夢の中で、メイは細い路地裏で賊に襲われています。  
「おうおうお嬢ちゃん、どこへ行くのかい」  
「よそ者が裏通りを1人で歩くのは危ないぜ、ケケケ」  
よく晴れた日にもかかわらず、すうっと辺りの空気が凍りつきました。  
たぶん賊やごろつきなどと呼ばれている部類の殿方が、笑みを浮かべながらメイを取り囲みます。  
片時もそばを離れたことのないシャオメイはたまたま、ちょっかいを出してきた猫を追いかけて  
いって、この場にいませんでした。それとも、犬を追って行ったのでしょうか。  
メイの背丈では、立ちはだかる男達を見上げざるを得ません。  
「ぶ……無礼な! 私をシン国第十七皇女と知っての所業ですか!」  
メイが必死で走るのに、男達はのらりくらりと動いて、逃れ出る隙間を作りませんでした。  
彼らはすばやく鳩尾を殴って気を失ったメイを担ぎ上げると、路地の奥へ連れて行きました。  
「聞いたか? 皇帝の娘だってよ」1人の男が笑います。  
誰も通りかかる人はいませんでした。  
抵抗むなしく、メイは身体の自由を奪われてしまうんです。  
気を失っている間に口は布で塞がれ、手足もがっちり縛られてしまいました。それはもう、錬成陣を  
描けないくらいにがっちりと。  
「とんでもないホラ吹きなガキだな」  
「まったくだ、よその国の奴なのは確かだがな。ご愁傷様」  
「皇女様の財布にしちゃ、シケた中身だぜ。パパはお小遣いくれないんでちゅかー?」懐を探っていた  
男が嘲りの声を上げました。  
頭だった男がメイの顎に手をかけて、口を縛る戒めが許す限りぐいっと上を向かせます。  
「ハッハ! 嘘つきにしろ頭のおかしいガキにしろ、ツラだけならなかなかの上玉じゃねえか。こいつぁ  
俺達の運も開けてきたってもんだ」  
ごろつき達はメイの爪先から頭のてっぺんまでを舐め回すように見て、舌なめずりしました。メイの  
肩から胸のあたりはすっかりはだけられてしまい、小さい桃色のふくらみがぷるんと姿を現したところ  
でした。  
すぐさま、周りじゅうから遠慮のない何本もの手が伸びてきました。  
「待て待て。お姫さんてのがもし本当ならよ、こいつはまっ先にお頭の所に連れてかなきゃなんねえ」  
「ああん? 少しぐらい味見させろよ」  
メイの震える肩に名残惜しそうに目をやって、その男は畳みかけました。  
「奴にはどうせわかんねえよ。カボチャと瓜の区別もつかねえようなうすのろ野郎だ」  
「傷ものにしたら、高く売れなくなるぞ」  
 
「心配要らねえ。こいつは錬金術師だ」  
別の賊がメイから取り上げた金票(ひょう)にちらりと目を走らせて言い当てたので、メイは  
驚きました。  
「何だよそれは、だからどうしたってんだ」  
「知るか。ま、1つだけ確かなのはな、錬金術ってのは傷を治すのも、体の中を元に戻すのも  
お手のものだってことよ。こいつに自分で治させればいい。いつでも、好きな時に生娘に戻れ  
るって寸法だ、どんなヤリマンでもな」  
おまえ錬金術師だろ、と男は聞いてきましたが、錬丹術師だという答えが届くはずはありませ  
ん。  
男はメイの手首から先を指さしました。「とりあえず、その辺はもっとぎっちり縛っとけ」  
 
メイの手足を押さえる役と、服をはぎ取る役が役割分担して、とうとうメイの一番大事なところ  
が男達の目に晒されてしまいます。  
(いやああ!)  
1人の男が大きく脚を開かせました。  
「すげーや。見ろよ、天然パイパンだぜおい」  
つるぺたというのが控えめな胸を表すらしいことは知ってますが、この言葉は何でしょう?  
「その代わり、まな板みてえだけどな」ヒューっと口笛を吹いた男に、別の男が釘をさします。  
シン国第十七皇女に向かって、なんと失礼な言い草でしょうか!  
この時、懐から落ちたハンカチを見てそやつが言いました。  
「大熊猫の紋章!」  
なぜか夢の中では、この賊――たぶんアメストリスの最下層の男達でも、シンの皇族のしるし  
が大熊猫だというのを知っているんです。ハンカチに縫い取られたシャオメイそっくりの紋章を  
見て、賊は恐れおののきました。  
「モノホンの皇帝の娘かよ!」  
「たんまり身代金をせしめようぜ」さっきの頭だった男が素早く算段しています。  
チャン族がその要求に応えられるかははなはだ疑問なので、メイは黙っていました。口の動き  
を封じられているのでそもそも抗弁できませんが。  
「で、その前にするのかしねえのか」  
「先にお頭のところへ――」  
「おい、ヤるんなら早いとこおっぱじめようや。憲兵に見つかりでもしたらコトだ」いらいらと  
誰かが言いました。  
「俺的にはとんでもなく当て外れだがな! 幼女はごめんだ。全然気持ちよくねえだろ」1人が  
輪を外れて、どっかり座り込みました。  
「ハラませるのも無理だしな。ま、おめーにはどっちみち何するのも無理だろうよ。このインポ  
野郎」脚を開かせたさっきの男がにやにやしました。  
その言葉の意味することを悟って、わっと男達がメイを囲みます。  
身をよじって叫ぼうとしても、出るのは声にならない声ばかりです。  
 
(いやあああ!)  
「ハハハ、聞けねえな!」  
胸から脚から首筋から、身体じゅうを何本もの手が這い回る感覚が忘れられません。  
「何でこんな所にいるのか知らねえが、国ではさぞかしいい思いをしてたんだろうな?」  
「当たりめえよ。蝶よ花よと育てられたお姫さんだぜ」  
「さぞかしいいもん食ってんだろうなァ」  
「お? お姫さん、感じてんのか。何とか言えよ」  
ごつごつした指で乳首を転がされて、思わず声が漏れました。  
「おうおう、お高くとまってる割に、こっちはもうビチョビチョじゃねえか」  
彼らが思うほど国で豪奢な暮らしをしていたわけではないのですが、メイの大事なところを  
突ついてきた男の指の動きがあまりにも的確で、――ちょうど、我慢していたお小水が出る時  
みたいな感覚に、メイはぞくっとしました。  
胸の先の小さな突起を触られるのは初めは痛かったのに、気がつくとくぐもった声をあげて  
いました。むき出しになったメイのお大事から、ひっきりなしにじわりと液がにじみ出ます。  
「おもしれえ。まな板でも感じてきやがるらしい」輪の外で見学している男がけらけら笑いました。  
メイの大事なところは、恥ずかしいぐらいぐっしょり濡れていました。賊の指が探り当てた箇所  
は、初めは何ともなかったんですが、だんだん気持ちよくなって、指が掠るたびに頭の中で火花  
が散って、喘ぎ声をあげずにはいられなくなるんです。  
熱っぽい顔を左右に振っているうちに、メイはこの人達が憎いのか、それともこの辱めがもっと  
続いてほしいのか分からなくなってきます。  
男の1人が、穿いているものの前を開けました。  
「握らせてみるか」  
「バカか、握り潰されるぞ」  
別の奴が言いましたが、夢の中のメイはさしたる抵抗もせず、言われるままに男の人のあそこに  
手を伸ばしています。  
両手を縛める縄はいつの間にか解けています。それはメイの手では握りきれないくらい大きいの  
に、触ったとたんいっそう大きくなりました。  
懸命に上下に動かすと、先から透明な液が垂れ落ちます。メイの胸を揉んでいた男が、振り向い  
て下卑た笑い声を溢しました。  
「おいおい、子供みてえな顔して、こいつぁ随分好きもんだな。本当にお姫さんなのかよ?」  
それは温かくて太くて、どくどくと脈打っていました。  
言われるままに撫でたりさすったりしているうちに、白い熱い液が飛び出てメイの顔にかかり  
ました。それを見て別の男が自分のをメイの手に握らせました。  
「しゃぶらせてえな」  
「食いちぎられても知らんぞバカ野郎」  
さっきの人のより少し細いけど、黒くて長いものが、ずんっと太くなります。  
「ちっせえ手」  
男がかがんで猿ぐつわを解いたので、たぶん傍から見るとうっとりした表情で、メイはそれを頬張  
ります。  
男のあえぎ声はやがて、メイの習ったことのないような低俗な言葉に落ち込んでいきました。  
 
辺りを満たすのは賊の荒々しい息遣いと、わずかに漏れる自分の声だけです。  
メイの顎から垂れているのが涎なのか、涙なのか、男の人の出した熱い液体なのかわからな  
くなった頃、  
「ようお姫さん。そろそろぶち込むぜ。お待ちかねのやつをよ」  
今はメイの口は自由でしたが、また声にならない悲鳴が漏れます。  
メイが皇帝の娘であることは忘れてしまったみたいに、賊は畳みかけて聞くんです。  
「それとも尻がいいか? おっそろしく痛いらしいけどな」  
「待て待て。お姫さんにねだらせるのを忘れてねえか?」  
「何をねだるんだよ」  
「『おじさんのちんこ、ここに入れて』って言わせろ」  
男達は手を叩いて笑いました。  
「どうした? 言えよほら」  
「ガキのくせして淫乱な姫さん、欲しがってんのに言えねえのかよ?」  
「それとも1人でやるか? 言いたくねえってんならそれでもいいぜ。俺らは見てるからよ」2人  
ぐらいがニヤニヤ笑いました。  
「自分でやるのが嫌なら、『おじさん達のおちんぽ欲しい』って言え」誰かのものがメイの頬に  
ぴたぴた打ちつけられました。  
「もういいから、とっととくれてやれよ。てめえの貧弱なナニをよ。お姫さんのやつ、ひくついて  
やがんぜ」メイのお汁で手を濡らした男が、しびれを切らしたように言います。  
 
 
この時、路地にさっと人影が伸びました。  
馬にこそ乗っていないけれど、白い歯を陽光にきらめかせた金髪長身の王子様が颯爽と現  
れたんです。  
「その子から手を離せ!」  
「あ? なんだおめーは」メイの上にまたがっていた男が鼻を鳴らしました。  
「そのお嬢さんから」王子様が指を突きつけます。「貴様らの薄汚い手をどけろ」  
メイの瞳から、ぽろりと涙が落ちます。  
来てくださいました! 囚われの姫君を救いに、王子様が来てくださったんです!  
男達は悪態をつき、メイを置いてその殿方に向き直りました。  
「その薄汚い手をどけろと言っている!」  
すらりと背の高いその殿方はこちらに駆け寄ると、体じゅうをどろどろに濡らした、男の人が  
触ってないところは体のどこにもないようなメイを両手で抱き上げて、啖呵を切るんです。  
賊どもが武器を投げたりぶん回したり、とりどりに応戦します。  
でも王子様はそれはもうお強くて、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。  
「大丈夫でしたか」  
そこここに『賊どもの死屍累々』状態になった頃、ボロ雑巾のようなメイを、いろいろな感情が  
解けてどっと涙にくれるメイを、その見知らぬ金髪の王子様は優しく抱きしめて、熱い口づけを  
浴びせるのでした。  
いいえ、見知らぬ方ではありません。  
それこそが鋼の錬金術師、エドワード・エルリック様なのです。  
 
時にはこんな夢も見ます。  
「不老不死の秘密を差し出した人間には褒美をとらせ、姫との結婚も許す」というシン皇帝の  
御触れが、はるばるアメストリスまで届きます。  
エドワード様ほど術に長けた錬金術師さんなら、不老不死の秘密を手に入れることはそう難  
しくないに違いありません。  
あの方はお触れを聞きつけ、はるばる遠国から砂漠を越えていらして、シンを訪ねて、皇帝  
の御前にまかり越すのです。  
何人もの殿方がメイの手を求めて――いえ、褒美を求めて失敗を重ねてきたのですが、エド  
ワード様は、望むものを皇帝にもたらした初めての方となるのです。  
「これが、そうか」献上された品をしげしげとご覧になって、陛下は仰るでしょう。  
その時です。陛下の傍らで御簾の後ろに控えていたメイと、エドワード様が運命的な出会いを  
果たすのは。  
 
効き目を試すために数日を要し、再びエドワード様にお召しがあります。  
深々と平伏したエドワード様に、皇帝陛下は、脱いだ着物を下げ渡すみたいに顎をしゃくって  
仰せになるのです。  
「約束だ。娘をやろう」  
再びエドワード様の金色の瞳とメイの黒い瞳が、御簾越しに絡み合います。  
そしてメイは、褒美としてエドワード様に与えられるのでした。  
 
 
寝台の中で、掠れ声でエドワード様が囁きかけます。  
「君は本当に、いやらしいお姫様だな……」  
「エドワード様のためなら、メイは何にでもなりまス」  
「………こいつぅ♪」  
おでこを弾いた後、あの方はメイの黒い長い髪を珍しがって、優しく撫でてくださるんです。  
エドワード様と話す時だけシンの言葉を捨てるメイは、健気だと思われることでしょう。  
「メイを自由にする権利があるのは、エドワード様だけでス。あとは父上、皇帝陛下だけ」  
整った男らしいお顔を少し歪めて、あの方はちょっと陛下に嫉妬したりします。メイ・チャンは  
自分のものだ、と。  
メイの柔らかい大事なところは、あの方をやすやすと呑みこんでしまうでしょう。  
メイの中であの方がぐんと大きくなって、中をぎこちなく擦り上げるのが見えるようです。  
中がぎゅっとあの方を締めつけるのをまざまざと感じます。  
エドワード様なら、慎ましやかなメイの胸もきっと、可愛がってくださいます。  
「揉まれる方も感じていれば、大きくなるんだよ」などとあの方は笑うでしょう。  
 
またある時は、あの方は、禁じられた愛に身を焦がす悩める殿方になります。  
夜更け、陛下や一族や見回りの者の目を盗んで、エドワード様が庭の壁を越えて忍び入っ  
てくる夢を見ます。  
あの方は、身分違いの恋に、民族を越えた恋に悩んでいらっしゃるのです。  
そして訪れる度に無言で、荒々しくメイを求めるんです。野の獣みたいに服を引き裂いたり、  
「ゆっくり動かして下さいネ」と言ったのに、メイを息もつかせないくらい責め立てたり。  
明け方近く、メイの肌についた痣を見て、あの方は鬱々とした思いに囚われるんです。  
「夢うつつに嫌だと申し上げたのに、無理やり……!」  
「すまない」  
「いいんでス」メイはあの方の首に両手を回します。「エドワード様、お慕いしていまス」  
憂愁の色を濃くまとったエドワード様の、なんとお美しいこと!  
一晩の間に何度も逝かされて、メイはさっきとはまた違った意味でボロ雑巾さながらです。  
エドワード様はよく心得ていらっしゃるので、これで最後という時にようやくメイの中を熱いも  
ので一杯にした後、思いつめたように言うんです。  
「一緒に逃げよう」と。  
二人は国も一族も身分もすべて捨てて、見知らぬ国へ幸せを探しに旅立つことになるので  
す。  
 
え、たまにはもっとお姫様らしい夢を見るべきですカ?  
じゃ、ちょっと恥ずかしいけどお話ししますネ。  
錬丹術で秘薬を作って、意中の殿方に飲んでいただくんでス。チャン族の錬丹術師に口伝で伝  
わる秘法で練りあげた、いわゆる惚れ薬と呼ばれるものでス。  
それを憧れのあの方の飲み物にさり気なく………うふふ。  
もちろん、その時はメイも自分用のお薬を服用して臨みまス。チャン族の錬丹術師に代々伝わる、  
秘伝中の秘伝の媚薬でス。2人でお薬を飲んだ状態だと、思いも及ばないような快楽を得られる  
らしいんですヨ!  
 
あれ、皇女らしい夢から少し外れてしまいましタ。では、軌道修正にもう1つ。  
たまには、複数の殿方、たとえばエドワード様ともうお1人……そうですね、スカーさんなんか  
が、競い合って尽くしてくださるような夢を見まス。ご存じの通り、スカーさんはとてもお優しい  
うえ、鍛えぬかれた逞しい体をお持ちなんでス! あの腕をご覧になったことがありますよネ?  
逞しいのは腕だけではなくて………うふふ。  
でもあの方は錬丹術での分解がお得意だから、お薬が効くかどうかはわかりませン。  
 
 
 
 
(終わり)  
 

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