脱ぎ捨てた服やビールの空き缶が床に隙間なく転がる俺の汚い部屋に、あの清楚なリザ・ホークアイがいるだなんて、いつも有り得ないと思ってしまう。  
その反面、薄汚い壁に囲まれた小さなベッドに中尉が眠るという光景は、いつしかこの部屋に馴染んでしまっていた。  
静かに眠る中尉を腕にしっかりと抱き、彼女の額の汗に気付いて、シーツを引っ張って拭いてやる。  
中尉を初めて抱いたのはいつのことだったか、ふとそんな考えが頭を過ぎった。  
物を考える時の癖で、ついサイドテーブルにある煙草に手を伸ばしそうになったが、中尉の穏やかな寝顔が目に入り、彼女の柔らかい髪に指を絡めることで煙草は諦めた。  
中尉の美しい金髪は初めて出会った時よりもずいぶんと長くなり、女性らしくなった。  
俺が中尉を初めて抱いたのは、そう、彼女の髪がまだうんと短かった頃のはずだ。  
深夜、人気のない大部屋の片隅で中尉が床にうずくまっているのを、たまたま俺が発見したのがすべての始まりだった。  
中尉は胸を片手で強く押さえ、溺れた人が必死に酸素を求めるように変な呼吸を繰り返していた。  
唇から吐き出される息が不規則で、やけに早く苦しげだ。  
中尉が呼吸困難に陥っていると気が付いた俺は、すぐさま中尉に近付き、膝を折って彼女の背を撫でた。  
額を汗でびっしょりと濡らした中尉は、うずくまっているのではなく、立っていられずにその場に倒れ込んでしまったのだ。  
焦った俺は医務室に運ぶことと大佐を呼ぶことを思い付いたが、中尉がすぐにその二つを否定した。  
呼吸が上手くできていないというのに、中尉は必死に「あの人は呼ばないで」という言葉を苦しげに搾り出した。  
俺は中尉の弱々しくも頑なに懇願する瞳に負けた。  
結局、中尉の息が落ち着くまで、医務室にも運ばず大佐も呼ばず、俺は彼女の背中をさすることしかできなかった。  
そして、しばらくしてやっと普通に呼吸ができるようになった中尉を俺が自宅へ送ることになった。  
中尉のアパートまでの道のりを彼女を支えながら歩いていると、その時に初めて彼女は「イシュヴァールの時のことを思い出してしまったの」と小さく呟いた。  
自宅の玄関についても、中尉の身体や手はまだかすかに震えていた。  
イシュヴァール戦が終わったあたりから、この症状が始まり今も治らないらしい。  
イシュヴァールでの出来事を思い出すと、息が苦しくなり身体が震えてしまうのだと中尉は痛々しく告白してくれた。  
そして、大佐にこのことを言わないでほしいと俺は中尉に再び懇願された。  
お願い、と、あの中尉が俺に頭を下げた。  
中尉は、今までずっと一人でイシュヴァール戦を背負い、こんなに細い身体を孤独の中で震わせて耐えてきたのか――  
「大丈夫よ」と、中尉は俺を見上げて不器用に笑顔を作った。  
元から顔の白い中尉がさらに青白くなるとまるで病人のようで、そしてその表情は今にも泣き出してしまいそうな儚さだった。  
――大丈夫なわけがないだろう?  
本当にありがとうと俺に礼を言い、部屋に入った中尉の背中を咄嗟に抱き寄せ、アパートの扉が閉まるのと同時に俺は玄関の床に彼女を押し倒した。  
 
腕の中にある身体は小さく、そして氷のように冷たい。  
ハボック少尉と、目を見開いて驚いたように声を上げる中尉に有無を言わせず口付けた。  
今だけでもいいから、この時だけでもいいから、孤独な中尉を温め、イシュヴァールなどこの人を苦しめるすべてを忘れさせてやりたかった。  
お願い、待って、ハボック少尉。  
俺は中尉の言葉を無視した。  
その晩、俺は初めて中尉を抱いた。  
 
その夜から、俺と中尉の身体の関係は不規則ながらも続いていた。  
当然ながら俺達は恋人同士ではない。  
暗闇に飲まれそうになる中尉を俺が助けるという形で、何度も彼女を抱いてきた。  
発作を起こして突然泣き出す中尉を、呼吸が苦しくて床に倒れ込む彼女を、俺は「大丈夫だよ」と懸命にあやし、そして彼女が温かさだけを感じていられるように抱く。  
今夜も、中尉は鳶色の目に涙をたくさん溜めて、子供のように俺のところへ真っ先に駆け寄ってきて胸にしがみついてきた。  
俺の胸に顔を埋め、縋るように背に腕を回し、俺のシャツを涙で濡らしながら中尉は「助けて」と叫んだ。  
「安心して」と何度も耳に直接囁きながら、泣きじゃくる中尉に人の温もりを伝えるよう身体を重ねた。  
今は穏やかに眠る中尉の目元はまだ赤く、痛々しい。  
癒すように、そっと中尉の目尻に口付けてみる。  
中尉はイシュヴァール戦のことで精神的に病んでいることを、大佐には絶対に告げないと言っていた。  
中尉は大佐に余計な心配を掛けることを許さず、いつも完全な「リザ・ホークアイ中尉」でいたいと願っている。  
中尉が大佐の背中を追い掛ける姿はいつも毅然として美しく、そして同時に傷だらけでボロボロだ。  
中尉は常に自分のことよりも大佐のことを心配し、守り、生きているから、隙を作らない彼女にはどこにも弱音を吐き出す場所がなかった。  
俺は「完璧なリザ・ホークアイ中尉」のせめてもの逃げ場として、唯一弱音を吐くことのできる存在でありたいと思っている。  
しかし、果たしてちゃんと中尉を助けられているのだろうかといつも不安になる。  
肌と肌が直接触れ合う温もりを与え、一時的でもいいから中尉を孤独や暗闇から救うことができているのだろうか。  
中尉の背にある火傷の痕を指先で撫でながら、物思いにふける。  
行為のあと、まるで恋人同士がするように余韻に浸りながら中尉の身体に触れることが、俺の癖だった。  
中尉は「鍛えているから可愛くない身体よ」なんて言っているが、男の俺からすると、やはり彼女の身体は細くて柔らかい。  
脚は細く長くて、腰はきゅっと括れているのに、胸が反則なほど大きくて最高の身体だと思っている。  
女性らしい丸みを帯びた白い肩を撫でながら、俺が中尉とこうして寝る仲だと仲間達が知ったら驚くだろうな、なんて考えてみる。  
あの大佐だって言葉を失って驚くだろう。  
中尉の眼中や世界には大佐しかいないが、今のこの秘密の時間だけは、彼女は俺のものだ。  
中尉の知らないわずかなこの触れ合いで、俺の独占欲は十分に満たされる。  
「…しょ…い…?」  
「…え…中尉…っ?」  
眠っていたはずの中尉の唇が小さく動き、掠れた声が耳に届いて驚いた。  
緩慢な動きで瞼が開き、鳶色の瞳が現れる。  
 
「…す、すいません…起こしましたか?」  
「…ううん…平気…」  
俺が身体にべたべたと触っていたせいで中尉を起こしてしまったのだと焦りながら謝る。  
中尉は目を擦りながら、寝起きのためにいつもよりゆっくりと言葉を紡いだ。  
「うとうとしていただけだから…気にしないで…」  
中尉はそう言うと、俺の胸に頬を擦りつけ、ちらりと俺を見上げた。  
「……ハボック少尉」  
「…な、なんですか」  
中尉の鳶色の大きな目に見つめられることは、彼女の瞳が俺だけを映すことは未だに慣れない。  
「もう撫でてくれないの?」  
悪戯っぽく中尉が笑ったために、俺は少し驚いた。  
今の中尉は司令部にいる時のように厳しい空気を纏っておらず、まるでそこら辺にいるただの女の子のようだ。  
軍人でも大佐の副官でもない、ただの「リザ・ホークアイ」だ。  
「少尉は、いつも…あの、終わったあとに…肩とかを撫でてくれるでしょう?」  
「…あ…気付いてたんですか」  
まさか中尉が俺に触られていることに気付いているとは思わなかった。  
恥ずかしさや申し訳なさで顔が引き攣り、変な汗が背中に浮かぶ。  
勝手に触ってすみませんと謝ろうとする前に、中尉が口を開いた。  
「少尉が撫でてくれると…すごく落ち着くの。とっても安心して眠れるのよ。だからさっきもすぐうとうとしちゃって…」  
「…え…」  
俺が勝手に触っていただけなのに、中尉がそんなことを思っていたことに驚く。  
「…ごめんなさいね。いつも一方的に押しかけて、泣いて、すぐ寝て…。…子供みたいで恥ずかしい」  
中尉が赤い目元を細めて苦笑する。  
「少尉にずっと謝りたかったの…ごめんなさい」  
「…いや、元は俺が勝手に始めたことですし…別に謝ることなんてないっスよ」  
「…ううん…本当にごめんなさい…」  
俺に謝ってから、中尉は目を伏せて黙り込んでしまった。  
寝室が重苦しい空気に飲み込まれるのを防ぐように、俺は再び中尉の肩に触れ、そしていつものように背中を手の平で撫でる。  
中尉がとろんと目元を下げた。  
「…ふふ…少尉、あったかい…」  
両手を枕代わりにしている中尉が、さらに俺の胸に寄り添ってくる。  
中尉の甘い香りが鼻を掠めた。  
「…気持ちいい、ですか…?」  
「…ん…」  
喉を撫でられている猫のように心地良さそうに目を閉じ、こくりと頷いた中尉が愛らしい。  
まるで彫刻のように整っている横顔につい見惚れた。  
俺は「頑張りすぎている上官」を抱いているつもりだけれど、本当は中尉を異性として抱いてしまっているのだと、こういう時に思い知らされる。  
中尉がただの一人の女性である「リザ・ホークアイ」に戻る度に、俺の中の彼女を想う気持ちが大きくなる。  
「…中尉…」  
「なに?」  
「…俺、本当に迷惑じゃないですから…本当に自分の意志で中尉を抱きたくて抱いていて…むしろ中尉を助けられているのか悩むくらい」  
「…少尉?」  
突然こぼした俺の本音を聞いて、中尉はそっと目を開いた。  
「というか、俺、ずるいんです。中尉を救うつもりで、ただ独占欲から中尉を抱きたいだけかもしれない」  
「…しょ…」  
不思議そうに俺を見つめている中尉の唇を塞ぎ、俺の名前を呼ぼうとした言葉を飲み込む。  
中尉の両手首を拘束するように握り、シーツに縫いとめ、頭は枕に押し付けた。  
 
乱暴に舌を差し込んで、中尉の舌を追い掛けて無理やり絡めとる。  
「…ん…っ」  
中尉の肩がぴくんと揺れた。  
まるで攻撃するかのように中尉の口の中を荒らす。  
「…はぁ…っ」  
唇を離すと、名残惜しいというかのように銀の糸が二人を繋ぎ、ぽたりと中尉の顎の上に落ちた。  
息を落ち着かせている中尉の首筋にまるで誰かに急かせているように吸い付き、再び赤い痕を残した。  
無性に中尉を抱きたくて仕方がなかった。  
「リザ・ホークアイ中尉」ではない中尉を、ただの女性に戻った彼女を抱いて、自分のものにしたという気分に浸りたいだけなのかもしれない。  
「…少尉…?…あ…っ、急に、どうしたの…?」  
「中尉を抱きたい」  
「…やあ…っ!」  
何の前触れもなく胸を鷲掴みにすると、中尉が唇から甘い声をもらした。  
中尉の豊かな乳房は俺の大きな手に余るほどで、その魅惑的な胸を夢中で揉んだ。  
「…ん…ッ、あぁ…!」  
人差し指を唇で軽く噛み、声を抑えようとしている中尉の姿が色っぽくって、身体の中心が熱を持つ。  
白い乳房にしゃぶりつくと、中尉の身体も先程のようにだんだんと熱を帯びていく。  
「…中尉…やっぱ胸、弱いんですね…」  
「や…っ!…な、んで…っ」  
「ほら、もう乳首がこんなに硬くなってる」  
「…っ…言わないで…ッ!」  
乳房を吸い上げ、柔らかい舌で乳首を包み込みながらどれほどそこが硬くなっているのか思い知らせる。  
中尉は美しい金髪を振り乱して否定した。  
「…素直になって、中尉…」  
「…あ、噛んじゃ…!んっ、いやぁ…っ!」  
乳首に軽く歯を立てて噛むと、開きっぱなしの乳首の唇からとろりと唾液がこぼれた。  
「…や、だめ…!」  
乳首に歯を立てて引っ張り、口を離すと乳房が小さな風船のようにぷるぷると揺れる。  
玩具で遊ぶかのようにそれを繰り返し、豊かな乳房の弾力や大きさを満足するまで楽しむ。  
「…んん…!」  
唾液まみれになった乳輪をくるりと指先でなぞると、それだけで中尉が背をのけ反らせた。  
「ほら、やっぱ弱い」  
「…い、じわる…!」  
果実のように硬くなった桃色の乳首を指で摘み上げ、捏ねくり回す。  
「…そんなにしちゃ…あ、やだ…っ!」  
乳首ばかりを責めていると、感じすぎているのか中尉の身体がぴくぴくと小刻みに揺れていた。  
「…こっちもいじってほしい?」  
「いや…っ、違う…っ!」  
赤く染まった耳に意地悪く囁いて、金の繁みの奥に手を伸ばす。  
そこは先程の名残もあってか、すでにぐっしょりと濡れていた。  
秘所に手を当てるだけで、生暖かい蜜が指にとろりと纏わり付く。  
「…やっぱ、胸であんなに感じたから、こんなに濡れてるんですね…」  
「…意地悪言わないで…っ」  
俺が耳を舐めながら囁きかけると、中尉は恥ずかしさから目をぎゅっと閉じた。  
尻まで蜜でどろどろに濡れており、当然のように膣は指一本を簡単に飲み込んだ。  
「…ん…っ」  
「俺の指こんなに締め付けて…分かりますか?ほら、とろとろ…」  
「ふぁ…っ、あぁんッ!」  
指を二本に増やして中尉の中に差し込み、膣の中で思い切り指を広げた。  
「…や…っ、それ、嫌…!」  
「…気持ちいいでしょ…?」  
「…やあ…ッ」  
 
甘い声を引っ切りなしにもらす中尉の要望に応えるように、狭い膣の中の壁を二本の指で擦り付けるように、水音を立てながら動かし出す。  
膣が嬉しそうにひくついた。  
「…ほら、気持ちいいですか?」  
わざとぐちゃぐちゃと音を立てながら指の抜き差しを繰り返す。  
「…き、聞かないでぇ…っ!」  
「…中尉、いやらしい…」  
俺の指を美味しそうに飲み込み、白い身体を震わせ、人差し指を噛みながら喘ぐ中尉はあの「リザ・ホークアイ中尉」とは思えない淫らさだった。  
「…あぁ…っ、うんんッ!」  
膣の中で指を折り曲げると、中尉は軽く達してしまった。  
のけ反った白い喉が美しい。  
「…は…っ…」  
ぴんと身体の中に針でも入れたかように真っ直ぐに伸び緊張していた身体が、どさりとシーツの上に落ちた。  
豊かな乳房が大きく上下させ、汗まみれの身体を震わせながら余韻に浸る中尉がなまめかしい。  
中尉の熱を持った頬を眺めながら、俺は避妊具を勃起した自身につた。  
中尉の額に口付けながら、彼女の脚をそっと広げた。  
「中尉…いいですか…?」  
「…ん…」  
俺の問い掛けに、中尉が俺の首に腕を回しながら応える。  
膣に張り詰めた自身を宛てがい、ゆっくりと沈めていった。  
先端を入れただけなのにきつく、そしてとてつもなく熱い。  
「…あっ、あぁー…っ!」  
中尉の中は相変わらず破れそうに狭く、最奥に届くまで気が抜けない。  
侵入者に腹の中を圧迫され身をよじる中尉の背を撫でながら、何とか一番奥まで身を沈める。  
「大丈夫ですか…?」  
「…ん…あ…っ!へ、へいき…ッ!」  
平気と言うが、中尉の太ももはがくがくと頼りなく震えていた。  
相変わらず我慢ばかりする人だと心の中で苦笑する。  
中尉の中は狭くて熱くて最高だが、今すぐ腰を振り乱したい衝動をなんとか抑え、中尉の胸の上に顔を置いた。  
「…ん…少尉…」  
ドクンドクンと、少し速い鼓動が耳に届く。  
中尉は俺の胸に寄り添いながら「気持ちいい」と微笑んでいたが、こんな気持ちなのだろうか。  
好きな女性の生きている鼓動を直に耳にすると安心する。  
しかし、俺は立派な男だ。  
頬に柔らかい乳房と硬い乳首の両方の感触を感じ、また自身が熱を持ったような気がした。  
「…ふぁ…ッ」  
それが中尉にも伝わったのか、彼女は汗ばんだ俺の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱した。  
「…あ、中尉…すみません…」  
「…ん…っ、いいの…」  
「おっぱいが最高でつい…」  
「…そ、そういうことは言わなくていいのよ…。…いつもごめんなさいね」  
中尉はいつも自分が落ち着くまで俺が待っていることを謝っているようだった。  
「…いや、俺、この時間好きっスよ」  
熱い肉にしっかりと包まれておきながら動けないのは正直苦しいが、中尉の身体を抱き締めている時間は穏やかで落ち着く。  
「…私も…。ね、でも…」  
中尉の長い脚が、ゆっくりと動き、離すまいというようになまめかしく俺の腰に絡み付いた。  
「…もう…動いて…?」  
中尉がかすかに腰を動かし、自ら抜き差しをして、俺に動くよう誘ってくる。  
鼻血が出そうなあまりの色っぽさに、卒倒してしまうかと思った。  
「…じゃあ…いきますよ…!」  
「…あっ、あ、…ひゃあんッ!」  
 
今まで抑えていた分を解放するように、自身が抜けてしまいそうなほど大きく腰を引いて、そして強く捩込んだ。  
「や…っ、最初から…っ!…そんなに…!」  
「中尉から誘ったんですよ…っ」  
「んぅ…!…激し、い…ッ!」  
肉と肉が激しくぶつかり合う音、乱れた呼吸、飛び散る汗。  
ベッドの上で隙間なく絡み合う俺達は異様な熱気に包まれていた。  
「…あぁんっ!…あっ…すごい…ッ!」  
「つか、中尉、締め付けすぎ…!」  
「だ、だって…!はぁ…あ…っ!」  
まるで食いちぎるかのように、熱い膣が俺のものをぎちぎちと締め付ける。  
中尉を突き上げる度に乳房がたぷたぷと揺れ、秘所には汗や蜜が飛び交い、その卑猥な光景に目が眩む。  
「あ、やぁあッ!」  
中尉の甘い喘ぎ声を聞くと、腰に痺れが走る。  
中尉は自身が膣の入り口を通過する度にひどく感じるのか、俺を抱き寄せる腕に力をこめた。  
「…あっ、しょ、少尉…!もう…!」  
「…もうイく…?」  
「うぁ…あっ、もう…!もう駄目…!」  
中尉が涙を零しながら頼りなく首を縦に振る。  
柔らかくも熱く狭い膣に強く包み込まれ、俺ももう限界だった。  
「中尉…っ!」  
「あぁっ、あ、少尉…!少尉ぃ…!」  
「…っ…!」  
「――あっ、やあぁッ!」  
自身全体で膣をなぶるように、最奥まで突き上げると、中尉の秘所から蜜が噴水のように噴き出した。  
腰に回された中尉の脚がぎちぎちと俺を挟む。  
「…リザ…!」  
中尉の淫らな姿が目に入り、そして彼女にきつく締め付けられ、俺も遅れて達した。  
「…ふぁ…、少尉…っ」  
中尉に腰を打ち付けるようにして何度も動かしながら、彼女の一番奥で精を放つ。  
膣は自身が溶けてしまいそうなほど熱く、思わず呻いてしまうほど射精が気持ち良かった。  
全部精を放つと、なるべく中尉に体重を掛けぬよう、どさりと彼女の上に倒れ込む。  
中尉は覆いかぶさってきた俺の背に腕を回して抱き締めてくれた。  
「…しょ、い…」  
まだ中尉の中に入っている自身が、たまにきゅっと締め付けられ、腰のだるさが増す。  
俺も中尉の背中に腕を回し、汗にまみれた身体同士を隙間なく密着させた。  
中尉の柔らかな乳房がくにゃりと俺の胸板に押し潰される感触が心地良い。  
「…少尉…すき…」  
「…中尉…?」  
「…好き…」  
中尉は荒い呼吸を繰り返しながら「好き」と短い言葉を何度も言い、やがて目を閉じた。  
糸が切れたかのように、背中に回された中尉の腕からだらりと力が抜け、シーツの上に落ちる。  
俺はその光景をただ唖然と眺めていた。  
中尉が口にした「好き」がどれほどの大きさなのか、俺には分からない。  
分かるはずがないのだ。  
中尉をきつく抱き締め直す。  
耳に残る中尉の声を深く考えないようにし、純粋に「好き」という言葉を噛み締めながら、彼女の胸に顔を埋めた。  
 
 
 
終わり  
 

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