「…ふぅっ、あ…あぁー…っ!」
マスタングさんの指が私の中から抜けて、それと一緒に水のような液体が膣からどっと溢れ出た。
自分の激しい呼吸が耳にうるさい。
カーテンの開いている窓から夕日が差し込み、赤く染まった壁に手をつき縋りながら、そのまま床に崩れ落ちた。
脱ぎ捨てた二人分の服の上に尻をつくと、服が汗や体液でびしょびしょに濡れていることに気が付く。
ぼんやりと視界に入った自分の脚は水でも浴びたように濡れており、これを伝ったて足元にある服が汚れたのだと思うと、頬がまた熱を持つ。
同時にお腹の中がじくじくと物欲しげに疼いた。
「リザ」
まだ肩で息をしている私を、マスタングさんが手を引いてゆっくりと立たせた。
「壁に手をついて」
「…は…い…っ」
マスタングさんに言われた通りに再び壁に手をつくが、まだ絶頂の余韻が残っており、腕や背中が頼りなく震えてしまう。
ふらつく躯をマスタングさんが腰をしっかりと掴むことで支える。
「…ひぅ…っ!」
恥ずかしいと思いながらマスタングさんの方へ突き出したお尻に、子宮が欲しがっていた熱い塊が押し付けられ、躯全体がびくびくと震えた。
「…い…っ、あ、ああぁっ!」
ぐしょぐしょに濡れた膣は、マスタングさんのものを簡単に受け入れた。
ぬるりと熱くて大きなものが入ってきて、お腹がいっぱいになったような圧迫感を感じるが気持ちが良い。
鳥肌と躯の小刻みな震えが止まらない。
強く膣を擦られると脚が折れてしまいそうだ。
「…はぁッ!あぁ…ん…!」
マスタングさんが腰を動かす度に、ぱんぱんと肌と肌がぶつかり合ういやらしい音がした。
見慣れた私の部屋なのに、私とマスタングさんがいるこの場所だけが熱気がこもっていて異質だ。
古びた壁に必死に縋りながら、マスタングさんが私の中に出入りする激しい動きに耐える。
俯くと額からぽろぽろと汗が流れた。
「…あっ!ひゃあ…あ…っ!あ!」
「……リザ、気持ちいいか?」
腰を掴んで動いているマスタングさんが背中に覆いかぶさってきた。
秘伝の刻まれた背中にマスタングさんの逞しい胸板を感じ、躯中に痺れが走る。
背中でも膣でもマスタングさんの存在を感じ、また蜜が太ももを伝う。
「気持ちいい?」
マスタングさんが中に入っているだけでも気持ち良いのに、耳に直接甘い声で囁かれ、躯から一気に力が抜けそうになった。
汗や二人の蜜が伝う脚ががくがくとみっともなく震え、今にも倒れてしまいそうだ。
壁についた自分の両手が涙でぼんやりと滲む。
「…マスタングさ…っ!あっ、もう立っていられな…!」
「気持ちいいかと聞いているんだ」
「あぁんッ!」
マスタングさんが腰を大きく引き、肉と肉が叩き合う音がするほど激しく押し入ってきた。
体が今にも崩れ落ちてしまいそうで、それから繋がった性器同士があまりにも熱くて下半身が溶けてしまいそうで、体がどこかへ消えてしまいそうな気分になる。
マスタングさんが腰を掴んでいる指と、背中に感じる吐息と頼もしさだけが私をこの場に留めている。
マスタングさんがいなければ、私の躯は熱に負け、溶けてなくなってしまっているだろう。
「…んっ、きもちい…っ!」
「何…リザ?」
「は、あ…ッ、気持ちいい…です…っ!」
聞き返してきたマスタングさんに聞こえるように、喘ぐのを我慢して精一杯叫ぶ。
「そうか」
「…うあっ、あ…ッ」
私の答えに満足したのかマスタングさんが楽しそうに笑いながら耳たぶにかじりついた。
あまりにも乱暴な交わりが続き、膣の入口の感覚がなくなってしまいそうだ。
マスタングさんが今にも崩れてしまいそうな不安定な形で繋がるのも、激しく律動するのも、私が素直ではないからだろう。
限界まで追い込まれないと本音を漏らせない私に、マスタングさんはいつもちょっとした意地悪をする。
「…気持ち、いいの…っ、マスタングさん…っ!」
快楽に襲われて頭がおかしくなりそうだと、隠さずに素直に叫ぶ。
意地を張り合う、少し不誠実なこの関係を私はちっとも嫌っていない。
「…ふぁっ、あん…!」
「…リザ…!」
「ひゃ…っ、あっ、んうぅっ!」
マスタングさんが私の名前を叫んだのと同時に、繁みに隠れている敏感な粒を指で押し潰された。
ぷっくりと膨らんだ芽を指の腹で強く擦りつけられるあまりの刺激に、きゅうっと膣が閉まる。
「…っ!」
「…あっ、あ、はあぁ…ッ!!」
何とか壁に手をつき、びくびくと躯を痙攣させながら絶頂に達すると、お尻に勢いよく熱い精液が放たれた。
「あん…!」
それすらも強い刺激になり、一気に肌が粟立つ。
背中から私を抱き寄せたマスタングさんと一緒に、床にどさりと崩れ落ちた。
床に転がりそうになる私の力の抜けきった躯を、マスタングさんが胸に引き寄せてくれた。
シャワーを浴びたあとのように汗まみれの裸の躯で、きつく抱き締め合う。
まだ少し息の乱れているマスタングさんが、頭のてっぺんに唇を落とした。
「リザ…気持ち良かったか?」
「…ん…」
たくさん喘いだせいか、上手く声が出てこなかった。
「…私のこと、好きか?」
「…すき…」
汗に濡れた黒い前髪を撫で、額に触れながら囁くように言葉を紡ぐ。
「…マスタングさんのこと、だいすき…」
息を荒くしながら告白した私を見て、マスタングさんは嬉しそうに笑った。
マスタングさんは私の躯を両腕で抱え上げ、ベッドまで運ぶ。
「…リザ…」
貪るように、飢えた獣が餌でも食べるかのように、激しい口付けをされた。
息をするのが難しいが、柔らかい舌と舌とが隙間なく絡み合って気持ち良い。
「…んぅ…っ」
突然胸にマスタングさんの手が触れ、指を食い込ませながら揉まれて、甘ったるい声がもれる。
「…ひぁ…あ…ッ」
マスタングさんがまるで赤子のようにぴんと尖った乳首に吸い付いてきて、背中が弓のようにしなった。
「…んっ、マスタングさん…きもちいい…っ」
一度素直になった躯は、マスタングさんが与えるものすべてを従順に受け入れる。
「…リザ…」
マスタングさんの手が、再び淫乱にひくつき出した膣へと伸びた。
とろとろに濡れたそこは、まるで食べるようにマスタングさんの指を飲み込む。
「私もリザが好きだ。愛している」
「…あっ、ふぁあ…っ!」
夜になったことも忘れて、二人で蜜にまみれてびしょ濡れになりながら、貪るように愛し合った。
終わり