引に大きく開かれた。
内股はもちろん、恥部を隠す繁みも、そして恥ずかしいその奥もすべて見られてしまっている。
あまりの羞恥に火が出そうなほど頬を赤くして俯く。
「いい格好だな」
大佐が私を蔑むように笑う。
舐めるように遠慮なく裸体を見る大佐の視線が、矢のように肌に突き刺さって涙が出そうになる。
裸になり両手をついている私の今の姿は、まるで自ら大佐に秘所を見せ付けているようだ。
違う。
私は大佐に命令されたから、こんな意にそぐわぬとんでもない格好をしているのだ。
「あのホークアイ中尉が、私の前でこんな格好をするとは」
私が望んだことではない、と、もう一度否定する。
しかし、大佐から厳しい言葉を浴びせられる度に、冷たい視線を受ける度に、躯の中心が何故かじわりと熱を持つ。
大佐に触れられてもいないのに肌が熱くほてる。
まるでこの屈辱的な状況を楽しんでいるかのように、私の躯の深い部分は喜んで大佐に跪ずいているようだ。
大佐が私にここで服を脱げと命令した時から、何故か私はそんな違和感を抱いていた。
嫌ならば、あの時、従わないで逃げることができたはずなのに――
ふと、大佐は机の上に転がっていたキャップがついたままの万年筆を手にすると、いきなり乳房にペン先を押し付けてきた。
「…あっ!」
冷たい万年筆の先が乳房に埋まり、その初めての感触に驚いて小さく声を上げてしまう。
万年筆で胸を何度かつつくと、今度は乳首の周りを丁寧に撫で始めた。
「…やっ、あ…!」
執拗に乳輪をくすぐられ、胸元にぞわりと鳥肌が立つ。
そして、この異様な環境に興奮しているかのように、意に反して乳首がだんだんと固くなっていく。
「おや?中尉は万年筆でも感じるのか?」
「…違い…ます…っ」
木の実のように固くなり形をもった乳首を見て、大佐は呆れたように笑った。
「とんだ淫乱だな」
「あぁッ!」
ペン先がぐりぐりと容赦なく乳首に押し付けられ、背中にびりびりと甘い痺れが走る。
私達が性行為を行う時、大佐はいつも手や唇で優しく温かな愛撫をしてくれた。
冷たい無機物で、まるで物を扱うかのように触れてきたことは一切なかった。
「…やめて、くださ…っ!」
「でも君はこれがお気に入りのようだな」
「…んあッ!」
万年筆で乳首を軽く叩かれ、肌に触れた冷たい感触と固さが刺激となって躯を駆け抜ける。
大佐は万年筆を胸から腹、そして太ももへと滑らせた。
「…や…っ!」
「動くな」
大佐が何をしようとしているか分かり、思わず脚を閉じようとすると冷たく命令が下された。
「…あ…っ」
万年筆はしばらく繁みのかすかなふくらみと戯れ、そしてその奥にするりと滑り込んだ。
くちゅりと、耳を塞ぎたくなるような水音が静かな執務室に響く。
「…い、や…ッ!大佐…!」
「…ほう。もうこんなに濡らしている」
大佐が気まぐれに万年筆を動かすたびに、秘所から溢れた温かい液がぐちゅりと淫らな音を立てる。
ペン先はいやらしい匂いを放つ蜜ですっかり濡れてしまっているだろう。
自分でも恥ずかしくなるほど秘所が濡れているのが分かる。
大佐がひどい言葉を放つ度に、認めなくないはずなのに言葉に愛撫されているように躯は熱くなり、秘所は密かに濡れていたのだ。
「…あぅ…ッ!」
万年筆の先がそっと芽を出した敏感な尖りを強くつつき、腰や背中に電流が走るような痛いほどの刺激に襲われる。
大佐は優雅に椅子に座ったまま、敏感すぎるそこを容赦なくペンの先でぐりぐりと擦った。
「あぁ…ッん…、あ…!」
「机まで垂れているぞ…。まったく、淫乱だな」
「…はっ、ん…!」
冷たく突き放す大佐の言葉に、傷付くよりも先に何故か快楽を与えられているように背筋がぞくぞくと疼いた。
秘所から溢れた蜜が脚に伝い、机まで汚してしまっているはしたない姿を大佐に見られていることに、信じられないが興奮を覚えていた。
「ほら、入れてあげよう」
「…っ!」
濡れて温かくなってしまったペン先が膣の周りをくるりとなぞり、思わず息が止まった。
咄嗟に腰を引こうとするが、大佐の「動くな」という言葉を思い出し、まるで固定でもされたかのように躯がぴたりと動かなくなる。
「…あっ、それは…ッ!大佐っ、お願い…やめてください…ッ!」
「物足りないんだろう?」
「…嫌…ッ!」
ぬるりとペン先が我が物顔で膣の中に入り込む。
「いやぁ…ッ!」
腕をがたがたと震わせてこの仕打ちに耐えている私を気にすることなく、大佐はただ手を動かしてペンで膣を刺激する。
虐げられているかのようなあまりの扱いに、ついに目に涙が浮かんだ。
しかし、大佐は万年筆を揺する度にますます濡れる秘所を見てにやりと口角を上げた。
淫乱だなと言われていることが、大佐が口にしなくても分かる。
また背中に悪寒に似た痺れがぞくりと走る。
「…ん、んぅ…ッ!」
万年筆ごときに感じてしまう自分がはしたなくて、恥ずかしくて、悔しかった。
無機物にいいように扱われてしまうなんて屈辱的だ。
しかし、大佐はいつも指で愛撫するように的確にペンを動かして膣の中の敏感な場所を無駄なく刺激する。
「ひ…っ…あぁんッ!」
固い万年筆が膣の奥深くを擦り上げ、我慢できずに喘ぎ声がもれてしまった。
もっと強い快感を求めて腰が動いてしまいそうになり、歯を食いしばって机の上に尻を押し付ける。
「…や…めて…!」
「こんなに感じているのに?」
「か、感じてなんか…ッ!」
「君はこういうのが好きなんだろう?リザ・ホークアイ中尉」
「は…っ…んあぁッ!」
私に言い聞かせるように階級でゆっくりと名を呼ばれ、忘れていた羞恥心が途端に蘇る。
それと共に膣がきゅうっと嬉しそうにペンを締め付けた。
「認めるんだ」
「…あっ、それ以上は…っ!あぅ…ッ!」
腰全体がじわりと甘く痺れ始め、このまま愛撫され続ける状況を理性が危険だと警告してくる。
しかし、本能はもっと激しく、もっと熱く大きいもので肉をえぐって欲しいと要求している。
「君は淫乱なんだよ…中尉」
「ふぁ…ああぁッ!!」
対立する気持ちがまとまらないまま、まるで躯に突き刺すように万年筆が膣の奥まで勢いよく差し込まれ、ここが司令部で執務室だということも忘れて絶叫するように喘いだ。
大佐の手を目掛けて水のような液体が秘所から勢いよく噴き出し、止まらない。
「…あ…あぁ…ッ!」
達した私は単語すら紡げず、うしろに倒れ込まぬように机に手の平を押し付け、躯を支えることだけが精一杯だった。
まるで失禁してしまったかのように、机の上が秘所から溢れた蜜で汚れた。
尻の下にいやらしい液が水溜まりのようにできており、あまりの恥ずかしさに涙が頬を伝った。
「…またずいぶんと汚したな」
大佐は膣から万年筆を抜かないまま、内股も机もびっしょりと濡れている様子を心底楽しげに眺め、くつくつと笑った。
「そんなに万年筆が気持ち良かったのかい?」
言葉で否定をする気力はなく、大佐の望み通りの体勢のまま力無く首を振った。
私が息を荒くしたまま黙っていると、不意に、万年筆が差し込まれている膣より下の小さな穴に大佐の指が触れ、目を見開いた。
「…あ…そこは…!」
「別に初めてじゃないだろう」
尻まで垂れたねっとりとした生暖かい液体を指先に纏い、大佐はゆっくりと穴に侵入してきた。
「…ぅあ…!」
腹に感じる圧迫感に思わず呻く。
指一本を飲み込みのはずいぶんと時間が掛かったが、一度指の侵入を許してしまうと、そこは大佐の思うままに広がった。
大佐が穴の中で指を折るのを、そこは私の意思とは反対に柔軟に受け止めてしまう。
「…く…う…っ!」
目を固く閉じ、膣に挿入される時とは違う圧迫感に耐えていると、いつしか濡れそぼった二本の指がスムーズに穴の中を出入りしていた。
狭かったはずの入口は無理やり広げられ、時間をかけてほぐされたそこは、乱暴に扱われてもまるで膣のように大きく広がり大佐の指を包み込む。
そして、指をどんなに動かされても痛さを感じなくなった頃、突然指とは違う熱いものが押し当てられ、躯が強張った。
さあっと顔から血の気が引いていくのが分かった。
大佐は椅子から立ち上がり、そして、ズボンの前をくつろげていた。
避妊具に包まれた大佐の固いものが、膣ではなくその下の穴に押し入ろうとしている。
「…や…っ…だ、駄目…!」
かたかたと小刻みに躯が震えた。
しかし私を睨んだ大佐が視線だけで「動くな」と命じ、闇の底に突き落とされたような絶望的な気持ちを味わう。
「…うあぁー…ッ!」
ぎちり、という肉が無理やり押し広げられる音が聞こえたような気がした。
痛みと苦しみに涙をぽろぽろと零す私に構うことなく、むしろ大佐はそんな私の姿を見て愉快そうな笑みを浮かべながら、猛りを一気に挿入した。
「いあぁッ!」
首を大きくのけ反らせて叫ぶ。
汗と涙が宙を飛んだ。
腹の中を太い棒で焼き付けられているように、ひどく熱い。
「…は…ッ、あぁ…」
しかし、圧迫感はあるものの、それを凌駕するほどこの小さな穴を無理やり征服されたことが何故か不思議と心地良かった。
穴の中で大佐のものが小さく動く度、腰から下に痛みよりも快楽が駆け抜け、躯の一部がおかしくなってしまったのではないかと疑うほど気持ちが良い。
「…あんっ、や…ッ!」
大佐がゆっくりと腰を振るのと同時に、膣に入ったままだった万年筆を軽く抜き差しされ、強張っていた躯から力がすっと抜ける。
「ふぁ…あっ!あぁッ!」
敏感な両方の穴を同時に刺激され、喘ぎ声がより大きくなる。
私が力を抜いたことで動きやすくなったのか、大佐は腰の動きをだんだんと大きなものにしていった。
「…んはっ、あぁ…あ…!」
万年筆が円を描くように膣の中で大きく動くと、また淫らにもとろりと蜜が溢れて私と大佐を汚す。
それを見て大佐が私をけなすような視線を向けるが、快楽に変わるだけだ。
「あぅ…や、ん…!」
敏感な膣を万年筆で刺激されたことにより躯から無駄な力が抜け、二つの穴は大佐の思うがままに広がった。
まるで膣の中で動くように、小さな穴の中で大佐の猛りが激しく動き、机に倒れ込まぬように躯を支えることが必死だった。
「んんっ…う…あ…ッ!」
大佐に揺さ振られる度に、まともに呼吸する暇がないほどただ喘ぎ声がもれる。
本来ならばものを受け入れぬようにできているそこを、熱い塊で容赦なく貫かれることが気持ち良い。
机の上で脚を大きく開き、大佐の好きなように淫らにも二本も異物を飲み込んでいることが気持ち良い。
まるで物のように扱われ、貪欲に快楽を受け止めるこの躯を蔑まれていることが――確かに気持ち良い。
「はぅ…っ!あ…やぁ…ッ!」
一度素直に気持ち良いことを認めてしまうと、プライドを捨て、どこまでも快楽を求めて乱れてしまう。
「あぁんッ!」
私は本当は大佐が言うように「淫乱」なのだろうか。
そんな考えすら美味しそうに万年筆を締め付ける原因になる。
「あ…ッ、また…イっちゃ…!」
大佐を飲み込む穴は塊を離すまいというように彼に絡み付き、もっと激しく突いてほしいとひくついている。
膣も、その下の小さな穴も完全に大佐にとろけさせられ、いつ達してもおかしくなかった。
太ももが限界を訴えるようにぶるぶるとみっともなく震える。
「あっ、駄目ぇっ…イく…!――いやあぁッ!」
大佐が膣の奥深くに万年筆を押し込んだことにより、また簡単に達してしまった。
躯がびくびくと痙攣し、肩を上下させながら夢中で酸素を貪る。
「…やっ…あ、動かないで…ッ!」
絶頂を迎えた余韻により躯中の感覚が真っ白になってしまった気がした。
しかし、額にうっすらと汗を浮かべている大佐はまだ達しておらず、再び強く突き上げられる。
陸に上がった魚のように躯がびくりと跳ねた。
「いやぁッ!もう…イった、からぁ…!」
「まだだ…」
涙ながらに止めてと叫んでも、大佐は腰を振るのをやめず、むしろもっと激しく突き上げ出しだ。
泣きじゃくる私を見て大佐は残酷な笑みを浮かべると、涙で濡れた頬に軽く噛み付いてきた。
「…あっ、うあぁ…ッ…あッ!」
「いいぞ、中尉…っ」
繋がった場所が擦れ合う度に熱すぎて焼けてしまうのではないかと思った。
躯中の痺れが治まらないまま、また強い刺激を与えられ、躯がめちゃくちゃになりこのまま感覚をなくしてしまいそうだった。
「…中尉…っ!」
「あ…っ、ひぅう…ッ!」
躯の奥深くに向けて腰を強く打ち付けた大佐の顔が苦しげに歪んだ。
大佐の熱い性器がどくんと動き、まるで破裂するように精液が放たれるのが分かった。
私の躯の奥深くで大佐が達して射精をしているという事実がまた快感を呼び起こし、ついに震えていた腕ががくりと折れてしまった。
汗まみれの躯が机の上にどさりと崩れ落ちる。
「…あ…っ」
粘着質な水音を立てて大佐が私の中から抜け出し、思わず声を上げてしまう。
これでやっと終わりか――
机の冷たさを味わいながらぼんやりとそう思った時、大佐の手が秘所に伸びたのが目に入った。
「…あん…っ!」
大佐は抜けかけていた万年筆を再び膣の奥まで差し込み、休む間もなく再び強い快楽に襲われ、背が弓のようにのけ反った。
「私より先にイくとは…はしたない躯だ」
「…あっ、あんッ!」
焼けるように熱い膣を固い万年筆がぐちゃりと掻き混ぜる。
大佐はペンを動かしながら、机の引き出しから太い紐を取り出し、それを私に見せ付けた。
「お仕置きだな、中尉」
「…はい…」
紐が手首に巻き付けられこれからの仕打ちに恐れを抱く一方、まるで期待をするようにまたとろりと秘所から蜜がこぼれ落ちた。
終わり