―――ボーン・・・・  
部屋の時計が大きく一度だけ時を告げる。  
酷くぼんやりとした頭でオリヴィエは、先ほども一度だけ鐘が鳴ったのを思い出した。  
つまり一時だ。  
部屋には誰もいない、否ホークアイが帰った時から誰も部屋に入れなかった。  
セントラルの司令部には夜中でも働いている人間はいる。  
しかし、オリヴィエの当てがわれている高官用の執務室の周辺は  
ひっそりと静まり返った空気になっていた。  
早く家に戻りシャワーを浴びたい。  
いや、寧ろ早くブリックスの山に逃げ戻り、自分の安全な要塞に引き篭もりたい。  
こんな自分を見たら、あの優秀な赤眼の副官は何と思うだろうか。  
これくらいの事は、セントラル入りをする時から覚悟はしていた。  
しかし、いざ事が起こってしまうと、オリヴィエは心折れそうな自分に情けなく、  
青白い頬に涙が伝った。  
 
 その頃優秀な副官を失って仕事に追われていたロイ・マスタングは、やっとの思いでペーパーワークを終え、  
メモを忍ばせたチェス盤を持って、誰も居ない廊下をひっそりと歩いていた。  
中にはオリヴィエ宛のメモが入っており、夜中の内に彼女の机に置いて帰る段取りだった。  
約束では鍵が掛けていないはずで、佐官の部屋を通り抜けて、彼女の執務室の扉を開けた。  
「あっ・・・」  
 いない筈の部屋の主がソファーに凭れ掛るように座っている。  
あっけにとられた女の顔を見て、ロイは胸が締め付けられるような感覚に囚われた。  
燃えるようなオーラも、他人を仰け反らせるような覇気もない。  
ただ儚く消えてしまいそうな、今すぐ抱きしめてやらないと壊れてしまいそうな、そんな気がした。  
「それを置いて出て行ってくれ」  
 彼女は静かにそう告げ、再び俯いてしまう。  
ロイは机に盤を置いたが、出て行く気にはなれず、じっと彼女を見つめた。  
生粋のアメストリス人らしい見事な金糸が、端正な横顔を隠している。  
先ほど見た彼女の頬には、見たことも無い涙の後が微かに見えた。  
やはり細い首筋に続く鎖骨を見たとき、ロイは強い違和感を覚えた。  
「オリヴィエ・・・」  
 思わずその名で呼んでしまう。  
普段なら愛刀で真っ二つにされそうなものだが、その手にも腰にもサーベルはない。  
無意識のうちに彼女の前に歩み、そのまま膝を折った。  
すぐ近くに彼女が見える。  
しかし、やはり彼女の軍服の下にアンダーウェアは見えなかった。  
 
 恐る恐る手を伸ばし、いつも心の底で触れてみたいと願っていた、その流麗な髪を梳く。  
本物だ。ロイの指には想像していたより柔らかな感触が確かに伝わった。  
「貴様の大切な宝石に瑕は付いてない」  
 ぼそっと静かに呟いたオリヴィエに、ロイは眩暈さえ感じた。  
震えそうになる腕を伸ばし、ゆっくりと確実に、オリヴィエのその身を包み込む。  
氷の女王と呼ばれているのに、酷く暖かな身体は、身じろき一つしなかった。  
夜中の冷えた空気に熱い嗚咽が流れ出す。  
抑えた声と共に熱い涙が溢れ出した。  
「どうして・・・・」  
 オリヴィエの掠れた声が言う  
「マスタング、お前が泣くのだ・・・」  
 部屋を満たすロイの泣き声に、オリヴィエは不思議そうに尋ねた。  
オリヴィエを包む腕に力を込め、ロイは囁く。  
「貴女は・・・貴女は、声を上げて泣けない  
 だから代わりに私が泣いてさしあげるのですよ、オリヴィエ」  
いけ好かない、そう思っていたはずの男の身体に、オリヴィエはきつく腕を回した。  
「そうか・・・ならついでに、今はここに居ないあの男の代わりに・・・私を抱いてくれ」  
「イエス、マム」  
 
 ロイは自分もソファーに腰掛けると、優しくオリヴィエを抱き寄せ、その髪をかきあげる。  
いつもは隠れているその双眸は、よく氷のように例えられるが、  
ロイはいつも、リザの寂しげな夕焼けの瞳と対照的な、晴れ渡る空のような色だと思っていた。  
士官学校で初めて見たときから、彼女は颯爽と輝く太陽が創り出す、明るい空のようだった。  
いつから憎まれ口を叩き合う様になったのか忘れたが、それでもいつも美しい人だと思っていた。  
愛し合い支えあうリザとは別の、憧れに近いようなくすぐったい存在。  
ライバルと言われると、一歩近づいたようで嬉しくなる。  
傷ついて欲しくないのは彼女も同じだ。  
しかし、この女性は自分に守られるような、そんな存在ではない。  
彼女が自ら疵を負う道を選んだのなら、せめても少しは癒えるよう、ロイは優しく口づけた。  
ふっくらとした柔らかな唇を啄ばんで、そっと舌を差し込む。  
真珠のように美しく並んだ歯列をなぞり、お互いの舌を絡めあう。  
「ん・・・ふぅ」  
 聞いた事の無い可愛らしい声を漏らし、うっとり瞳を閉じるオリヴィエに、  
ロイは早くも自分の中心が熱くなるのを感じた。  
ロイの唇はオリヴィエのそれから外れ、顎や頬、耳朶と、優しく撫でるように動いてゆく。  
極上の絹のような肌触りを楽しみながら、ロイは白い首筋に顔を埋める。  
そうしながら、片方の手で器用に服のボタンを外すと、すぐに毬のような乳房が現れた。  
 
「想像どおりの美乳ですね」  
「やめろ・・恥しい」  
 ロイは真っ白な雪球のような大きな乳房に一しきり見惚れ、おもむろに顔面をその間に埋めた。  
柔らかな弾力が顔を弾き返し、もう一度それを味わおうと必死になって頬擦りする。  
「ぁん・・」  
 頬に当たるしこりを見つけると、まるで赤ん坊のようにしゃぶりついた。  
「いゃ・・・ん・・・お前は脚フェチではなかったのか?」  
「そうですよ。ですが、こんな素敵なおっぱいを捨て置ける男はおらんでしょう」  
 そう言いながら、堅くなり始めた先端を軽く噛み扱く。  
その度相手の声に反応して、ロイの下半身も徐々に堅くなり始めた。  
丁寧にキスの雨を降らせながら、オリヴィエの腕から袖を抜いてゆく。  
オリヴィエはそのロイの如才なさに感心しながら、  
一体どれだけの女を相手にしてきたのか疑問に思った。  
それともホークアイだけでこの技術を身に付けたのだろうか?  
実のところあまり経験の無いオリヴィエには、声を抑えるのすら精一杯だった。  
 
 ロイの腕はオリヴィエを優しくソファーに寝かせながら、ズボンをそっとのそ脚から脱がせる。  
やはり下着は着けてなく、ロイは喉に苦い物が込み上げるのを感じた。  
淡い色の叢をそっと撫で、むっちりと肉ののった太腿を何度も撫で上げる。  
「あぁ・・・やぁ」  
「やはり脚も素敵だ」  
 言いながらロイは身体をずらし、オリヴィエの脚にゆっくりと舌を這わす。  
ねっとりと唾液が絡みつき、彼女の足は次第に熱を帯びてゆく。  
両脚の付け根からは、ロイの唾液とは別の粘液がじわりと染み出す。  
「少将は意外に濡れ易いのですね」  
 黒い切れ長の目が笑ってオリヴィエを見つめると、彼女の顔に赤みが増した。  
ロイは濡れた割れ目に顔を近づけると、大きく息を吸って、その匂いを確かめる。  
「こらっ・・やめんか!」  
 恥しさで耳まで真っ赤にしながらオリヴィエが喚くと、  
ロイはお構いなしにその濡れた果実を口の中に収めた。  
「あぁっ!」  
 口の中に広がる塩味を味わいながら、舌先で丁寧に割れ目をなぞってゆく。  
撥ねるオリヴィエの上半身に手を這わせながら、  
ロイは腫れだしたクリトリスを丁寧に唇で揉みしだいた。  
尽きることなく溢れ出てくる愛液に、ロイのペニスは痛いほどに膨らんでいた。  
「我慢できない・・・いいですか?」  
 相手の確認を得る前に、ロイは己の服を脱ぎ捨て、オリヴィエに身体を沿わせる。  
「・・・いいぞ」  
 
 潤みきった彼女の瞳を見ながら、赤くひくつく粘膜に己の肉柱を擦り付ける。  
押し返すような弾力を楽しみながら、ゆっくりと熱い泥濘に全てを押し込んだ。  
「ぁああぁ・・」  
 お互いの喉から歓喜とも悲鳴ともつかぬ音が漏れる。  
ロイはオリヴィエの上半身をしっかり抱きしめると、狭いソファーで腰を動かし始めた。  
「あぁ・・いい・・・マスタング・・・ッ」  
「このような時くらいロイとお呼び下さい」  
 白磁のようなかんばせに、桜色の唇が酷く艶めかしい。  
ロイは腰の動きに緩急をつけながら、貪るようにオリヴィエの唇を吸った。  
お互いの身体から放射される熱が輻射され、どんどん体温が上昇してゆく。  
オリヴィエは更なる快楽を得ようと、中でロイを締め上げる。  
先ほどの行為と違い、労わるようなロイのセックスにオリヴィエは全身で感じていた。  
「んぅ、ロ・・イ・・・もっとだ」  
 必死になって彼の背中に腕を回すオリヴィエが、ロイにはとても愛しく思えた。  
「貴女が好きだ、可愛い私のオリヴィエ・・・」  
 耳元で囁かれ、オリヴィエは一気に絶頂に昇りつめる。  
震えるオリヴィエの割れ目からロイのものが抜けると同時に、そこから大量の精子が飛び散った。  
それはそこらに飛び散ってオリヴィエのソファーを汚したが、とりあえずお咎めはなかった。  
「貴女を遠くへ遣りたくはないですが、早く・・・北に帰れるといいですね  
 あのブリックス嶮しさが、貴女の美しさを一番引き立てる」  
オリヴィエは力なくロイに凭れ掛ったまま、小さく無言で頷く。  
ブリックスが、あの褐色の副官が焦がれるほど恋しかった。  
 

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