汗と熱気、リザ自身が発する甘い香り、そして雌の匂いが混ざり合った非常に心地良い空間であった。  
「…んー…ッ」  
いつものことだが、リザは必死に歯を食いしばって喘ぐことを我慢していた。  
甘い声で鳴いて快楽を受け入れていることを私に知らせたら負け――どうやらリザはそう思っているらしい。  
昼間、しかも仕事中に、ベッドの中でしか見せてくれない可愛らしいリザの姿を私がからかうせいかもしれないが、とにかく彼女は頑なに声を出そうとしない。  
そして、かなりの負けず嫌いで頑固者だ。  
身体を何度も震わせて、丸い尻までびっしょりと濡らしながらも、まるでまったく感じていませんというような態度をとり続けるから面白い。  
「君の胸は可愛いな。すぐに反応する」  
「…ふぁ…っ、あっ!」  
胸の中心でぷっくりと尖っていた乳首を爪で軽く引っ掻くと、シーツからリザの身体が浮いた。  
弓のように背をしならせ、敏感な部分に施されている愛撫に耐えている。  
もしリザが唇を噛み締めていなければ、とろけるように甘い声を絶え間無く垂れ流していただろう。  
寡黙なリザがベッドの上ではさらに言葉を発することがなくなるのは、唇を開けば次々と喘いでしまうからに違いない。  
「んぅ…、ん…!」  
短く切り揃えられた金髪が悩ましげにシーツに擦りつけられ乱れる様子を眺めながら、白い乳房を手に収め、優しく揉む。  
硬い桃色の突起を指の間に挟み、柔らかさを確かめるように触れると、またリザの背が浮く。  
「…あ…っ!そんな、に…っ!」  
「そんなに…何?そんなに触られると気持ちいい?」  
「…違…っ、ひぅ!」  
手の平の中で自由に形を変える柔らかな胸が可愛くて、心地が良くて、片方の乳房に赤子のようにしゃぶりついた。  
手でも唇でも、いろんな場所でリザを味わいたい。  
最近忙しい日々が続き、ベッドの上でゆっくりと行為を行うことができなかったのだ。  
リザを裸に剥き上げて白くまろやかな身体を隅々まで鑑賞することも、時間を気にすることなくすべらかな肌に舌を這わせることも、ずいぶんと久しぶりだ。  
リザの頑固な頭も身体も、芯までとろとろに溶かして、鳴かせて、素直になるまでいじめ抜いてやろう。  
唾液まみれになって、てらてらといやらしく光る二つの膨らみを見つめながら、にやりと口角を上げた。  
乳房から臍にかけてを舌でべろりと舐めながら、身体をリザの下半身へとずらしていく。  
その動きまでもリザは敏感に感じ取り、なまめかしく身じろいだ。  
「…んぁ…ッ」  
「ずいぶん感じやすいな」  
リザは私からできるだけ顔を逸らし、横顔をさあっと赤く染めた。  
括れた腹の上を舌先でくすぐると、くすぐったいと言っているように白い肉がぴくぴくと動いた。  
そして、先ほどから肉付きの良い太ももがぶるぶると小刻みに震えていることを、私は見逃していなかった。  
ベッドに倒れ込んでキスを仕掛けた時からリザは随分と感じていたようだから、金の繁みはもうぐっしょりと濡れているであろう。  
しっとりと汗ばんだ太ももを遠慮なく根本から鷲掴み、大きく開かせる。  
途端に鼻を掠める雌の匂いが強くなった。  
「や…っ、いやあ…っ!」  
 
叫ぶリザが膝を閉じようとする前に素早く押さえ込み、目の前に秘所が見える位置に顔を固定する。  
少し動けば鼻の先が赤いぬかるみに触れそうな距離だ。  
リザが私の横顔を太ももでぎゅうぎゅうと締め付ける仕草が、身体に焔をつける。  
「…中佐、こんな…嫌…っ!」  
いつもしていることなのに、未だ慣れないのかリザは羞恥に声を震わせていた。  
私の髪の毛に指を絡ませて、必死に押し返そうとしてくる。  
リザの初々しい様子に背中が痺れるのを感じながら、指を熱い秘所に押し当て、探るようにそっと開く。  
案の定、そこは男を誘うようにとろとろと蜜を垂らしていた。  
「…くぅ…っ!」  
たっぷりと濡れた膣の周りを焦らすようにくるりと撫でたあと、リザの中に指を一本滑り込ませる。  
「…うっ、あぁ…っ!」  
膣内は歓迎するようにすんなりと飲み込み、さらに物欲しげにきちきちと私の指を締め付けた。  
「…は、あ…あ…っ!」  
指を二本に増やし、熱く潤んだ膣の隅々まで触れようとするように、ゆっくりと抜き差しを始めた。  
指が膣から抜けるぎりぎりまで引き抜き、次は指の届く限界まで奥を目指して潜り込む。  
「…ふぁ…っ、あ…っ」  
大きく股を開き、私にすべてを晒している羞恥を忘れるほど気持ちが良いのか、リザは感じるままに声を押し殺しつつも喘いでいる。  
「…リザ、気持ちいい?」  
「…ま、さか…!やんッ!」  
まだ負けん気が強いと苦笑する。  
そして同時に愛おしくてたまらなくなる。  
膣の中で指をくるりと回転させながらリザを見上げると、彼女は声を抑えるために唇に手を押し当てていた。  
片方の手は相変わらず私の頭を突き返そうと押さえている。  
リザは声を出さぬように一生懸命になるあまりか、呼吸が不規則で、息が荒く苦しそうであった。  
簡単には鳴かないものの、与えられる快楽からは逃げることのできないリザの姿に見惚れる。  
人のことは言えないが、リザは童顔である。  
男のように髪が短く、そしてまだあどけなさの抜けないリザは、ふとした時に少女のように見えるのだ。  
快楽と熱に翻弄され、冷静さを失い余裕のない今など、まさにその時だ。  
指の間から覗く濡れた唇、ふっくらとした頬に張り付く金髪、ぎゅっと目を閉じているために歪んだ眉――  
出会った頃の幼いリザを抱いているような錯覚を覚える。  
もう成人したはずなのに少女のような可愛らしさを見せ、幼い表情に浮かべる不似合いな妖艶さ。  
そのリザのアンバランスさが絶妙で、身体の中心がじわじわと熱を持ち出す。  
倒錯的な気持ちに陥り、同時にリザを一気に攻め込みたくなった。  
もっと艶やかな姿を見せ付け、私を惑わせてほしい。  
「まだ余裕のようなら…少し激しくしてもいいのかな?」  
「…あ、や…っ!?ひああっ!」  
敏感な突起を唇の間に挟め、膣内で抜き差ししていた指の動きを速めると、リザは驚きの声を上げた。  
「…あっ…あっ、やぁっ!あ…んあぁ!」  
リザの指に髪の毛をぎゅっと掴まれ引っ張られたが、気にはならなかった。  
だんだんと形を現した突起にねっとりと舌を絡め、指と膣でぐちゃぐちゃと激しく水音を奏でる。  
「いやっ、ちゅ…さっ!…中佐…っ!待ってぇ…ッ!」  
リザの呼吸や喘ぎが切羽詰まったものになり、同時に膣が指を引きちぎるかのようにより強く締め付け始めた。  
 
どこもかしこも濡れた内股に鳥肌が立っている。  
あともう少しだと、長年リザを抱いてきた勘で分かった。  
狭まったリザの中で、予告なしに指をくいっと折り曲げる。  
「――あああぁッ!」  
高く甘い声が寝室に響いた。  
そして、秘所から噴水のようにぷしゃりと勢いよく蜜が吹き出る。  
水のようにさらりとしたそれはしばらく溢れ続け、私の顔や指、シーツを盛大に濡らした。  
「……は…あ…っ」  
リザは自分が達して潮を吹いたことを理解しているのか、それともまだ何が起こったのか分からないのか、焦点の定まらない瞳で天井を見上げていた。  
辛うじて息をしているような状態である。  
リザの蜜で濡れた肌をシーツで適当に拭い、ゆっくりと彼女の上に覆いかぶさる。  
「リザ?」  
「…あ…」  
肩で息をしているリザを思いきり抱き締めると、彼女の身体が痙攣のように小刻みに震えている動きと、汗が肌に染み込むように伝わった。  
リザが落ち着くまで、熱い頬に伝う涙を唇で吸ったり、乱れた前髪を撫でたりして彼女を愛でていた。  
「…ちゅう、さ…」  
リザの呼吸が大分穏やかになったと感じた頃、彼女が掠れた声で私を呼んだ。  
軽く触れるだけの口付けをして応じると、リザが恥ずかしそうに目を細める。  
そんなリザの身体に腕を回し強く抱き締め、ベッドの上でくるりと回って、私と彼女の立場を変える。  
「…え…」  
突然私を見下ろす体勢になったリザは、目を丸くして下にいる私を見た。  
「リザ、起きて」  
私の胸の上で唖然としているリザの身体を起こし、腹を跨ぐように促した。  
リザは私が指示した体勢をとるしかないためか、胸を晒すのは嫌らしいが、しぶしぶと上半身を起こし、遠慮がちに腹の上に尻を乗せた。  
「まだ余裕かな?」  
リザが両手をシーツの上に置こうとする前に、その手に自らの指をねっとりと絡め、意地悪く問う。  
リザは一瞬だけ悔しそうな表情を覗かせたが、あとは黙って俯いていた。  
「君が動いて、リザ。簡単だろう?」  
感度の良いリザが絶頂のすぐあとに騎乗位で私を満足させるなど、簡単なことではないと分かりきっている。  
しかし頑固者なリザを屈服させるには、このような意地悪が一番なのだ。  
「もしかして、出来ない?」  
笑いを堪えながら嫌な男を演じる。  
「……出来ます」  
予想通りの答えが返ってきた。  
戸惑いが滲んでいた瞳が、突然私を睨むような強いものへと変わる。  
負けず嫌いのリザは私の挑発を受けた。  
リザはやけくそといったように身体をずらし、すでに準備万端の熱く尖ったものを掴んだ。  
ずっとリザの中に入ることを望んでいた塊は、彼女の指が絡むだけでかなり気持ちが良い。  
「…ん…っ」  
リザは私の猛りに指を添えたまま身体を浮かせ、何度か腰を揺すり、ようやく狙いを定めた。  
リザの中に入り込む瞬間を見ようと私は結合部に遠慮なく視線を浴びせているが、それに文句をつける余裕もないほど、彼女は挿入することに集中していた。  
「…は…ぅ…っ!」  
ぴちゃりと粘着質な水音が立ち、お互いの性器がくっつき合う。  
リザはゆっくりと私の先端を飲み込んでいった。  
「…ふぁ…あ…っ」  
自身がリザの中に半分まで入ったところで、彼女の背中がぞくりと震え、慌てて片手を私の胸の上についた。  
ふらついたリザの身体を、腰に手を添えることで支える。  
 
「…あ…っ!…さ、触らないでくださ…!」  
「危ないだろう」  
軽く腰に触れられることすら強い刺激になるのか、リザは挿入を中断して力無く首を振った。  
しかしよろめく身体を支えなければ、痛い目に合うのはリザの方なのだ。  
「…ふっ、う…」  
大きく息を吐いて、リザはたっぷりと時間をかけてようやく私を受け入れた。  
ゆっくりとリザの中に埋まっていく自身を眺めるという光景は、最高に素晴らしかった。  
思わずリザを突き上げたいのを我慢するのが大変だったが、徐々に彼女の魅惑的な膣の中に包まれていくというのもいい。  
指で愛撫していた時よりもリザの中は熱く潤んでいる気がした。  
私を離さぬようにしっかりと絡み付いてくる肉が気持ち良い。  
「…あ…!」  
リザも私のすべてを飲み込んだだけで気持ち良いらしく、首をのけ反らせていた。  
息を吐くたびに大きく上下する豊かな胸を鷲掴んで弄りたい衝動に駆られるが、それはさすがに酷であろう。  
「…リザ、動いて…」  
「は、い…っ」  
身体を突き刺す猛りの刺激に震えながら、リザは私の上でゆっくりと前後に動き始めた。  
胸の上に置かれたリザの両手に力がこもる。  
「…あっ、や…」  
リザの額や脚には汗が滲み、彼女が腰を振る度に乳房が美味しそうにぷるぷると揺れる。  
一度気を抜けば折れそうになる腕を何度も懸命に真っ直ぐに伸ばし、リザは前後だけではなく左右にも動き始めた。  
自ら刻む快楽にぎゅっと眉を寄せて受け止めるリザの姿を見て、知らずと息が上がる。  
リザは私の上で腰を振るのが上手いとは言えないが、彼女の一生懸命さと、「リザが動いている」という事実が強い刺激に変わる。  
「…んあ…、は…っ」  
規則的に前後左右にぐるりと動いていた腰が、だんだんとぐちゃぐちゃに乱れて揺れ始めた。  
腰の振り方が雑になってきている、というより、自分で思うように動けなくなってきているようだ。  
「…んん…っ!も…っ駄目…っ」  
今にも泣きそうなリザのか細い声が耳に届く。  
「…だめ…!」  
リザの両手が、私の胸の上でぎゅっと拳を作った。  
動く度にどんどんと快楽が高まり、自ら快感を生み出している羞恥すら痺れへと変わり、リザは気持ちが良すぎて私の支えなしでは崩れ落ちているだろう。  
「…何が駄目なんだ?」  
「やぁんッ!」  
とんと軽く突き上げると、悲鳴に近い声でリザが喘いだ。  
そしてリザの腕がとうとうがくりと折れた。  
私の胸の上に崩れてくるリザの身体を受け止める。  
「何が駄目なんだ?」  
「…はぁ…っ」  
「リザ?」  
リザはあのひと突きで達してしまったらしく、目尻に涙を浮かべて、しばらく呼吸を整えることに必死だった。  
「…き…気持ちよくて…」  
絶頂の余韻に震えながら、それでもリザは私の問い掛けに答えようとする。  
動けないの、と耳元で囁いたリザの身体を堪らず強く掻き抱く。  
「…中佐…もう…、だめ…っ」  
リザの降参の言葉は短かったが、私にはそれで充分だ。  
「…ひゃ…!」  
濡れた吐息と共にようやく素直に答えたリザから自身を引き抜き、彼女を荒々しく押し倒した。  
リザに覆いかぶさると同時に、互いの体液でぐっしょりと汚れた秘所を一気に貫く。  
 
「いやぁっ!あぁっ!」  
「嫌じゃないんだろう?良いんだろう?」  
あまりの衝撃に、リザのすらりとした脚が、私の腰に縋るように巻き付いてくるのが心地良い。  
腰を大きく動かし、リザの中に出入りする。  
「頭がおかしくなりそうなくらい気持ちいいんだろう?」  
強く突き上げる度に、がくがくと揺れて位置の定まらないリザの頭に顔を寄せて、耳元で悪魔のように囁く。  
「…あっ、あぁ…!はい…っ!」  
「良いんだろう、リザ」  
「…気持ちいいです…っ!」  
頑固さや意地が熱でとろけて、ようやくリザが素直になった。  
啜り泣くように喘ぎながら私の首に腕を回して、貫かれるのが気持ち良いと告白するリザの姿など、仕事中の禁欲的な彼女からは想像すらできない。  
「やぁっ…あッ!ふぁあっ!」  
もうリザは声を出すことを我慢していなかった。  
そんなことなど頭から吹っ飛んでいるのかもしれない。  
熱と快楽に潤んだ鳶色の瞳が、とろんと下がっていた。  
その瞳の中にぼんやりと私が映っており、背と腰に甘い痺れが走る。  
リザを貫く私に必死にしがみついてくる彼女の汗と涙で濡れた頬に口付ける。  
「ちゅ…さ…っ!中佐ぁ…っ!」  
腰に絡む脚と甘い声が最高の快楽を呼び、リザの中できつく締め付けられるともう堪らなかった。  
「…ん、んうぅ…っ!」  
背中に腕を回し、肩の窪みから腰にかけての線を指先で強くなぞると、リザが身をよじって喘いだ。  
「あっ!んぁ…、あ…!」  
火傷の痕を指でくるりとなぞると、膣内がさらにきゅっと狭くなった。  
もう限界だ。  
「…リザ…っ!リザ!」  
「――ひあぁっ!」  
リザを突き刺すように最奥まで自身を埋め込み、ずるりと引き抜いて勢い良く精を放った。  
「…あ――…」  
ひくひくと波打つ白い腹の上で、長い射精をする。  
熱い液体を身体に浴びながら、リザは未だ快楽にぴくぴくと震えていた。  
「…リザ…っ」  
リザの柔らかい胸の上に倒れ込み、そこに顔を埋めた私を彼女は静かに受け止め、頭に手が回された。  
リザの指が控え目に髪の毛を梳くのが気持ち良い。  
リザも私も行為の余韻から抜け出せず、互いの息だけがこだまする、沈黙の時が続いていた。  
行為特有の熱とリザの香りに包まれ、そして激しく鼓動を打つ彼女の命の音が耳に直に伝わり、あまりの心地よさに眠ってしまいそうになる。  
ここより幸せな場所などきっと見つけられない――柔らかなリザの身体が潰れてしまうほどきつく抱き締めながら、しばしの間、楽園で身を休めた。  
 
 
 
終わり  
 

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