「マスタング少佐のように躊躇いや後悔をちらつかせながら戦場に立つ人間を見ると、どうも腹が立つのです」
任務を終えた夕方、軍のテントが集合する地区から少し離れた砂だけの大地を歩いていると、偶然リザ・ホークアイを見つけた。
少女は銃を両手に持ち、私に気が付くと軽く頭を下げた。
「たまに間違って爆破してしまいそうになります」
擦れ違った時、短い金髪から覗く耳元で囁いてみると、無表情だった少女の顔が変わった。
私に興味を持っていなかった少女の瞳が、驚愕の色を浮かべたそれに私を映す。
初めて少女が私という人間をしっかりと認識した気がした。
私とは正反対の立場にいるロイ・マスタングのことで埋め尽くされている愚かなリザ・ホークアイの心に、私が入り込む隙間ができた。
そうして簡単に、私は面白い玩具を見つけることができたのだ。
「……あ…っ」
少女が押し殺した声で喘ぐ。
金の繁みの奥にある敏感な突起を指先で摘むと、潤いをみせなかった密所がようやく濡れてきた。
少女は抵抗せずに私のテントへ来た。
そして、簡素な硬いベッドへ押し倒されるのも、当たり前だというように受け入れた。
――ロイ・マスタングを危険に晒す代わりに、リザ・ホークアイの身体を傷付けることで暴力的な衝動を抑える。
擦れ違った時も、そして今も少女は何も口にしないが、言葉にしなくても私と彼女の間で契約が生まれた。
同意の上での行為であり、「鷹の目」と異名を持つ少女はそれに相応しくなく大人しくしていた。
軍服に乱暴に手を掛けても睨まず、唇をこじ開けて口付けても舌を噛まない。
逃げようとしなければ抵抗をするそぶりも見せず、少し意外なことに少女は私にされるがままだった。
しかし、少女は私を受け入れてはいない。
私が何をしても少女は感情を顔や身体に出さず、まるで一人きりでベッドの上に寝ているようだった。
少女の泣きわめく高い声を存分に味わえると思っていたのだが、彼女は甘い声も出さずに、少し呼吸を乱しているだけだ。
私との約束を割り切って行為に溺れることもなく、ただこの時間が終わることを無心で待っているようだった。
「…うあ…あ…っ!」
唯一、少女が反応を見せる時、それは彼女が痛みを感じる時であった。
アンダーシャツを捲くり上げ、まだ未熟ながらも豊かな胸を握り潰すかのように掴むと、少女の顔がくしゃりと歪んだ。
望まぬ相手から与えられる快楽は受け入れないが、痛みには敏感なずいぶんとお綺麗な身体らしい。
「…痛いのがお好きなんですか?」
白い乳房に指をきつく食い込ませながら問うが、顔を反らしている少女は答えない。
「…ん、は…っ!」
桃色の尖りを舌で優しくなじる時は唇を噛み締めているというのに、少女は脇腹に噛み付くと急に声を上げる。
この潔癖そうな少女が簡単に私を受け入れるとは思っていなかったが、こうも反応がないとつまらない。
膣から垂れたわずかな蜜を指に塗して中に侵入し、私にしては珍しく丁寧に愛撫しているというなに、少女は頑なに目を閉じて何も起きていなかったかのように振る舞っている。
まるで人形を抱いているようだ。
――ああ、そうか。
「…っ…!」
手の平で思い切り頬を叩くと、乾いた音が狭いテント内に響いた。
同時に熱い肉に包まれた指を動かして、わざと大袈裟に水音を立てるが、少女は恥じらうというような反応は見せない。
ただ頬の痛みだけを感じようとするように、少女は赤い顔を手で覆った。
小さな入口に指を突き立てればそれを受け入れ、易々と濡れる少女の身体は、きっと処女ではない。
少女を抱いた相手は、彼女の初めてを奪った相手は、この小さな身体を優しく抱いたのだろう。
今のような奪うような抱き方ではなかったはずだ。
男の我が儘な快楽を優先せず、身体の芯まで熱で溶かし、心身共に愛するように抱いたに違いない。
マスタングがしそうなことだと虫酸が走った。
「…あ…!」
また少女の頬を力任せに叩く。
少女は今日の出来事をなかったことにするつもりなのだろう。
犯されたこと、マスタングを守ったことを頭から消して、痛みだけで塗り替えるに違いない。
私に抱かれるということは少女にとって忘れられるほどのちっぽけなことであり、マスタングを守る上では些細な事故なのだ。
私との行為は痛みだけを記憶し、前に抱かれた時の優しやや温かさを忘れないようにしようとする少女の努力に腹が立つ。
この白く華奢な肢体と、いかにも女らしい身体を持ちながら、それでもマスタングを守ろうとする弱者のあがきは見苦しい。
「…んん…ッ」
膣から指を抜いて自身を宛がうと、背中を震わせた少女がやっと行為らしい声を出した。
ふと、肌をすべて晒して少女を辱めようと思っていたはずなのに、服をすべて脱がせる余裕もないほど自分が興奮していたことに今気が付いた。
少女は少々服を乱された程度で、まだ布で覆われている部分の方が多い。
少年のように短い髪を鷲掴みにしながら、一気に少女の中へ入り込む
「…く…ッ!」
金の髪の毛を引っ張られる痛さと、膣を熱い塊に
押し広げられる圧迫感に少女が呻いた。
アンダーシャツの上から肩に噛み付きながら、少女に構わず律動を始める。
少女らしいきつい膣内は気持ち良く、この濡れた肉は病み付きになりそうだ。
肩に歯を立てられ、痛みに唇を震わせる少女の綺麗な表情を見ていると、自然と腰の動きが速くなる。
少女の中は私を離すまいと絡み付いてくるのに、彼女は貫かれていることを知らないようにぼんやりと天を見ていた。
「…はっ、あ…!」
雪のように真っ白な肌に次々と噛み痕を残すと、ようやく苦痛の表情を見せる。
重たそうに揺れる乳房には血を滲み、口に広がる鉄の味に満足する。
背中が痺れるような快楽を拒むならば、痛みだけを覚えさせればいい。
私に抱かれたという事実がこの少女の身体に残るのならば、何でもいい、痛みでもいい。
「――…あっ!」
少女の奥深くに精を放つと、わずかに上気していた頬が白さを通り越して青ざめていく気がした。
射精されることなど最初から分かっていたはずなのに、少女は乱れた前髪の隙間から、初めて人間らしい傷付いた表情を覗かせた。
マスタングは少女を大事に扱っているから、こんな真似はしないだろう。
初めて私が女の部分の奥深くを汚したのか――
少女が避妊薬を飲んでいるかなど知らない。
ただ世間知らずで綺麗なお嬢様を汚す喜びに浸り、腰を大きく動かしてどくどくと精液を放つ。
自身が勢いをなくしても、まるで白い液を膣に染み込ませるようにしばらく前後に動かしていた。
たまらなく気持ちがよくて息が荒くなる。
「…ふ…っ、あ…」
一方、少女は言葉もなく涙を流していた。
犯されているということから必死に目を逸らしていたが、精を放たれたことにより、急に現実が少女を襲ったのかもしれない。
「…あー…っ」
涙はとめどなく溢れて頬や耳を濡らすが、少女はまだ人形を演じ続けるつもりのようだ。
精液で汚れた指で膣のすぐ下にある穴に触れても、震えた声をもらすのみに抑えた。
「…あぁ、あ…っ!」
まだ誰にも犯されたことのない穴を征服しながら、一方の手でいつも携帯している小さなナイフを取り出し、するどい刃を軽く少女の腹の上ですべらせた。
少女に痛みだけを与え続けて我慢する姿を見るのもいいが、いつ人形が崩壊してしまうかも非常に楽しみだ。
白い肌に赤く細い線のように血が滲むのを眺めながら、この少女が快楽に屈服するのを期待するのであった。
終わり