月が雲の切れ間から妖しく光る夜更け。エンヴィーはしんと静まり返ったホテル内のロビーを1人で歩いていた。階段を幾つも上り、ふと、とある一室の前で足を止める。  
何時だって、自分には無いものを持っている人間が妬ましかった。あのおチビさんは特にそうだ。ぐちゃぐちゃにして、壊してやりたくて仕方が無い。  
――ウィンリィ・ロックベル。鋼のおチビさんの幼なじみで、結構カワイイ女の子。今は中央に滞在中だ。  
「そう、此処にね」  
エンヴィーはそっと部屋のドアノブに手をかけたが、ドアには鍵が掛かっていて開く事は無い。就寝中なのだから当然だ。  
ニヤリと微笑むと、パチッという小さな音と共に自らの姿を金髪三つ編みの小柄な少年へと変えていく。そして、その少年の声で扉の向こうの獲物に呼び掛けた。  
「ウィンリィ、ちょっといいか?」  
エンヴィーの夜遊びが始まった。  
 
「…エド?」  
向こう側からの返事は早かった。眠っていると思われたが、どうやらなかなか寝付けず起きていたようだ。  
此方へと近付いてくる足音、直後に鍵を外す金属音が耳に届く。  
「どうしたの?こんな時間に…」  
「悪い、ちょっとウィンリィと話がしたくてさ。入っていいか?」  
その言葉を聞くと、ウィンリィは何の躊躇も無しに金髪の少年を部屋へ入れた。  
「…話って何?アルはいないの?」  
少年に背を向けて、テーブルの上の散らかった工具を片付けながらウィンリィが尋ねる。少年―エンヴィーは目の前のウィンリィの問いには答えず、無言で再びドアに鍵を掛けた。  
「―無用心だなぁ。こんな夜中に男を部屋に入れちゃダメだよ」  
その言葉で、部屋の空気がガラリと変わった。ウィンリィは違和感を覚えて振り返るが、其処にあるのは異様な光景。  
『エド』だったものが、白い光を発して全くの別人に変わっていく。首筋に冷や汗が伝うのがわかった。あまりに非現実的なそれに言葉を失う。  
「初めまして、お嬢ちゃん」  
自称若くてカワイイ、普段通りの姿へと戻ったエンヴィーは笑顔を見せた。窓から漏れる月明かりがその姿を照らし、妖しげに演出する。  
「な、何なの…アンタ……!?」  
「おっと、騒ぐなよ」  
一歩一歩、驚く彼女の傍に近付いていく。近付かれる度にウィンリィの恐怖心が煽られる。  
「イ、イヤよ…来ないで!あたしに何するつもり!?」  
パンッ、と乾いた音がした。ウィンリィが自分に触れようとしたエンヴィーの手を、叩いて払いのけたのだ。  
エンヴィーは目を細め、目の前の怯えた少女を睨みつけた。  
 
「おとなしくしなよ。可愛がってやるからさぁ!」  
抵抗するウィンリィを荒々しくベッドに組み敷くエンヴィー。重さでベッドのスプリングが軋む嫌な音は、ウィンリィの悲鳴でかき消された。  
「いやあああっ!誰か…エドぉ…助けて……ッ!」  
「あはははは!鋼のおチビさんなら今頃グースカ眠ってるだろうねぇ」  
彼女の身に付けている衣服を下着ごと乱暴に剥ぎ取っていき、みずみずしく透き通るような素肌が露出される。ウィンリィは晒された身体を隠そうとひたすらもがいた。。  
「やめて…!み、見ないで!」  
「はっ、どうせおチビさんとはヤリまくってるんだろう?」  
吐き捨てるようにエンヴィーは言う。  
そう言えば、彼女はあの内乱で両親を失ったと聞く。  
内乱の首謀者であるこのエンヴィーに、今から犯され淫らな姿を晒す事になるウィンリィ。いつも生意気なおチビさんは、大事なガールフレンドがメチャメチャにされたらどんな顔をするだろう?  
そう思うと、ゾクゾクした。  
「メチャメチャにしてやるよ」  
鬱陶しい彼女の両手を押さえ付け、まずは鎖骨に舌を這わせた。鎖骨から胸の突起へと舌を滑らせれば、甘くとろけるような鳴き声が聞こえてくる。  
「…んんっ、あぁんっ」  
「感じちゃったの?嫌がってるくせに」  
「ち、違っ…!」  
恥ずかしそうに否定するウィンリィを面白がるかのように、エンヴィーの指が何度も乳首を弾く。弾けばその度に可愛らしい声と同時に体をビクンと震わせた。まるで、弦楽器のようだった。  
 
「はぁん……ふぁっ……」  
何度も何度も、火照った肢体をしつこく舐め回される。ウィンリィは得体の知れないバケモノに身体中を支配される嫌悪感でいっぱいだったが、それよりも、こんな状況で感じてしまう自分が嫌だった。  
声を押し殺そうと唇を噛む。だがそれも虚しく、身体の奥底から込み上げるものを抑える事が出来ない。いやらしい鳴き声が室内に響いた。  
そんな様子を見て、エンヴィーがほくそ笑む。  
「あらら、もうこんなに濡れちゃってるよ」  
秘部から溢れ出る蜜を指ですくって、それをウィンリィに見せつけるように舐めとってみせた。  
「や……っ」  
恥ずかしさで堪らなくなり、思わず顔を伏せてギュッと目を閉じた。何時になったらこの悪夢は終わるのか。  
「…もう入れちゃおっか」  
その言葉に、ウィンリィがはっとする。  
エンヴィーは、彼女の片足を取り広げさせ蜜で溢れる秘部に自身をあてがった。  
「お、お願い…それだけはイヤ!もう許して…ッ!」  
必死の懇願。抵抗が無駄となれば、あとはもう懇願するしか無いのだ。  
だがそんなそんな許しを乞う姿も、彼を喜ばせるだけに過ぎない。  
「やだね」  
冷たい返事と冷たい視線が突き刺さる。エンヴィーは嫌がるウィンリィの腰を押さえ、自身で中を一気に貫いた。  
「やあぁああんっ」  
「…くっ、きっつー…」  
慣らしていない膣内は突然の異物の侵入に悲鳴をあげているかのようで、エンヴィーをきつく締め付けた。  
エンヴィーはギリギリまで自身を引き抜いては、奥まで打ち付ける。「あっ、あん、はあぁあんっ…!」  
苦痛でしか無い筈の運動。だが、痛みが抜けてくると彼女の中で次第に快楽が生まれてくる。身体は快感を求めて何度も震えた。  
 
「あんっ、あぁ…んんっ…はぁあ…いやぁあんっ!」  
もう訳もわからず、エンヴィーの望むままに喘ぐ事しか出来ないウィンリィ。  
快楽が高まっていき、中が熱くなるのを感じる。  
「あああだめぇっ、イッちゃうぅ…!」  
ウィンリィが叫び声と共に膣内をビクビクひくつかせて果ててしまう。その姿は酷く痛々しくそして美しく、見る者の征服欲を刺激する。  
「ははっ、もう絶頂かい?早いなぁ」  
楽しそうに笑いながら、エンヴィーが一旦律動を止めた。果てたばかりで震える腰を持ち上げ、今度は四つん這いにさせると再び動き始めた。  
「あぁっ…あっ、ひゃぅんッ…!」  
後ろから何度も何度も突き上げられ、たまらず声を荒げた。無意識の内にシーツをきつく握り締める。  
ウィンリィの膣内はそろそろ限界のようで、ビクビク痙攣していた。  
「あんっ、あうっ、も、もう…ダメ…ぇ」  
「うっ…はぁ、そろそろ出すよ」  
エンヴィーの限界が近くなると、更に律動を早めて激しく中が掻き回される。  
「いゃああん、中は…ぁあっ、中はダメえぇっ!ああぁあぁ」  
「く……ッ」  
最奥に打ち付けると、エンヴィーは欲望の全てを膣中に吐き出した。  
同時にウィンリィも2度目の絶頂を迎えた。  
 
気が付くと、窓から漏れていた月明かりは消えていた。いつの間にか月は雲に隠れ、真っ暗な闇の中に姿を消していたようだ。  
ウィンリィの乱れた呼吸は次第に規則正しいリズムを取り戻し、静まっていく。  
「なかなか楽しめたよ、お嬢ちゃん。おチビさんによろしく」  
熱気の篭った室内に、ただエンヴィーの声だけが響いた。ウィンリィは何も答えない。  
エンヴィーは、項垂れる彼女の赤く上気した頬にそっとキスを落とすと、静かに部屋を出て行った。  
 
おしまい  
 

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