「ほらほらどーしたの?お前の大好きなご主人様のだよ」
若が私にフェラチオを強要している。
いや、これは若ではない。若の姿をしたバケモノなのだ。
ベッドの上で私は、裸に剥かれた身体を隠しながら固唾を呑んだ。
「お前は若じゃなイ!若の姿でふざけたマネをするナ!」
「いいからさっさと咥えろよ」
唇にそそり立ったモノの先端が押しあてられる、何とも言えない感触。
バケモノ―エンヴィーは、若の細い目で此方を睨み付けた。後頭部の髪を掴んで、強引にソレを口内にねじ込む。
「…ッ!ん、んんーっ」
首を左右に振って逃れようとするが、力強く押さえられている為逃れられず、無理矢理咥えさせられる形になる。
エンヴィーが腰を動かして私の口内を味わい始めた。じゅぽじゅぽと卑猥な音が耳に届く。聞きたくなくて耳を塞ごうとしても、片方しか無い腕では両耳は塞げない。私の口内は彼の欲望のままに犯されていく…
「見てごらん」
頭上からそんな声が降ってきた。上目遣いでエンヴィーを見上げると、彼はすぐ横の鏡台を指差している。私は視線を横にスライドさせ、彼の言う通りにそれを見た。
鏡に映る2人の男女…若と私。鏡の中の私は若のモノをいやらしい顔で咥えていた。
「お前今、凄くやらしい顔してるよ」
エンヴィーが若の声で囁く。身体の奥が熱くなり、頬が少しずつ紅潮していくのを感じた。
自分のこんなはしたない姿など見たくない。見たくない筈なのに、気付くと私は鏡の中の光景に見入っていた。男性器を無理矢理咥えさせられている私の姿はとても淫らで、しかもその相手は私が誰よりもお慕いしているリン様の姿をしている。
胸の鼓動が高鳴り、今までに感じた事の無い何かが込み上げてきた。これは本物の若ではないとわかっているのに、情けない事に身体が勝手に反応してしまうのだ。
「……っ…」
「興奮しちゃった?」
ニヤニヤと毒々しい笑みを浮かべて私を見下している。こんな表情、若の顔でしないでほしい。
彼は私の口に突っ込んでいたモノを乱暴に抜き取った。私に目線を合わせて、私を真っ直ぐ見つめる。
「お前さぁ、こいつに惚れてるだろ?」
「……!」
自らの姿を指差してエンヴィーが言う。
不意に図星を突かれて私の顔は熱くなる。そんな私の反応を見てエンヴィーがくすくす笑った。
「憧れのご主人様と、ずっとこーゆーコトしたかったんだろう?」
「ワ、私ハ……」
思わず目を反らしてしまう。みるみる内に私の頬は真っ赤に染まり、恥ずかしさでいっぱいになる。
「楽しもうじゃないか、ランファン」
彼は私の足を大きく広げさせると、秘部の割れ目にさっき私の口内を味わったばかりの自分自身をあてがい、ゆっくりと挿入していく。今度は私の膣内を味わうつもりらしい。
「ふあぁっ…ヤ、やめ…ろッ!入っテ…くるなぁッ…」
熱い欲望の塊が私の中に侵入してくる。
私は残された左腕で、彼の身体を押したり叩いたりとすかさず抵抗したが、その左腕の頼りない事。エンヴィーはびくともせず、自身を私の最奥に押し進める。
改めて自分の無力さを実感させられた気がした。
「いやダっ…ダメぇんっ、ああん……んあぁっ…」
中に全て納まりきると、彼は腰を前後させて私を犯し始めた。
内壁を擦る熱くて太いエンヴィー自身に、身悶えして全身が震える。どうしようも無く嫌なのに甘い声が漏れてしまう。
「どう?愛しのリン様の姿をした男に犯される気分は」
「…あ……っあん…、やぁッ」
私の身体は私の意思とは正反対に、もっと強い快楽を望んでいるようだった。
「…!あぁっ、はぁん、あうぅっ」
最奥にエンヴィーが当たると、先程までとは違う恐ろしいほどの快感が押し寄せてくる。
「ココ、好きなの?」
「あぁあっ!そ、そこハ…んん…ふぁんッ」
突かれれば突かれるほど、もの凄い快楽が私を襲ってきた。甘く喘ぐ私の反応を見ながら彼は、角度を変えて何度もソコを突き上げる。
「犯されて感じるなんてさぁ、お前相当淫乱だろ?」
エンヴィーは笑っていた。執拗に、的確に、私の気持ちいいところを刺激する。最早私は何も出来ずただひたすら喘がされるだけだ。
ふと、先程の鏡台が視界に入った。鏡に焦点を合わせると、若と私が激しく交わる姿が見える。激しい快楽で忘れていたさっきの恥ずかしさが、鏡に映る卑猥な姿を見る事で蘇ってきた。
今私はこんなあられもない姿を晒しているのかと思うと、もう恥ずかしくて堪らない。私はこんな淫らな女だったの…?
「あっ…、あうっ、あぁん!」
おかしくなってしまいそう。
気付けば私はもう抵抗する事などすっかり忘れ、何かが壊れてしまいそうな快楽に溺れていた。
膣内は何度もひくついて、エンヴィー自身を更に締めつけ悦ばせてしまう。
「我慢しないでさっさとイッちゃいなよ」
彼は激しい運動でぷるぷると揺れている私の乳房にしゃぶりつき、胸の突起をキツく吸い上げた。
「ひゃっ、あん…、ッあああん」
一方でピストン運動は止まる事は無く、更に加速していく。エンヴィーの1つ1つの行為が私を絶頂へと追い詰める。
「…うあぁっ、やん、あっ…ああ…ッ、んぁあっ…はあぁああぁん!」
快感の電流が全身を駆け巡るような、そんな感覚に囚われる。私はみっともなく叫んで果ててしまった。
汗ばむ身体はまるで火がついたかのように熱く、はぁはぁと、その身体から吐き出される荒い息も熱を持っていた。
私は虚ろな表情でエンヴィーを見上げた。
「まだまだこれからだよ?」
絶頂を迎えたばかりでまだぐったりしている私を見下して、意地悪く言うエンヴィー。
繋がっている彼の肉棒を伝って愛液が垂れたのか、シーツにしみが出来ている事に今気が付いた。
壁に掛かった時計は深夜2時を差している。
まだ夜は終わりそうにない。
おしまい